装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

488 今度の指名依頼は……


「トウジさんトウジさん! 依頼ですよ依頼!」

 ポチと二人で冒険者ギルドへ向かうと、入るや否やエリナがズイズイと顔を寄せてきた。
 マイヤーとイグニール以上の存在感を放つのだが、桃色の髪には未だに抵抗感がある。

「きゅ、急になんですか?」

「あれ、今日はイグニールさんとゴレオちゃんはいらっしゃらないんですね?」

「ああ……二日酔いでダウンして、ゴレオはその看病ですよ」

 今日は1日戒めとして、二日酔いの中を大人しくしているとのことで、俺とポチで来た訳だ。
 もちろん依頼の物色と、昨今の情報集めでもある。

「二日酔い? 珍しいですね、生真面目そうなのに」

「まあ、人間そういう時もありますよ。ウィンストと再会した祝いの席でしたし」

「あ~、なるほど! でもトウジさんは平気そうですけど?」

「セーブしてますから」

 適当に答えているが、セーブできませんでした。
 チューして、侍らせて、パンツ一丁で外に出て、オーガと戦って、盗賊ボコして。
 うん、ハメ外しまくりで、言葉だけじゃ何が何だかわからない状況になっている。

「トウジさんって酔ったらどんな風になるんです?」

「普通ですよ、普通」

 そう答えると、ポチがため息をついていた。
 どこが普通か、みたいな感じで。

「へー……でもそう言う人こそ飲んだら結構変わるって言いますよね~」

 ギクギク。
 これ以上この話をするとボロが出かねない。
 話を変えよう。

「ところで、依頼ってなんですか? 依頼って」

「はい! よくぞ聞いてくださいました!」

 聞いてくださいましたって、絡んできたのはそっちだろうに。
 どこの支部の受付も、なんかガンガン絡んでくるよなあ……。

「トウジさんに指名依頼です!」

「指名……」

 そのワードに少し構えていると、エリナは言う。

「大丈夫です! トウジさんが指名依頼をあまり受けたがらないのは知ってますよ~!」

「は、はあ……」

「この依頼は別に危険でもなんでもないかつ、高収入が見込める! そんな依頼なのです!」

「ふーむ」

 ローリスクハイリターン依頼。
 言葉的にはかなり危ない匂いがした。

「そう構えないでくださいよ、依頼元もかなりしっかりしたところなんですから」

「どこからですか?」

「ソレイル王立総合学院です。トウジさんが前、オーガから助けた学生の通う学院ですよ」

「ほお……」

 ソレイル王立総合学院。
 マイヤー、オスロー、ライデンの三人が通う学びの園である。
 アーティファクト研究に強い有名校の一つだ。

「なんでまたそんなところから? 遠出の護衛か何かですか?」

 一度オーガから助けた義理がある。
 だから、学校行事の護衛役として呼ばれたのかなと思った。
 しかしエリナは首を振る。

「いいえ違いますよ。危険はないと言いましたよね? ふっふっふ!」

 高らかに鼻を鳴らしながらドヤ顔で首を振る。
 うざい。

「なんとですね!」

「──エリナ君!」

「はひっ!?」

 ドヤ顔エリナの横から、ほかの職員が横槍を入れていた。
 いきなり上司に名前を呼ばれてびっくりするエリナ。

「それ、ここで説明するのはダメな奴でしょう?」

「そ、そそそ、そうでした! すいません!」

「奥に空き部屋があるから、そこ使って」

「はひっ! ト、トウジさんこっちです!」

「ああ、はい」

 手を引かれて、俺とポチは奥の一室へと連れていかれた。
 そこでソファーにポチを膝に置いて座り、話を仕切り直す。

「──なんとですね! トウジさんには先生をしていただくのですっ!」

「せ、先生……?」

 突拍子もない一言に、言葉が出なかった。
 そんな俺にエリナは続ける。

「はい。冒険者ギルドとギリスの魔導機器研究機関が協力体制を敷き始めていることはご存知ですよね?」

「ええ、まあ」

 冒険者用の便利グッズとか装備をレンタルできるサービスである。
 冒険者ギルドは、魔導機器メーカーと提携しているのだ。

 そこまでは一般の冒険者が知る内容だが、俺はその一つ先を知っている。
 C.Bファクトリーの信仰装備計画のことだ。
 人に配ったあらゆる武器や装備から魔力をかき集めて一つの武器に使う。
 そんなクソみたいな計画を実は未然に防いでいるのだ。

 勇者の尻拭いってのも、大変だなまったく!

 ちなみに。
 そこを顧みると冒険者ギルド側って色々出し抜かれていることになる。
 C.Bファクトリー側に。

 オスローとオカロ親子の研究機関が大きくなったら、鞍替えさせよう。
 大規模バッテリーにチャージできてないことがバレたら、いずれ研究は復活するのだ。
 オスローがいないから研究は遅れているものの、完全に潰えたわけではないのである。

 俺がいずれSランクとか、そんな立場になったら可能かな?
 まあ、行く行くはってことで、今は依頼の話を聞きましょう。

「実は繋がりで、我らが冒険者ギルドもついに生え抜き的な存在を育てることに決まったのですよおー!」

「生え抜き……つまり冒険者科的な……?」

「その通り! まだまだ模索段階なのですが、こっちも冒険者の致死率を下げるために頑張ってるのです」

「ほー、でも士官学校とかと被らないですか?」

 冒険者ギルドなんて、学校に行って入るものではないと思うんだけどな。
 割と、なりたい職業第一位かと聞かれれば、特にそうでもない。
 一応平和な世界で、あえて危険のある場所に向かうことなんてないのだ。

 金がある奴は学び、頭を使う仕事をする。
 無いものは体とスキルを使って実力勝負なのである。

「まあ……ある意味隙間産業みたいな物ですよね、冒険者ギルドって」

「みたいなものっていうか、隙間産業でしょ」

「それをわかっているトウジさんは、本当に良い冒険者ですね」

「どうも」

 良い冒険者だったら、指名NGとか他の面倒なことを拒否したりしない。
 1ヶ月くらい離れることもあるし、どっちかと言えば無責任な方である。

 みんな褒めすぎだ。
 褒められる方も辛いんだぞ。

 ギュッと抱きしめるとポチが呻いていた、すまん。

「まあ、冒険者の学科を作り生え抜きを育てる、というのも一つ目的なんですけど……」

「はい」

「この他にも、色々と混み合った事情はあるんですよ」

 エリナは揃った書類の束をいつもの癖でトントンとまとめると言う。

「軍と魔導機器メーカーの繋がりって知ってます?」
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