装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

593 カルマ様が見てる

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「いや、変な宗教はNGでお願いします。俺、興味ないんで」

 カルマカルマ煩いなあ……。
 因果応報というものをまざまざと見ており、信じているのは確か。
 だがしかし、目の前でそれを言われると、胡散臭くて敵わない。
 特大ブーメランの様な気もするが、他人に言われると違うのだ。

「いえいえ私にはビンビン感じます、あなたのカルマ」

 ビンビンビンと小躍りしだして目立つ骨。
 魔族もいるクロイツだから、特に気にされてもなかった。
 さすがに骨の魔族なんているのか? やばくね?

「……仮にあったとしてもさ、どんなカルマだよ」

「あっ、そこまで深くはわかりませんぞ」

 クソ死ね。

「カルマは人それぞれに付き纏う物ですから、ねっ!」

「まあ、それはなんとなくわかるけど」

「なんともっ! 白骨カルマ禊会宣教師の資格ありじゃないですか~!」

「だから、宗教には加入せんぞ。とにかく本題に入ってもらえるかな?」

 睨むと、骨は露骨に表情を変えていた。
 おどけた雰囲気から一変する。

 骨なのに表情が変わる、とはどういうことだ。
 って、思うじゃん?
 眼孔とか口元が生きてる人みたいに歪むんだ。
 形状記憶カルシウムとかかな……?

「そういえば、魔物の骨を素材にして作る武器とか装備あったよなー」

「な、なんとも業が深い考えっ!」

「冗談です」

「うーん、私には本気に見えますが……まあ良いでしょう」

 出で立ちを直した骨は、言葉を続ける。

「今まで見てきた中でも、あなたは随一のカルマをお持ち」

「へー」

「信じるか信じないかはあなた次第ですが、本当にヤバい」

「ふーん、そうやって入信させようとしても無駄だぞ」

 そして、今すぐ入信申込書と俺の親指に朱肉をつけるのをやめろ。
 こいつ、とんでもねぇ骨だな。

「言っちゃなんですが、世の理を外れている気がしますね?」

「世の理を、か」

「ええ……そしてさらにとんでもない死相も見えてまいりました」

「とんでもない死相?」

 死んでる骨に言われると物騒だな、と思っていると。
 俺の隣でジッと骨を観察していたベルダが言う。

「……ビスマルコ……どこかで聞いた覚えが……も、もしや──」

「んほ~、私の名声も、白骨カルマ禊会もついにここまで浸透しているのですね~!」

「死神の末裔だと恐れられていた、ビスマルコ! 死相のビスマルコですか!」

「あれぇ……? 白骨カルマ禊会はご存じなく……?」

「あっ、申し訳ありません。白骨カルマ禊会はまったく存じ上げませんでした」

「あっはい~」

 死神の末裔、死相のビスマルコ。
 なんとも、物騒な呼び名だろうか。

「トウジ様、下がってください!」

 ベルダが俺の前に出る。

「この者と一緒にいると、常に死が付き纏うそうです」

「物騒だなあ」

「禊に禊いで白骨というのは真っ赤な嘘! 死に過ぎて白骨化したと聞いています!」

「いや、それもどうかと思うけど……」

 禊ぎ過ぎても、死に過ぎても、全部嘘だろ。
 単純にこいつが骸骨の姿をしてるから、そんな異名がついたのでは?
 そもそも俺に死相とか、関係ない。
 だって、不慮の事故で死ぬことなんて、まずありえないからだ。

 HPを一気に失って、死んでしまう様な攻撃は全部防ぐ。
 そもそもVIT1万越え、HP2万越え。
 この状態で死ぬことって、勇者と戦うとか、邪竜と戦うとか。
 もっとヤバい奴らと戦うことを意味するんだけど……マジ?

「クロイツ城下にいることすら、烏滸がましい」

「おこ、ガマ……怒ったカエルさんですか?」

「さっさと立ち去りなさい!」

「私の骨冗談も通じないとは……ちょっとお待ちくださいな!」

 骨は慌てながら言う。

「私は何もやってない! そしてその良くないイメージを払拭するために、白骨カルマ禊会を作ったのですぞ!」

「……もっと胡散臭いイメージ広がると思うけど」

「ガビーン!」

「うん、自慢の鎖骨にヒビも入ってるし、そろそろ帰ったら? 俺、死なないから大丈夫だよ」

 死相がリアルガチならば、なおさら他の奴らがここに来なくてよかった。
 一人ならばどうにでもなる、だが大切な人達をすべて守ってやれるかはわからん。
 ポチやゴレオを残している理由は、そこだ。
 キングさんやロイ様、ワルプやビリーの陰には埋もれるけども。
 彼らだって実質レベル160の装備を身につけていて、クソ強いんだからな!

「じゃ、白骨おもしろ会の布教頑張って」

 街中よりもクロイツ城にいた方がダル絡みもなくてマシだろう。
 そう思って踵を返すと、骨に腕を掴まれた。

「だから待ってください、本当にヤバいんですってば」

「くどい。俺よりもカルマヤバい奴らなんていっぱいいるから大丈夫」

 例えば……。

「ちょっとユウト~! 待って~!」

「あはは、カナ、俺の腕にしがみついてないと街も歩けないのか?」

「む~! そう言う訳じゃないけど、そうだもん!」

 うん、ちょっと遠くでキャッキャウフフする四人のクソとか。
 あいつらの方が、世の中のカルマ背負いっぱなしじゃないか?
 だって、勇者だし、希望もあれど、やっかみも多いだろう。

「ほら、あいつらの方がカルマヤバいから、そっち行けってば」

 それとなく物騒な骨を勇者にけしかけてみようとすると。
 骨は言った。

「あっ、あの人たちはノーカルマですね」

「……えっ」

「そもそも勇者はそう言うのお咎めなしですし?」

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