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番外編
笠間真加カンニング疑惑事件(1)
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真加はこんなにもぞもぞと言いづらそうに動揺する女性を見たことがない。
「いや、だから…、あのね!?笠間くん……、うーん…」
「なんなの、先生」
担任の教科準備室に呼び出された真加は、貴重な昼休みをこんな調子で既に5分は消費していた。
通称、「みくちゃん先生」。さすがに誰も表立っては言わないけど、真加らと歳の近い女性教師だった。
だから真加もついつい気安い口調になる。
「あ、あのさ…笠間くん、ちょっと聞いていいかな、…?」
「い、いいから」
向かい合って頭を抱えていたみくちゃん先生こと森野先生がついに拳を握り締め言い出した。
「カ、カンニングとかって…」
ありえないくらい小声だったから、思わず聞き返す。
「カンニング?」
「いやっ!そうよね!?もちろん無いわよね!?」
森野先生は大きく手を振って矢継ぎ早に喋る。
正直、全く心当たりがないことだったから驚いた。けど、真加を超えて動揺している先生は全く気付きもしない。
「ちょっと先生、俺にも喋らして」
「一応、聞いただけよっ!ね、気にしないで」
全く真加の言うことは耳に入っていないようだった。
全く疑われていないことは嬉しいけど、とはいえ真加にも反論の余地を与えてほしい。だって、本当にやってないし。
「じゃあなんで一応聞かれてるんですか?」
「そ、それは……」
「俺、テスト中そんなに挙動不審だったかな」
「そんなことないわよ!?笠間くんがそんなことするわけないって、先生わかってるから!」
真加は部屋の時計をチラリと見る。まだお昼食べてないのに。
「社会人って、本当に、色々あるのよ………」
先生は今度は頭を下げた。
「まあ、いいけど…俺疑われてるわけじゃないんだよな」
「もちろんよ!」
3年生の一学期。中間テストはとうに終わって、何ならそろそろ期末の心配をしないといけない。
授業でちょこちょこ小テストはあるけど、真加は本当にカンニングの疑いをかけられるような心当たりがなかった。
そもそも、そんな大それたことをしてまで真加は点が欲しくないし、上手くやり通せる自信もない。
「ごめんね、変な話して。忘れていいから!ね!じゃあおしまい!」
全く口を挟む間もないマシンガントークだった。
「あっ、先生…」
「笠間くんも色々あるだろうけど、体調気をつけてね!」
「あ、はあ」
追い出されるようにして準備室を出て教室に戻る。
歩いていると、生徒からの視線を感じる。
この国の皇太子・五鳳院景と同級生の真加は紆余曲折あり、つい数ヶ月前に付き合い始めた。それから、注目を浴びっぱなしだった。
少しは慣れてきたけど、なかなか居心地が悪い。
担任は「笠間くんも色々あるけど」と言ったが、確実に景とのことに違いない。
(もしかして…カンニングもそうなのかな)
誰かが、景と付き合っている真加のことを面白く思ってなくて、あらぬ噂を広めている?
「いや、さすがに考えすぎ」
一人呟いた。被害妄想といってもいい考えだったから。
まあ真加は庶民だし、気に食わない人がいてもおかしくないかもしれない。
こんなことが少し過ぎってしまうくらいには、「五鳳院景」の存在はこの学園、この国にとって太陽だった。
「みくちゃん、何だったの?」
「え?ああ……あー、…」
「?」
教室に戻ると、遼祐(りょうすけ)に話しかけられた。
3年生になったはじめに、「笠間」と「片桐」で席が前後で仲良くなった。
話してみると、クセのない爽やかな印象ということで、真加は遼祐と一緒にいることが多い。
身長は高いし、黒髪の短髪の好青年だから、勝手にアルファなんだろうと考えている。
そして何より、景のことをあれこれ聞いてこないのがいい。
仲のいい理人が「王子、地方の視察で駄菓子食ってたらしい」とか言うのは全く気にならないが、全く喋ったこともない同級生が急に話しかけてくるようになった。
彼らはその先にあわよくば景と仲良くなりたいという思惑があり、真加がその期待を叶えてくれないとわかると、すぐに離れていった。
別にいちいち傷付きもしないけど、心は少しずつ消費していく。
遼祐とはそういったものを抜きで、フラットな付き合いをしていた。
