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本編
799 魅惑のチョコミントバニラ・前編
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さて、そんなクソ野郎発言をなんだか怖い目で受け入れられてからしばらく。
俺たちは到着した、断崖凍土に。
「こっからいけるん? 全く違う入り口じゃないん?」
「デリカシ辺境領から船が出ている入り口があるはずだが……」
断崖凍土外装部分。
サスカッチが住んでる雪棚で首をかしげるマイヤーとオスロー。
「確かにそうだけど、俺らはこっちだな」
別に正規ルートから行くのもいいんだけど。
結局最奥まではラブの送迎がないと難しい。
どっちも同じなら、広くて誰も来ないこの位置が一番なのだ。
飛空船だって、こっちの方が船をつけやすいのである。
「しかし、これが全て断崖凍土か」
「まさに氷の大地やねんな~」
初めて訪れた氷土の上で、雪の踏み心地を確かめる二人。
「ぷぴ!」
ピーちゃんも、ゴレオやジュノーとともに雪遊びに興じていた。
こうして待っていれば、ラブが呼びに来るはずなのだが……。
「──待たせた」
ドアを出現させ、そこから出て来たのは憤怒のダンジョンコアだった。
ぬっとドアから現れたその雰囲気に、一瞬周りの空気が固まる。
ウィンストとイグニールは少しだけ警戒を強めた。
「君がアキノ・トウジか」
「そうですね」
ざっくざっくと歩いて来た憤怒は、俺の正面まで来ると頭を下げる。
「迷惑をかけた」
「いえいえ」
その態度に、一気に空気が緩和した。
この様子なら、正気に戻っていると見ていいだろう。
「目覚めはどうですか」
「落ち着いている」
ならば良いだろう。
しかし、こうして彼が来たってことは、ラブは代理権限持ちじゃなくなったのかな。
「復活で、ラブはもうただのガーディアンってことですか?」
「いや、あの子はそのまま代理でいてもらうつもりだ」
「なるほど」
ならお迎えは彼女が来ると思ったんだが、なぜわざわざこいつが来たのだろう。
まあ、なんにせよ頭を下げに来たのだったらそれで良い。
こうして落ち着いている姿を見れただけでも、俺のやったことに意味はあった。
「……一つ質問していいだろうか?」
ほっと一息ついていると、憤怒が尋ねる。
「なんですか?」
「その右手にはめた指輪の件だが……」
「ああ、ラブから聞いてないんですか?」
「聞いている。君たちがイビルテールを倒したことも」
しかし、と憤怒は続けた。
「魂のみを残し、どうするつもりなのかを知っておきたい」
できることならば、完全にこの世から葬り去りたいのだろう。
何かしらの因縁があるっぽいからな。
「どうするつもりも何も、ピンチの時に助けてもらうだけですよ」
俺はこの指輪を破棄するつもりは毛頭ない。
最終局面での切り札にとっておくのだ。
「奴が助ける? 本当にそう思っているのか?」
「意外と話せばわかりますよ」
確かに最初は尻尾でぶっ飛ばされた。
しかしながら、今は餌付けが完了している。
末っ子を抑え、末っ子を溺愛する長男もなし崩し的に抑え。
結果従わざるを得なくなった次男の存在。
うん、わりと扱いやすいよな。
「それは世界に破滅を招く可能性をはらんでいる」
「いやいや」
大丈夫ですよ、と言っておく。
「世界を壊す以外にも楽しいことっていっぱいあるんですから」
そんなものないと思ってる悪党よ。
探してないだけだ。
世界を壊してどうなる、壊した後はどうなる。
また想像されるのを待って壊すのか?
壊し尽くした世界って、作られる物とかないと思うけどな。
よく、破壊は創造だとか創造は破壊だとか。
表裏一体に考える人がいるけど、壊れたら無だぞ。
世界が破滅したら無だぞ。
破壊神とかすげぇ悪党がいるなら、いつか言ってやりたい。
自分の体を先に破壊しとけってな。
他の物を壊しても結局自分いるじゃん?
意味ないじゃんってな。
「……アキノ・トウジ、君には恩がある。だから、君に委ねよう」
「どうも」
「しかし、何かあれば私の怒りが向くと思っていてくれ」
「肝に命じて起きます。まあ、そんな心配はいらないですが」
邪竜三兄弟を呼ぶ時は限られた状況ってだけだ。
周りの余波が行かない状況。
そんな時が来ないことを、ただひたすら願う。
「パパ~! トイレに行っとる時に急にいなくならないでくれるかの~?」
「む、すまん、ラブ」
そんな話をしていると、ひょっこりドアからラブが顔を出した。
いないと思ったのは、トイレ中だったからか。
相変わらず、近いやつだな。
「ぬおー、トウジ、生きとったんか! まあ死ぬはずないとはおもっとったがの!」
一旦死んだけどな。
まあ生き返ったからよしとしましょう。
「ラブちゃーん!」
「ジュノーちゃーん!」
ラブの姿を見たジュノーがすぐさま飛び込んでいく。
その様子を、憤怒はじっと見ていた。
父性本能か?
