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本編
750 降って湧いたようなバニラ
そんな訳で。
みんなを乗せた飛空船はあっという間にギリスに到着した。
この後も色々控えているため、ただの一時帰宅である。
なんとも、厄介ごとに巻き込まれつつ、初めて一時帰宅を選択できた。
そんな気がしないでもない。
逃げではなく、戦略的撤退だという風に受け取ってもらえたら幸い。
そもそもの話だ。
こっちから絡んでる訳ではなく、絡まれたってだけで。
撤退という言葉を使うほうが間違っているとは思わないかね。
撤退ではなく、相手にせずに家に帰った。
デスゲーム染みた鬼ごっこなんて、勝手にやってろって話である。
ウィンストのいう通り、欲望のラスト自体も味方の可能性は薄い。
だったら関係ない振りしつつ、一気に全員叩こう。
作戦名、一回帰った振りしつつ、いきなり現れて殲滅だ。
鬼ごっこでいうと、鬼になった途端にやる気をなくして座り込み。
おいおいやる気出せよと近寄ってきた奴らをタッチして鬼にする。
え、卑怯だって?
卑怯もクソもあるか!
敵に対する男気なんてドブに捨ててやるぞ。
相手が一番嫌がることをしてこそバトル。
「それにしても、本当にこんな森の中に家があるのか?」
「素敵じゃないですか森の中の家って!」
「エリナから聞いていた話と少し違いますね」
ギリスの首都と港町の間に存在する森の中。
初見の人は相変わらず眉をひそめた反応をする。
森っ子であるノード以外な。
「街中でロック鳥を出すわけにもいかないしな」
森の中に入り口作るのが手っ取り早い。
地味に目立たないという点でもかなり良し。
首都は部屋バレしてる可能性があるからな。
実は、長旅の間は首都の入り口をちょくちょく変えている。
もともと生活空間はダンジョン内に作っているため。
別の部屋に借り換えて、そこにドア作っちゃえばいいのだ。
「えへへ、あたしがドア作ったんだし! 褒めるし!」
「ジュノーさんすごいです!」
「うへへへ、褒め称えるし! 最近トウジ全然褒めてくれないから!」
露骨に自分の功績を主張するジュノー。
素直に褒める純粋くんの言葉に酔いしれているようだった。
「お前は日頃の行いを考えるんだな。夜は甘いもの禁止で」
「えーー! 死んじゃう! でもトウジも約束守ってないじゃん!」
「守ってるよ!」
「バニラ」
「ぐっ。でもそれは今後守る約束だから、ノーカンだ」
「ずるい! イグニール、トウジがずるいし!」
「色々と面倒ごとが重なっちゃってるから仕方ないわよ、ジュノー」
「ふぐうう! バニラバニラバニラバニラ、バニラー!」
「ちゃんとタリアス行くから大丈夫だって。大丈夫!」
わざわざ俺のフードの中に入ってきてゴネないでほしい。
「バニラが欲しいのか? 少量だが持っているぞ」
「なんだし!? 今なんて言ったし!!」
ウィンストの急な発言に、ジュノーがボッととんでもない勢いでフードから出てきた。
射出、という言葉が合っているくらいの勢いである。
「そんなにバニラが欲しいなら、少量持っているのを渡そうと言ったのだ」
「バニラし!?」
「バ、バニラシ……? すまんが、バニラシではない、バニラだ」
「あーごめんウィンスト。今の言葉を要約するなら……」
(本当に)バニラ(持ってる)し?
ってことだ。
さらに付け加えると最後に(持ってるなら早くあたしに渡すし寄越すし!)と付く。
その証拠に、目を血走らせ、鼻息を荒くするジュノーはウィンストの頭にへばりついていた。
「スイーツモンスターですぞ~」
「本当だな……」
地味に長らく飢え続けてきたからな、バニラに対して。
もう今なら暴食と欲望の名を冠したハイブリットダンジョンコアを名乗っていい。
「タリアスから来た商団の護衛依頼についた時にな、非常に希少で厄介な魔物が出て、それをチビと片付けたら追加報酬としてバニラをもらったんだ。香りの宝石とか言われてるが、匂いなんて竜の聖水の前ではみんな同じだ」
「バニラとチビのおしっこを比べるなし! これはすっごく良いんだし! ウィンストもハマるし!」
「確かに良い匂いだけど、別にこれといってどハマりするようなものでもなかったのだが……」
「違う! アイスとかけ合わせると、この世の全ての甘味を凌駕する甘味に仕上がるものなんだし!」
「ほお、すごい評価だ。是非とも振舞って欲しいところだが」
「ポチ! 作るし!」
「帰ってきたばっかりだぞジュノー。それと他にやることあるんだって──」
「──作るし! もう散々待ったんだし! 待てない待てない待てなーい!」
「アォン……」
ポチが観念したように肩をすくめながら、作ることに同意していた。
散々食べたがっていたし、ここいらでガス抜きしておくのも良いか。
「なんだバニラって」
「何でしょう?」
「まあこの際だからみんなもポチのおかし食べてゆっくりしててくれ」
バニラ、カカオ。
甘いもの食べて、精神力回復だ。
=====
ちなみに護衛依頼自体はCランク昇格依頼です。
超強魔物に、ウィンストとチビが無双。
そのあまりの強さに、商団は一番価値のあるものを差し出した。
という裏話です。
みんなを乗せた飛空船はあっという間にギリスに到着した。
この後も色々控えているため、ただの一時帰宅である。
なんとも、厄介ごとに巻き込まれつつ、初めて一時帰宅を選択できた。
そんな気がしないでもない。
逃げではなく、戦略的撤退だという風に受け取ってもらえたら幸い。
そもそもの話だ。
こっちから絡んでる訳ではなく、絡まれたってだけで。
撤退という言葉を使うほうが間違っているとは思わないかね。
撤退ではなく、相手にせずに家に帰った。
デスゲーム染みた鬼ごっこなんて、勝手にやってろって話である。
ウィンストのいう通り、欲望のラスト自体も味方の可能性は薄い。
だったら関係ない振りしつつ、一気に全員叩こう。
作戦名、一回帰った振りしつつ、いきなり現れて殲滅だ。
鬼ごっこでいうと、鬼になった途端にやる気をなくして座り込み。
おいおいやる気出せよと近寄ってきた奴らをタッチして鬼にする。
え、卑怯だって?