そもそも、遼祐はずっとSクラスだったから、今更景のことなんかどうでもいいのかもしれない。もちろん夏理に聞くまで知らなかったけど。
何なら真加より景のことを知っているのかもしれない。
「うーん」
「なに、そんな重い話だったの?」
カンニングのことを言うか迷った。けど、何となく遼祐に言っても悪いことにはならないような気がした。
変に大人びてて、達観してるように見えるから。
「なんか、カンニングしてないか聞かれた」
なるべく重大な風には伝わらないように、口を開いた。
「カンニング?」
「うん。俺中間の時どうだったっけ?」
「覚えてないよ」
昼食のパンを齧りながら当たり前のように返された。
「そうだよな」
「だいたい、真加はそんなタイプじゃないだろ」
「お、…ありがとう」
「だって小心者だろ?」
「そっちか」
なんかそれだとやれる状況ならやれるタイプにも解釈できる気がする。
とはいえ口に出して少し楽になった。何でもない風に遼祐がいなしてくれたのも助かった。
多分…景には言えないし。こんな情けない話。
「次なんだっけ」
「英語」
「げ、西山か」
「真加苦手だよな」
「なんかやたら当てられるし当たりきつい気がする」
ちょっと理屈っぽそうな男の英語教師で、気のせいかよく当たりし、難しい問題ばかり当てられる気がする。
「ん……まあ、気難しそうなおっさんだし、真加にだけじゃないだろ」
「そうだよなー」
のんびり遼祐と話していると、お昼休みがもう終わりかけだった。
慌ててお弁当を食べ込んで、そそくさと次の授業の準備を始めた。
「ねえ、英語の西山…先生知ってる?」
王子様は忙しい。同じ学園、同じ寮でも当たり前のように会えるわけじゃない。
今日は夕食後の就寝まで景の部屋で過ごしていた。
ソファに並び座ると、自然と肩がくっくつくらいの距離になる。
「うん。知ってるよ。私たちの学年のSクラスからBクラスまで教えてたのかな。今年はSクラスがなくなってAクラスからCクラスまで。何かあった?」
茶髪の髪に綺麗な瞳。誰が何と言おうと王子様だ。
景と付き合ってから、なんか余計にドキドキするようになった気がする。もっと落ち着けるかと思ってたのに。
もう寝るだけだから、ゆるいスウェットを着ていて、普段は見れない首元が覗くのに手が離せない。
「いや、そういうわけじゃなくて…!」
付き合ってから景がやたら過保護なことを知った。
いとこがあんなんだったから、というのもあるかもしれないが、真加に何かないかやたら心配している。
でも、真加もそんなにやわじゃないし、心配をかけたくないから、小さないざこざは何も言ってない。なんかダサいし。
(ちょっとどんな人か聞きたかっただけなのに…失敗した)
「今まで授業無かったから、どんな感じだろってシンプルに思っただけ。なんかスパルタって感じだよな」
本当は陰湿って言いたかったけど言えなかった。
「確かに、西山先生の授業はみんなピリピリしてたかな」
「ふーん。Sクラスでそれなら相当だね」
王子様や本当にやんごとなき方々がいるクラスでそれなら、真加に当たりがきついのも当たり前だ。
「そんなに厳しいの?やっぱり何か言われたの?」
心配そうに腰を抱かれて顔を覗き込まれる。あまり真面目に逆らうと、洗いざらい吐き出してしまいそうなので……話題を逸らした。
「今までの英語の先生優しかったからびっくりしただけ…!あ、景あの…今日もお弁当おいしかったよ。ありがとう。俺の好きなやつばっかり」
そういうと景は顔をパアッと輝かせた。
「本当?真加は甘辛い味付けが好きだよね。一応バランスにも気を使ってるんだ」
景の部屋にはキッチンなどの設備を一式揃っている。
何で情報を得たのかはわからないが、学生らしいことをしたい景は真加にお弁当を作り始めた。
恐れ多すぎて、当初は白目を剥いてなかなか受け入れ難かったものの、「たまに真加も手伝う」「毎日は作らない」という折衷案で何とかなっている。
最初は可愛らしいお弁当だったのに、最近は栄養バランスや色味がかなり考えられている気がする。
何させても天才だなあと思う。
「俺にも教えて?土日作り置き、一緒にしよう」
「もちろん」
この上なく幸せ。ちょっとしたあれそれはあるけど、2人で頑張っていくって決めたし、その気持ちは揺らがない。
(……でもやっぱり、カンニングのことは言えないな)
