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本編
806 スライム探し1
しおりを挟む「はぁ、まんぞく!」
「ォン!」
ポチを膝に乗せて一緒にご飯を食べ終わった。
羊料理、良かったです。
一つだけ、腸詰された内臓料理。
癖が強かったんだけど意外と食べることができた。
やはりモツ系にはまだ慣れがある分いけるっぽい。
俺の中では内臓ミンチよりも虫類があかんのよ。
オーク肉は食べれんこともない。
が、オーガを出されたり、虫を丸のままで出されたら無理だ。
偏食?
違うね。
慣れるまでには、まだまだ時間がかかるというだけ。
美味しければ良いってもんじゃないのさ。
「トウジ、デザートおかわりしたい」
「散々食ったろうに……」
コールドランドの伝統デザート。
もう5回も注文したというのに、まだ足りないと申すか。
「まあ、とりあえずラストな」
「わーい!」
食後にちょっと落ち着く時間が欲しかったから許可する。
ワクワクしながらデザートを待つジュノーを見ながら、イグニールが俺の目を見て言った。
「この後どうするの?」
「基本的にコレクトにお任せなんだ、けど」
「けど?」
「交渉材料を考えておきたいってところかな」
人の生活に溶け込もうと努力するスライムか。
それとも、何か悪事を企てているスライムか。
二択である。
前者の方が都合が良いのだが、果たして……。
ま、どっちにしろ生け捕りは確実なのである。
その際、脅していうことを聞かせるか。
何か餌でつっていうことを聞いてもらうか、って状況になる。
「かなり重要なところに配置する予定だから、できれば建設的な話がしたい」
脅し、力でねじ伏せたとしても、それは上手く行くことは絶対にない。
恨みの連鎖がどういった物事に発展してしまうか。
それを俺はよくわかっている。
「建設的な話ねえ……」
「ギブアンドテイクって結構重要だよ」
平和的な解決策としては、大発明とも言える代物だ。
求める物を提示し、こっちの求めに応じてもらう。
争いのタネが芽生え用としても、それぞれギブし合う、テイクし合うものを話し合って解決だ。
「スライムの求めるものなんてわかるの?」
「大変なことにそれについてはまったくわからん」
だが。
「情報を調べていけば何を求めているのか、少しは見えてくるんじゃないかな?」
例えば、何故、街にいるのか。
一人で寂しいのか、強烈な恨みを持って誰かを探しているのか。
今の所、ただ街にいるっていう警戒依頼が出ているだけ。
これといって目立った情報はない。
そこから察すると、別に事件を起こそうだなんて気はない。
俺はそう思っていた。
「割と他人を蔑ろにしがちなあんたが、スライムの気持ちわかるの?」
「ぶっ」
スパッと鋭い口調で言われて、思わずコーヒーを吹いた。
「今の私の気持ち、わかる?」
「えっと、デザート美味しかったなー?」
「違う」
えっ、違うの?
美味しそうに食べてたのに!
「夫婦らしいことなんて、そこまで求めてたわけじゃないけど」
「そ、それは……」
「旅行気分の今、少しくらいかまってくれてもいいんじゃない?」
ど、どういう意味でしょうか。
確かに、同じベッドは結婚して数日のみだった。
帰って来てから、なんとなくだけど、また前と同じ生活に戻った。
でも、別にイグニールのことを嫌いになったわけじゃない。
そして、熱が冷めてしまったというわけでもない。
ただ、生き返って体のあらゆるものがリセットされた今。
俺の失われた性欲だって戻ってしまっている。
反動的な何かが押し寄せて来ているんだ。
同じベッドだなんて耐えられるはずもない。
「子供まだいないけど、子供いる家庭の気分よね? 新婚なのに」
「はい」
言い返す言葉もありません。
つまり、イグニールのいうことはそういうことなのだろうか。
そういうことなんだよな?
「私から誘わせ──」
「──待って、わけを聞いてくれ、わけを」
イグニールの言葉を遮って話す。
「何よ」
「俺の目を通してサモンモンスターたちも見てるんだよ……」
だから、なんか気まずいじゃん。
その問題を解決してからが、本番だ!
いわゆる、本番ってやつだ!
そう説明したのだが、イグニールは。
「だから何よ」
再び俺の苦し紛れの言い訳を一刀両断した。
「切っても切れない関係なんだから仕方ないじゃない」
「うーむ?」
「むしろ曝け出した方が気が安らぐわよ」
「い、いやあ……」
及び腰になりながらポチに視線を向けると。
「アォーン」
目をプニプニの肉球のついた両手で覆っていた。
あ、そこは見ない約束、みたいな感じね。
「ほら、ポチも気を使ってくれてるわよ」
「ぐっ」
詰め寄られた俺は。
「……こ、今夜どうすか」
こう言うしかなかった。
話が脱線している。
まあいい。
とりあえず今夜のことは今夜の俺に任せて、今はスライムを探そう。
=====
今日、コミカライズ版、3話更新のはず。
来月あたりには、お待たせしていた例の。
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