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数日が経った。
僕は研究所の一室で支援物資用の、数種類の薬草と濃縮エーテル液と精製水をブレンドした回復水を作っては小瓶に詰めながら、息を零した。
南西の砦の戦況の連絡は、忙し過ぎるのか、まだここまでは届いてきていない。
隣で僕と同じ作業をしていたリリオが、僕を見て、同じように溜め息を吐いた。
「ちょっと、溜め息つきすぎだよ~、サーナ~。ほらほら、元気出してこ~! 回復水の中には、元気も一杯詰めなくちゃね! ラディさ──いえ、ラディウス様も飲むかもしれないでしょ~?」
「そうよ。これはラディウス様たちに届ける物資なのだから。一つ一つ丁寧に、しっかり作りなさい」
僕たちの先輩でもあるアディート女史が、少し目尻の上がった瞳をきらりと光らせた。
さらさらとした黒髪は綺麗に乱れなく頭のうしろに纏められている。赤い口紅も綺麗に塗られ、どこにもはみ出しも擦れもない。身だしなみは完璧だ。どんなに動いても髪も服装も崩れないのは、いつもすごいと思う。
リリオ情報によると、女史のヒールにぐりぐり踏まれてみたい、教鞭で叩かれてみたい、という研究員が一定数いるらしい。 なにが楽しいのかよくわからない。想像するだけで、ものすごく痛そうだ。
物言いは少し厳しいが、なんだかんだと僕たちの世話を焼いてくれる姉御肌な、頼れる先輩である。
「わ、分かってます。すみません、先輩。しっかり作ります」
僕は心配事を心の中の保留用の棚にしまって閉じて、一度だけ頭を振ってから、作業に専念する事にした。
「でもまあ、サーナの気持ちも、分からないでもないけどね~? 連絡無いのは、ちょっと気になるよね~。どうなってるんだろう~?」
「あのねえ、君たち。いい? ラディウス様たちが向かったんだから、心配は全くの無用よ。余計な事は考えず、私たちは私たちの出来る事をすればいいの。わかった?」
「はあーい~」
「はい……」
アディート女史が、ちょっとだけ手を止めて、顎に手を添えて、考える仕草をした。
それから何か聞きたそうな顔で、僕とリリオを交互に見る。
「……私、気になってる事がひとつだけあるのだけど。少しだけ、聞いても良いかしら?」
「女史が気になってる事ですか~?」
リリオが目を煌めかせた。噂話やゴシップ系の話題が出た時によく見る、興味津々ワクワクした子供みたいな表情で。
噂話なんて馬鹿馬鹿しいと鼻で笑う女史がそんな話題を振ってくるとは到底思えないけど、リリオの反応を見るに、もしかして、珍しくこれはゴシップ系の話なのかもしれない。
そういう時のリリオの察知能力には目を見張るものがあるのを、僕はよく知ってる。
「あの話って……どうなのかしら?」
「あの話って~?」
女史が、僕の方を見て、メガネをキラリと光らせた。
「あれよ。……サーナーティオ君、聞いてないの?」
「あれ、って? 聞く? 誰からでしょうか」
「だから、あれよ。彼から、聞かされてないのかしら?」
「ですから、あれってなんですか? 彼、って……?」
あれ、ではさっぱり分からない。それって、なんの事を指しているのか。そして彼とは誰のことだろう?
僕が首を傾げていると、リリオが元気よく挙手した。
「──はいは~い、女史! サーナの鈍感力は他の追随を許さないぶっちぎり優勝レベルであり、目を見張るものがあるので、はっきりすっぱり聞いた方が早いです」
なんだよそれは。ていうか、リリオには言われたくない台詞ナンバーワンだ。
「……確かにそうね。じゃあ、聞くけど。ラディウス様はようやく──ご結婚なさるのかしら?」
「へ……?」
けっこん?
