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本編
807 スライム探し2
さて、今晩どうすか事件から早数時間。
コレクトに案内を任せてスライム探しだ。
結局。
スライムに会ってみないことには仕方がないということになった。
それもこれも、デザート散々食い散らかしたスイーツモンスターが悪い。
「今晩なにするし? ねーねー、今晩なにするし?」
「うっせーな、なんでもいいだろ」
「教えるし! 教えるし! ずるいずるい!」
ずーっと、聞いてくる。
なにをするもなにも、そんなの決まってらあ!
今夜の俺に任せて忘れようと思ったのに。
こうして逐一思い出させてくる悪夢だった。
「ねーってば!」
「イグニール」
「ええ、さすがに生々しい話を私の口からするのはちょっと……」
「ええー……」
それこそガールズトークとやらで盛り上がってんじゃないのか。
よく言うだろ。
女子の下ネタトークはえげつないよ、って。
あと、生々しい話とか言わないで欲しい。
憂鬱になる。
いや、そりゃ俺だって別にまんざらでもないって言うか。
でも時期じゃないって言うか。
こんなを俺を見た赤の他人はヘタレとか言うんだろうな。
でもさ、だってさ、今忙しい時期だから違うじゃん。
「はあ……」
「アォン……」
俺のため息を聞いたポチが、いい加減にしろとため息をついていた。
いい加減に覚悟を決めろ、みたいな感じでため息つかれてもなあ……。
考えてもみてくれ。
一糸纒わぬ姿になった俺とイグニールがいるとするじゃん?
あらゆるステータスで俺は平均以下を叩き出してるじゃん?
どうなる?
男としての威厳というかなんというか。
「ねーってばー!」
「今度骨が話すから、とりあえず今はスライム探しに専念しろって」
しつこいジュノーを適当に黙らせると、改めて通りを歩き出す。
骨よ、すまんな。
だが骨ならきっとなんとかしてくれると、俺は信じているぞ。
「クエッ」
「こっちか」
「なんだか、いかにもって感じの怪しげな裏路地に入ってきたわね」
「確かに」
イグニールの言葉に頷く。
コレクトの案内は、通りから外れて裏路地へとさしかかっていた。
北側で一番大きい都市だけに、通りの往来は賑やかなもの。
しかし、一つ通りをそれて路地に差し掛かると、意外なほどに静かなもんだった。
「まあ、ギリスの首都だって似たようなもんだよ」
なんだかんだ平和そうに見えて、めちゃくちゃ裏稼業多いしな。
いつだかロイ様と一緒に根こそぎ壊滅させはしたが、ゴキブリみたいに湧いて出てくる。
蟻の生態みたいに、一定の割合でこういう人間は出てくるんだろうな、やっぱり。
「情報が出回ってるんだから、こうして人気の少ない場所に逃げ込むのは理にかなってるさ」
「そうね。でも、なんかトウジと裏路地って、良いイメージ持ってないから心配かな」
「ええー……」
俺、裏路地で一悶着とかギリス首都に来てすぐくらいしかないんだけど?
マジか。
色々と混ざってるんじゃない?
確かに行く先々で面倒ごととか厄介ごとに陥ってきた。
しかしながら、それはもう様式美ってやつだ。
この世界に呼び寄せられた召喚者のね。
今なら賢者の気持ちもわかる。
運命なんて糞食らえ。
でも、否定することはないぞ。
孤独だった俺にも家族ができたんだから。
「──へへ、ちょっと待ちな姉ちゃん!」
「──こんな北の国で、その薄着はさすがにまずいぜ?」
「──こっち来いよお! 暖めてやる!」
……男たちの声が裏路地に響いてきた。
フラグ回収、ありがとうございます。
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