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☆王子☆

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二匹のニクバエ

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 魔界カフェ〈死のはざま〉でティータイムを終えたぬっぺふほふは、どこか満足げに短く太い脚をゆっくり動かし帰り道を歩いていた。〈死のはざま〉のカフェラテとチョコレートケーキがお気に入りで、この日も何回もおかわりをしてその味を楽しんだばかりなのだ。
 そんなぬっぺふほふから耳障りな羽音が聞えた。ニクバエが二匹、まとわりついている。どうやら体からしみ出てくる腐敗した体液を吸っているようだが、鈍感なぬっぺふほふは気に留めるそぶりもない。
 それをいいことに赤い目をしたニクバエたちは体中を這いずりまわり、大きな声で話し始めた。
「やっぱり、こいつの体液は美味しいな」
 太ったニクバエ、ビケが言った。
「当たり前だ、人間の死肉の塊だぞ。うまいに決まってる」
 つり目のニクバエ、マーケが答えた。
「姐さんとオイラの卵、こいつに産みつけてもらえたらな」
「何言ってるんだ、お前は馬鹿か。……まさか知らないのか!?」
「何が、何のこと? オイラ、何にも知らないよ。知ってるなら教えてよ」
「ああ、いいぜ、教えてやる。実はな聞いた話しだと、こいつは俺たちのご馳走にはなるが、なぜか子供たちは卵からかえることができないらしいぞ。多分、俺たちを増やさない魔力があるんだろう。だからかわいこちゃんたちはこいつには卵を産みたがらない。こんなにうまいのに残念だよな」
「ええ!? そうなの、知らなかった。それじゃぁ、卵はあきらめて食事を誘うっていうのはどう?」
「おい、忘れたのか?本当に馬鹿だなお前は。いいか、ビケ。白頭様の魔力を借りなければ俺たちはこいつには近づくことさえできないんだぞ」
「あぁ、そうだった。こいつが美味しすぎるから、つい忘れちゃったよ」
 ニクバエたちは息をつく暇もなく話している。
「そういえば、さっきのあれ見たか?」
「あれって何の事?」
「あぁ、もう! ガキだよ、ガキ! さっきミミズの後ろにいただろ。お前、何やってたんだよ」
「ごめん、食べるのに夢中になっていてわからなかったよ。それでその子供、幽霊だった? それとも生きてた?」
「そうだ、大事なのはそこなんだよ。この俺様の華麗な飛行テクニックでちょちょいと調べて来てやったぜ。どうだ、聞きたいか?」
「うん、聞きたい! 教えて」
「いいぜ。なんとあのガキ、味がしたんだ。ありぁ、汗の味だ」
「それじゃあ、その子供、生きてるってこと!?」
「あぁ、間違いない。今まで何百回と味見をしてきたが白頭様の言う通り、幽霊は何の味もしない。だけどあのガキは違った、しっかり人間の味がしたぜ」
「ええ、本当!? 美味しそう! それじゃあ、オイラも味見してくる」
「馬鹿野郎! いま引き返したらミミズに俺たちがいることがバレちまうだろ」
「確かにそうだね。さすが、マーケ! 今日も冴えてるね」
「当たり前だ!」
「それにしてもやっと生きた人間を見つけたね。ずっと空振りだったもんね」
「まったくだ。しかし悪い話しじゃないよな。白頭様の力で普通のハエでは近づけないこの絶品をごちそうになりながら、生きた人間を見つけるだけなんて!」
「魔界に神様っているんだね」
「お前は馬鹿か。白頭様は神様じゃない、最高級の魔人だ。いや、悪魔に等しい。とにかく白頭様に報告だ。これで俺たちの魔人昇格も近いかも知れないぜ」
「やった、嬉しいな。それじゃあ、もうひとなめしたら行こう」
「それもそうだな」
 ニクバエたちは舌を出しぬっぺふほふの体液を存分に吸いとると、羽音を鳴らし飛び上がった。
そして白い霧を抜け気味の悪い石像の前にやってきた。一メートルほどの高さで膝を折りまげ、腕を前に組んで座っている。体のわりに頭は大きく、鼻は上にむき離れた目玉は閉じたままだ。
 ニクバエたちが近づくと石像のくぼんだ目がぎょろりと開き、口角の下がった口が開いた。
 そのままニクバエたちは躊躇なく石像に向かって飛んで行くと、ぶつかることなく暗い林道に出た。後ろには入ってきたときとは違う石像が置かれていた。円筒状の形に首のない顔と小さな手が彫られたもので、その石像はまるで仕事を終えたかのように開いた三つの目と口を閉じた。