結婚。
結婚、って……何。
ああ、ああ、大丈夫だ。僕は大丈夫。
聞かなくてもそれぐらい、僕でも知ってる。もちろんだとも。
誰かと誰かが結ばれること。そして、末長く、命終る時まで寄り添い合うこと。
それを神様の御前で、誓い合う神聖な儀式のことだ。
ちゃんと知ってる。
知ってるけど……
……──誰と、誰が?
「あわわわサーナが固まってる~……!? 顔も真っ青だ~!? しっかり、しっかりして、サーナ! 息して! ほら、スー、ハー! お願いだから!」
「……ぁ……けほっ、し、してるよ、息ぐらい。背中、そんなに叩いたら痛いよ、リリオ」
「ごめん~! でも、よかった……立ったまま気絶しちゃうのかと思ったじゃん~! 倒れたらどうしようって、うう、焦ったよお~!」
「しないよ! もう……」
リリオが半泣きで、それでも良かった良かったと言って僕の背を撫でた。確かに一瞬息が止まった気もしたけど、死ぬほどではない。心臓止まるぐらい、びっくりはしたけど。
僕は大丈夫だ。
うん。
大丈夫。
「あら、その様子だと……聞かされてはいないのね? うんん……それなら、やっぱりあの話は、単なる誰かさんの早とちりにすぎなかったのかしら。ああ、でも。変ね。……こないだ、ラディウス卿とその御友人がーーそろそろいい加減区切りをつけてもいい頃合いだよな、って意味深な話をしているのを、研究員の女の子達が聞いたって騒いでたのよ。それに……先日。宝飾店の友人から、指輪作成の相談を受けたって聞いたものだから。それも……二人分の。私、友人にものすごい剣幕で問い詰められて詰め寄られて、もう大変だったんだから。本人に直接聞けっての!」
「え、ええ~!? マジでえええ~!? それに、指輪あああ~!?」
「ゆびわ」
「そう、指輪。確か──可愛らしい花をあしらったデザインを依頼された、って言っていたわ」
「かわいらしい、花……」
「ちょ、サーナ!? しっかり、しっかりして! また顔が青くなってるよ! 息して!? だ、大丈夫だよ~! あ~、僕、わかった! もしかしてそれって、サーナへのプレゼントかもよ~?」
僕は、首を……横に振った。
花。
可愛らしい、優しい花の香りがしたのを、その香りを、まだ覚えている。
それに、可愛らしい花の意匠なんて、どう考えてみても、こんな僕には、到底似合わない。
そういうのは、可憐な女の子が似合うだろうし、喜ぶものだろう。
「……こないだ、ラディ、花の香り、して帰ってきたんだ。それ、僕の知らない、香りで……」
「うええええ~!? 待って待って、ちょ、いつの話さ、それえええ~!?」
「……王女様の、誕生会の、日」
「ええ……!? 待って、あら、私てっきり……ちょっと待ってちょうだい……え!?」
リリオと、珍しく女史が目を丸くして、僕を凝視した。
僕は二人の顔を交互に見てから、頷いた。
「……うん。多分、そういうこと、なのかもしれないね」
なのかも、ではなく。
おそらく、そういうことなのだろうと思う。
なんだよ。ラディの奴。水臭いなあ。
言ってくれれば、綺麗な可愛らしい花の薬草を束ねて、とびっきり素敵なブーゲを作ってあげるのに。
「……多分、討伐から帰ってきたら……落ち着いてから、話してくれるつもりなのかもしれません」
「そ、そうかな~!? 僕、絶対、サーナの考えてるのとは違うと思うけどな~……!?」
「と、とにかく。話は、直接本人から聞いてみた方がいいわ。ね、サーナーティオ君」
「……はい。そうすることにします」
僕は二人に頷いてから、作業を再開した。
支援物資用の作成リストはいっぱいなのだ。手を止めている暇はない。
そうだ。たくさん、たくさん作らなければ。
皆の為に。
ラディの、皆の健康と、幸せの為に。
