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番外編
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しおりを挟むそれは、数日後のことだった。
高野は取引先との打ち合わせ帰り頭の中を整理するため、たまたま目に入った駅ビルのカフェに立ち寄った。
窓際の席で、資料をパソコンで確認しながらコーヒーを飲んでいると——
右後ろから、柔らかな声が聞こえた。
「……すみません、これテイクアウトで」
自然と目が向く。
控えめな声。
整った横顔。細い線。
どこか、警戒を残した立ち姿。
だが——
店員に向ける笑顔が、驚くほど素直だった。
その隣に背の高くガタイのいい男が立っている。
鷹宮だ。
いつも仏頂面だがそいつの顔はいつもより僅かに柔らかい。
(……ああ)
高野は直感する。
(この子だ)
鷹宮が“守りたい”と言った存在。
その子——凪は、袋を受け取ると、ふと振り返る。
一瞬、目が合った。
澄んだ瞳だったが、すぐに逸らされる。
人と距離を取る癖。
それを、高野は見逃さない。
(あいつが放っておくわけないな)
凪は鷹宮を追って、足早に店を出ていく。
高野は追わない。
ただスマートフォンを取り出す。
『さっき駅ビルのカフェにいたか?』
数分後、既読。
『いない』
即答。
高野は笑う。
『じゃあ、さっきのは別人か』
既読のまま、返事はない。
その沈黙が答えだった。
高野は小さく呟く。
「なるほどな」
そして、もう一通だけ送る。
『大事にしろよ』
それだけ。
返信は来ない。
だがきっと、鷹宮はスマートフォンを握りしめているだろう。
ーーーーーーーーーーーー
家について、駅ビルで買ったキャラメルラテとブラックコーヒーを取り出す。
ほのかな甘い香りに頬が緩むのが分かる。
リビングのソファに座ってあったかいカップを手に取り
甘い香りを堪能していると、部屋着へと着替えた鷹宮も凪の隣に腰掛ける。
ゆっくり大切な人と落ち着いた時間。
鷹宮がスマホをギチギチと握りしめていることに凪は気づかず、すっかり甘いラテに夢中になっていた。
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