王冠にかける恋【完結】番外編更新中

毬谷

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第11章

今は消える歯形

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しばらく見つめあっていると、景がおもむろに視線を首元に落とした。
「ずっと思っていたけど…これは何?」
変装用の太い首輪に指輪引っかけられる。少しだけ引っ張られて、吐息が漏れた。
「天風の首輪じゃバレるから…」
「ふーん。自分で用意したの?」
「い、いや白川さんが」
「また白川嬢か」
景の顔が嫌そうに険しくなる。
「はあ…あの子は本当にやっかいだ」
「いやでも、オメガだしさ」
「関係あるものか。鍵は?」
有無を言わせない口調に、慌ててズボンから鍵を取り出した。
座った状態で後ろを向かされて、カチカチと首輪が外される。
「け、景…?」
大きいほうの首輪が外れる。
「っ!」
首の後ろ、オメガの急所に吐息を感じて、体が飛び跳ねた。
「これも外せたらいいのに」
そのまま学園の首輪の上から甘噛みされる。
抵抗しようとした手はそのまま絡めとられた。
「ふ、う……景、ちょっと待って」
どきどきしすぎて爆発しそう。
でも、景はそのまますんすんと鼻を寄せてやめる気配はない。
「ごめん、待てない」
「っ、あ……」
吸われたり、ちろちろと舐められると、隠せない甘い声が漏れる。
食べられてしまう、という危機感と快感で頭がパンクしそうになる。
後ろから首を掴まれると、逃げ場もなく、やられっぱなしになった。
景はもう、夢中と言った感じで真加をもてあそぶ。
「次のヒートには番になれるかな…?」
「え、そんな、……」
「早速学園長に首輪の解除を申請しよう。いいよね?」
「は、ん……ふう、だめ、」
「どうして?」
歯が立てられる。思わず身をよがらせた。
「だって、けい、王子だから…」
そんな勝手に、番になれるわけない。
「この国の王族が番になるのに、誰の承認もいらないんだよ」
「え、ほんと……」
「結婚は色々議会の関係があるけどね」
本能の部分に法は及ばないのだろうか。番は時として結婚よりも強いつながりが発生する。システムに欠陥があるような気がしなくもないけど、今の真加にそこまで考える余裕はない。
ちゅう、と音が立てられる。
「ね、今後は番になってくれるよね?」
「ん……うん、番なる…」
そう言うと、ようやく解放された。
「真加、嬉しい、嬉しい……私の番」
そのまま、顔を景の方に向かされて唇が重なる。
「んっ……!」
すかさず熱い舌が入り込み、体から力が抜けていってしまう。
鮮やかな手つきで蝶ネクタイ、ベスト、シャツのボタンがぷちぷちと外れていく。
「ん、あ……う、っ!!」
びっくりするほど熱い景の手が、脇腹をなぞった。
「ちょ、まって、…景、おねがい」
キスの合間に必死に訴えると、責めの手が少しやわらぐ。
「ごめん、抑えがきかなくて」
耳たぶをやわやわと揉まれる。たまらずバランスを崩して、そのまま押し倒された。
「景っ!ま、待って、心の準備が…」
先ほどから展開が急すぎてとてもじゃないけど追い付かない。
でもこの景の濡れた瞳が、もしかしたら最後までされるのかと思わずにはいられない。
「大丈夫、最後までしないから。お願い、もうちょっとだけ許して」
眉を下がらせて、子犬のように懇願されると腹がうずく。
「じゃあ、もう少しだけ…」
体を許すと、景は脇腹に舌を這わした。
「まだうなじには噛めないから…」
そう言うと脇腹に歯が立てられた。
「あ……!」
痛いはずなのに、頭がおかしいのか高い声が出る。
思わず手を口でふさぐと、景に強く手を掴まれる。
「あ、」
ぐっと景が身を乗り出して顔が近くにくる。
こんなことは初めてじゃない。でもあの時は、薬の作用が強かった。こんなに頭もはっきりしていなかったし、今の方が理性がある分、快感を鮮烈に味わう。
欲を帯びた景の瞳に、たまらず自分からキスを求めた。
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