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2.最後を決めるのは、あなたではなくて私なのだけれど?
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そうして死んだはずだったのだ。ところがヘスターは天国でも地獄でもなく、不思議な洋館の前で意識を取り戻したのである。小さくお腹が鳴った。一瞬生垣のベリーに手を伸ばしかけて、慌てて引っ込める。さすがに故郷のような田舎ならばともかく、こんな立派な屋敷のものをつまみ食いしたら怒られるに違いない。それに辺りには、何だかとても美味しそうな香りが漂っていた。
王宮に着いてからヘスターは少しずつ食事を摂ることができなくなっていった。もともと王都風の食事は脂っこくて苦手だったのだが、嫌がらせで冷めきったものばかり出されてうんざりしてしまったのである。毒見があったにもかかわらず、毒殺されかけたのだって一度や二度ではない。久しぶりに感じる食欲は、足を動かす原動力となった。
洋館の中の様子はどうにもうかがえない。取次ぎをお願いできそうなひともいない上、空腹感は強まるばかりだ。玄関の扉をたたいても、応答はない。失礼しますと声をかけて扉を開けば、そこは小さなレストランだった。
「そこで何をしている!」
「きゃっ!」
せっかくだからと足を踏み入れようとしたヘスターだが、彼女は入り口からつまみ出されてしまった。唇をとがらせてふりむいたヘスターを見下ろしていたのは、怪しげな仮面をまとった男。奇妙にねじれた角が目を引く。
「私は、お腹が空いたので……」
「いつここへ? どうやって中に? まさかもう、何かその辺りのものを口にしてしまったのか?」
「……いえ、お腹は空きましたけれど、まだ何も食べてはいません」
生垣のベリーに手が伸びかけたことを思い出しつつ、ヘスターは答えた。なぜか疑わしそうに彼女を見下ろしながら、仮面の男は入口の扉を指さした。
「出て行きなさい。君は、客人ではない。いずれ時が来たならば、君のための予約はこちらで入れておこう。心配はいらない。この屋敷の前の道を左に向かって真っすぐ歩けば、君の故郷に辿り着くはずだ」
「私、帰る気はありませんけど? 故郷とか言われてもねえ」
「は? まさか記憶がないのか?」
「とりあえずお腹が空いているのですから、ケチケチせずに食事を出していただきたいのです」
「ひとの話を聞いていなかったのか?」
「聞いていましたが、空腹には勝てません。客として迎えいれるには身分が足りないということであればお願いです、働かせてください! そして私に食事を!」
「いや、だから」
「お願いします!
「本当に、君というひとは……。はあ」
そういうわけで、半ば無理矢理ヘスターは従業員として働く権利を手に入れたのだった。
王宮に着いてからヘスターは少しずつ食事を摂ることができなくなっていった。もともと王都風の食事は脂っこくて苦手だったのだが、嫌がらせで冷めきったものばかり出されてうんざりしてしまったのである。毒見があったにもかかわらず、毒殺されかけたのだって一度や二度ではない。久しぶりに感じる食欲は、足を動かす原動力となった。
洋館の中の様子はどうにもうかがえない。取次ぎをお願いできそうなひともいない上、空腹感は強まるばかりだ。玄関の扉をたたいても、応答はない。失礼しますと声をかけて扉を開けば、そこは小さなレストランだった。
「そこで何をしている!」
「きゃっ!」
せっかくだからと足を踏み入れようとしたヘスターだが、彼女は入り口からつまみ出されてしまった。唇をとがらせてふりむいたヘスターを見下ろしていたのは、怪しげな仮面をまとった男。奇妙にねじれた角が目を引く。
「私は、お腹が空いたので……」
「いつここへ? どうやって中に? まさかもう、何かその辺りのものを口にしてしまったのか?」
「……いえ、お腹は空きましたけれど、まだ何も食べてはいません」
生垣のベリーに手が伸びかけたことを思い出しつつ、ヘスターは答えた。なぜか疑わしそうに彼女を見下ろしながら、仮面の男は入口の扉を指さした。
「出て行きなさい。君は、客人ではない。いずれ時が来たならば、君のための予約はこちらで入れておこう。心配はいらない。この屋敷の前の道を左に向かって真っすぐ歩けば、君の故郷に辿り着くはずだ」
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「とりあえずお腹が空いているのですから、ケチケチせずに食事を出していただきたいのです」
「ひとの話を聞いていなかったのか?」
「聞いていましたが、空腹には勝てません。客として迎えいれるには身分が足りないということであればお願いです、働かせてください! そして私に食事を!」
「いや、だから」
「お願いします!
「本当に、君というひとは……。はあ」
そういうわけで、半ば無理矢理ヘスターは従業員として働く権利を手に入れたのだった。
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