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20 Ωの自覚2
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殿下と部屋に戻った僕は、侍女が用意してくれた紅茶と焼き菓子の香りに包まれながらソファに座っている。向かい側に座る殿下はいつもと変わらない表情をしているが、機嫌がよくないように見えた。
(威嚇とやらを知らなかった僕のせいなんだろうな)
そう思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。下手に話しかけるよりおとなしく呆れられるなり叱られるなりのほうがいいだろうと思い、おとなしく殿下の言葉を待つ。すると殿下が「αのことは、どの程度知っている?」と問いかけてきた。
「どの程度、というほどは知らないと思います」
僕が知っているのは、圧倒的に優れた才能と肉体を持っているということと“生ませる性”ということくらいだ。Ωに関しても似たり寄ったりで、香りのことや発情についてはっきり理解できたのはビジュオール王国に来てからになる。
「なるほど。最近Ωになった貴殿なら、それも仕方がないことか」
いつもと変わらない口調だが、一瞬切り捨てられたのかと思った。そう思っただけで何かがせり上がってくるような、ひどい気持ちになる。
「αには威嚇という力が備わっている。先ほど貴殿がヴィオレッティから向けられていたのが、その威嚇だ」
「威嚇……」
切り捨てられたわけじゃなさそうだとホッとしたと同時に、得体の知れない恐怖を思い出して体がブルッと震えた。
「威嚇を向けられたΩは、αからは絶対に逃れられない。それがΩというものだ。わかったら、今後不用意にαには近づかないことだ」
「僕もそう思いました。というより、実際に体験して身に染みてわかりました」
今回はノアール殿下が現れたからよかったものの、誰もいないところで同じ目に遭っていたら、間違いなく僕はどうにかされていたことだろう。
(これじゃあ、まるで姫君のようだな……)
いや、それがΩというものなのだ。たとえ男であっても僕は姫君たちと同じ立場……いや、それ以上に弱い立場なのかもしれない。
「それからもう一つ、覚えておくべきことがある」
「はい、なんでしょうか」
身を正して殿下を見つめると、黒い瞳がほんの少し揺れ動いたような気がした。それは一瞬のことで、すぐにいつもの表情に戻る。
「Ωはαに首を噛まれることで、噛んだαの所有物になる」
「噛まれる……というのは、一体……?」
「やはり知らなかったのだな」
思わず眉を寄せた僕に、殿下が腑に落ちたというような声を出した。
「どうりで首を晒したままだったわけだ。男として思うところがあってのことかと思っていたが……。いや、そもそも男であってもΩなのだから、隠すのが当然か」
殿下の独り言に、ますます眉が寄る。そんな僕に気がついた殿下が「いや、確認しなかったわたしも悪い」と口にした。
「殿下、噛む、というのはどういうことでしょうか」
「αがΩの首を噛むことで、一般で言うところの婚姻が成立するんだ」
「そうなんですか……」
知らなかった。まさかそんな獣のような婚姻の結び方があったとは……。
(いや、ヴィオレッティ殿下は所有物と言っていなかったか……?)
