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「では、食堂に移りましょうか。奥様のお話は私も興味がありますが、1つ提案をさせて頂きたいと思います」

「提案、とは?」

叔母様が怪訝そうに繰り返す。

叔母様の質問の内容を、シャオレはまるで分かっているかのようだった。

「確認ですが、婚約者にすると言うのは、本気でございますか?」

隣に座るガタルを真っ直ぐ見つめ、質問をする。

「勿論だ。侯爵家に来て、ましてや、当主と嫡男のいる前でそんな戯言を言うほど愚かではない」

最もの答えだろう。当主と嫡男が揃った時の約束は、確固たるものになる。あとから冗談です、では済まされない。

ん?

いや、納得してはいけない。

「だが」

「では、2ヶ月程考えて頂きたいと思います。本当にミヤ様で宜しいのかを。私もそうですがチェーンナ家の方皆様が、ミヤ様のこれからの行く末の幸せを望んでおります。皇子の妻と言う甘い汁を前に貪り着く気持ちで、むらがったあと、結局は、泣きを見るなど、まあ、ミヤ様のこれまでの日々を考えればそんな事で泣くなどないでしょうが」

人の言葉を遮った上に、王子に対して凄い言いようなのに、何故か、叔父様達は一様に本当に、と頷いている。

その上、私の事もある意味貶している。

「いいだろう。俺がどれだけ下僕として相応しいか見せてやろう」

得意げに言うけど、そんな偉そうで、横柄で位の高い下僕なんていりません。

「皆様それで宜しいですか?奥様、2ヶ月後、婚約を進める事となれば、決行いたしまょう。私も、遠慮なく、お手伝い致します」

シャオレのその言葉に、叔母様は顔を高揚させた。

「ええ、勿論ですわ」

微笑む叔母様に、叔父様は意味がわかってなそうだったけど、兄様3人はああ、と気付いたようだった。

全く私には分からず、シャオレを見た。

「では、私はこれで失礼致します。夜の街が私を呼んでおりますので。もしいい場所があれば、教えて頂ければ幸いです」

これまた、綺麗に会釈し、颯爽と部屋を出ていった。

そこは、ぶれないんだ

呆気に取られる叔父様達に対して、

「おもしれーな、アンタの召使い」

大爆笑された。

「頭が切れるのはわかっていたが、そっちでストレス発散か」

いや、全く面白くない。毎日あんな真面目に言われて、夜に用事が入ると、グチグチと言われる。

確かに頭がいいだけに、憎めないのが、また、ムカつくんだよね。

この後、楽しく夕食となった。

王子に振る舞う料理として、私のために用意してくれていたご馳走が、役にたったようだった。

 

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