 それから林道に転々と備えつけられた提灯のあかりを頼りに、ニクバエたちは迷うことなくぐんぐんとスピードを上げて飛んでいた。しだいに人気のない暗い林道にライトの光がもれ始め、周囲の木々を見渡すかのように朱色に塗られた五重の塔が現れた。
 白頭が経営する魔界人ばかりを相手にした料理店、赤丸屋だ。
 塔からこぼれる明かりにコウモリの影がうつり、フクロウの鳴く声がこだましている。
 するとニクバエたちの前方に黒いマントを羽織った男の姿があった。全身、黒ずくめのスーツ姿。ニクバエたちは追い抜きざま振り返ると、血の気のない青白い顔に口からはみ出る巨大な犬歯が確認できた。ドラキュラだ。
 彼は赤丸屋の常連客で人間界で思うように血液が補給できない時によくここを訪れているのだ。
入り口に赤丸屋と書かれた赤提灯がかけられている。ドラキュラが真っ赤なのれんをくぐるのを狙って、ニクバエたちも店内へと入っていった。
 中はほんのり暖かく、さまざまな調味料と料理の臭いで埋め尽くされている。内装は日本料理店のような造りで右側にある厨房は客が何を調理しているのかが見えるようになっていた。そこにカウンター席がずらりと並び、その反対には大人数用の席。
 ドラキュラは迷うことなくカウンター席に座ると、厨房から太く毛だらけの腕が熱々のおしぼりとメニューを出してきた。
 この店の板前、黒豚の腕だ。天井にまで届いてしまいそうな巨体に黒い豚の頭、そこにねじった鉢巻きをまいている。体つきや腕は人間にそっくりだが足の先は豚そのものだ。
 ドラキュラはメニューを流すように見ると、黒豚にフレッシュブラッドソーダと血肉団子を頼んだ。黒豚は擦り切れるような獣の声で返事をすると、淡々と調理を始めた。
 そこへ豚の独特の体臭に誘われるように、ニクバエたちが吸い寄せられていった。
 ところが黒豚は不機嫌そうに甲高い声をあげると、藍色に染められたはっぴ服から勢いよくしっぽを振りまわしてきたのだ。よく見れば右手に包丁、左手にはハエ叩きを持っている。
「いつの間にあんな物騒なものを持つようになったんだ」
「潰される前に退散しよう」
 ニクバエたちは厨房を抜け出し、カウンター席を通りすぎた。するとそこに片付いた食器を下げるふくよかなウエイトレスがいた。
「姐さん、今日もきれいだね」
 ビケはたまらず声をかけた。しかしヒフミは塗りたくった化粧がはがれそうなほど煙たそうな顔を見せた。
「あんたたち、ここに来るなら店の裏口から入れって言ってるだろ。ハエを嫌うお客だっているんだよ。あんたたち、見境なく何でも触って味見するだろ。まったく、何回言われればわかるんだい」
「ごめんね。でも姐さんの顔が見れて、オイラ幸せだよ」
「あたしはあんたの顔なんて見たくないよ」
 ビケをあしらうとヒフミはさっさと仕事に戻ってしまった。
 それでもビケはどこか満足そうな顔を見せていた。ヒフミの魅力に逆らうことができないのだ。たとえハエの魔人と小さなニクバエという種族の壁があっても、ヒフミのことを想えばいつでもそれを乗り越えられるという根拠のない自信が沸き起こってくるのだ。
「お前の女の趣味はいまいちわからねぇな」
 マーケは目を細めていたが、ビケといえば羽をばたつかせいつも以上に軽快に飛んでいた。
 ニクバエたちはそのまま店内を後にするとエレベーターの前に来た。白頭は塔の最上階にいる。階段から上へあがろうとしたとき、裏口の扉が開くと赤いハイヒールをはいた長い脚が音をたてやってくるのがわかった。
「あなたたち、久しぶりね」
 真っ赤なナース服を着た女が声をかけてきた。しかしその顔に目や鼻といったパーツはなく、口紅をつけたつややかな口しかない。
「あぁ、久しぶりだな、ドナ」
 マーケは立ち止りドナに返事をした。血のようなマニキュアを塗ったほっそりした手から腕は、黄土色に濃い茶色の線が入り、ヘビの鱗のようにぬるりと光っている。その肌をたどっていくとドナが持つ箱の中にはパックに小分けされた血液がたくさん入っていた。
「それは、あんたが飲むのかい」
「いいえ、違うわ。飲み干したいところだけど血は十分に足りてるの。さっき黒豚ちゃんから連絡が来て、料理に使う血が足りないから持って来たのよ。それよりもあなたたち、生きた人間は見つかったの?」
「まぁな、大手柄だ」
 マーケは誇らしげに胸を突き出した。
「まあ、頼もしいわね。私、まだ仕事があるから行かなきゃ。またあとでね、可愛い小バエちゃんたち」