ノアール殿下もいま、そのようなことを口にした。いくらαとΩが特殊な存在だったとしても、婚姻を所有物になると表現するのはいかがなものだろうか。
「あの、それで、所有物というのは……」
「Ωは、自分を噛んだαとしか閨を共にできなくなる。もしほかの誰か、たとえαでない相手であっても拒絶反応を示し、ひどいときには錯乱することさえある」
「……それはまた、強烈な婚姻関係ですね……」
それ以外には言い様がない。Ωになったばかりの僕には「なんだそりゃ」と言いたくなるような関係にしか聞こえないが、たしかに“所有物”と表現できる事象かもしれないことはわかった。
「Ωにとっては、噛んだαが唯一の相手となる。だが、αは何人ものΩを噛むことが可能だ」
「……は?」
「つまり、αはΩを何人でも所有できるということだ」
「……それはまた、」
えげつない関係性だ。なるほど、ヴィオレッティ殿下が言っていたことがようやく理解できた。
(ついでに、僕をその所有物の一人にしようとしていたこともわかった)
もし噛まれていたら……想像するだけで身震いがする。まるで収集物や展示品のように扱われるなんて耐えられるわけがない。ヴィオレッティ殿下はとんでもない人物だなと思いながら、二度と近づかないようにしようと改めて固く決意した。
同時に、ビジュオール王国に来た当初、違和感を感じたことにも納得できた。
「なるほど、それで姫君たちは似たような首飾りをしているのですね」
初めて見たときは、真っ黒なだけの首飾りをお揃いで付けていることに不気味ささえ感じたが、あれは彼女たちが自分の身を守るための必需品だったのだ。
そうなるとΩなのに首を晒している僕は、αから見ればまさしく「噛んでいいですよ」と言っているようなものに違いない。それがΩにとって何を意味するのか、真実を知ったいま、ただゾッとするばかりだ。
「……知らなかったとはいえ、あまりにも無防備すぎました」
「いや、初対面のときに気づいていながら確認しなかったわたしにも責任はある。その後の様子から、貴殿なら普通のΩと違う行動を取るかもしれないと思い込んでいた」
「あー……変わったΩで、重ね重ね申し訳ありません」
「いや、いい。そういう貴殿だから……」
なぜか殿下の言葉がピタリと止まった。そのうえ視線まで逸らされてしまう。どうしたのだろうと見つめていると、小さく咳払いをした殿下が再び僕を見た。
「ところで、首飾りはどうする?」
「そうですね……やはり、付けたほうがよいのでしょうね」
「万が一、ということもあるからな。本来後宮にいる限りは安心なんだが……いや、そうとは言い切れないか」
「殿下?」
「これは醜聞になるのだが、以前、不逞の輩に後宮への侵入を許したことがある。そのとき数名の妃候補が被害に遭いかけたが、ヴィオレッティが気づいて事なきを得た」
「ヴィオレッティ殿下が……」
「あの男は、ほかのαの気配に敏いんだ。従兄弟たちの中では、わたしに次いで能力の高いαだと言われている。それなのに満足に才能を発揮しようとしない困った男だ」
「そうでしたか」
それほどの人物が、どうして僕にちょっかいを出したのだろうか。それに「困った男だ」と口にした殿下の口調には刺々しい雰囲気は一切ない。先ほどの様子から仲が良くないのではと思ったが、そういうことでもないようだ。
(大国の従兄弟同士となれば、いろいろあるのかもしれないが……)
何にしても、僕自身はヴィオレッティ殿下には近づかないほうがいい。
「そういえば、救出されたうち二人の姫は、わたしの後宮を出てヴィオレッティの妃になったな」
そういう経緯だったのか。それなら乗り換えたというよりも、姫君がヴィオレッティ殿下に惚れたから妃になったということじゃないんだろうか。
(なのに、ヴィオレッティ殿下はなぜあんな言い方をしたんだろう?)
