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本編
617 つ、強い。
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「あっ、アドラー様、竜の実持ってますよ」
「は?」
ポッと告げた一言に、固まるアドラー。
インベントリから鱗みたいなのが生えたゴツい果実を右手に取り出す。
「これの果汁で助かる手立てはあるんですね?」
「どこでそれを……ああ、そういえば深淵樹海に行ってましたね。その時に手に入れたんですか?」
「はい」
「と、言うことは……深淵樹海のダンジョンコアとも接触があるということになりますが……?」
アドラーの雰囲気が変わる。
今まで焦っていたのに、どことなく俺を見る目が違っていた。
「とにかく今はこの竜の実を使って勇者たちの衰弱を何とかしましょう」
「そうですね」
下手に話すと根掘り葉掘りと聞かれかねないので、勇者の話に戻す。
「これを使う上で、いくつか条件があります」
「交渉ですか? 僕を相手に」
「ええ、その通りですよ」
「そうですね。貴重な実ですし、言い値でお支払いいたします」
言い値って言葉はずるいよな、と思った。
素直に竜樹の末端価格より高い値段で提示すれば良いのに。
基本的に相手の良心に則った部分だから、結果的には安くなる。
全財産払ってもらうとか、まず言うやつなんていないと思うんだ。
「お金は結構です。俺とその周りの安全の保証をしてもらえたらそれで」
まっ、意趣返しではないが言い値の案は断っておく。
お金なんて余らすほどあるからしばらく困らない。
ここはやはり、恩を売る、もしくは安全の保証だ。
それが何よりも大事なのである。
「具体的には?」
前の俺は、国を相手にした場合どうすることもできなかった。
しかし、勇者を人質としたこの状況ならば、それが通用する。
「基本的には、今後俺と周りに関わらないでいただきたいと言うところです」
「む……」
「ダンジョン踏破の野望とかあって、受け入れられないとは思いますけど」
「それを僕が断る可能性があると理解していて、それを交渉に出すんですか?」
「ええ、正直言って命がいくつあっても足りないのが八大迷宮ですよ」
彼らは、勇者とか魔王なんて気にも留めないほどの奴らだ。
地上でどんだけ人と魔族が争ってても、我関せずの立場。
つまり、俺たちはその程度って扱いなわけ。
手出ししたらしたで、なんか面倒ごとが巻き起こる予感がするし。
そこに着手しようという輩は、なんとしてでも諦めさせたい。
「……見事な手札ですが、爪が甘いですねトウジさん」
アドラーは続ける。
「それは勇者と自分を天秤にかけろ、と言っている様なもんですよ?」
「えっと……?」
「その言い方ですと、勇者を人質としている風ですが、むしろ僕の人質の様になっています」
「ん……?」
訳がわかりません、詳しく教えてください。
俺が交渉の上手に立ってるんじゃないのか。
「人の価値で言うなれば、たかが魔国の軍師に敗北を喫するほどの勇者は必要ありません」
「むむむ」
「僕は真の目的をトウジさんに伝えたはずなんですが、その価値をご理解されてはいなかったのですか?」
ズイズイズイと詰め寄ってくるアドラー。
あれぇ……?
