装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

798 わがままです

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「マイヤーの気持ちに答えることはできないけど」

「……そ、それはしゃーはないわ」

 涙を見て、俺は覚悟を決めることにした。
 気持ちを尊重するのは大事である。

「いきなり出て行くなんて、俺もそうだけど、みんな悲しむよ」

 しかし、違うだろ、と。
 俺のわがままだが、マイヤーにはいてほしい。

「みんな、もうマイヤーのことは家族だと思ってる」

「……うちも」

「都合のいい話かもしれないけど、さ」

 家族ならば、いずれはみんな巣立つ時が来るかもしれない。
 このまま永遠に、ずっと、一緒に暮らすなんてことは……。
 普通はできないし、本当に俺のわがままだ。

「マイヤーの気持ちを止めることはできないけど」

「……」

「商売ごと、ずっと二人三脚でやってきたでしょ」

「まあ……」

「最後の方は任せきりだったけどさ」

「それはええねん、うちも楽しんどったから」

「これからもそう言う部分のパートナーは、ずっとマイヤーで居てほしい」

 そう言うと、マイヤーはやや唇を噛み締めていた。
 そういうことを告げてほしいのではない。
 俺の言っていることは、最低最悪のクソ野郎だって。

「うち、側におってええのん?」

「良いよ」

 ちなみにだが、あまりこの場で出したくない理由もある。
 身の安全を保障する上で、側にいてくれた方が都合がいい。

 言うべきか、言わないべきか。
 言わなかったらなんかそれっぽい雰囲気で流した野郎だ。
 やっぱり言っておく。

「俺、敵多いからさ……いてくれないと守れない」

「……なんかよくよく考えてみれば、トウジに都合のいい話ばっかりやんけ」

「わがままだって最初に言ったでしょうに……」

 これは俺のわがままだけど、側にいてくれ!
 でも嫁さんいるから気持ちに応えられない!
 ごめんな!

 ……うわぁ、クソ野郎である。
 仕方ないけど、俺が全てのしがらみを背負いましょう。

「責任全部背負うし、とにかく側にいてほしい」

 急にだとみんなが驚くから。
 そして安全を保障できなくなるから。

「……はあ」

「んでもって、俺にはマイヤーが必要だ!」

 ポーション、装備、その他諸々。
 色々と売りに出す上で、マイヤーがいないとダメなんです。

「商売上やろ? そんなキリッと言うてもう……」

「俺一人だと、色々と失敗するよ……」

 っていうか、あっちゃこっちゃ目的変更しちゃってね。
 管理しきれなくて、何も冒険とかできなくなってしまいそう。
 こうして自由が確保されているのは、マイヤーがいるから。

「はあ……」

「お願いマイヤー出て行かないで!」

 なんだかため息をつくマイヤーに、土下座する勢いで頼む。
 最終手段だ。

 もう今さら格好いい大人とか演じていられるかよ。
 経験少ない俺には複数の女性を同時に幸せにするなんて無理だ。

 罪悪感で押しつぶされる。
 なら、わがままを言い続ける罪悪感の方がまだ耐え切れるんだ。

「出て行かへんけど、とりあえず一つ約束してもらっていい?」

「う、うん……」

 少しだけマイヤーが怖かった。

「うち以外のビジネスパートナーは金輪際作らないって誓う?」

「なんか、ちょっと言葉強くね……?」

「ええから。うちが必要なんやろ? せやったら誓えるやん?」

「お、おお……?」

 怖い。圧しが強い。

「まあ別に他と取引するつもりないからいいけど……デリカシ辺境伯とか、飛空船で結ぶ各国はどうなんのよ……?」

「うちがフロントにたって全部やる。トウジのそういう部分はうちが全部やるから生涯ビジネスパートナーにしてや」

「わ、わかった」

 生涯と聞いて、なんとも不穏な響きを覚えるが。
 ビジネスパートナーだったらいいでしょう。
 角は立たないはず。

 売上管理とかも全部基本的にマイヤーに任せていた。
 今後となんら変わることはない。
 ただ、呼び名が新しくアップグレードされた。
 そういうことなのである。

「ほな、改めてよろしくな?」

「え、あ、はい。どうもよろしくお願いします?」

 改めて笑顔で握手を交わした。
 こ、これで丸く収まったのかな?





=====
ヒロインには色々な側面があると思います。
それぞれに関わらせようと思います
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