照れ隠し……とは思えない。あの性格で自分の手柄を謙遜したりはしないだろう。
(僕に迫ってきた態度といい、いまの話といい、ヴィオレッティ殿下の行動はさっぱりわからない)
とんでもない人物だとは思うが、今回の件では礼を言うべきかもしれない。おかげで自分がΩだということをはっきり自覚できたのだ。やり方はいただけなかったが、Ωの自覚に乏しい僕の目を覚まさせるにはいい機会になった。
「そういうことなら、やはり僕も首飾りをしておくべきでしょうね」
「そうだな。……そうか、それなら貴殿がデザインしたものを用意させよう」
「え?」
「貴殿はアールエッティ王国随一の画家だ。首飾りのデザインもしてみたいと思わないか?」
「そう、ですね……。たしかに興味は引かれますが……」
服や装飾品のデザインをしたことはないが、母上が真剣に図案を描いている姿を見るたびにおもしろそうだとは思った。もし本当にできるのなら、ぜひやってみたい。
そう思った僕は、「ぜひ、やらせてください」と返事をした。
「では、さっそく見本になるものを用意しよう。あぁ、完成品が届くまでは、後宮で使っている首飾りでもかまわないか?」
「はい、かまいません」
「見本の首飾りと、紙と……ほかに必要なものはあるか?」
「そうですね……使われている素材の一覧があれば、そちらも」
「わかった、手配しよう」
首飾りは初めて手がけることになるが、未知なる挑戦に気持ちが昂ぶってきた。それに、殿下も心なしか楽しそうに見える。
(こういう人が伴侶なら、結婚生活は楽しいだろうな……)
自然にそう思ってしまった自分に驚いた。
(いや、一応妃候補なのだから、可能性がないわけではないんだが……)
しかし妃候補は三十人近くいる。今後も増えていく可能性は高い。そのなかで、小国の王子であり男のΩである僕が妃の一人に選ばれる確率は低いだろう。子ができれば別だろうが、いまのところその気配はない。つまり、僕はいまだに崖っぷちに立ったままということだ。
(発情したからといって安心していては駄目か)
こうして殿下と過ごす時間が増えても、子ができなければ意味がない。このままでは、いずれ後宮を出ることになってしまう。それなら早くつぎの嫁ぎ先を考えたほうがいいのかもしれない。
わかっているのに、「つぎの嫁ぎ先」と思うだけで胸がちくちくと針で刺されるように痛んだ。痛みの原因はわからないが、それを感じたくなくて、つい目を逸らしてばかりいる。
(……いや、僕は国のために嫁がなければならないんだ。それを忘れてはいけない)
何のためにビジュオール王国まで来たのか忘れてはいけない。初心忘るべからずだ。気づかないうちに初心に纏わりついていた余計な気持ちは、ここできれいさっぱり剥ぎ取っておかなければ。
そうしなければ、僕はきっとつぎに踏み出せなくなる。つぎの結婚相手を探すことができなくなりそうな予感に身震いしそうになった。
(……いや、こんなことを思うこと自体が余計だな)
僕は気を引き締め直しながら、首飾りのデザインについて殿下と話を続けた。
(威嚇とやらを知らなかった僕のせいなんだろうな)
そう思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。下手に話しかけるよりおとなしく呆れられるなり叱られるなりのほうがいいだろうと思い、おとなしく殿下の言葉を待つ。すると殿下が「αのことは、どの程度知っている?」と問いかけてきた。
「どの程度、というほどは知らないと思います」
僕が知っているのは、圧倒的に優れた才能と肉体を持っているということと“生ませる性”ということくらいだ。Ωに関しても似たり寄ったりで、香りのことや発情についてはっきり理解できたのはビジュオール王国に来てからになる。
「なるほど。最近Ωになった貴殿なら、それも仕方がないことか」
いつもと変わらない口調だが、一瞬切り捨てられたのかと思った。そう思っただけで何かがせり上がってくるような、ひどい気持ちになる。
「αには威嚇という力が備わっている。先ほど貴殿がヴィオレッティから向けられていたのが、その威嚇だ」
「威嚇……」
切り捨てられたわけじゃなさそうだとホッとしたと同時に、得体の知れない恐怖を思い出して体がブルッと震えた。
「威嚇を向けられたΩは、αからは絶対に逃れられない。それがΩというものだ。わかったら、今後不用意にαには近づかないことだ」
「僕もそう思いました。というより、実際に体験して身に染みてわかりました」
今回はノアール殿下が現れたからよかったものの、誰もいないところで同じ目に遭っていたら、間違いなく僕はどうにかされていたことだろう。
(これじゃあ、まるで姫君のようだな……)
いや、それがΩというものなのだ。たとえ男であっても僕は姫君たちと同じ立場……いや、それ以上に弱い立場なのかもしれない。
「それからもう一つ、覚えておくべきことがある」
「はい、なんでしょうか」
身を正して殿下を見つめると、黒い瞳がほんの少し揺れ動いたような気がした。それは一瞬のことで、すぐにいつもの表情に戻る。
「Ωはαに首を噛まれることで、噛んだαの所有物になる」
「噛まれる……というのは、一体……?」
「やはり知らなかったのだな」
思わず眉を寄せた僕に、殿下が腑に落ちたというような声を出した。
「どうりで首を晒したままだったわけだ。男として思うところがあってのことかと思っていたが……。いや、そもそも男であってもΩなのだから、隠すのが当然か」
殿下の独り言に、ますます眉が寄る。そんな僕に気がついた殿下が「いや、確認しなかったわたしも悪い」と口にした。
「殿下、噛む、というのはどういうことでしょうか」
「αがΩの首を噛むことで、一般で言うところの婚姻が成立するんだ」
「そうなんですか……」
知らなかった。まさかそんな獣のような婚姻の結び方があったとは……。
(いや、ヴィオレッティ殿下は所有物と言っていなかったか……?)