俺が圧力かけてたはずなのに、いつの間にか飲み込まれている。
なんだこのガキ、強過ぎるだろ。
「そもそも安全は保証されてるんですよ、貴方の、そして周りも」
アドラーは後ろにいるメンツに目を向ける。
イグニール、ジュノー、ポチ、ロイ様。
ちなみにオスローたちはワシタカくん連れて飛行実験中だ。
「あれ、なんか人質っぽいこと言ってませんでしたっけ」
「言いましたけど、別に手出しするつもりはありませんし」
「うぐ」
俺が勝手に勘違いしてたってことか、こんちくしょう。
「勇者と貴方を天秤にかけた場合、僕は貴方を取りますよ」
「……」
「貴重なダンジョンコアとの繋がり、八大迷宮が勇者よりも厄介ならば、余計に手放しません」
宣言されてしまった。
強い。
「そう構えないでください。別にとって食おうとは思ってませんから」
「本当ですか?」
今にもオーラというか、雰囲気に食われそうなんですけど。
「戦いになればどちらかが傷つき、大きな溝ができてしまう。それは避けたいのですよ」
「だったら自由に……」
「自由にするのは構いません。ですが、やることはやっていただきたいと思っています」
「いや、ダンジョンコアとの交渉っていうのが、一番難易度高いんですけど……?」
「僕は、貴方ならできると信じています」
ズイっと再び詰め寄ってくるアドラー。
「確信に変わりました。深淵樹海要所、もしくは深部に存在する竜樹の果実を持つ貴方」
ズイズイ。
「大丈夫です。できます。魔王の力も得た勇者を倒すほどの力を持つ軍師から逃げる状況証拠もあります」
「うっ」
ズイズイズイズイズイズイ、と詰め寄ってくるあまり。
いつの間にか謁見の間の絨毯の上をぐるっと回っていた。
「いやでも俺別にそんな役目を持って召喚された訳じゃないですし」
「弱者の振りは通用しませんよ。使命がないなら使命を作れば良いのです」
「ぐっ」
なんだよこの人、超怖いよ、ブラック企業の社長かよ。
「待ちます。僕は治療院の上級治療師を全力で呼ぶという選択肢は取ります」
「手立ては尽くしますが、最悪の場合はってことですか?」
「致し方ありません。ですが、勇者も魔王もいない方が世界は平和ですよ」
……確かに、その通りではある。
くそ、しかし見殺しには流石にできなかった。
まだ高校生だぞ、異世界で命を散らすのは……忍びない。
やはり元の世界に送り返す、それが一番早いのだ。
「ちなみに、元の世界に送り返す方法って知ってます? なんか勇者が言ってましたけど?」
なんか勇者がいつだかこれが終わったら帰れるとか言ってたのを思いだした。
「さあ……? でも、太古より生きるダンジョンコアなら知ってるかもしれませんね?」
「え……」
「どうでしょう? 言い値が嫌であれば、5億ケテルと安全保障、そしてクロイツ内での自由を認めます。色々と代わりにやっていただくこともあると思いますが、絶対に悪い様にはさせませんので」
ど、どうしよう。
ワンブレスではなく、きっちり受け答えられて手段を潰された。
口喧嘩の高等テクニック持ちとは、さすが王族である。
いや、そもそも俺の交渉が下手くその域を通り越していたのか。
うわわわわ、やべーよ。
どうするよ。
どうしたら良いんだよ。
逃げたいけども、いずれにせよまた呼び出される可能性もある。
魔法陣の破壊なんてしたら、逆に他の諸国からうまい具合に指名手配だ。
デプリみたいに放逐した訳ではなく、隠しておく必要がないから。
心臓ばくばくしながら必死に言葉を探していると。
「さっきからダンジョンコアとの交渉交渉って、どういうことだし?」
俺のフードからジュノーが口を出してきた。
優しく俺の耳を撫でているところから察するに、落ち着かせてくれているのだろう。
珍しく、ジュノーが空気を読んでいる瞬間だった。
「貴方は、トウジさんの飼いならすダンジョンコアですか」
「飼いならすとは失礼だし! 大親友のマブたちなんだし!」
「ほうほう、ならば尚更交渉役が適任だと、僕は思いますね」
くっ、余計なこと言うなよジュノー!
「トウジ、そこの人ってダンジョンコアと仲良くなりたいの?」
「い、いや……」
どっちかと言えば、我が物顔でダンジョンを利用したいタイプ?
言ったら失礼に当たりそうだから言わないけど。
「あのね? 聞いてそこの人」
「アドラーと申します。ダンジョンコアさん」
「ならアドっち」
アドっち呼びダメー!
こらジュノーの馬鹿ー!
「なんで八大迷宮とか大きいのから交渉しようとするし?」
「まあ、そうですね、夢はでっかくが良いじゃないですか」
「ダメダメ。あたしたちは人の欲求に敏感だから、すぐにばれちゃうし」
「ほう、ダンジョンコアに関して、また一つ面白い見解ですね」
一応、ダンジョンコアからの生の意見です。
「単純に考えてトウジみたいに、小さいダンジョンから育てていけば良いし?」
「……ほう」
アドラーの目の色が変わった。
盲点だったか?
