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006 日常
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ポフポフと赤い絨毯を踏みしめて廊下を歩く。廊下に絨毯が敷いてあるなんて、流石は貴族の通う学校だ。外観もまるで白亜の宮殿みたいで素敵だったけど、内側も花や壺、絵画などが飾られていて豪華だ。窓から見える景色も綺麗な庭園に季節の花が咲いて目を楽しませてくれる。只の廊下なのに、うっすらと花の香りの様な良い香りがする素敵空間になっていた。
「皆様、ごきげんよう!」
朝から良い気分にさせてくれる廊下だ。テンションが上がった私の声が弾む。
「ごきげんよう、マリアベル様」
教室に入り、いつも一緒にいる女子グループに合流する。現在教室は4つの女子グループがある。一つ目は第一王子ヴァイス派閥の上級貴族、二つ目は第二王子シュヴァルツ派閥の上級貴族、三つ目は中立ややヴァイス派閥寄りの下級貴族、最後は中立ややシュヴァルツ派閥寄りの下級貴族だ。私は最後のグループに所属している。お父様とお兄様が陸軍に所属しているからね。我が家はシュヴァルツ派閥なのだ。と言っても、下級貴族は、その時強い方に味方する中立勢力だ。この後の情勢次第では我が家もヴァイス派閥になるかもしれない。
「マリアベル様はお聞きになりまして?」
「何をでしょう?」
「この間のテスト、ヴァイス殿下が満点で主席だったそうですわよ」
あー。この間のテストの事か。たしかゲームでもヴァイスが主席だった。ヴァイスはかなり高スペックな秀才型だ。何でもそつなくハイレベルで熟せるけど、それは彼の努力の結晶である。逆にシュヴァルツはムラッ気のある天才型だ。得意なことではヴァイスすら寄せ付けない程の才能を発揮する。彼の得意なこと、それは軍事だ。シュヴァルツ自体もかなり強いらしい。
「まあ、それは素晴らしいですね」
「はい。生徒会にも入られるようですし、ご活躍が楽しみですわね」
その後もヴァイスの話で持ち切りだ。一応このグループは中立ややシュヴァルツ派閥寄りのグループなのに、なんでこんなことになっているのかというと、それはシュヴァルツのせいだったりする。シュヴァルツは人混みが鬱陶しいらしく、あまり人前には姿を見せないのだ。授業もサボったりしている。なので、話題に上がるのはヴァイスの方が圧倒的に多い。
「シュヴァルツ殿下はいつも何処にいらっしゃるのかしら?」
「さあ、何処でしょう」
「噂では、王族専用の隠し部屋があるとか…」
私はすっとぼける。シュヴァルツはいつも、初めて会った場所、林の中の木々で囲まれたテラスに居る。私は木々の間をくぐり抜けてショートカットしてしまったけど、正規ルートであの場所に行くには、木々で作られた迷路をクリアする必要がある。あの場所は迷路のゴール地点なのだ。私もちゃんと正規ルートで行きたいけど、ゴールにある扉はいつもシュヴァルツ達によって閉められており、正規ルートで入ることができない。なので、私は仕方なくショートカットを利用している。
「皆様、ごきげんよう」
「はい。マリアベル様、ごきげんよう」
授業が終わると、私はすぐに教室を出る。付き合いが悪いので友達にどう思われているのか不安だけど、今は王子達の仲直りが最優先だ。本当は手に持った鞄を寮に置きに行きたいけど、その間すら惜しんでシュヴァルツ達の元へ向かう。だって、いつ次のイベントが起きるのか分からないのだ。ゲームではシュヴァルツのアイコンがピコンと出て、イベントがある日が分かるけど、現実にそんな便利な機能は無い。セーブ&ロードもできないし、やり直しはできないのである。なので私は、イベントを逃さないように、初日からシュヴァルツの元に日参することにした。
「はぁ、はぁ、はぁ、よし、誰も付いて来てないわね」
私は早歩きで乱れた息を整えながら、後ろを振り返り誰も居ないことを確認すると、林の方へと足を進める。通い慣れた道だ。もう迷うことは無い。一直線に木々の隙間へと向かう。
「一々くぐり抜けるのも大変よね。服も汚れてしまうし。殿下に正規ルートの扉を開けてもらうようにお願いしようかしら」
文句を言いながら木々の隙間を這ってくぐり抜ける。木の枝が体に刺さって痛い。四つん這いなので掌や膝が土で汚れてしまう。ジメジメしていてあまり良い気分じゃない。
「誰だ!」
「マリアベルです」
ゲオグラムの鋭い声に、すぐさま答える。そうしないと斬られちゃうからね。ゲオグラムはすぐに剣を抜きに掛かる危ない奴なのだ。ゲームではそんなことなかったのに、どうしてこんな危ない奴になっちゃったんだろう…。