ノアール殿下もいま、そのようなことを口にした。いくらαとΩが特殊な存在だったとしても、婚姻を所有物になると表現するのはいかがなものだろうか。
「あの、それで、所有物というのは……」
「Ωは、自分を噛んだαとしか閨を共にできなくなる。もしほかの誰か、たとえαでない相手であっても拒絶反応を示し、ひどいときには錯乱することさえある」
「……それはまた、強烈な婚姻関係ですね……」
それ以外には言い様がない。Ωになったばかりの僕には「なんだそりゃ」と言いたくなるような関係にしか聞こえないが、たしかに“所有物”と表現できる事象かもしれないことはわかった。
「Ωにとっては、噛んだαが唯一の相手となる。だが、αは何人ものΩを噛むことが可能だ」
「……は?」
「つまり、αはΩを何人でも所有できるということだ」
「……それはまた、」
えげつない関係性だ。なるほど、ヴィオレッティ殿下が言っていたことがようやく理解できた。
(ついでに、僕をその所有物の一人にしようとしていたこともわかった)
もし噛まれていたら……想像するだけで身震いがする。まるで収集物や展示品のように扱われるなんて耐えられるわけがない。ヴィオレッティ殿下はとんでもない人物だなと思いながら、二度と近づかないようにしようと改めて固く決意した。
同時に、ビジュオール王国に来た当初、違和感を感じたことにも納得できた。
「なるほど、それで姫君たちは似たような首飾りをしているのですね」
初めて見たときは、真っ黒なだけの首飾りをお揃いで付けていることに不気味ささえ感じたが、あれは彼女たちが自分の身を守るための必需品だったのだ。
そうなるとΩなのに首を晒している僕は、αから見ればまさしく「噛んでいいですよ」と言っているようなものに違いない。それがΩにとって何を意味するのか、真実を知ったいま、ただゾッとするばかりだ。
「……知らなかったとはいえ、あまりにも無防備すぎました」
「いや、初対面のときに気づいていながら確認しなかったわたしにも責任はある。その後の様子から、貴殿なら普通のΩと違う行動を取るかもしれないと思い込んでいた」
「あー……変わったΩで、重ね重ね申し訳ありません」
「いや、いい。そういう貴殿だから……」
なぜか殿下の言葉がピタリと止まった。そのうえ視線まで逸らされてしまう。どうしたのだろうと見つめていると、小さく咳払いをした殿下が再び僕を見た。
「ところで、首飾りはどうする?」
「そうですね……やはり、付けたほうがよいのでしょうね」
「万が一、ということもあるからな。本来後宮にいる限りは安心なんだが……いや、そうとは言い切れないか」
「殿下?」
「これは醜聞になるのだが、以前、不逞の輩に後宮への侵入を許したことがある。そのとき数名の妃候補が被害に遭いかけたが、ヴィオレッティが気づいて事なきを得た」
「ヴィオレッティ殿下が……」
「あの男は、ほかのαの気配に敏いんだ。従兄弟たちの中では、わたしに次いで能力の高いαだと言われている。それなのに満足に才能を発揮しようとしない困った男だ」
「そうでしたか」
それほどの人物が、どうして僕にちょっかいを出したのだろうか。それに「困った男だ」と口にした殿下の口調には刺々しい雰囲気は一切ない。先ほどの様子から仲が良くないのではと思ったが、そういうことでもないようだ。
(大国の従兄弟同士となれば、いろいろあるのかもしれないが……)
何にしても、僕自身はヴィオレッティ殿下には近づかないほうがいい。
「そういえば、救出されたうち二人の姫は、わたしの後宮を出てヴィオレッティの妃になったな」
そういう経緯だったのか。それなら乗り換えたというよりも、姫君がヴィオレッティ殿下に惚れたから妃になったということじゃないんだろうか。
(なのに、ヴィオレッティ殿下はなぜあんな言い方をしたんだろう?)