そもそもこいつはダンジョンの資源をそのままいただきたいのが目的。
小さいダンジョンを育てるとか、考えていなかったんだろうな。
この世界ではダンジョンを育てるって言葉は、一種のパワーワードである。
=====
一国の主人を前にして、トウジが口で勝てるわけないのである。
そして立場をものともしない厚顔無恥はある種の強さ。
「は?」
ポッと告げた一言に、固まるアドラー。
インベントリから鱗みたいなのが生えたゴツい果実を右手に取り出す。
「これの果汁で助かる手立てはあるんですね?」
「どこでそれを……ああ、そういえば深淵樹海に行ってましたね。その時に手に入れたんですか?」
「はい」
「と、言うことは……深淵樹海のダンジョンコアとも接触があるということになりますが……?」
アドラーの雰囲気が変わる。
今まで焦っていたのに、どことなく俺を見る目が違っていた。
「とにかく今はこの竜の実を使って勇者たちの衰弱を何とかしましょう」
「そうですね」
下手に話すと根掘り葉掘りと聞かれかねないので、勇者の話に戻す。
「これを使う上で、いくつか条件があります」
「交渉ですか? 僕を相手に」
「ええ、その通りですよ」
「そうですね。貴重な実ですし、言い値でお支払いいたします」
言い値って言葉はずるいよな、と思った。
素直に竜樹の末端価格より高い値段で提示すれば良いのに。
基本的に相手の良心に則った部分だから、結果的には安くなる。
全財産払ってもらうとか、まず言うやつなんていないと思うんだ。
「お金は結構です。俺とその周りの安全の保証をしてもらえたらそれで」
まっ、意趣返しではないが言い値の案は断っておく。
お金なんて余らすほどあるからしばらく困らない。
ここはやはり、恩を売る、もしくは安全の保証だ。
それが何よりも大事なのである。
「具体的には?」
前の俺は、国を相手にした場合どうすることもできなかった。
しかし、勇者を人質としたこの状況ならば、それが通用する。
「基本的には、今後俺と周りに関わらないでいただきたいと言うところです」
「む……」
「ダンジョン踏破の野望とかあって、受け入れられないとは思いますけど」
「それを僕が断る可能性があると理解していて、それを交渉に出すんですか?」
「ええ、正直言って命がいくつあっても足りないのが八大迷宮ですよ」
彼らは、勇者とか魔王なんて気にも留めないほどの奴らだ。
地上でどんだけ人と魔族が争ってても、我関せずの立場。
つまり、俺たちはその程度って扱いなわけ。
手出ししたらしたで、なんか面倒ごとが巻き起こる予感がするし。
そこに着手しようという輩は、なんとしてでも諦めさせたい。
「……見事な手札ですが、爪が甘いですねトウジさん」
アドラーは続ける。
「それは勇者と自分を天秤にかけろ、と言っている様なもんですよ?」
「えっと……?」
「その言い方ですと、勇者を人質としている風ですが、むしろ僕の人質の様になっています」
「ん……?」
訳がわかりません、詳しく教えてください。
俺が交渉の上手に立ってるんじゃないのか。
「人の価値で言うなれば、たかが魔国の軍師に敗北を喫するほどの勇者は必要ありません」
「むむむ」
「僕は真の目的をトウジさんに伝えたはずなんですが、その価値をご理解されてはいなかったのですか?」
ズイズイズイと詰め寄ってくるアドラー。
あれぇ……?
