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7.白花との約束
(4)
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『ねえ、覚えている? 婚約を結んだ時に、一生側にいてくれると約束してくれたでしょう? いろいろあったけれどあなたと共に生き、あなたと共に死ぬことができそうね。だから、わたしはたぶん幸せなのよ』
難しいことはよくわからない。けれど、幼いとはいえ、リリィは貴族令嬢だ。貴族に生まれついた子女の役割は家の利益になること。そしてそのために、婚姻はそれぞれの気持ちではなく、各家々の利益が優先されるものとなる。そして、母の言葉の意味から考えるならば。
(やっぱり私は、いらない子だったのね)
何だか急にすべてが空しくなり、リリィは立っていられなくなる。何かを考えることがもう面倒だったし、身体を動かすのも億劫だった。ありがたいことに、痛みよりも眠気の方が勝っていたから、ここでしばらくじっとしていれば、これ以上傷つく必要もなさそうだ。
みしりと嫌な音がした。お守りから発動している簡易結界に大きなひびが入っている。どうやら、想定以上の負荷がかかっているらしい。そう長くは持ちこたえられないだろうと、魔術の勉強中であるリリィにも何となく理解できた。
(魔獣に生きたまま喰われるのは嫌だな)
けれどそれ以上、そこが崩れることはなかった。うっすらとリリィを守るように簡易結界の上から新たな防御結界が発動している。
(え?)
はっと目線をずらせば、母がリリィに向かって術を発動させていた。母は確かに腕利きの魔術師だ。けれど、いくつもの術式を同時に展開させることはできない。リリィのために防御結界を展開しているということは、母や騎士団長を守る結界は張られていないということになる。むしろ魔獣を前に結界が必要なのは、彼らの方だと言うのに。足手まといな上に、要らない子どもである自分を守って何の意味があるのだろう。
(お母さま、どうして?)
唯一自分を大切にしてくれていた母の最愛は、自分ではないとわかったはずだった。それなのに、どうして母は自分を助けてくれたのか。震えるリリィを守る防御結界の向こう側で、爆音とともに土煙が立ち昇る。
『お母さま!』
(お願い、誰か助けて)
神さまを信じていたわけではなかった。本当に神さまとやらが存在するのであれば、母のように愛するひとと引き裂かれることも、自分のように望まれない子どもが生まれることもないだろう。それでもリリィは祈った。それは、あまりにも無垢で純粋な祈りだった。
難しいことはよくわからない。けれど、幼いとはいえ、リリィは貴族令嬢だ。貴族に生まれついた子女の役割は家の利益になること。そしてそのために、婚姻はそれぞれの気持ちではなく、各家々の利益が優先されるものとなる。そして、母の言葉の意味から考えるならば。
(やっぱり私は、いらない子だったのね)
何だか急にすべてが空しくなり、リリィは立っていられなくなる。何かを考えることがもう面倒だったし、身体を動かすのも億劫だった。ありがたいことに、痛みよりも眠気の方が勝っていたから、ここでしばらくじっとしていれば、これ以上傷つく必要もなさそうだ。
みしりと嫌な音がした。お守りから発動している簡易結界に大きなひびが入っている。どうやら、想定以上の負荷がかかっているらしい。そう長くは持ちこたえられないだろうと、魔術の勉強中であるリリィにも何となく理解できた。
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けれどそれ以上、そこが崩れることはなかった。うっすらとリリィを守るように簡易結界の上から新たな防御結界が発動している。
(え?)
はっと目線をずらせば、母がリリィに向かって術を発動させていた。母は確かに腕利きの魔術師だ。けれど、いくつもの術式を同時に展開させることはできない。リリィのために防御結界を展開しているということは、母や騎士団長を守る結界は張られていないということになる。むしろ魔獣を前に結界が必要なのは、彼らの方だと言うのに。足手まといな上に、要らない子どもである自分を守って何の意味があるのだろう。
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『お母さま!』
(お願い、誰か助けて)
神さまを信じていたわけではなかった。本当に神さまとやらが存在するのであれば、母のように愛するひとと引き裂かれることも、自分のように望まれない子どもが生まれることもないだろう。それでもリリィは祈った。それは、あまりにも無垢で純粋な祈りだった。
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