照れ隠し……とは思えない。あの性格で自分の手柄を謙遜したりはしないだろう。
(僕に迫ってきた態度といい、いまの話といい、ヴィオレッティ殿下の行動はさっぱりわからない)
とんでもない人物だとは思うが、今回の件では礼を言うべきかもしれない。おかげで自分がΩだということをはっきり自覚できたのだ。やり方はいただけなかったが、Ωの自覚に乏しい僕の目を覚まさせるにはいい機会になった。
「そういうことなら、やはり僕も首飾りをしておくべきでしょうね」
「そうだな。……そうか、それなら貴殿がデザインしたものを用意させよう」
「え?」
「貴殿はアールエッティ王国随一の画家だ。首飾りのデザインもしてみたいと思わないか?」
「そう、ですね……。たしかに興味は引かれますが……」
服や装飾品のデザインをしたことはないが、母上が真剣に図案を描いている姿を見るたびにおもしろそうだとは思った。もし本当にできるのなら、ぜひやってみたい。
そう思った僕は、「ぜひ、やらせてください」と返事をした。
「では、さっそく見本になるものを用意しよう。あぁ、完成品が届くまでは、後宮で使っている首飾りでもかまわないか?」
「はい、かまいません」
「見本の首飾りと、紙と……ほかに必要なものはあるか?」
「そうですね……使われている素材の一覧があれば、そちらも」
「わかった、手配しよう」
首飾りは初めて手がけることになるが、未知なる挑戦に気持ちが昂ぶってきた。それに、殿下も心なしか楽しそうに見える。
(こういう人が伴侶なら、結婚生活は楽しいだろうな……)
自然にそう思ってしまった自分に驚いた。
(いや、一応妃候補なのだから、可能性がないわけではないんだが……)
しかし妃候補は三十人近くいる。今後も増えていく可能性は高い。そのなかで、小国の王子であり男のΩである僕が妃の一人に選ばれる確率は低いだろう。子ができれば別だろうが、いまのところその気配はない。つまり、僕はいまだに崖っぷちに立ったままということだ。
(発情したからといって安心していては駄目か)
こうして殿下と過ごす時間が増えても、子ができなければ意味がない。このままでは、いずれ後宮を出ることになってしまう。それなら早くつぎの嫁ぎ先を考えたほうがいいのかもしれない。
わかっているのに、「つぎの嫁ぎ先」と思うだけで胸がちくちくと針で刺されるように痛んだ。痛みの原因はわからないが、それを感じたくなくて、つい目を逸らしてばかりいる。
(……いや、僕は国のために嫁がなければならないんだ。それを忘れてはいけない)
何のためにビジュオール王国まで来たのか忘れてはいけない。初心忘るべからずだ。気づかないうちに初心に纏わりついていた余計な気持ちは、ここできれいさっぱり剥ぎ取っておかなければ。
そうしなければ、僕はきっとつぎに踏み出せなくなる。つぎの結婚相手を探すことができなくなりそうな予感に身震いしそうになった。
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