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3巻
3-1
第一章 初めての友達だしっ
秘薬の製作に必要なアイテムを手に入れた俺――秋野冬至は、北端に位置する詰所から、ようやく拠点の街サルトまで戻ってきた。
何気に、半月ほどの時間を費やし山脈北部の探索を行っていたので、久しぶりに戻ってきた我が家は少し埃っぽく感じた。
「じゃ、俺はマイヤーのところに行ってくるから、掃除をよろしく頼むよ」
「ォン」
「……!」
「クエッ!」
アルバート商会の令嬢マイヤーから、家に来て欲しいと宿に伝言が入っていた。
なので天井や床など室内の掃除を、ペットのポチ、ゴレオ、コレクトに任せ、俺は帰って早々、再び宿を後にする。
「――こんにちはー」
「トウジ、待っとったでー」
アルバート商会に顔を出すと、マイヤーが笑顔で迎えてくれた。
いったいなんの用なんだろうと思いながら応接室に入ると、テーブルの上には金貨がたくさん入った袋が置かれていた。
「え、何これ……?」
「こないだ預かっとった分のポーション代や。ええ取引先が見つかってん」
「なるほどね」
以前大量に納品したポーションの代金だった。一応売れた分だけという話なんだけど、この様子じゃ、どこかで大量に需要があったみたいである。
「どっかで怪我人が続出したの?」
「まあ、せやね。お隣さんのウィリアムが、こないだのスタンピードでそこそこの被害を受けとったみたいでな? サルトではトウジがポーション配りおじさんやっとったから、そこまで需要なくて商売上がったりやったけど、ウィリアムではたくさん捌けたんやで」
「ああー」
ウィリアムとは、山脈を越えた先にある、サルトの隣町である。
勇者一行のレベル上げによって引き起こされたスタンピードの被害は、サルト側よりウィリアム側の方が甚大だったらしい。
さらに、魔物討伐などの仕事を失くした冒険者が、一気にサルトまで流れてきたため、防衛戦力も足りなかったとのこと。
だが、一つ気になることがあった。
「あれ、勇者はどうしたの? ウィリアムにいるなら、スタンピードも参加してるんじゃ?」
「うちもそれ思って調べてみたんや。そしたらな、どうにも森を荒らすだけ荒らした後、さっさと引き返してデプリのダンジョンに行ってもうたんやってさ」
「それはひどいな……」
森の生態系を壊し、スタンピードの要因を作った可能性のある張本人が、いざスタンピードの時になったら他に行ってしまっているとは、勇者あるまじきって感じがする。
「ここに詳しく載っとるで」
呆れて言葉も出ない俺に、マイヤーが差し出した本は、『新・勇者伝説』だった。
この最新刊には、山脈にいた強い魔物を勇者達がいかに倒しまくったのか、そんなどうでも良いことが、美辞麗句をちりばめて綿密に書かれているそうだ。
読んだ奴のヘイトがすごいことになるんじゃないのか、これ。
「俺も読んだことあるけど、そんなに面白くなかったよな」
さり気なくディスってみると、マイヤーも頷きながら返答する。
「せやね。でもな、デプリ国内で売れるのはわかるんやけど……」
「うん」
「なんやサルトでもそれなりに売れとるらしくってな? こんな本、読んでる人とか見たことないのに、どえらい数の注文が入っとるんよ。物好きもいるもんやなぁ……」
「そ、そうだね、ハハハ……」
多分、それは俺のせいだ。分解すれば強化スクロールの足しになるので、あればあるだけ買い占めを行っていたりする。
普及を早めようとしているのか、手頃な価格で売られているもんだから、ついね。
「よし、ほなお金渡そか。ポーション以外の防具類も含めて、しめて738万ケテルやで!」
「おおっ!」
大量のポーションに加えて、俺の作り出した武器がスタンピード後の需要もあって、想定よりも良い値段で売れたそうだ。
確か、納品した武器類は、すべてなんの捻りもない普通の武器。
それがそんな値段で売れたと言うのなら、この世界では魔装備と呼ばれる潜在能力付きの武器だと、いったいどれくらいの値段になるのだろうか。
職人技能はすでに【匠】で、あれから毎日毎日装備を作り続けて、地味に潜在能力がついた装備をいくつかインベントリに保持していた。
「トウジ、一応売れた物のリストもあるけど、今確認しとく?」
「いや、家に帰ってゆっくりやるよ」
どこで何がどれだけ売れたか、それが記載されたリストになるのだが、量が量だけに、恐らく分厚い冊子状になっていることだろう。
「マイヤー、来たついでに新しく作ってきたポーションと装備を納品しても良いかな?」
「ええでええで! ほな倉庫行こか!」
そして倉庫へ向かい、半月以上かけてたんまり製作してきた装備品やポーション類を、すべてインベントリから取り出していった。
「で、今回はどのくらいあるん?」
「だいたい四桁くらい」
さらっと告げた一言に、やや呆れた顔を見せるマイヤー。
「ま、まあええ……トウジやし、もう驚かへん!」
「あと、武器の他に防具もあるんだよね」
前は持ち込まなかったが、今回はアクセサリー製作のレベル上げにてしこたま作った、多種多様のアクセサリー装備がある。
種類が多くなって来ると、インベントリのスロット数をかなり消費するから、できればこれを機にすべて売っぱらっておきたいと思った。
「……」
次々と出されていく装備類に、マイヤーの顔つきがどんどん険しくなっていく。
彼女の中で、ツッコミを入れたい気持ちと冷静でいようとする気持ちが、せめぎ合っているのだろうか?