俺が圧力かけてたはずなのに、いつの間にか飲み込まれている。
なんだこのガキ、強過ぎるだろ。
「そもそも安全は保証されてるんですよ、貴方の、そして周りも」
アドラーは後ろにいるメンツに目を向ける。
イグニール、ジュノー、ポチ、ロイ様。
ちなみにオスローたちはワシタカくん連れて飛行実験中だ。
「あれ、なんか人質っぽいこと言ってませんでしたっけ」
「言いましたけど、別に手出しするつもりはありませんし」
「うぐ」
俺が勝手に勘違いしてたってことか、こんちくしょう。
「勇者と貴方を天秤にかけた場合、僕は貴方を取りますよ」
「……」
「貴重なダンジョンコアとの繋がり、八大迷宮が勇者よりも厄介ならば、余計に手放しません」
宣言されてしまった。
強い。
「そう構えないでください。別にとって食おうとは思ってませんから」
「本当ですか?」
今にもオーラというか、雰囲気に食われそうなんですけど。
「戦いになればどちらかが傷つき、大きな溝ができてしまう。それは避けたいのですよ」
「だったら自由に……」
「自由にするのは構いません。ですが、やることはやっていただきたいと思っています」
「いや、ダンジョンコアとの交渉っていうのが、一番難易度高いんですけど……?」
「僕は、貴方ならできると信じています」
ズイっと再び詰め寄ってくるアドラー。
「確信に変わりました。深淵樹海要所、もしくは深部に存在する竜樹の果実を持つ貴方」
ズイズイ。
「大丈夫です。できます。魔王の力も得た勇者を倒すほどの力を持つ軍師から逃げる状況証拠もあります」
「うっ」
ズイズイズイズイズイズイ、と詰め寄ってくるあまり。
いつの間にか謁見の間の絨毯の上をぐるっと回っていた。
「いやでも俺別にそんな役目を持って召喚された訳じゃないですし」
「弱者の振りは通用しませんよ。使命がないなら使命を作れば良いのです」
「ぐっ」
なんだよこの人、超怖いよ、ブラック企業の社長かよ。
「待ちます。僕は治療院の上級治療師を全力で呼ぶという選択肢は取ります」
「手立ては尽くしますが、最悪の場合はってことですか?」
「致し方ありません。ですが、勇者も魔王もいない方が世界は平和ですよ」
……確かに、その通りではある。
くそ、しかし見殺しには流石にできなかった。
まだ高校生だぞ、異世界で命を散らすのは……忍びない。
やはり元の世界に送り返す、それが一番早いのだ。
「ちなみに、元の世界に送り返す方法って知ってます? なんか勇者が言ってましたけど?」
なんか勇者がいつだかこれが終わったら帰れるとか言ってたのを思いだした。
「さあ……? でも、太古より生きるダンジョンコアなら知ってるかもしれませんね?」
「え……」
「どうでしょう? 言い値が嫌であれば、5億ケテルと安全保障、そしてクロイツ内での自由を認めます。色々と代わりにやっていただくこともあると思いますが、絶対に悪い様にはさせませんので」
ど、どうしよう。
ワンブレスではなく、きっちり受け答えられて手段を潰された。
口喧嘩の高等テクニック持ちとは、さすが王族である。
いや、そもそも俺の交渉が下手くその域を通り越していたのか。
うわわわわ、やべーよ。
どうするよ。
どうしたら良いんだよ。
逃げたいけども、いずれにせよまた呼び出される可能性もある。
魔法陣の破壊なんてしたら、逆に他の諸国からうまい具合に指名手配だ。
デプリみたいに放逐した訳ではなく、隠しておく必要がないから。
心臓ばくばくしながら必死に言葉を探していると。
「さっきからダンジョンコアとの交渉交渉って、どういうことだし?」
俺のフードからジュノーが口を出してきた。
優しく俺の耳を撫でているところから察するに、落ち着かせてくれているのだろう。
珍しく、ジュノーが空気を読んでいる瞬間だった。
「貴方は、トウジさんの飼いならすダンジョンコアですか」
「飼いならすとは失礼だし! 大親友のマブたちなんだし!」
「ほうほう、ならば尚更交渉役が適任だと、僕は思いますね」
くっ、余計なこと言うなよジュノー!
「トウジ、そこの人ってダンジョンコアと仲良くなりたいの?」
「い、いや……」
どっちかと言えば、我が物顔でダンジョンを利用したいタイプ?
言ったら失礼に当たりそうだから言わないけど。
「あのね? 聞いてそこの人」
「アドラーと申します。ダンジョンコアさん」
「ならアドっち」
アドっち呼びダメー!
こらジュノーの馬鹿ー!
「なんで八大迷宮とか大きいのから交渉しようとするし?」
「まあ、そうですね、夢はでっかくが良いじゃないですか」
「ダメダメ。あたしたちは人の欲求に敏感だから、すぐにばれちゃうし」
「ほう、ダンジョンコアに関して、また一つ面白い見解ですね」
一応、ダンジョンコアからの生の意見です。
「単純に考えてトウジみたいに、小さいダンジョンから育てていけば良いし?」
「……ほう」
アドラーの目の色が変わった。
盲点だったか?
そもそもこいつはダンジョンの資源をそのままいただきたいのが目的。
小さいダンジョンを育てるとか、考えていなかったんだろうな。
この世界ではダンジョンを育てるって言葉は、一種のパワーワードである。
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一国の主人を前にして、トウジが口で勝てるわけないのである。
そして立場をものともしない厚顔無恥はある種の強さ。
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