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3巻
3-3
◇ ◇ ◇
馬車は快速で進み、翌朝には村にたどり着いた。依頼書を持って、依頼主である村の代表のところまで向かう。そこまでは良かったのだが……。
「え、どういうことですか……?」
言葉を失ってしまう。
なんと訪ねた先の村長に、いきなり依頼のキャンセルを言い渡されてしまったのだ。
「すまんのう、先に来た冒険者パーティーがやってくれるって言ったんじゃ」
「……そうですか」
村長の言い分は、別の街のギルドからたまたまこの村に来ていたパーティーが、話を聞きつけて手伝ってくれると言ってきたそうで、そっちに頼むとのこと。ちなみにそのパーティーは今、俺達の後ろにいる。
「わしも、すでに依頼をしておると断ったんじゃがのう……?」
村長はすっとぼけながら弁明する。
余計な依頼料は払いたくないと一度は断ったそうだが、相手はただでやると言ったそうだ。
それがちょうど昨日の夜の出来事で、まさに入れ違いだったのである。
情報の遅い異世界では、こういうダブルブッキングは仕方ないのかもしれない。
しかし、基本的に筋を通すのが、世の中の道理だろうと思う。
万が一のことを考えれば、ただで手伝うという冒険者はただでやらせておけば良いのだが、なぜ依頼のキャンセル料を払ってまで、そちらへ頼むというのだろうか。
慈善事業で働く冒険者なんて絶対に存在しないから、裏で取引したのだろうか。
俺もギルドを介さない取引をやっていたから文句は言えないのだが、それでも依頼をキャンセルさせて横取りするようなマナー違反はしていない。
「キャンセル料は払うぞい。もっとも、ただでやってくれる分には構わんがな」
ぬけぬけとそんなことを言う村長。
村長の言葉に、後ろに控える隣町の冒険者八人が、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。
冒険者は基本、三~五人でパーティーを構成することが多く、珍しい光景である。
「指名を受けたCランクとは言え、コボルトを連れた冒険者よりは、こっちの方がマシじゃ」
「連れているのはコボルトだけじゃないですけど……」
ポチ達がバカにされたような一言に、食い下がる。
「他にゴーレム、コレクションピーク、幼い妖精……ふむ、信用ならんのう?」
ジュノーはダンジョンコアなんだが、どうやらその大きさと空中をふわふわ浮かぶ姿を幼い妖精と勘違いされているようだ。
「あたしはダ──むぐっ!?」
ダンジョンコアだと言いそうになったところで、ひっつかんで口を塞ぐ。
本当のことがバレて目立つより、妖精の従魔だってことにした方が面倒が少ないからだ。
「従魔の躾もなっとらんのう。従える従魔の強さと従順さで、主人の力量が計り知れるわい」
俺に怪訝な目を向ける村長は、さらに言葉を続ける。
「とにかく依頼はキャンセルじゃ。キャンセル料を大人しく受け取ってくれい」
「……わかりました」
依頼者である村長がそう言うのならば、俺が何を説明したところで覆ることはなさそうだ。
クソが。俺はもう、二度と指名依頼を受けないことを心に誓った。
◇ ◇ ◇
「んもう! 何さあの態度! ムカつくしー!」
「まあ、そう怒るなよ」
それからすぐに村を出て、付近の森まで俺達は移動した。
村をすぐ出た理由は、村人からの視線もなんだかちょっと痛かったからである。
「でも、このあたしに向かって幼い妖精だって言ってたし!」
「それのことだけど、目立つから今後も妖精ってことで通してもらっても良いかな?」
「違うし! ダンジョンコアだし!」
「いや、ダンジョンって基本厄介なものだから、バレて目立つと不味いんだよ」
「……わかったし。トウジが言うなら、そういうことにしとくし」
わかってくれたようで何よりだ。
「でも! あのハゲ、あたしの友達のことをバカにして! 怒るなってのが無理だし!」
「ォンッ!」
「……!」
「クエーッ!」
ポチ達も、あの村長の口ぶりにはちょっとイライラしていたらしく、怒りに任せて愚痴るジュノーに、うんうんと頷いていた。
「怒ってくれてありがとな、ジュノー」
プリプリと怒っているが、それは俺やポチ達を思ってのこと。
俺だって最初はむしゃくしゃしてしまったが、こうやって代わりに怒ってくれる誰かがいてくれるだけで、一歩引いて冷静になれてありがたいのである。
「むー、なんかそう言われると毒気抜かれるし……とにかく、あの中途半端に側頭部に残った髪の毛を寝てる間にこっそり全部毟り尽くしてやるんだし!」
とんでもないことを言い出したジュノーであるが、依頼の当日キャンセルは俺も許しがたいので、今の心境は「どうぞやっておしまい!」って感じだな。
「よし、この怒りは魔物狩りにぶつけようぜ!」
「ォン!」
「やってやるし!」
森の魔物を狩って狩って狩りまくって、鬱憤を晴らすのだ。
そんな訳で、ポチの嗅覚とコレクトの目を用いて森の中を探索し、魔物はすぐに見つかった。
依頼の対象だった、ゴブリンの群れを発見したのである。
「ギャ──」
遠くにいるゴブリンの眉間を、ポチの矢が正確にぶち抜いた。
仲間がやられたことで、大量のゴブリンが一挙に押し寄せてくる。
「……!」
ブゥンッ! ドギャッ!