「マイヤー、驚いてる?」
「ぜ、ぜーんぜん驚いてへんよ! ……ってこの装備、全部地味にステータス補正めっちゃ高いやん! なんやこれ! しかも全部に自動調節のエンチャント付きって、なんやねん!」
堪えていた感情が一気に爆発したマイヤーだった。
ちなみに、自動調節のエンチャントと言うのは、防具などが体のサイズに合っていなくても、身につけるだけでスポンとぴったりのサイズになる機能のこと。
俺の製作した装備は、ゲーム仕様なのでエンチャントをつけなくても自動調節なのである。
「これ、全部エンチャントされとったとしたら、かなりの付加価値つくで……?」
「おお! 作った甲斐があった」
これからは武器よりも、防具類メインで売り出していく方が収入になると思った。
冒険者のランクがC以上になると、依頼の難易度も報酬も大きく上がり、しっかりと稼げるようになる。ターゲットを彼らに絞るのも良いだろう。
「トウジ、これも代金は売れた後でええのん?」
「うん、そうして欲しい。作り主も隠してお願いできる?」
「了解や!」
「あとさ、ちょっとこれも見て欲しいんだけど」
防具を販売する話の流れに乗せて、インベントリ内にあったとある装備をポロっと出した。
【片手剣】
必要レベル:50
攻撃力:70
STR:25
UG回数:5
特殊強化:◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
限界の槌:2
=====
潜在等級:レア
潜在能力:STR+5% STR+5% STR+5%
装備製作の職人技能が【匠】になってから新たに作り出した、潜在能力付きの片手剣である。
他にも潜在装備はあるのだが、こうして%上昇が三つとも同じ条件で揃った潜在能力付きの装備は他になく、値段の物差しにするには、これが一番手頃だったのだ。
「なんや? 攻撃力が普通のより高い名品やん?」
俺から潜在能力付きの剣を受け取ったマイヤーは、剣を鑑定しながら首を傾げる。
この通り、この世界の鑑定スキルだと装備の潜在能力は見えない。
「自分のSTR確認してみて」
「んー? まあええけど──ッ!?」
言われた通り、装備を持ってステータスを確認したマイヤーの表情が凍りついた。
「こ、こここ、これ! これ!」
「落ち着けマイヤー、語彙力が皆無になってるぞ」
あれだけ驚かないと言っておきながら、さすがに魔装備には度肝を抜かれたらしい。
「これ魔剣やんけ! トウジが作ったんかいな!?」
「うん」
ウィリアムの武器屋で見た剣は、しょぼい潜在能力でも500万ケテルで売られていた。
それとこの驚きっぷりから察するに、STRが合計15%上がるこの片手剣は、かなりの値段で売れるのかもしれない。
「……あっ、一周回って言葉が出てこなくなったわ」
「落ち着いたようで何より」
「なんか、テンションの差がムカつくんやけど」
さて、そんな魔剣の価値を、マイヤーが自分のSTRから逆算して、ざっと判別してくれる。
「伸びしろ的には、STR15%やから、中堅クラスの魔剣やね!」
「なるほど」
潜在能力の等級はレア・エピック・ユニーク・レジェンド・ゴッドの五段階。
すべての装備を最上位の潜在等級で揃えていたネトゲ廃人の俺からすると、レア等級の潜在能力で中堅クラスの部類ってことは、この世界で強いとされている潜在装備は、そこまで大したことないようだ。
それに、武器系には攻撃力%や魔力%といった、ステータス補正%より重要な潜在能力がつく。だから正直、この片手剣は弱い部類なのである。
「なあ、トウジ……」
マイヤーが真剣な表情で、俺の片手剣を見ながら言う。
「これ、さすがにうち一人じゃ捌き切れないから……おとんに話を持っていかないと……」
「そうなんだ?」
『魔』の名を冠する武器ともなれば、普通の武器とは値段の桁が変わってくるので仕方ないか。
「性能を調べる専門の鑑定士に依頼して詳しい話を聞かな、値段もつけられんし……」
「専門の鑑定士?」
「うん。ステータスを、バランスの良い数値に整えた人のことやね」
ステータス補正値が%上昇する潜在装備は、当然ながら持ち手のステータスによって、能力の恩恵が大きく変わってくる。