ラディが、皆が元気だと、僕も嬉しい。こんなしがない僕でも、ラディの、皆の、誰かの役に立てられることがあるっていうのは、嬉しい事だし、とても誇らしい。
薬草達は、愛情もって育てたら、花もつけてくれるし、実もつけてくれる。
ちゃんと答えてくれる。
嬉しいって気持ちがなんとなく伝わってくるような気がするし、僕も嬉しいし、楽しい。
だからこれは、僕が一生かけて打ち込める、僕の天職なのだ。
だから、大丈夫。
一人になったって、平気。
そうだ。それに。
ラディと一緒にいられなくなっても……僕たちは、一生、友人なんだし。
それは、ずっと、変わらない。
だから──
大丈夫。
胸が痛くなるような事なんて、これっぽっちも、何一つ、ないのだ。
* * *
ある日、仕事帰りに食材の買い出しをしていると。
ふと、花の香りを感じた。
覚えのある、優しい、甘い、柔らかな花の香りの──
視線で探すと、その人はいた。
薄紅色の日傘を差して、従者の青年と、身の回りのお世話をしているらしき侍女を連れて。
楽しそうに、色とりどりのお菓子が並ぶ店の前で、選んでは手に持った小さな篭に入れていた。
とても可愛らしい、優しげでおっとりした、美しい少女だった。
柔らかに波打つ琥珀色の髪に、陶器のように白い肌。やわらかな薄紅色の瞳と唇。
まるで、可憐な花のような。
思わずじっと見てしまっていると、少女は僕の視線に気づいてしまったようで、振り返って僕を見てから少し目を見開いて、それから花が咲くように微笑んだ。
小首を傾けて優雅な仕草で会釈してきたから、僕も慌てて会釈を返した。
少女はどうしてなのか立ち去るどころか僕に近寄ってきて、僕は焦った。不躾にじっと見てしまっていたのを怒っているのだろうか。でも笑みを浮かべているから怒っているのではなさそうだ。
僕は逃げ出したかったけど、どうにも緊張し過ぎて混乱していて、その場から動きだせなかった。
「こんにちは。あの、もし。貴方は……いつも治療院の薬草園におられる……方かしら?」
「えっ!? 僕の事、知ってるんですか?」
少女が嬉しそうに笑った。
「ええ。兄が騎士をしておりまして。時々、覗きにいった時に、よくお見かけしていましたから」
え、そうなのか。
わからない。僕は全く気付かなかった。
どう返事を返したものか悩んでいると、少女が口元に手を当て、鈴を転がすようなという表現がぴったりの、とても可愛らしい声で笑った。
「うふふ。貴方は一生懸命、薬草の方ばかりを見てらしたから。私が見ていたのにはお気付きになられていないと思いますわ。ラディウス様とも、とても仲がよさそうでしたね」
「ふえっ!? あ、えーと、まあ、あの……その、友人、ですから……小さい時から、一緒で……」
「ふふ。そのようですね。ラディウス様から、お聞きしておりますわ」
僕は、ハッとして少女を見た。
それはいつ何処で聞いたんですか、と聞きたかったけど、どうにか飲み込んだ。なんだか、問い詰めてしまうみたいになりそうだったから。
それは上流貴族の御令嬢に対して、あまりに無礼が過ぎる。僕はしがない下流貴族の出身だ。この無礼者め!と側に控える目つきの恐い従者に打ち据えられるだろうことは、目に見えている。
「ふふ。ラディウス様はお優しい方ね。そして、とっても……素敵な方」
少女は夢見るような顔をして、ほんのりと頬を染めた。
「先日、私を屋敷まで送って下さったの」
心臓が、大きく跳ねた。
「送って──……」
ああ。
やっぱり。そうか。そうなのか。
あの日──あの、数多の王侯貴族が集まる、祝賀会の日。
彼女を、家まで……送ってきたんだ。
優しい花の香りが、控えめに、けれども甘く、辺りに漂っている。
花のように可憐な少女は、夢見るように言葉を続けた。
「道中、いろいろとお話しもして下さって。とても楽しい、素敵なひとときでしたわ。今度、御礼を申し上げに御伺いしたいのですけれど……ラディウス様は、いつ、お帰りになられるのかしら?」
