装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

592 骨とカルマと禊

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「あなた、カルマすごいですね~、思わず声をかけてしまいました」

 骨がカラカラと笑う。

「は? カルマ?」

「ええ、私にはその人の背負った業が見えるんです。骨だけに」

 何もかかってない。
 なんだこいつ。

「……」

 黙っているとこいつは続ける。

「あなた、ちゃんと禊いでますか? 人生禊ぐことは重要ですぞ~!」

「えっと……」

「私なんか禊に禊いで約500年。とうとう骨になってしまいました!」

「あっはい」

 どう言う理屈で動いているのか知らないが、魔族か?
 それとも魔物か?
 どっちにしろ、なんかすごくウザいから関わらないおこう。

「じゃ、これからも引き続き禊いでくださいね」

 骨の髄までな、なんつって。

「もちろんですとも~、骨の髄まで禊続ける所存ですぞ~!」

「……」

 くそ、こいつと同じレベルのギャグセンスだったことが悔やまれる。

「プククク、骨だけにって、クククク……ッ」

 何故かベルダが時間差で笑っていた。
 どこに笑う要素あったんだ、マジで。
 俺が間違ってるのか?
 おい、誰か教えてくれ、俺のセンスが違うのか!?

「申し遅れました、私は」

「聞いてないです」

「私はベンティア・ド・ショットヘーゼル・エキストラモカソースチップ・フランペチーノン──」

 こいつ、聞いてねえ!

「……べ、べんてぃあどしょっとへーぜる……?」

 長すぎる、覚えきれないよ。

「冗談ですよ~、そんな長い名前を人につける訳ないじゃないですかですぞ~?」

「ウザ死ね」

 やべっ、口から自然と漏れ出てしまった。
 三十路が直接的な言葉を言うのは憚られるというのに。
 しまった、しまった。だけど死ね。

「もう死んでますぞ~? 骨だけに!」

「……チッ」

 もう無視だ無視。
 こいつと関わってると時間の無駄だしイライラする。
 ただでさえストレス溜まってて仕方ないってのに。
 このままいくとマジで禿げる。

「あんまりイライラすると禿げますぞ~?」

「殺すぞ」

「もう死んで──ぶっ!?」

 思わずぶん殴っていた。

「トウジ様!?」

「クソ死ね」

 攻撃力1000越えの一撃を喰らえ、クソ骨。
 三十路に禿げは禁句だろーが。

「粉々にしてやる、クイック」

「ちょま──」

 ガコガコガコガコ!
 骨密度どうなってんだ、脆いぞ?

「私の自慢の鎖骨が~!」

「粉末にして、畑に撒いてやる。よかったな、それで禊完了じゃないか」

 お前の終わった命の残りカスみたいなもんは、全部大地に還元される。
 俺の死滅した毛根たちも、全て大地に還元されているのだ。(?)
 もっとも、まだ残っている奴らを大事に大事に育てあげるんだけどな。
 禿げたくない、禿げたくない。

「トウジ様! お待ちください! あまり公衆の面前でその様なことは!」

「禿げって言った奴が悪い!」

「禿げてません。断じて禿げてませんから、ふさふさですから!」

 ……それもそれでムカつく。
 最近白髪が妙に気になりだしたと言うか。
 気にすればするほど白髪が気になると言うか。

 あれ、俺……。
 なんでこんなに白髪を気にしてるんだ?
 この骨男が白いからだな。
 今後は白もNGで。

「と、とにかくトウジ様! おやめください!」

「……わかりました」

 ベルダに後ろから羽交い締めされたので殴るのを止める。
 こんなことでいちいち怒り散らしてたらきりがないな……。
 俺としたことが、いったいどうしてしまったんだろう……。

「し、死ぬかと思いました。もう死んでますけど」

「……」

「じょ、冗談ですぞ~! まったくもう、おいたな骨を許してくださいましっ!」

 クイック粉砕でそこそこ粉々にしたはずなのに、骨はいつの間にか復活していた。
 なかなかにしぶといが、いったいどうやったのだろう。
 骨で、もう死んでるから、攻撃は意味ないということなのか?
 しかしアンデッドもバラバラにされたら動きが止まるからなあ……。

「浄水かけるか」

「そ、それだけはやめてくださいですぞ~! 骨身にしみて苦しいのですぞ!」

「どういうことだよ……で、もう気は済んだからどっか行ってください」

「なんと、ヤるだけヤっといてあとはポイとは、隅に置けませんな~」

「……話が先に進まないのはあまり好ましくない」

 俺の周りには物分かりが良い奴だけ集まって欲しい。
 イグニールとかマイヤーとかその辺よく汲み取ってくれる。
 最高の仲間たちだ。

「じょ、冗談ですぞ~。私はあなたのカルマが気になって話しかけただけですぞ~!」

「だから、さっきからカルマとか禊とか、何なんだお前は」

「はい! 私は白骨カルマ禊会教祖のビスマルコと申します!」

「白骨カルマ禊会教祖……?」

 胡散臭すぎだろ。
 いかにも邪神教の新派って感じの雰囲気がする。
 この世界にそんな宗教あるか知らんけどな。

「以後、骨とお呼びください」

 骨でいいのか……。
 どこまでのそのノリについていけなかった。

「で、その骨が何ですか。もう用がないなら俺はこれで」

「お待ちを!」

 踵を返すと、骨は俺の前にササッと来て通せんぼ。
 そして、何もない眼孔、骨の裏側を見せ付けながら言う。

「あなたのカルマ、そろそろヤバいので私が救いの手を差し伸べますぞ~!」

 カルマがやばい?
 何言っとんだ、マジで。




=====
やっと骨出せた。
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