だいたいの潜在能力を測るために、ステータスの数値を適度に調整した、魔装備鑑定士という専門の職業があるそうなのだ。
鑑定でも見えない潜在能力は、そうやって地道に確認していくしかないのである。
「ああ、ちなみにそれはSTR補正しかついてないから、鑑定士に回す必要ないよ。STR1000の人が持ったら、合計で175上昇する。つまり装備自体についているSTRを抜くと、差し引き15%の補正がかかるってところ」
「……え? トウジはこれの能力が見えるん?」
「作った本人だからね」
専門の鑑定士に回すのにもお金や時間がかかると思うので、作った本人だからそれがわかる、という体裁にしておくことにした。
「ごめん、ちょっと理解が追いつかんのやけど……ほんまに?」
「うん。まあ誰にも言わないでね?」
少し秘密を話し過ぎたかなとも思うのだけど、マイヤーの驚く顔が思いの外面白かったので良しってことで。
武器の能力自体は正しい情報なので、鑑定士を通しても通さなくても問題になることはないだろう、という判断だ。
「なら、この片手剣は冒険者がダンジョンから拾って来た武器だってことにして、商会本店にいるおとん経由でオークションに出品できないか聞いてみるけど、それはええ?」
オークションか……これは、なかなかの値段が期待できそうだ。
「うん、俺の情報を秘密にしてもらえるなら、それで良いよ。なんなら秘密にする分、手数料を増やしても構わないし」
「いや、言わへんの当たり前のことやから! ……ふう、よしとりあえず無理やり心を落ち着かせたったわ! ほんまに毎回のごとくどエラいもん持って来てトウジはまったく! 自分が本当に目立ちとうないって本気で思っとんの!?」
「ハハハ」
確かに信頼できない商人あたりに持っていけば、かなりの騒ぎになるかもしれなかった。
そういう意味で、マイヤーとの繋がりはずっと大事にしていきたいと思う。
俺の貧弱なステータスをまともにするためには、装備の強化がすごく重要となる。
それには特殊強化でお金が湯水のごとく必要になってくるから、多少目立ったとしても、稼げる時にはしっかり稼いでいくことが大切なのだ。
エクシオルやスペリオル装備にえぐい額が必要になると以前説明したが、普通の特殊強化でも回数を重ねて◇を増やしていくと、同じくらいとんでもない金額になる。
コツコツ稼ぐやり方じゃ、いつまで経っても強化ができない事態に陥ってしまうこともあり得る。大きく稼げるのであれば、それに越したことはないのだ。
「よし、じゃあこんなもんだから帰るね」
潜在能力を持った装備はまだあるが、この片手剣を一度売ってみてから、どうするか考えよう。
「ほな、この剣はとりあえず預からせてもらうけど、売れなかったり、売れるまで時間がかかったりしても怒らんといてや?」
「了解」
物が物だけに、買い手がつくまでしばらく時間がかかるかもしれないが、売れないってことは無いはずなので気長に待つとしようか。
◇ ◇ ◇
さて、アルバート商会から間借りしている部屋へ戻ると、ピカピカに掃除が行き届いたリビングがそこにあった。
ポチには届かないところも、ゴレオやコレクトがやってくれるから、天井の隅々までしっかり掃除がなされている。
ゴレオの力で天井に穴が開いてないか心配だったが、力加減を覚えたのか大丈夫だった。
「おお、ピカピカだ。ありがとな、みんな」
「オ……ォン」
「……」
「クエ……」
素直にお礼を述べると、なんだか浮かない表情をするポチ、ゴレオ、コレクト。
「なんだなんだ? 備え付けの家具をなんか壊したのか? 弁償するくらいのお金の余裕はあるから、正直に話してくれ」
もし退去しろと言われたとしても、ゴレオが寛げるように、もう少し広めの部屋に移るのも良いだろう。
だとしたら床が抜ける可能性を考慮して一階の部屋をチョイスし、大きなリビングダイニングキッチンと、別で二部屋欲しいところだ。
今は寝室兼、作った装備類を飾る部屋みたいになっているが、メリハリをつけるべく、そこはしっかり分けておきたいと思ったのだ。
まあ、分けてもどうせ職人技能のレベル上げに熱中し過ぎて、リビングのソファで寝ることになってしまう気もするけどね。
「アォン」
俺の問いかけに首を左右に振るポチ。どうやらそんなヘマはしない、と言っているようだ。じゃあなんだろう?