僕は、少女から目をそらして俯き、首を横に振った。
「すみません。……僕にも、それは分かりません……けれど、近いうちには……」
「あら、そうなのですか? では、もし御会いしたら、宜しくお伝え下さいませね。フローレが、御礼を申し上げに御伺いしたいと申し上げておりました、と。次にお会いできる日を、心より楽しみにお待ちしております、と」
「……ええ。会えたら」
僕はどうにかそれだけ伝えると、背を向けて、人込みの中へと足早に駆け込んだ。
* * *
ようやく、南西の砦から魔物討伐完了の報告が届いた。
今は動ける者総出で砦の補修や事後処理をしているらしく、それが一段落すれば、ラディ達は帰ってこれるらしい。
ラディが行く前に言っていた、二週間まで、あと残り数日。
あと残り数日、待っていれば、ラディたちが帰ってくる。
そんなある日の、休日。
屋敷のテラスで、お手伝いを申し出てくれた執事さんと一緒に、干し野菜と干し薬草を作っていたら、来客があった。
一緒に玄関まで行ってみると、一人の男性が立っていた。
上品で高級そうなビロードの服と、同じ生地で作られた丸みを帯びた帽子を被り、艶やかで滑らかな生地で作られたコートを羽織っている。
帽子には、鮮やかな宝石で作られた羽飾り。
その腕には、黒い艶やかな布が張られた、平たい箱を丁寧に抱えていた。
「こんにちは。ベルジュロネット宝石店のデザイナーをしている、フェニコッテロと申す者です。ラディウス様は、ご在宅ですか?」
僕と執事さんは、顔を見合わせた。
「ええと、あの、ラディは……まだ──」
「お客様。大変申し訳ございません。ラディウス様はお仕事でお出かけになられておりまして、まだ屋敷にはお戻りになられておりません」
思わず二人同時に返事を返してしまうと、おしゃれな洋装を纏った紳士は僕たちの顔を交互に持て、至極残念そうに眉根を下げた。
「おお……、なんと……そうなのですか。試作品が出来上がりましたので、一度確認して頂き、ご意見を伺おうと思ったのですが……うーん。困ったな」
「試作品?」
「ええ。ご依頼頂いた指輪の試作品です。お聞きになって、おられませんか?」
指輪。
僕は瞬間、息を飲み込んだ。
それから、ゆっくりと首を……横に振った。
「……はい。……僕は……聞いて、いません……」
もしかしたら執事さんは何かを知っているかもしれないと振り返ってみたけど、執事さんのほうも知らなかったらしく、戸惑った様子で首を横に振った。
なんてことだ。執事さんも知らなかったなんて。ということは、この指輪はーー
……誰にも秘密にしていたもの、だということ。
「恐れ入りますが、フェニコッテロ様。本当に、ラディウス様からのご注文の品、なのでしょうか?」
「おや、お疑いになっておられるのですか? 真実ですよ。注文証書もここに、お持ちしております。御覧になられますか?」
「注文証書……」
僕と執事さんは再び顔を見合わせた。
「サーナーティオ様……」
戸惑うような執事さんの視線に、僕は頷いてみせた。とにかく、見て確認してみないことにはなんとも言えない。
「……立ち話も申し訳ないですから、どうぞ、中へ」
テーブルの上に丁寧に広げて置かれたのは、綺麗な紙に、繊細な金色の装飾が描かれた、美しい注文証書。
そして……そこには、紛う事無き、ラディのちょっとくせのある、右はね気味な筆致のサインが書かれてあった。
マジだった。
女史の話は、本当だった。
いや、本当だろうとは自分でも覚悟し、いや、思っていたけれども。
「……確かに。これは……ラディが書いたものですね」
「信じて頂けましたか?」
僕と執事さんは、じっと注文証書に目を落としたまま、同じように膝を揃えて並んで座り、同時にこくりと頷いた。