しかし、いくら徒党を組んで襲いかかって来ようと、ゴレオの前には無意味だった。
大槌による横薙ぎの一撃にて、ゴブリンの集団を一掃。
ゴレオとポチの装備は、俺が作れる最高のレベルで、ゴブリンを一撃で倒せる威力を持つ。
いくら束になって向かって来ようが、一撃で倒してしまえば無意味だった。
バシュバシュバシュ! ブォン! ドゴォン!
「ギャギ!?」
「ギャギギ!?」
「ギャボッ!?」
うーん、なんだかゴブリン達が可哀想に思えて来たぞ……。
ゴブリン程度だったら俺も一撃で屠れるのだが、相変わらず怒涛の勢いでポチとゴレオが戦っている。そのため、発生するドロップアイテムの回収で大忙しだった。
コレクトはいつものように上から応援している……と思っていたのだが、実はポチと意思疎通しており、敵の位置を把握して射撃のサポートをしているらしい。
「ねえ、ダンジョンでもそうだったけど、ポチ達って強過ぎないし?」
俺と一緒に端から見ているジュノーが、そんな疑問を抱いているようだった。
「ポチ達の実力もあるけど、装備が120レベル相当だからね」
「ひゃっ──ええ? ごめん、なんて言ったし?」
「まあ簡単に言えば、俺が強化した装備を使ってるから、基本的に雑魚は一撃ってこと」
装備レベルの話をすると込み入ってしまうので、適当にそう説明しておく。
「そうなんだ……ならあのスライムキングが、あたしのガーディアン倒したのも納得だし」
「い、いやそれは」
キングさんに関しては、基本的にノー装備なんだよな……。
さらにノー装備であの強さなんだよな……。
本当に、理不尽という言葉を具現化したような存在だと思う。
「で、トウジは何をやってるし?」
ゴブリンの倒れた場所を駆け回る俺を見て、ジュノーが首を傾げていた。
そうか、サモニング図鑑に登録されたサモンモンスターではないので、ジュノーにはドロップアイテムが見えないのか。
これも説明すると長くなるので、適当に流しておくことにした。
「ねえ、あたしも何かすることない? 友達なんだから手伝うし?」
「……やることある?」
「……ないかも」
怒涛の勢いで行われるゴブリン狩りを見て、俺とジュノーは揃って苦笑いを浮かべる。
本当にやることがないのだ。
「危ないから大人しくしといた方が良いと思う。あと、これ身につけといて」
「わぷっ!? いきなりなんだし!!」
ジュノーに渡したのは、昨日馬車に乗りながらコツコツ作っていた赤いローブ。
ポチやゴレオが身につけている水準の装備だった。
「レベル80の装備くらいだったらつけられるでしょ?」
「あのねえ、サイズが合わないし! って、あれ……?」
小さな体にまとわりついた大きなローブが、ピッタリのサイズになって驚く。
そう、俺の装備は、身につけるとその人のサイズに合わせて収縮するのだ。
「何これ強ッ!」
鑑定スキルを持っているのか、ジュノーはローブの性能を見てさらに驚いていた。
VITをがっつり強化合成した一品だからね。
しかも、潜在等級エピックで全ステータス+10%上昇の厳選品だから、鑑定スキルじゃ見えないところにも細やかな強化を入れているのだ。
「こんな装備をポンポン作れるだなんて、トウジが一番イカれてるし!」
「大事に使えよ」
「う、うん……ありがと……」
「あ、そうだ。あとこれも試しにつけてみて」
「え? これはイヤリング?」
手渡したのは、彼女のガーディアンから採掘した鉱石オリハルコンを用いた装備である。
その名も、ワークマンアクセサリーシリーズ。
俺が製作の目標としているマイスターシリーズの下位互換だ。
ジュノーのレベルはちょうど100だから、試しに作ってみたこいつを装備してもらおう。
「わあ、綺麗! これって素材がオリハルコンで出来てるし?」
「うん」
やや紫色の光沢を持つイヤリングを見て、喜ぶジュノー。
「お前のところのガーディアンから採掘したオリハルコンで作った奴だよ」
「へえー、ってこれも強ッ! 明らかにステータスの伸びがすごいんだけど!」
そりゃ希少な鉱石を用いて作った装備だから、その性能も折り紙付きだ。
「それも大切に身につけとけよ」
「うん……プレゼントなんて初めてもらったし……それも、アクセサリーだなんて……」
「見とれるのも良いが、ポチ達がかなり先の方に行ってるから、早く追いつくぞー」
「う、うん!」
こんなやり取りをしながらも、ドロップアイテムやゴブリンの死体を回収しながらポチ達の後を追いかけ続けているのだが、なかなか追いつけない。