「……」
理由を考えていると、ゴレオが寝室の方をそっと指差した。
「あっちになんかあるのか?」
もしかしてドッキリかな、サプライズかな……ドキドキしながら寝室のドアを開ける。
すると、寝室の奥の壁にドアが存在していた。
「……は? 何これ? ここ、広い部屋と寝室だけだったよな?」
約半月、部屋を留守にしている間に、改装工事が行われたとでも言うのか。
いや、そんなはずはない。
百歩譲って隣の部屋とくっつけましたよ、だなんて言われても、受付の人から何かしらの説明があるはずだ。
「……と、とりあえず開けてみる?」
「ォン」
頷くポチ。どうやら俺が帰って来るまで、この謎の扉は放置していたらしい。
そりゃ勝手に開けて変なことになったら、責任取れないからな。みんな好奇心は強いけど、お利口さんな部類だからこういう時はすごく助かる。
妖精の楽園に行った時もそうだが、余計なことをしでかす奴にろくな奴はいないのだ。
「……なんじゃこりゃ」
そして扉を開けたのだが、本当になんじゃこりゃである。
扉の向こう側は、この部屋の隣の部屋という訳でもなく、真っ暗な階段が地下深くに延々と続いているのだった。
壁の厚さとか、そういう物を一切合切無視した構造、そして地下に繋がる階段。
「えーと……」
この光景について少し考えてみると、似た風景を見たことがあるのを思い出した。
あいつだ、あいつ。
俺の知ってる中に、こういうことができそうな奴が一人だけいる。
「ポチ、今すぐパンケーキを焼いてくれ」
「ォン?」
ポチは首を傾げながらも、インベントリから出してリビングの定位置に設置した魔導キッチンで、パンケーキを作り出す。
できるだけ甘い匂いが目立つように、妖精からもらってきたハチミツもトッピングだ。
やっぱりパンケーキって生クリームとかよりハチミツとバターだよなあ……?
さて、そうして焼きあがったパンケーキを皿に盛り、開け放たれた謎の扉の前に置く。
ゴレオに頼んで、バッサバッサとベッドシーツで扇いでもらい、匂いを階段の奥に送ってみた。
しばらく待っていると……。
「──なんだし! この甘い匂いなんだし! なんだしー!」
階段の下から、ピューッと小さい何かがかっ飛んできた。
出たぞ、やっぱりダンジョンコアだ! 階段の材質がちょっと似てたんだよな!
焼きたてパンケーキとハチミツバターの甘い匂いに誘われてきやがった。
「確保だ確保! ゴレオやってしまえ!」
「……!」
目を血走らせ、鼻息荒くヨダレを撒き散らしながら、パンケーキの前をハエのようにちょこまかと飛び回るダンジョンコアを、ゴレオがシーツでぶっ叩く。
「ぴぎゃしっ!?」
そして、すぐにシーツでぐるぐる巻きにした。
「むぐぐぐー! なんだし! いきなり何するしー! やめろー!」
シーツの中で暴れるダンジョンコア。思いの外力が強いのか、ゴレオも押さえつけるのに苦労している。
「暴れるなって。大人しくすれば、それ食べさせてやるから」
「本当? わーい!」
俺の言葉と同時に、動きがピタッと止まった。
「ほら、大人しくしたんだから、さっさとそれ食べさせろし」
なんだこいつ……。
大人しくなったのでシーツから出すと、ダンジョンコアはパンケーキに飛びついた。
「うまっ! 何これ甘くてうまうま! 旨味だし!」
「……アォン」
「え、それはどんな味かって? 言い表せないうまさのことだし!」
意味のわからない感想とともに、ポチ特製のパンケーキを両手で千切っては食べ、千切っては食べするダンジョンコア。
「食べながらで良いんだけど、なんでここにいるのかを説明してもらえる?」
「え? そっちが来いって言ってたじゃん」
口いっぱいにハチミツとバターをつけて、ダンジョンコアが答える。
「また来てって言ったら、そっちが来いって言ってたし! だから来たし!」
「ああ……」
そういえば、そんなことを言ってダンジョンを後にした記憶があった。
しかし、まさか本当に来るとは思わなかったのである。ダンジョンコアがダンジョンを放っぽり出して街に来るとか、普通あるか?
それでね、とダンジョンコアがさらに言葉を続ける。
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