記憶の中のお姉ちゃん

星磨よった

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お姉ちゃんの記憶

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 昔、母親の実家に家族で帰ったときのこと。実家の家に泊まって何日か目に、母の従兄弟とその娘さんが訪ねて来た。

 母と母の妹、従兄弟の女性の3人でわいわい盛り上がっている間、私は近くの和室で訪ねて来た娘さんと2人きりになった。

 娘さんは中学生で、私は小学校低学年であったから、なんだかお姉ちゃんという感じがした。しばらく、2人ともDSで遊んでいて会話することはなかった。

 でも、少し経った後、彼女は突然立ち上がって、「公園行かない?」と尋ねてきた。私は、すぐにうんと頷いた。

 内心びっくりして、とても緊張していたが、その頃の自分は何故か女の子にかっこつけたがっていた。誘われて断るなんて、かっこ悪くて嫌だった。

 かくして、私とお姉ちゃんは二人で実家の家を飛び出した。公園と言っても、よく知らない場所なので、どこにあるのか、どんなところなのか分からなかった。

 お姉ちゃんが公園に案内してくれる途中、私に話しかけてきた。どんな内容だったか思い出せないのだが、いつも何して遊んでるかなんて他愛もない質問だったと思う。

 何を話したかはよく思い出せないのだが、1つとても記憶に残っているものがある。そんなような質問をされたとき私は、お姉ちゃんに、「お姉ちゃんは?」と本当に口に出したのだ。

 心の中ではずっと、お姉ちゃんと呼びながら話していたが、実際は何も呼ばずに話していた。お姉ちゃんは、今までとは明らかに違う嬉しそうな笑顔で、「お姉ちゃん?」と言った。

 そのからかった言い方に、私は思わず下に視線を逸らした。すると、クスクスという笑い声が聞こえ、「別にいいよ。嬉しいし。」と言って頭を撫でられた。

 私は、頭を撫でられて嬉しかったのが恥ずかしくて、一層地面にうつむいた。その後のことはあまり記憶になく、公園に行って一緒に木に登ったことだけを覚えている。

 最近、そんなお姉ちゃんが結婚したと、母が伝えてきた。それでこんな記憶が浮かんできた。
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