まったく……いったいどんな速さで狩りまくっているのやら、回収班として孤軍奮闘する俺の身にもなって欲しいよな……。
「つーか、ゴブリンの数、いったいどんだけ多いんだ……?」
「あたしもそれ思ったし。この量は明らかに異常だし」
インベントリ内に回収したゴブリンの死体は、すでに五十体以上となっていた。
さらに目の前にはまだ回収しきれていないゴブリンの死体が転がっていて、もはやゴブリンの死体の道みたいな感じになっている。
これを拾い尽くすと、百体は軽く超えそうだ。
「ゲギャアアア!」
「うわっ!?」
死体の道を途方に暮れた気持ちで眺めていると、真横の茂みから、俺よりでかい筋骨隆々のゴブリンが姿を現し飛びかかってきた。
「ゴブリンキングか! くっ!」
左腕に小盾を装備して攻撃に備えるが、すぐに矢が飛んできてゴブリンキングの眉間を貫通。
「ァ──」
頭を打ち抜かれたゴブリンキングはそのまま呆気なく息絶えた。
出落ちである。
「アォン」
それを尻目に、眉間を射抜いたポチは、さっさと次の獲物を狩りにかかった。
ゴブリンキングってかなり強い魔物だと思うんだけど、俺の装備はすでにそんな魔物を一撃で屠るレベルになってしまった。
「こりゃ、俺の出る幕なんてなおさら無いな……」
俺もそこそこ装備を整えてステータスを上げてあるんだけど、出番は無さそう。
まあ、代わりにポチやゴレオが戦ってくれるのならば、それに越したことはないか。
◇ ◇ ◇
ドロップアイテムを回収しながら森の中を進むと、ゴブリンの集落を発見した。
今まで大量に倒してきたゴブリンの集落である。
簡単な住居のほかに、木材と石材を合わせて作られた武器庫に、薬草を集めておくサイロのような建物まで作られていた。
痕跡を見るに、薬草を潰してその汁を溜め込み、傷の治療を行ったり、火を起こして調理や食事も行ったりしていたようだ。
不思議である。
ゴブリンは集まれば集まるほど、全体的な知識量も上がっていくのだろうか?
確かにそういう性質を持っているならば、集落持ちとなったゴブリンは危険な存在である。
集まれば集まるほどに賢くなるのは、人間に対して天敵とも言えた。
「ゴレオ、この丸太を退かしてくれ」
「……!」
そんな集落の奥にある洞窟で、俺はゴレオにそんな指示を出す。
何故かと聞かれれば、洞窟の入り口がガッチリと丸太で塞がれて、何かを隠しているような雰囲気だったからだ。
「クエックエッ!」
お宝を感覚で嗅ぎつけるコレクトも、ここに何かがあると鳴くし、一度見てみましょう。
そんな訳で入り口を塞いでいた丸太を退かし、すでに灯ったカンテラをインベントリから出して奥に進んでみることにした。
「ん?」
奥に誰かがいる。明かりを向けると、口に布を巻かれて縛られた男女が二人ずついた。
その顔を見て少し驚く。
「イグニールに、ガレーとノード……何してんの……?」
なんと四人の内、三人が知り合いだったのだ。
「もごもご!」
「もごー!」
「もごごー!」
三人とも、もごもご言っててちょっとよくわからないので、ひとまず体を縛っていたロープを断ち切って、口に巻かれた布を外してあげる。
「──ぷはっ! まさか、応援に駆けつけてくれたCランク冒険者って、トウジだったのか!? あのケチっぽい村長が依頼料を渋って、Cランク以下のパーティーを呼び寄せてしまうことを心配していたのだが、そこはしっかり分別があったようだな。この依頼をトウジに持っていったのは受付のレスリーだろう? ナイスだレスリー!」
「天が味方しました! トウジさんが来てくれたなら安心です! ああもう、夜には僕が先に食われてしまいそうだったから、気が気じゃなかったんですよ! 助かりましたあああ!」
ガレーとノードが一緒に一気に話し出したから、口を自由にしてもよくわからなかった。
こういう説明は、イグニールにしてもらった方がわかりやすいだろう。
「イグニール、これはいったいどういうことだ?」
「異常なゴブリンの数を調べに来たら、思ったより多くて捕まっちゃったのよ」
二人の早口に顔をしかめ、耳を塞いでいたイグニールが状況を話してくれた。
だが気になることが一つ。
「ん? イグニールってこの二人とパーティー組んだ感じ?」
「私はまだソロよ。あんたと一緒」
「そうなんだ」
ソロだと聞いて、少しだけ安心する俺。てっきりガレーやノードとパーティーを組んで、依頼を受けていたのかと思ってしまった。
