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「道林みたいな子でも、汗っかきは彼氏候補にすらしないかな」
今の自分が汗臭いことを認知してしまったからか、弱気がつい口から出た。
告白に備えて思考を精神を前向きにしておかなければならないのに、暗いほうへと落ちていってしまう。
ネガティブは、嫌な記憶を呼び起こすもの。
思い出してしまったことに、はぁ~と溜息が零れる。
※
以前、クラスの派手目な女子たちが話していた。
「汗っかきな男って、絶対臭そうで嫌だよねぇ~」
「わかるぅ~。ってか、仮に臭くなくたって、汗ダラダラかいてたらビジュアル的に受け付けないっしょ」
「それなぁ~。隣を歩いて欲しくないって言うかぁ。周りが普通にしてんのに独りだけ汗ダラダラだったらぁ、浮きまくりっていうか悪目立ちっていうかぁ」
「ウチは生理的に無理だわ~。どんなイケメンでも無理ぃ~」
そう、女子たちが話していた。
それを聞いて、オレは納得した。
確かに、って。
自分が女子だったら、汗っかきに対してどう思うだろうと考えてみたら、カノジョたちと同意見だったのだ。
自己肯定感を下げるだけの考えだっていうのに、自然とそう思った。
だって、客観的に見て、汗っかきなんて気持ち悪いから。
どこにいても、独り、汗ダラダラ。臭ければ、一緒にいてくれる人に迷惑かけちゃう。服だって汗シミがべったりで、見た目にもよろしくない。
そんなヤツとなんて、誰だって隣にはいたくないだろう。
今だって、その考えは変わっていない。
汗を爽やかだと言う人もいるが、その汗はスポーツで流れる汗だけだ。
すなわち爽やかなのは汗ではなく、取り組んでいる競技が爽やかなんだってオレは思う。だから競技とは呼べない、例えばただ歩いているなのに顔中をベッタリと濡らすような汗は、到底爽やかなものとは言えなくて。
清潔さを気にする女子たちに一緒に過ごしたくないと思われても仕方ないほど、気持ちが悪いものなのだ。
※
わかっている。
汗っかきの男が女子に普通は好かれないってことくらい。
それでも好きになってしまったのだ。
道林花緒っていう人を。
『汗かきすぎでキモイ』って、中学の時に女子たちに陰口を叩かれていたことがあるような男でも、一人の女子と付き合いたいと思ってしまったのだ。
「でもなぁ、道林、汗なんかとは無縁そうっていうか、アイツこそ清潔感の塊って感じだからなぁ」
また弱気が口から出た。
汗と無縁な人間なんていないと、頭ではわかっている。陰でコソコソとオレを笑っていた中学時代の女子たちも、汗かきとか生理的に無理~って笑っていたクラスメイトの女子たちも、汗はかくはずだ。かかない方がおかしいことなのだ。発汗とは人体の仕組みなのだから。発汗は必要な機能なのだから。
だが、今言いたいことはそういうことじゃなくて。
汗は誰にだって出るけど、世の中には本当に、汗と無縁そうな人がいる。
道林花緒は、オレの目から見て、そういう人だ。
いつも涼しげな女の子。廊下ですれ違ったときにも、教室の前でたまたま見掛けたときにも、彼女はいつも清らかで、爽やかで、涼しげだった。
恋心を抱いてから見てきた彼女の姿が、次から次に脳裏で笑ったり喋ったりしては消えていく。
記憶の彼女を一人一人見るたび、自分とは正反対な人だと思った。
常に湿っているような自分とは、本当に真反対な人間だ……と。
今の自分が汗臭いことを認知してしまったからか、弱気がつい口から出た。
告白に備えて思考を精神を前向きにしておかなければならないのに、暗いほうへと落ちていってしまう。
ネガティブは、嫌な記憶を呼び起こすもの。
思い出してしまったことに、はぁ~と溜息が零れる。
※
以前、クラスの派手目な女子たちが話していた。
「汗っかきな男って、絶対臭そうで嫌だよねぇ~」
「わかるぅ~。ってか、仮に臭くなくたって、汗ダラダラかいてたらビジュアル的に受け付けないっしょ」
「それなぁ~。隣を歩いて欲しくないって言うかぁ。周りが普通にしてんのに独りだけ汗ダラダラだったらぁ、浮きまくりっていうか悪目立ちっていうかぁ」
「ウチは生理的に無理だわ~。どんなイケメンでも無理ぃ~」
そう、女子たちが話していた。
それを聞いて、オレは納得した。
確かに、って。
自分が女子だったら、汗っかきに対してどう思うだろうと考えてみたら、カノジョたちと同意見だったのだ。
自己肯定感を下げるだけの考えだっていうのに、自然とそう思った。
だって、客観的に見て、汗っかきなんて気持ち悪いから。
どこにいても、独り、汗ダラダラ。臭ければ、一緒にいてくれる人に迷惑かけちゃう。服だって汗シミがべったりで、見た目にもよろしくない。
そんなヤツとなんて、誰だって隣にはいたくないだろう。
今だって、その考えは変わっていない。
汗を爽やかだと言う人もいるが、その汗はスポーツで流れる汗だけだ。
すなわち爽やかなのは汗ではなく、取り組んでいる競技が爽やかなんだってオレは思う。だから競技とは呼べない、例えばただ歩いているなのに顔中をベッタリと濡らすような汗は、到底爽やかなものとは言えなくて。
清潔さを気にする女子たちに一緒に過ごしたくないと思われても仕方ないほど、気持ちが悪いものなのだ。
※
わかっている。
汗っかきの男が女子に普通は好かれないってことくらい。
それでも好きになってしまったのだ。
道林花緒っていう人を。
『汗かきすぎでキモイ』って、中学の時に女子たちに陰口を叩かれていたことがあるような男でも、一人の女子と付き合いたいと思ってしまったのだ。
「でもなぁ、道林、汗なんかとは無縁そうっていうか、アイツこそ清潔感の塊って感じだからなぁ」
また弱気が口から出た。
汗と無縁な人間なんていないと、頭ではわかっている。陰でコソコソとオレを笑っていた中学時代の女子たちも、汗かきとか生理的に無理~って笑っていたクラスメイトの女子たちも、汗はかくはずだ。かかない方がおかしいことなのだ。発汗とは人体の仕組みなのだから。発汗は必要な機能なのだから。
だが、今言いたいことはそういうことじゃなくて。
汗は誰にだって出るけど、世の中には本当に、汗と無縁そうな人がいる。
道林花緒は、オレの目から見て、そういう人だ。
いつも涼しげな女の子。廊下ですれ違ったときにも、教室の前でたまたま見掛けたときにも、彼女はいつも清らかで、爽やかで、涼しげだった。
恋心を抱いてから見てきた彼女の姿が、次から次に脳裏で笑ったり喋ったりしては消えていく。
記憶の彼女を一人一人見るたび、自分とは正反対な人だと思った。
常に湿っているような自分とは、本当に真反対な人間だ……と。
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