いいね、落ち着いた証拠だ。
「やっとチョコミントバニラが食べられるし!」
「ほほう! 話には聞いていたあれじゃの!」
「我慢してたんだし!」
「ならば早速食べるとするんじゃ! トウジ、持ってこんかー!」
「いきなり図々しいな……」
ま、良いでしょう。
それが平和な証拠なんだから。
「……私の状況を確認しに来たのではないのか?」
チョコミントバニラにテンションを上げる二人を見て首をかしげる憤怒。
「それもありますけど……決めてたんですよ。終わったらみんなで飯を食うって」
俺たちは到着した、断崖凍土に。
「こっからいけるん? 全く違う入り口じゃないん?」
「デリカシ辺境領から船が出ている入り口があるはずだが……」
断崖凍土外装部分。
サスカッチが住んでる雪棚で首をかしげるマイヤーとオスロー。
「確かにそうだけど、俺らはこっちだな」
別に正規ルートから行くのもいいんだけど。
結局最奥まではラブの送迎がないと難しい。
どっちも同じなら、広くて誰も来ないこの位置が一番なのだ。
飛空船だって、こっちの方が船をつけやすいのである。
「しかし、これが全て断崖凍土か」
「まさに氷の大地やねんな~」
初めて訪れた氷土の上で、雪の踏み心地を確かめる二人。
「ぷぴ!」
ピーちゃんも、ゴレオやジュノーとともに雪遊びに興じていた。
こうして待っていれば、ラブが呼びに来るはずなのだが……。
「──待たせた」
ドアを出現させ、そこから出て来たのは憤怒のダンジョンコアだった。
ぬっとドアから現れたその雰囲気に、一瞬周りの空気が固まる。
ウィンストとイグニールは少しだけ警戒を強めた。
「君がアキノ・トウジか」
「そうですね」
ざっくざっくと歩いて来た憤怒は、俺の正面まで来ると頭を下げる。
「迷惑をかけた」
「いえいえ」
その態度に、一気に空気が緩和した。
この様子なら、正気に戻っていると見ていいだろう。
「目覚めはどうですか」
「落ち着いている」
ならば良いだろう。
しかし、こうして彼が来たってことは、ラブは代理権限持ちじゃなくなったのかな。
「復活で、ラブはもうただのガーディアンってことですか?」
「いや、あの子はそのまま代理でいてもらうつもりだ」
「なるほど」
ならお迎えは彼女が来ると思ったんだが、なぜわざわざこいつが来たのだろう。
まあ、なんにせよ頭を下げに来たのだったらそれで良い。
こうして落ち着いている姿を見れただけでも、俺のやったことに意味はあった。
「……一つ質問していいだろうか?」
ほっと一息ついていると、憤怒が尋ねる。
「なんですか?」
「その右手にはめた指輪の件だが……」
「ああ、ラブから聞いてないんですか?」
「聞いている。君たちがイビルテールを倒したことも」
しかし、と憤怒は続けた。
「魂のみを残し、どうするつもりなのかを知っておきたい」
できることならば、完全にこの世から葬り去りたいのだろう。
何かしらの因縁があるっぽいからな。
「どうするつもりも何も、ピンチの時に助けてもらうだけですよ」
俺はこの指輪を破棄するつもりは毛頭ない。
最終局面での切り札にとっておくのだ。
「奴が助ける? 本当にそう思っているのか?」
「意外と話せばわかりますよ」
確かに最初は尻尾でぶっ飛ばされた。
しかしながら、今は餌付けが完了している。
末っ子を抑え、末っ子を溺愛する長男もなし崩し的に抑え。
結果従わざるを得なくなった次男の存在。
うん、わりと扱いやすいよな。
「それは世界に破滅を招く可能性をはらんでいる」
「いやいや」
大丈夫ですよ、と言っておく。
「世界を壊す以外にも楽しいことっていっぱいあるんですから」
そんなものないと思ってる悪党よ。
探してないだけだ。
世界を壊してどうなる、壊した後はどうなる。
また想像されるのを待って壊すのか?
壊し尽くした世界って、作られる物とかないと思うけどな。
よく、破壊は創造だとか創造は破壊だとか。
表裏一体に考える人がいるけど、壊れたら無だぞ。
世界が破滅したら無だぞ。
破壊神とかすげぇ悪党がいるなら、いつか言ってやりたい。
自分の体を先に破壊しとけってな。
他の物を壊しても結局自分いるじゃん?
意味ないじゃんってな。
「……アキノ・トウジ、君には恩がある。だから、君に委ねよう」
「どうも」
「しかし、何かあれば私の怒りが向くと思っていてくれ」
「肝に命じて起きます。まあ、そんな心配はいらないですが」
邪竜三兄弟を呼ぶ時は限られた状況ってだけだ。
周りの余波が行かない状況。
そんな時が来ないことを、ただひたすら願う。
「パパ~! トイレに行っとる時に急にいなくならないでくれるかの~?」
「む、すまん、ラブ」
そんな話をしていると、ひょっこりドアからラブが顔を出した。
いないと思ったのは、トイレ中だったからか。
相変わらず、近いやつだな。
「ぬおー、トウジ、生きとったんか! まあ死ぬはずないとはおもっとったがの!」
一旦死んだけどな。
まあ生き返ったからよしとしましょう。
「ラブちゃーん!」
「ジュノーちゃーん!」
ラブの姿を見たジュノーがすぐさま飛び込んでいく。
その様子を、憤怒はじっと見ていた。
父性本能か?
いいね、落ち着いた証拠だ。
「やっとチョコミントバニラが食べられるし!」
「ほほう! 話には聞いていたあれじゃの!」
「我慢してたんだし!」
「ならば早速食べるとするんじゃ! トウジ、持ってこんかー!」
「いきなり図々しいな……」
ま、良いでしょう。
それが平和な証拠なんだから。
「……私の状況を確認しに来たのではないのか?」
チョコミントバニラにテンションを上げる二人を見て首をかしげる憤怒。
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