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08 クエスト

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「「「「クエスト完了を祝って、かんぱーい!!!」」」」
「てめえ、俺の酒が飲めないってのか!?」
「できあがるのが早すぎるにゃ!?」
「お前知ってっか? 隣のなんとかって人間の国が亡ぶかもってよ」
「えー? 人間野蛮過ぎ!」
「このクエストに行く者はおるか? ……おらんのかぁ?」
「はい!」
「頭が高いわ!」
「えぇ……」

 協同組合の中は、大いに盛り上がっていた。入ってすぐの広いホールのような場所、その左側がどうやらお酒も出す飲食スペースになっているらしい。右側にはカウンターがあり、亜人たちが並んでいた。

 ゲームの通りの配置だな。こういったゲームと同じところを見つけるとなんだか少し嬉しい気分だ。本当にオレが『姫騎士のリベリオン』の世界にいることを実感できるし、オレの持つ知識の正しさが証明されたかのような気分になる

「バルタザール様、買取カウンターは一番右になります」
「ああ、ありがとう」

 さっそく右のカウンターに並ぶ。オレの前に並んでいるのは、猫系の獣人のようだ。三角のお耳とシュッと細い尻尾がとってもチャーミングである。縞々の髪もアメショーみたいでかわいい。吸いたい!

 だが、見たところまだ若い女の子だ。さすがにいきなり匂いを嗅ぐのは変質者扱いを逃れられない。

 ああ、だが、こんなにも近くにいるのだ。吸うのがダメなら、せめて三角のお耳をモフモフしたいところだが、許されるだろうか?

 許されないだろうなぁ。チクショウめ!

「あ……」

 そんなことを考えていたのが悪かったのか、ケモミミ少女が行ってしまった。

「次の方どうぞ」
「はい……」

 いつの間にかオレの番になっていた。カウンターの向こうのエルフさんに呼ばれる。

「今日は何を買い取り希望ですか?」
「ちょっと待ってくれ」
「ッ!?」

 オレは収納魔法を展開すると、インベントリの中から必要なさそうな物をいくつか取り出した。

「これの買い取りを頼む」
「……かしこまりました。少々お待ちください」

 しばらく待って換金を完了したオレは、今度はクエストの貼り出された木のボードを見ていく。

「ふむ……」

 ゲームでも登場したクエストがいくつかあるな。それに、危険なクエストから清掃活動などのお手伝いのような簡単なクエストまで幅広い。中にはおつかいのクエストまであるくらいだ。

 まぁ、そんな中でもオレが狙うのは最も難易度が高いと判断されたエリアのクエストだ。

「お! あったあった」

 青の星香草の採取。クエスト内容、青の星香草の採取を採取して三日以内に持ってくること。クエスト報酬は……。

 これだな。

 オレは意気揚々とクエストの書かれた紙を剥がす。

「あの、バルタザール様? そちらのクエストは少々難易度が……」
「時期じゃないと言うのだろう? 問題ない」

 オレは案内人のエルフに答えると、さっさとクエストを受注する。

「キミも付いてくるのか?」

 エルフさんに訊くと、彼女は首をブンブンと横に振った。

「いえ、私では足手まといになるので……」
「そうか」
「あの、しつこいようですけど、そのクエストは難しいというよりも不可能ですよ? 星香草自体時期が外れておりますし、その中でも青の星香草が生えている確率は普通の星香草の百分の一もありません。この広大な森を根こそぎ探したとしても見つかるかどうか……」
「問題ないよ」

 このクエストは、ゲームでもあったクエストだ。青の星香草は、森の奥にある鍾乳洞の向こう側に存在する。たぶん、手に入れることができるだろう。

 問題は鍾乳洞を見つけられるかどうかだが……。オレはこのクエストを諦めるつもりはない。何日かかろうと必ず見つけてやる。

「本当に行くんですか? 森の奥地はウリンソンの者でも迷うこともあるのですが……」
「たぶん、大丈夫。このクエストは絶対にクリアしないといけないんだ」
「これだけ止めても行くのですね……」
「ああ!」

 エルフさんにとっては、オレはウリンソン連邦に来たばかりの森の怖さもわからない異邦人なのだろう。何度もやめるように言われたが、オレは行くことにした。

 このクエストだけはオレがクリアしないといけないのだ。フェリシエンヌに先を越されたら悔やんでも悔やみきれない。

「じゃ、行ってくる!」
「あ! ちょっと!?」

 オレはエルフさんを振り切るように全力疾走で森の中へと入っていった。流れるように緑が流れ、どんどんと進んでいくのが気持ちがいい。やっぱりこのバルタザールの体はすごい!

 この体ならばできるか?

「とう!」

 オレはジャンプすると、木の太い枝に着地する。そして、その勢いのまま次々と枝から枝にジャンプしていく。まるで忍者のような身のこなしだな。

「こっちの方が見晴らしがいいな」

 かっこつけでやってみたが、地上を走るよりも木の枝を移動した方が速いし視界が開けるな。思わぬ発見だ。

「あーああー!」

 蔦でターザンしながら、オレは雄叫びをあげるのだった。
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