「またお前か」
ゲオグラムが怒っているような呆れているような顔で私を見ている。そうだね。来て良いとは言われてるけど、毎日来るとは思わないよね。私は立ち上がると挨拶する。
「ごきげんよう。シュヴァルツ殿下、ゲオグラム様」
「また来たのか。お前もよく飽きないものだな」
シュヴァルツも呆れているようだ。
「こんな所に来てもつまらんだけだろう」
「いいえ、そんなことありませんわ。シュヴァルツ殿下やゲオグラム様とのお話は楽しいですもの」
「そうか。まぁそうだな」
お世辞に対して否定もしない。流石はオレ様キャラだ。照れたりすると可愛げがあるのに。
「皆様、ごきげんよう!」
朝から良い気分にさせてくれる廊下だ。テンションが上がった私の声が弾む。
「ごきげんよう、マリアベル様」
教室に入り、いつも一緒にいる女子グループに合流する。現在教室は4つの女子グループがある。一つ目は第一王子ヴァイス派閥の上級貴族、二つ目は第二王子シュヴァルツ派閥の上級貴族、三つ目は中立ややヴァイス派閥寄りの下級貴族、最後は中立ややシュヴァルツ派閥寄りの下級貴族だ。私は最後のグループに所属している。お父様とお兄様が陸軍に所属しているからね。我が家はシュヴァルツ派閥なのだ。と言っても、下級貴族は、その時強い方に味方する中立勢力だ。この後の情勢次第では我が家もヴァイス派閥になるかもしれない。
「マリアベル様はお聞きになりまして?」
「何をでしょう?」
「この間のテスト、ヴァイス殿下が満点で主席だったそうですわよ」
あー。この間のテストの事か。たしかゲームでもヴァイスが主席だった。ヴァイスはかなり高スペックな秀才型だ。何でもそつなくハイレベルで熟せるけど、それは彼の努力の結晶である。逆にシュヴァルツはムラッ気のある天才型だ。得意なことではヴァイスすら寄せ付けない程の才能を発揮する。彼の得意なこと、それは軍事だ。シュヴァルツ自体もかなり強いらしい。
「まあ、それは素晴らしいですね」
「はい。生徒会にも入られるようですし、ご活躍が楽しみですわね」
その後もヴァイスの話で持ち切りだ。一応このグループは中立ややシュヴァルツ派閥寄りのグループなのに、なんでこんなことになっているのかというと、それはシュヴァルツのせいだったりする。シュヴァルツは人混みが鬱陶しいらしく、あまり人前には姿を見せないのだ。授業もサボったりしている。なので、話題に上がるのはヴァイスの方が圧倒的に多い。
「シュヴァルツ殿下はいつも何処にいらっしゃるのかしら?」
「さあ、何処でしょう」
「噂では、王族専用の隠し部屋があるとか…」
私はすっとぼける。シュヴァルツはいつも、初めて会った場所、林の中の木々で囲まれたテラスに居る。私は木々の間をくぐり抜けてショートカットしてしまったけど、正規ルートであの場所に行くには、木々で作られた迷路をクリアする必要がある。あの場所は迷路のゴール地点なのだ。私もちゃんと正規ルートで行きたいけど、ゴールにある扉はいつもシュヴァルツ達によって閉められており、正規ルートで入ることができない。なので、私は仕方なくショートカットを利用している。
「皆様、ごきげんよう」
「はい。マリアベル様、ごきげんよう」
授業が終わると、私はすぐに教室を出る。付き合いが悪いので友達にどう思われているのか不安だけど、今は王子達の仲直りが最優先だ。本当は手に持った鞄を寮に置きに行きたいけど、その間すら惜しんでシュヴァルツ達の元へ向かう。だって、いつ次のイベントが起きるのか分からないのだ。ゲームではシュヴァルツのアイコンがピコンと出て、イベントがある日が分かるけど、現実にそんな便利な機能は無い。セーブ&ロードもできないし、やり直しはできないのである。なので私は、イベントを逃さないように、初日からシュヴァルツの元に日参することにした。
「はぁ、はぁ、はぁ、よし、誰も付いて来てないわね」
私は早歩きで乱れた息を整えながら、後ろを振り返り誰も居ないことを確認すると、林の方へと足を進める。通い慣れた道だ。もう迷うことは無い。一直線に木々の隙間へと向かう。
「一々くぐり抜けるのも大変よね。服も汚れてしまうし。殿下に正規ルートの扉を開けてもらうようにお願いしようかしら」
文句を言いながら木々の隙間を這ってくぐり抜ける。木の枝が体に刺さって痛い。四つん這いなので掌や膝が土で汚れてしまう。ジメジメしていてあまり良い気分じゃない。
「誰だ!」
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「こんな所に来てもつまらんだけだろう」
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