付き合ってても、万事が解決するわけじゃない。
ゴールじゃなくてスタートだったんだと、最近ようやく気づき始めてる。
「いや、だから…、あのね!?笠間くん……、うーん…」
「なんなの、先生」
担任の教科準備室に呼び出された真加は、貴重な昼休みをこんな調子で既に5分は消費していた。
通称、「みくちゃん先生」。さすがに誰も表立っては言わないけど、真加らと歳の近い女性教師だった。
だから真加もついつい気安い口調になる。
「あ、あのさ…笠間くん、ちょっと聞いていいかな、…?」
「い、いいから」
向かい合って頭を抱えていたみくちゃん先生こと森野先生がついに拳を握り締め言い出した。
「カ、カンニングとかって…」
ありえないくらい小声だったから、思わず聞き返す。
「カンニング?」
「いやっ!そうよね!?もちろん無いわよね!?」
森野先生は大きく手を振って矢継ぎ早に喋る。
正直、全く心当たりがないことだったから驚いた。けど、真加を超えて動揺している先生は全く気付きもしない。
「ちょっと先生、俺にも喋らして」
「一応、聞いただけよっ!ね、気にしないで」
全く真加の言うことは耳に入っていないようだった。
全く疑われていないことは嬉しいけど、とはいえ真加にも反論の余地を与えてほしい。だって、本当にやってないし。
「じゃあなんで一応聞かれてるんですか?」
「そ、それは……」
「俺、テスト中そんなに挙動不審だったかな」
「そんなことないわよ!?笠間くんがそんなことするわけないって、先生わかってるから!」
真加は部屋の時計をチラリと見る。まだお昼食べてないのに。
「社会人って、本当に、色々あるのよ………」
先生は今度は頭を下げた。
「まあ、いいけど…俺疑われてるわけじゃないんだよな」
「もちろんよ!」
3年生の一学期。中間テストはとうに終わって、何ならそろそろ期末の心配をしないといけない。
授業でちょこちょこ小テストはあるけど、真加は本当にカンニングの疑いをかけられるような心当たりがなかった。
そもそも、そんな大それたことをしてまで真加は点が欲しくないし、上手くやり通せる自信もない。
「ごめんね、変な話して。忘れていいから!ね!じゃあおしまい!」
全く口を挟む間もないマシンガントークだった。
「あっ、先生…」
「笠間くんも色々あるだろうけど、体調気をつけてね!」
「あ、はあ」
追い出されるようにして準備室を出て教室に戻る。
歩いていると、生徒からの視線を感じる。
この国の皇太子・五鳳院景と同級生の真加は紆余曲折あり、つい数ヶ月前に付き合い始めた。それから、注目を浴びっぱなしだった。
少しは慣れてきたけど、なかなか居心地が悪い。
担任は「笠間くんも色々あるけど」と言ったが、確実に景とのことに違いない。
(もしかして…カンニングもそうなのかな)
誰かが、景と付き合っている真加のことを面白く思ってなくて、あらぬ噂を広めている?
「いや、さすがに考えすぎ」
一人呟いた。被害妄想といってもいい考えだったから。
まあ真加は庶民だし、気に食わない人がいてもおかしくないかもしれない。
こんなことが少し過ぎってしまうくらいには、「五鳳院景」の存在はこの学園、この国にとって太陽だった。
「みくちゃん、何だったの?」
「え?ああ……あー、…」
「?」
教室に戻ると、遼祐(りょうすけ)に話しかけられた。
3年生になったはじめに、「笠間」と「片桐」で席が前後で仲良くなった。
話してみると、クセのない爽やかな印象ということで、真加は遼祐と一緒にいることが多い。
身長は高いし、黒髪の短髪の好青年だから、勝手にアルファなんだろうと考えている。
そして何より、景のことをあれこれ聞いてこないのがいい。
仲のいい理人が「王子、地方の視察で駄菓子食ってたらしい」とか言うのは全く気にならないが、全く喋ったこともない同級生が急に話しかけてくるようになった。
彼らはその先にあわよくば景と仲良くなりたいという思惑があり、真加がその期待を叶えてくれないとわかると、すぐに離れていった。
別にいちいち傷付きもしないけど、心は少しずつ消費していく。
遼祐とはそういったものを抜きで、フラットな付き合いをしていた。
そもそも、遼祐はずっとSクラスだったから、今更景のことなんかどうでもいいのかもしれない。もちろん夏理に聞くまで知らなかったけど。
何なら真加より景のことを知っているのかもしれない。
「うーん」
