装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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804 スライム会議

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 翌日、リビングでロイ様、フォル、キングさんをアドバイザーに配置してスライム会議。

「早速適当にスライム捕まえて来て進化させたいんですが……」

「却下だ」

 ロイ様の意見は即答だった。
 そりゃそうだ。
 嫁さんを三日間失うことになってしまうのだから。

「私は平気ですよ」

「ダメったらダメだ!」

「何故ですか?」

「王の中の王の進化の時は切羽詰まった状況故に仕方がないが、平時は許されない」

「良いじゃないですか3日くらい」

「フォルが3日も側にいないだなんて、私は耐えられない」

「ロイ……」

「あのー……?」

 気がつけば、桃色空間が出来上がっていた。
 王冠とマントを身につけ、ヒゲの生えたスライムロイヤル。
 天使の輪っかと羽を持つ真っ白なスライムフォーチュン。

 見る人が見たら神々しい雰囲気かも知れん。
 しかしながら、他人の桃色空間の渦中はなんともいえない感覚だった。

「主よ。3日だけとはいえ、何かよくないことが起これば対処が遅れる」

 キングさんが二人を放置して話に加わる。

「切り札にも近い能力をバーゲンセールのように使うべきではない」

「別に切り札では……」

 ないのだが、キングさんが切り札って思ってるならそうだ。
 俺の切り札は基本キングさんなのだから。

 あと、邪竜。
 そしてレガシーちゃん。

 この二つは知られたら絶対対策されかねないから公にはできない。
 知ったところで対策なんてできないだろうが……。
 絶対殺せる能力を敵が持っていたらどう動くだろうか。

 早急にことを進める、もしくは距離をとって絶対勝てる準備をする。
 そんなところだな。
 面倒な状況になりかねないので、ここぞという時にとっておく。

 そもそもなあ。
 ユノに助けてあげてとお願いされたから、使いどころが難しい。
 当初の予定に比べて、難易度がめちゃくちゃ上がっている。

「色々とやることがあるから、できれば同時進行で色々進めたいんですが……?」

 前の賢者に会いに行くとか、急いで装備を完成させるとか。
 レベル上げとか、飛空船事業関連とか。
 並行して空の監視網をしっかりしておきたいから、忙しい。
 ああ、忙しすぎて色々とほっぽり出したいところである。

「ロイ、キング、3日くらい大丈夫ですよ」

「ならん! そんなこと言って明日敵が来たらどうする!」

「来ませんよ」

 来ませんよ、と言われると来る気がしないでもないな。
 フラグというやつだ。

「主よ、とにかくスライムを探しに行くことから始めるべきだろう」

「そうだね」

 キングさん、話をまとめてくれてありがとう。
 今日に関してはロイ様が駄々をこねているので、フォルのくだりは後回し。
 先に仲間にできそうなスライムを探しに行こう。

「そうだ、キングさん普通のスライムって生み出せないの?」

「ふむ、分体を作ることは可能だが、図鑑に戻れば消えるぞ」

「ですよねー」

 やっぱり、野良で確保しに行くしかない。
 久々にスライム狩りと行こうじゃないの。

「主の目的は、サモンモンスターではないスライムの確保だったな?」

「そうです。できれば言うことを聞くタイプが良いんですが……」

 下位の魔物がいうことを聞くのか、少し心配だった。
 フォルに進化を頼むのは、知性を宿させるため。
 ロイ様みたいに話の通じるスライムにする必要があるのだ。
 そうすれば、問答無用で襲いかかって来ることはない。

 そもそも。
 これからスライムにやらせる内容がかなりの情報処理能力がいる。
 普通のスライムを進化させたところで、相応の能力を確保できるのか。
 そこが一番の問題点である。

「まとめれば、言語理解、情報処理能力、そしてよくいうことを聞く、そんなスライムだな?」

「です」

「主よ。はっきり言っておく」

 俺の言ったことを整理したキングさんが告げる。

「普通のスライムを進化させたところで、無理だぞ」

「……やっぱりですか?」

「そもそもサモンモンスターというのは特殊な魔物だ。主とつながっている分、他が知り得ないものを持つ」

 だから、ただのスライムを進化させたところで、キングさんたちの様な利便性は追及できない。
 一から教えて行くことは可能だが、相応の時間がかかってしまうとのことだった。

「主よ。人は経験し、知識を蓄えて行く。魔物だって同じだ」

 進化していきなり全てを知る。
 そんなことは不可能なのである。
 サモンモンスター以外。

「相変わらずサモンモンスターたちがチートだってのはよくわかったよ」

「ほら、だからダメだと言ったではないか」

「ロイ。そういう言い方はいけませんよ」

「むう、すまぬ盟主よ」

「いや、良いよ」

 嫁さんが犠牲になるのは良い気はしないだろうしな。
 俺だってイグニールがフォルの立場だったら顔を顰める。
 有事の際は受け入れてくれいる分、良しとしておこう。

「だったら普通に上位のスライムを探しに行くしかないかなあ」

「うむ、その方が良いだろう」

 キングさんも頷いてくれているので、そうしよう。
 ともすれば、向かう先はスライムの楽園。
 そこのトップは基本的に最上位のスライムだからね。

「でもなあ、スライムの楽園ってそうそう見つかるもんじゃ……」

「ねえ、さっきギルドで面白い依頼を見つけて来たんだけど」

 どうしようか、と思っているとイグニールが入って来た。

「面白い依頼?」

「スライムが美女に化けて街中をうろつく事案があるから、気をつけつつ見つけたら駆除してほしいって」

「えっ」

 イグニールの言葉に、部屋の空気が固まる。
 これまた、タイムリーな……。

「主よ。その件のスライムは、かなりレアかつ上位種である可能性が高いぞ」

「そうだね、キングさん」

 なんで美女に化けているのか知らんが、駆除される前に捕まえよう。
 なんとなくだが、悪い奴ではない可能性を感じ得た。

「え、何この空気、急にどうしたのかしら?」

「いや、よくその依頼見つけてくれた。ありがとうイグニール大好き」

「はう」







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なんという525主義
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