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115 『洞窟』ラスボス戦
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いろいろなトラブルはあったものの、オレたちはその後も順調にダンジョンを攻略していった。オレたちはマジックバッグが二つもあるからね。物資も潤沢だし、仲間も頼りになる。
剣が折れた時はもうダメかと思ったけど、仲間たちのおかげで超えることができた。仲間たちに大感謝だ。
そんなこんなでオレたちは第四十階層の階層ボス、オークキングも打倒し、目指す最奥、第五十階層が現実味を帯びてきた。
ここまできたら『洞窟』を踏破する。敢えて言葉にしないが、みんなそう思っていたことだろう。
そのために苦くて青臭い魔力回復薬も何本飲んだかわからないくらいだ。シャルリーヌなんて、もう余裕そうな顔で一気飲みしているからな。慣れって怖い。
オレの大剣の技量も凄まじいスピードで上がっていくし、怪我を治すためにヒールしまくった結果、ハイヒールさえ習得したよ。やったね。
それに、痛みにも強くなった気がする。盾を使えないせいで確かに怪我は増えた。だが、そのおかげで痛みにも耐性ができてきた気がする。嬉しい誤算だね。
そうして、オレたちは第四十から第五十階層まで踏破し、ボス部屋の前まで来ていた。いよいよ最後のボス戦だ。気合いが入る。
目の前の黒鉄の扉には、土偶のようなシルエットが書かれていた。
「いくぞ」
「おうよ」
「いくんだなー」
「ええ」
「かしこまりました」
「やってやりますわ」
エロワ、ポール、シャルリーヌ、アリソン、ブリジット、みんなが頷くのを確認して、オレは黒鉄の扉に手を置いた。
ギギギッと音を立てて開いていく黒鉄の扉。扉の向こうは、今までボス部屋と同様、広いドーム状の空間となっていた。
その中央に鎮座しているのが、まるで土偶のような形をした黒光りする四メートルほどの人型だった。ちょっと不思議な形をした全身鎧のようにも見える。あれこそが第五十階層の階層ボス、アイアンゴーレムだ。
オレたちの侵入に気が付いたのだろう。アイアンゴーレムの目に当たる部分が赤く光った。
「いくぞ!」
「おう!」
「わかったんだなー!」
オレ、エロワ、ポールの前衛陣がアイアンゴーレムに向かって疾走する。
「フラッシュ!」
オレがフラッシュの魔法を唱えると、アイアンゴーレムの頭部が激しい光に包まれた。
「うお!?」
だが、アイアンゴーレムは取り乱すことなくオレに向かって剣を振り下ろす。
すぐにサイドステップで避けると、けたたましい爆音が耳を貫いた。まるで爆弾でも爆発したみたいだ。
アイアンゴーレムは、どうやらオレのことがちゃんと見えているらしい。アイアンゴーレムがどんな仕組みで動いているのかわっぱりわからないが、生物のように光で視界を潰すということはできないみたいだ。
しかし、アイアンゴーレムはオレをターゲットにしている。アイアンゴーレムの注意を引くことには成功したらしい。
ならば、問題はない。
「オレは一人じゃないからな」
「へいやッ!」
「ごっつぁんです!」
オレの声に応えるようにエロワ、ポールがアイアンゴーレムに襲いかかる。エロワの槍がアイアンゴーレムの股間を狙い、ポールの大剣がアイアンゴーレムの膝に叩きつけられる。
だが――――。
ガキーンという硬質な音が二度響き、エロワとポールが顔をしかめてバックステップを踏んだ。二人とも攻撃を弾かれたようだ。
まぁ、相手は動く鉄の塊だ。弾かれるのも無理はない。ゲームでもアイアンゴーレムは物理ダメージを九割減するスキルを持っていた。物理ダメージで倒そうとは思っていない。
「パニッシュ!」
「パニッシュ!」
オレとアリソンのパニッシュの魔法が発動する。パニッシュは普通の攻撃魔法に比べればMP効率は落ちるが、一応、攻撃魔法だ。少しはダメージの足しになるだろう。
「アイスランス!」
そして真打の登場だ。シャルリーヌのアイスランス、その大きなツララのような氷がアイアンゴーレムを打ち据える。
ガゴーンッとつんざくような大音量を立ててアイアンゴーレムに着弾したアイスランスが砕ける。アイアンゴーレムは体勢は大きく崩したが、無傷のように見えた。
「マジか……」
ちょっと凹んでいる気がしないでもないが、やはりパッと見では無傷に見える。金属疲労なんて言葉もあるし、ノーダメージということはないだろうが、もうちょっと目に見えるようなダメージが欲しいところだ。
「コイツ、硬すぎんだろ!?」
「ヤバいんだなー!?」
エロワとポールも驚愕している。
「そんな……」
だが、一番動揺しているのは、アイスランスを撃ったシャルリーヌ自身だった。
「よく見ろ! 表面が凹んでいるぞ! ノーダメージじゃない!」
「でも、ちょっと凹んだだけじゃない……」
「諦めるな! うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
