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本編
663 はちゃめちゃ遊戯、ダンジョンすごろく・7
しおりを挟む「罰ゲーム! ポチとピー! 内容は、激苦ドリンク~」
「アォン……」
「ぷぴぃ……」
何巡か回って、ポチとピーちゃんが罰ゲームマスに止まる。
二人揃って出てきた激苦ドリンクの一気飲みだった。
んく、んく、んく。
顔をしかめて頑張って飲む姿は、激しく可愛い。
ポチ達には罰ゲームだが、俺にはご褒美か?
「相変わらず可愛いですぞぉ」
「でもちょっと可哀想よね、あんなに幼気なのに」
どっちかと言えば、可哀想な部類に入るのは全身タイツのイグニールである。
すでに慣れてしまったのは彼女は平気そうな顔をしていた。
「なによ」
彼女を見ていると、目が合う。
「いや、なんでもないけど……うん、見てるだけ」
「恥ずかしいからあんまり見ないでよね」
「そんなこと言ったって下着姿は平気じゃん……」
「……それは、トウジが……なんでもない」
「え? なんて?」
「なんでもない! 次私の番だから、絶対負けないわよ!」
イグニールはプリプリと怒りながらサイコロを振ってさっさと先に進んでしまった。
「罪な男ですぞ~」
そんな様子を見ていた骨が、そう言う。
「なにがだよ。大方、パーティーだから気にするなって感じなんだろ」
「いや、普通のパーティーでも男女が肌を見せ合うことはしませんって」
「……」
そうなの?
でも普通のパーティーじゃないからなあ、うちは。
「つーか、過労が祟って風邪引いて、汗を拭いてもらう時、パーティーだからって全部脱がされて見られたぞ、俺」
「おおう、そんなことがあったんですか……」
「骨の理論でいくと、イグニールが下着を見て欲しい、俺の息子を見たいという意味になるけど……」
「そうなんじゃないですか?」
さすがにそれは変態過ぎるとは思いませんかね……。
冗談っぽく言ってみたんだが、真顔で返されるとは思わなかった。
「乙女は興味ないふりしていても、実はめちゃくちゃ興味あるんですからね」
「へー」
「恥じらいの中に、むっつり本能を隠し持つのです。ちょっと私も見て良いですか?」
「見せるわけないだろ。そんで、むっつりなのはお前だけだ……」
「なにを言っていますか! 私は純潔を未だに守り通してますですぞ!」
「そ、そんな情報いらねえ……」
どうやら、日本にいた時から鉄壁と言われていたらしい。
そして、異世界に来てからは言わずもがな。
避妊具がないから、迂闊にそんなことはできんのだそうだ。
今は誰かが広めてくれているが、骨のいた時代はそう。
「そして、私は散らす前に、膜というか皮膜全てを根こそぎ散らしたんですけどね。中身も」
「おおう……あんまり生々しい話は、今はやめておこうぜ……」
「どうですかトウジ様、試しに」
「試さない。試せない。試したくない」
お断り三原則を行使して、骨の下ネタをバッサリと振り切ることに成功した。
「あとさ、そうやって自分を卑下にするもんじゃないって」
「別にそんなことはないんですが」
「お前の体をなんとかする方法も地道に探すよ」
「えっ、どう言うことですぞ?」
「心の底で帰りたい、そう思ってるなら、勇者と一緒にお前も返すって言ってんの」
そしてそのためには、元の体に戻れる方法を探さなきゃいけない。
本当に干からびてしまった結果が骨ならば、肉をつけるしかない。
変身の秘薬は、骨の体液がない限り使えないから、どうしようか。
ま、気長に探していけば良いだろう。
砂漠で全てを失って魂と骨だけ残った。
なんとなく、そこから導き出される結果は存在する。
いずれは行かないといけないな。
魂枯砂漠のグリードの元へ。
「俺にカルマカルマと言うけど、お前の方がカルマっぽいぞ」
「そんなことはないですぞ~」
「いーや、どう考えても何かの業によってそんな体になった」
この世界は運命による強い結びつきが存在する。
何かがあって、どうなった、こうなった。
物事には、しっかりとした要因ある。
どんな些細なきっかけでも、大ごとにつながることは多々だ。
今、骨が生きているという謎状況。
それを紐解いていけば、いずれは答えに結びつくだろう。
「俺のカルマなんて、もう禊きれんくらいあるんだろう?」
「ええ、まあ」
「だったらお前の分があったとしても、なんらいつもと変わらんよ」
カルマ。
信じるか信じないかで言えば、未だ漠然としたもの。
俺が一時期禊だなんだと言っていたことは、ただの自己満足。
心の平穏を保つためのものだ。
しかし、あるのならなんとかなるだろう。
カルマがあるなら禊もある。
この世界には、対比的な存在が必ずあるのだからね。
「さ、お前の番だぞ、骨」
「人生これからだ、良いことあると良いな」
「いや別にずっと不幸だったと言う訳じゃないんですけど……まあ、良いですぞ」
骨はサイコロを転がしながら言う。
「トウジ様、ありがとうございます。例え仮初めのものだとしても、今は寂しくないです」
「ま、なんとでも言え」
骨の部屋もジュノーが作ってくれてるから、彼女の中ではもう家族である。
そう、ここのメンツは一緒に暮らす家族と同じ存在。
歴が長い短い、そんなの関係ないね。
イグニールの言葉を借りるとするならば、フィーリングだ。
「骨、ご褒美マス! 初めてのご褒美ますだ!」
サイコロの目は、ご褒美マスへと彼女を誘った。
な、良いことあっただろ。
あると思えば、なんでも良いことなんだ。
「ご褒美は、マイヤーより酒一気飲み券! 浴びるように飲めい!」
「うちのやー! そら、飲みや! 好きなだけ飲んでやー!」
「……え、一気強制なんですか?」
「うん、ご褒美の内容を書いてもらったメモにはそう書いてあった。秘蔵の酒を浴びるほど一気飲みしていいよって」
「ば、罰ゲームですぞ……」
そもそも飲めるのか、という問題があるのだが……。
自分の魔力へと食物を蓄積させる手段で摂取することができる。
スッと消えていくような形だが、不思議なことに味もわかるらしい。
さて、と。
話がそれたが、俺とイグニールの関係性は、まだ進める気は無い。
それだけは断言しておく。
全てが終わってから、終わってからなんだ。
=====
ポチぬいぐるみが欲しい。
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