「なに、そんな重い話だったの?」
カンニングのことを言うか迷った。けど、何となく遼祐に言っても悪いことにはならないような気がした。
変に大人びてて、達観してるように見えるから。
「なんか、カンニングしてないか聞かれた」
なるべく重大な風には伝わらないように、口を開いた。
「カンニング?」
「うん。俺中間の時どうだったっけ?」
「覚えてないよ」
昼食のパンを齧りながら当たり前のように返された。
「そうだよな」
「だいたい、真加はそんなタイプじゃないだろ」
「お、…ありがとう」
「だって小心者だろ?」
「そっちか」
なんかそれだとやれる状況ならやれるタイプにも解釈できる気がする。
とはいえ口に出して少し楽になった。何でもない風に遼祐がいなしてくれたのも助かった。
多分…景には言えないし。こんな情けない話。
「次なんだっけ」
「英語」
「げ、西山か」
「真加苦手だよな」
「なんかやたら当てられるし当たりきつい気がする」
ちょっと理屈っぽそうな男の英語教師で、気のせいかよく当たりし、難しい問題ばかり当てられる気がする。
「ん……まあ、気難しそうなおっさんだし、真加にだけじゃないだろ」
「そうだよなー」
のんびり遼祐と話していると、お昼休みがもう終わりかけだった。
慌ててお弁当を食べ込んで、そそくさと次の授業の準備を始めた。
「ねえ、英語の西山…先生知ってる?」
王子様は忙しい。同じ学園、同じ寮でも当たり前のように会えるわけじゃない。
今日は夕食後の就寝まで景の部屋で過ごしていた。
ソファに並び座ると、自然と肩がくっくつくらいの距離になる。
「うん。知ってるよ。私たちの学年のSクラスからBクラスまで教えてたのかな。今年はSクラスがなくなってAクラスからCクラスまで。何かあった?」
茶髪の髪に綺麗な瞳。誰が何と言おうと王子様だ。
景と付き合ってから、なんか余計にドキドキするようになった気がする。もっと落ち着けるかと思ってたのに。
もう寝るだけだから、ゆるいスウェットを着ていて、普段は見れない首元が覗くのに手が離せない。
「いや、そういうわけじゃなくて…!」
付き合ってから景がやたら過保護なことを知った。
いとこがあんなんだったから、というのもあるかもしれないが、真加に何かないかやたら心配している。
でも、真加もそんなにやわじゃないし、心配をかけたくないから、小さないざこざは何も言ってない。なんかダサいし。
(ちょっとどんな人か聞きたかっただけなのに…失敗した)
「今まで授業無かったから、どんな感じだろってシンプルに思っただけ。なんかスパルタって感じだよな」
本当は陰湿って言いたかったけど言えなかった。
「確かに、西山先生の授業はみんなピリピリしてたかな」
「ふーん。Sクラスでそれなら相当だね」
王子様や本当にやんごとなき方々がいるクラスでそれなら、真加に当たりがきついのも当たり前だ。
「そんなに厳しいの?やっぱり何か言われたの?」
心配そうに腰を抱かれて顔を覗き込まれる。あまり真面目に逆らうと、洗いざらい吐き出してしまいそうなので……話題を逸らした。
「今までの英語の先生優しかったからびっくりしただけ…!あ、景あの…今日もお弁当おいしかったよ。ありがとう。俺の好きなやつばっかり」
そういうと景は顔をパアッと輝かせた。
「本当?真加は甘辛い味付けが好きだよね。一応バランスにも気を使ってるんだ」
景の部屋にはキッチンなどの設備を一式揃っている。
何で情報を得たのかはわからないが、学生らしいことをしたい景は真加にお弁当を作り始めた。
恐れ多すぎて、当初は白目を剥いてなかなか受け入れ難かったものの、「たまに真加も手伝う」「毎日は作らない」という折衷案で何とかなっている。
最初は可愛らしいお弁当だったのに、最近は栄養バランスや色味がかなり考えられている気がする。
何させても天才だなあと思う。
「俺にも教えて?土日作り置き、一緒にしよう」
「もちろん」
この上なく幸せ。ちょっとしたあれそれはあるけど、2人で頑張っていくって決めたし、その気持ちは揺らがない。
(……でもやっぱり、カンニングのことは言えないな)
付き合ってても、万事が解決するわけじゃない。
ゴールじゃなくてスタートだったんだと、最近ようやく気づき始めてる。
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