卑怯もクソもあるか!
敵に対する男気なんてドブに捨ててやるぞ。
相手が一番嫌がることをしてこそバトル。
「それにしても、本当にこんな森の中に家があるのか?」
「素敵じゃないですか森の中の家って!」
「エリナから聞いていた話と少し違いますね」
ギリスの首都と港町の間に存在する森の中。
初見の人は相変わらず眉をひそめた反応をする。
森っ子であるノード以外な。
「街中でロック鳥を出すわけにもいかないしな」
森の中に入り口作るのが手っ取り早い。
地味に目立たないという点でもかなり良し。
首都は部屋バレしてる可能性があるからな。
実は、長旅の間は首都の入り口をちょくちょく変えている。
もともと生活空間はダンジョン内に作っているため。
別の部屋に借り換えて、そこにドア作っちゃえばいいのだ。
「えへへ、あたしがドア作ったんだし! 褒めるし!」
「ジュノーさんすごいです!」
「うへへへ、褒め称えるし! 最近トウジ全然褒めてくれないから!」
露骨に自分の功績を主張するジュノー。
素直に褒める純粋くんの言葉に酔いしれているようだった。
「お前は日頃の行いを考えるんだな。夜は甘いもの禁止で」
「えーー! 死んじゃう! でもトウジも約束守ってないじゃん!」
「守ってるよ!」
「バニラ」
「ぐっ。でもそれは今後守る約束だから、ノーカンだ」
「ずるい! イグニール、トウジがずるいし!」
「色々と面倒ごとが重なっちゃってるから仕方ないわよ、ジュノー」
「ふぐうう! バニラバニラバニラバニラ、バニラー!」
「ちゃんとタリアス行くから大丈夫だって。大丈夫!」
わざわざ俺のフードの中に入ってきてゴネないでほしい。
「バニラが欲しいのか? 少量だが持っているぞ」
「なんだし!? 今なんて言ったし!!」
ウィンストの急な発言に、ジュノーがボッととんでもない勢いでフードから出てきた。
射出、という言葉が合っているくらいの勢いである。
「そんなにバニラが欲しいなら、少量持っているのを渡そうと言ったのだ」
「バニラし!?」
「バ、バニラシ……? すまんが、バニラシではない、バニラだ」
「あーごめんウィンスト。今の言葉を要約するなら……」
(本当に)バニラ(持ってる)し?
ってことだ。
さらに付け加えると最後に(持ってるなら早くあたしに渡すし寄越すし!)と付く。
その証拠に、目を血走らせ、鼻息を荒くするジュノーはウィンストの頭にへばりついていた。
「スイーツモンスターですぞ~」
「本当だな……」
地味に長らく飢え続けてきたからな、バニラに対して。
もう今なら暴食と欲望の名を冠したハイブリットダンジョンコアを名乗っていい。
「タリアスから来た商団の護衛依頼についた時にな、非常に希少で厄介な魔物が出て、それをチビと片付けたら追加報酬としてバニラをもらったんだ。香りの宝石とか言われてるが、匂いなんて竜の聖水の前ではみんな同じだ」
「バニラとチビのおしっこを比べるなし! これはすっごく良いんだし! ウィンストもハマるし!」
「確かに良い匂いだけど、別にこれといってどハマりするようなものでもなかったのだが……」
「違う! アイスとかけ合わせると、この世の全ての甘味を凌駕する甘味に仕上がるものなんだし!」
「ほお、すごい評価だ。是非とも振舞って欲しいところだが」
「ポチ! 作るし!」
「帰ってきたばっかりだぞジュノー。それと他にやることあるんだって──」
「──作るし! もう散々待ったんだし! 待てない待てない待てなーい!」
「アォン……」
ポチが観念したように肩をすくめながら、作ることに同意していた。
散々食べたがっていたし、ここいらでガス抜きしておくのも良いか。
「なんだバニラって」
「何でしょう?」
「まあこの際だからみんなもポチのおかし食べてゆっくりしててくれ」
バニラ、カカオ。
甘いもの食べて、精神力回復だ。
=====
ちなみに護衛依頼自体はCランク昇格依頼です。
超強魔物に、ウィンストとチビが無双。
そのあまりの強さに、商団は一番価値のあるものを差し出した。
という裏話です。
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