執事さんが、白い手袋をした手で顎を撫でながら、小さく唸った。
「……うむむ……この指輪の土台は……もしや、聖山の白聖銀、なのでしょうか? もしそうであるなら、……これは……」
「ふふ、なかなか良い目をお持ちですね! お気付きになられましたか! そうですとも。これはーーもしかしなくとも、誓約の指輪のおつもりで、当店にご依頼されたのでしょう。
いやはや、誠に、大変、お目出度いことです。そして、あのラディウス様、御自らより頂いた御注文。恐れ多くもありがたく、そして細工職人としての腕が鳴るというもの」
紳士が、やる気満々な様子で腕を叩き、笑みを浮べた。
「御覧になられますか? とても可愛らしく仕上がっていると、我ながら思っております」
僕はテーブルの上に置かれた、黒くて高級そうな布張りの平箱を見つめながら──首を横に振った。
「……いえ。……友人の僕が、最初に見る訳にはいきませんから」
可憐な花をイメージした指輪の試作品を、一番最初に見るべきなのは────ラディと、花のように可憐なあの少女であるべきだろう。
紳士は見てほしかったようで、とても残念そうに、そうですかと言って肩を落とした。
「ラディ──ラディウスは、もう少ししたら、戻ってくると思います。そうしたら、僕から伝えておきます。これは、引き続き、そちらでお預かりしておいてくださいませんか?」
「了解致しました。では、一旦、こちらは持ち帰らせて頂きましょう。ラディウス様のお早いお帰りを、心よりお待ち申し上げております」
宝石店の紳士は、傍から見ても随分と楽しげな足取りで帰っていった。
「サーナーティオ様……」
玄関先で見送っていると、執事さんが、何故だか気遣わし気な感じで声を掛けてきた。
僕は振り返って、どうにか笑みを浮べ返して、頷いてみせた。
「大丈夫です。お気になさらなくても、できるだけ早めに……僕は、ここを……出ていこうと、思っていますから」
「いえ! いえ、違います! 違うのです。お待ち下さい、サーナーティオ様。そういう事ではなく──」
「分かっています。分かっていますから。大丈夫。……ただ、もう少しだけ……もう少しだけ、時間を下さい」
僕は足早に、呼び止められたけど聞こえない振りをして、自分の部屋へと向かった。
僕は研究所の一室で支援物資用の、数種類の薬草と濃縮エーテル液と精製水をブレンドした回復水を作っては小瓶に詰めながら、息を零した。
南西の砦の戦況の連絡は、忙し過ぎるのか、まだここまでは届いてきていない。
隣で僕と同じ作業をしていたリリオが、僕を見て、同じように溜め息を吐いた。
「ちょっと、溜め息つきすぎだよ~、サーナ~。ほらほら、元気出してこ~! 回復水の中には、元気も一杯詰めなくちゃね! ラディさ──いえ、ラディウス様も飲むかもしれないでしょ~?」
「そうよ。これはラディウス様たちに届ける物資なのだから。一つ一つ丁寧に、しっかり作りなさい」
僕たちの先輩でもあるアディート女史が、少し目尻の上がった瞳をきらりと光らせた。
さらさらとした黒髪は綺麗に乱れなく頭のうしろに纏められている。赤い口紅も綺麗に塗られ、どこにもはみ出しも擦れもない。身だしなみは完璧だ。どんなに動いても髪も服装も崩れないのは、いつもすごいと思う。
リリオ情報によると、女史のヒールにぐりぐり踏まれてみたい、教鞭で叩かれてみたい、という研究員が一定数いるらしい。 なにが楽しいのかよくわからない。想像するだけで、ものすごく痛そうだ。
物言いは少し厳しいが、なんだかんだと僕たちの世話を焼いてくれる姉御肌な、頼れる先輩である。
「わ、分かってます。すみません、先輩。しっかり作ります」
僕は心配事を心の中の保留用の棚にしまって閉じて、一度だけ頭を振ってから、作業に専念する事にした。
