【異世界恋愛短編集】冷遇された身代わり花嫁は、継子の不幸を許さない。

石河 翠

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6.後生ですから、どうぞ最後に別れの言葉を。

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 私の母と父は、政略結婚だ。いや、政略結婚というのもおこがましいだろう。父は、父の実家と母の実家から、出戻りの母を押し付けられた被害者なのだから。

 母はもともと父の一番上の兄と結婚していたらしい。けれど、新婚にもかかわらず流行り病に見舞われ、他界してしまったのだとか。そのため最初はこの家に控えという形で残っていた次男が、未亡人である母を貰い受ける予定になっていたらしい。ところが彼はこんな田舎には珍しいほどの才を持っており、偶然知り合った帝都の華族の娘婿にと望まれたそうだ。なんとも名誉な話である。

 行き場のなくなった母は実家を頼ろうとしたが、既に実家は母の兄に代替わりしており、出戻りを拒まれたそうだ。そこで家の跡取りとなって母をもらってくれないかと打診されたのが、私の父なのである。もちろん、父はその頼みを何度も断ったらしい。長男ではなかったために養子に出されていた父には、既に将来を誓った相手がいたのだった。

 それにもかかわらず無理に呼び戻された父は、家と母を押し付けられてしまった。幼い頃に養子に出されていた父にとって、家族と言えるのは養父母だ。血が繋がっているだけの両親など他人のようなもの。その上、顔も知らぬ兄のお古と結婚する羽目になり、本当に愛する女は妾としてそばに置いておくことになるなんて、父にとっては地獄以外の何物でもなかったはずだ。

 だから母が亡くなって早々に後妻を迎えたことも当然のことなのである。彼らにしてみれば、割り込んだのは私の母の方なのだから。そしてこの家にいる限り、私が異物であり邪魔者であることもまた覆すことのできない事実なのだった。
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