「うん、またね」
 ドナと別れたニクバエたちは最上階へ向かって勢いよく飛び出した。
「おい、見たか ? あの胸の谷間にはち切れそうな大きなお尻 ! いい女だ」
「確かにね。でも姐さんだってすごく美人だ」
「ふん、やっぱりお前の趣味はいまいちわからねぇ」
 好みについて話している間に最上階へ着いた。壁は一面黒く、廊下も黒のじゅうたんが敷いてある。
 そこをまっすぐ飛んでいくと、五十センチほどの年老いた小鬼が机を構え座っていた。褐色の肌は乾燥し、まるで木の枝のようだ。頭には二本の小さな角が生えている。
 小鬼は机に紙をひろげ忙しそうに仕事をしていたが、ニクバエたちに気づいたのか作業をやめると、鋭く伸びた三本の指でかけていた銀色の丸メガネを外した。
「おまえたち、何の用だ」
 しゃがれた声で鋭い牙をむき出し話しかけてきた。
「マーケとビケです。ただ今〈死のはざま〉の調査報告のため帰りました」
「白頭様に許可をもらってくる。それまでそこで待っていろ」
 背中から伸びるコウモリのような翼を広げると、黒いリボンのチョーカーをつけ直し小鬼は姿を消した。
 それから数分もまたないうちに “ 入れ ―― ” という言葉がどこからともなく聞こえ、黒い扉が重そうに開いた。
 ニクバエたちは少し緊張しながらその部屋へと入った。床は赤黒いじゅうたんが広がり壁や天井、机や椅子などあらゆるものが黒で統一されている。しかし部屋の明かりは弱々しく、奥は黒の絵の具を塗りつぶしたように真っ暗で何も見えない。そこからオペラ歌手のような太い声が聞えた。
「小さなしもべたち、どんな報告があるんだ」
 その声にマーケは背筋を伸ばし答えた。
「〈死のはざま〉にて生きた少年を見つけました」
「ほう、少年か」
 暗やみに大きな瞳が浮かび上がった。
「それから年齢は十歳から十五歳くらい、日本人だと思われます」
 マーケの言葉にしばらく無言が続く。
「グレゴリウス !」
 突如、白頭が大きな声で名前を呼んだ。すると、どこからともなく部屋の前にいた小鬼が現れた。
「お呼びでしょうか、白頭様」
 グレゴリウスは白頭に忠誠を誓うように頭を下げている。
「少し腹が減った。赤ワインにはちみつとパンにリンゴ、それから余った肉でステーキを焼いて持って来てくれ。それから黒豚に二匹のハエたちに豪勢な食事を作るよう頼んでおいてくれ」
「かしこまりました」
 グレゴリウスは再び姿を消した。
「おまえたち、ご苦労だったな。素晴らしい仕事をしてくれた。黒豚に褒美の食事を準備させている。時間がたったら黒豚のところに行って、好きなだけ食事をしたまえ」
「わーい、ありがとうございます」
 喜ぶビケとは対照的にマーケは赤い眼をぎらつかせていた。
「白頭様。あの、俺たちの昇進はどうでしょうか」
「そうだったな、考えておこう」
 白頭からの十分すぎる報酬にニクバエたちは跳びはねるように部屋から出ていった。
 それからしばらくして、食事を両手に抱えたグレゴリウスが音もなく部屋に戻ってきた。グレゴリウスが食事を机に置くと、すぐさま白頭は手を伸ばし食べ始めた。
「グレゴリウス、お前なら生きた物を魔界へ連れてくることがいかに大変かわかるだろ」
「ええ、承知しております。ただし苦労した分、その肉の味は格別かと思われます」
「まさしくその通りだ。たとえ魔力の半分を使い動けなくなろうとも、それを超えるだけの利益がもたらされる。しかし、今回は違う。生きた人間がみずからやって来たのだ。この機会を逃すわけにはいかない」
「はい、おっしゃる通りでございます」
 食器がぶつかり食べ物を噛む音が聞こえる。
「同じ魔界の住人でありながら〈死のはざま〉の連中は生きた人間にやさしい。我々が手をつける前に生きた人間を屋敷へかくまい、チャンスがあれば人間界に戻そうとし、それができなければ生身の体もろとも悪魔へ引き渡すつもりなのだ。なんともったいないことか。目の前に新鮮な、けがれのない肉塊があるというのに私の口に入ることなく終わってしまうのだ。その前に少年を私のものにするしかない」
「しかしミミズは少々、厄介な相手です」
「確かにそうだ。だが、私の手にかかれば問題はない」
「さようで ……」
 グレゴリウスがワインを注ぐグラスには光るような真っ白な歯が映っていた。
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