チーム内に漂い出した諦めの雰囲気をどうにかしたくて、オレは大剣を背負ってアイアンゴーレムに疾走する。
剣が折れた時はもうダメかと思ったけど、仲間たちのおかげで超えることができた。仲間たちに大感謝だ。
そんなこんなでオレたちは第四十階層の階層ボス、オークキングも打倒し、目指す最奥、第五十階層が現実味を帯びてきた。
ここまできたら『洞窟』を踏破する。敢えて言葉にしないが、みんなそう思っていたことだろう。
そのために苦くて青臭い魔力回復薬も何本飲んだかわからないくらいだ。シャルリーヌなんて、もう余裕そうな顔で一気飲みしているからな。慣れって怖い。
オレの大剣の技量も凄まじいスピードで上がっていくし、怪我を治すためにヒールしまくった結果、ハイヒールさえ習得したよ。やったね。
それに、痛みにも強くなった気がする。盾を使えないせいで確かに怪我は増えた。だが、そのおかげで痛みにも耐性ができてきた気がする。嬉しい誤算だね。
そうして、オレたちは第四十から第五十階層まで踏破し、ボス部屋の前まで来ていた。いよいよ最後のボス戦だ。気合いが入る。
目の前の黒鉄の扉には、土偶のようなシルエットが書かれていた。
「いくぞ」
「おうよ」
「いくんだなー」
「ええ」
「かしこまりました」
「やってやりますわ」
エロワ、ポール、シャルリーヌ、アリソン、ブリジット、みんなが頷くのを確認して、オレは黒鉄の扉に手を置いた。
ギギギッと音を立てて開いていく黒鉄の扉。扉の向こうは、今までボス部屋と同様、広いドーム状の空間となっていた。
その中央に鎮座しているのが、まるで土偶のような形をした黒光りする四メートルほどの人型だった。ちょっと不思議な形をした全身鎧のようにも見える。あれこそが第五十階層の階層ボス、アイアンゴーレムだ。
オレたちの侵入に気が付いたのだろう。アイアンゴーレムの目に当たる部分が赤く光った。
「いくぞ!」
「おう!」
「わかったんだなー!」
オレ、エロワ、ポールの前衛陣がアイアンゴーレムに向かって疾走する。
「フラッシュ!」
オレがフラッシュの魔法を唱えると、アイアンゴーレムの頭部が激しい光に包まれた。
「うお!?」
だが、アイアンゴーレムは取り乱すことなくオレに向かって剣を振り下ろす。
すぐにサイドステップで避けると、けたたましい爆音が耳を貫いた。まるで爆弾でも爆発したみたいだ。
アイアンゴーレムは、どうやらオレのことがちゃんと見えているらしい。アイアンゴーレムがどんな仕組みで動いているのかわっぱりわからないが、生物のように光で視界を潰すということはできないみたいだ。
しかし、アイアンゴーレムはオレをターゲットにしている。アイアンゴーレムの注意を引くことには成功したらしい。
ならば、問題はない。
「オレは一人じゃないからな」
「へいやッ!」
「ごっつぁんです!」
オレの声に応えるようにエロワ、ポールがアイアンゴーレムに襲いかかる。エロワの槍がアイアンゴーレムの股間を狙い、ポールの大剣がアイアンゴーレムの膝に叩きつけられる。
だが――――。
ガキーンという硬質な音が二度響き、エロワとポールが顔をしかめてバックステップを踏んだ。二人とも攻撃を弾かれたようだ。
まぁ、相手は動く鉄の塊だ。弾かれるのも無理はない。ゲームでもアイアンゴーレムは物理ダメージを九割減するスキルを持っていた。物理ダメージで倒そうとは思っていない。
「パニッシュ!」
「パニッシュ!」
オレとアリソンのパニッシュの魔法が発動する。パニッシュは普通の攻撃魔法に比べればMP効率は落ちるが、一応、攻撃魔法だ。少しはダメージの足しになるだろう。
「アイスランス!」
そして真打の登場だ。シャルリーヌのアイスランス、その大きなツララのような氷がアイアンゴーレムを打ち据える。
ガゴーンッとつんざくような大音量を立ててアイアンゴーレムに着弾したアイスランスが砕ける。アイアンゴーレムは体勢は大きく崩したが、無傷のように見えた。
「マジか……」
ちょっと凹んでいる気がしないでもないが、やはりパッと見では無傷に見える。金属疲労なんて言葉もあるし、ノーダメージということはないだろうが、もうちょっと目に見えるようなダメージが欲しいところだ。
「コイツ、硬すぎんだろ!?」
「ヤバいんだなー!?」
エロワとポールも驚愕している。
「そんな……」
だが、一番動揺しているのは、アイスランスを撃ったシャルリーヌ自身だった。
「よく見ろ! 表面が凹んでいるぞ! ノーダメージじゃない!」
「でも、ちょっと凹んだだけじゃない……」
「諦めるな! うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
チーム内に漂い出した諦めの雰囲気をどうにかしたくて、オレは大剣を背負ってアイアンゴーレムに疾走する。
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