それにしても、イグニールの心の中にある問題は、まだまだ根深いってことなのだろうか。
「私は別の依頼から帰る途中で、この村に一泊してただけ。たまたま二人と一緒になって、その時にゴブリンの数が異常だって相談を持ちかけられたの。だからまだソロよ?」
「う、うん」
すごいソロ推しだが、パーティーをまだ組みたくないってのはよくわかった。
さて、話を戻すが、イグニールを相談役に交えたガレーとノードのパーティーは、様々な可能性を考慮した上で応援依頼を出すよう、あの薄らハゲ村長に進言したようである。
そしてイグニールは助っ人として、ガレーとノードが個人的にお金を出し合って雇い入れるという形で、この騒動に付き合ってもらっているそうだ。
「私は別にお金なんていらなかったんだけど……」
「ダメだ。代価をしっかり払ってこその冒険者。それに助力してもらえる気持ちに、こちらも気持ちとして報酬を渡すのが、これからも良き関係を続けていく上で重要なことなんだ」
「あんた、変わったわねぇ……」
本当だ。まさかガレーの口から、そんな言葉が出るなんて思いもしなかった。
「今言ったことは、昇格依頼でお前達が俺に身を以てわからせてくれたことだろう? ノードのサポートもあって、ギルドの評価も徐々に上がって来ているんだ」
それは何よりである。
で、話を戻すと、ガレーとノードは異常な数のゴブリンの規模をより正確に把握するべく、イグニールとともにこの森へ入った。
そして昨日の夕方頃、ゴブリンの集落を発見したのだが、運が悪いことに引き返そうとしたところで挟まれ、捕まってしまったらしい。
「にしても、イグニールが捕まるって珍しいな」
「何言ってんのよ。私なんてあんたに比べたらまだまだよ」
彼女は謙遜するが、ゴブリン程度に後れを取るような冒険者ではないのだ。
「ゴブリンの中にかなり頭が回る奴がいて、人質を取られて何もできなかったのよ」
「それでどうすることもできないまま、後ろから殴られて気絶させられてしまいました」
イグニールの言葉に頷きながらノードが言う。
「人質?」
「彼女です」
ノードの視線の先には、この洞窟に拘束されていたもう一人の震える女性。
「ガレー達のパーティーメンバーじゃなかったの?」
「違います。彼女はどうやら、たまたま別の道を使って移動していた別の国の人らしいです」
ガレー達よりも先に捕まっていたらしい。
「ちなみに、彼女の護衛としてついていた冒険者は、先にゴブリン達の夕食になった。次は俺達の番だな、と覚悟を決めていたら、ゴブリン達がいきなり外に駆け出して行って、トウジが来てくれたって訳だ。命の恩人だな」
なるほど、とんでもなくギリギリなタイミングだったようだ。
「とにかく、この洞窟から出よう。もうゴブリンは一掃したから安全だよ」
「……一掃?」
不意に、ずっと震えていた他国の女性が口を開く。
「……外には、ゴブリンの死体がたくさんあるんですか……?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど」
全部インベントリにしまったから、ゴブリンの血痕が所々残されている以外は綺麗だ。
しかし、それを伝える前に、女性は急に頭を抱えて錯乱する。
「い、嫌だ! そ、外に出たくない! 嫌だ!」
「お、落ち着いてください。ゴブリンやゴブリンキングは倒したから大丈夫です」
「ゴブリンキングじゃない!」
大きく取り乱しながら、女性は叫ぶ。
「ここのゴブリンを率いているのは、もっと恐ろしい、恐ろしい魔物です!」
「ええ……?」
「殺すだけでは、ダメなんです! 倒しても倒しても起き上がっ──ぁ」
「あっ、ちょっと!」
激しく頭を掻き毟りながら、女性は言葉の途中で白目を剥いて昏倒してしまった。
ひどいな……相当恐ろしいものを見せられたのだろうか……。
それにしても、ゴブリンを率いているのがゴブリンキングじゃないって、どういうことだ。
ゴブリンキング以外にも、何かとんでもない魔物がいるのかもしれない。
「ゴレオ、彼女を抱えてくれ」
「……」
コクリと頷いたゴレオは、俺の言葉に従って優しく女性を抱きかかえる。
重要なところを話す前に、女性は錯乱して気を失ってしまったし、とにかく警戒しながら落ち着ける場所を探した方が良いと思った。
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