「でもまあ、サーナの気持ちも、分からないでもないけどね~? 連絡無いのは、ちょっと気になるよね~。どうなってるんだろう~?」
「あのねえ、君たち。いい? ラディウス様たちが向かったんだから、心配は全くの無用よ。余計な事は考えず、私たちは私たちの出来る事をすればいいの。わかった?」
「はあーい~」
「はい……」
アディート女史が、ちょっとだけ手を止めて、顎に手を添えて、考える仕草をした。
それから何か聞きたそうな顔で、僕とリリオを交互に見る。
「……私、気になってる事がひとつだけあるのだけど。少しだけ、聞いても良いかしら?」
「女史が気になってる事ですか~?」
リリオが目を煌めかせた。噂話やゴシップ系の話題が出た時によく見る、興味津々ワクワクした子供みたいな表情で。
噂話なんて馬鹿馬鹿しいと鼻で笑う女史がそんな話題を振ってくるとは到底思えないけど、リリオの反応を見るに、もしかして、珍しくこれはゴシップ系の話なのかもしれない。
そういう時のリリオの察知能力には目を見張るものがあるのを、僕はよく知ってる。
「あの話って……どうなのかしら?」
「あの話って~?」
女史が、僕の方を見て、メガネをキラリと光らせた。
「あれよ。……サーナーティオ君、聞いてないの?」
「あれ、って? 聞く? 誰からでしょうか」
「だから、あれよ。彼から、聞かされてないのかしら?」
「ですから、あれってなんですか? 彼、って……?」
あれ、ではさっぱり分からない。それって、なんの事を指しているのか。そして彼とは誰のことだろう?
僕が首を傾げていると、リリオが元気よく挙手した。
「──はいは~い、女史! サーナの鈍感力は他の追随を許さないぶっちぎり優勝レベルであり、目を見張るものがあるので、はっきりすっぱり聞いた方が早いです」
なんだよそれは。ていうか、リリオには言われたくない台詞ナンバーワンだ。
「……確かにそうね。じゃあ、聞くけど。ラディウス様はようやく──ご結婚なさるのかしら?」
「へ……?」
けっこん?
結婚。
結婚、って……何。
ああ、ああ、大丈夫だ。僕は大丈夫。
聞かなくてもそれぐらい、僕でも知ってる。もちろんだとも。
誰かと誰かが結ばれること。そして、末長く、命終る時まで寄り添い合うこと。
それを神様の御前で、誓い合う神聖な儀式のことだ。
ちゃんと知ってる。
知ってるけど……
……──誰と、誰が?
「あわわわサーナが固まってる~……!? 顔も真っ青だ~!? しっかり、しっかりして、サーナ! 息して! ほら、スー、ハー! お願いだから!」
「……ぁ……けほっ、し、してるよ、息ぐらい。背中、そんなに叩いたら痛いよ、リリオ」
「ごめん~! でも、よかった……立ったまま気絶しちゃうのかと思ったじゃん~! 倒れたらどうしようって、うう、焦ったよお~!」
「しないよ! もう……」
リリオが半泣きで、それでも良かった良かったと言って僕の背を撫でた。確かに一瞬息が止まった気もしたけど、死ぬほどではない。心臓止まるぐらい、びっくりはしたけど。
僕は大丈夫だ。
うん。
大丈夫。
「あら、その様子だと……聞かされてはいないのね? うんん……それなら、やっぱりあの話は、単なる誰かさんの早とちりにすぎなかったのかしら。ああ、でも。変ね。……こないだ、ラディウス卿とその御友人がーーそろそろいい加減区切りをつけてもいい頃合いだよな、って意味深な話をしているのを、研究員の女の子達が聞いたって騒いでたのよ。それに……先日。宝飾店の友人から、指輪作成の相談を受けたって聞いたものだから。それも……二人分の。私、友人にものすごい剣幕で問い詰められて詰め寄られて、もう大変だったんだから。本人に直接聞けっての!」
「え、ええ~!? マジでえええ~!? それに、指輪あああ~!?」
「ゆびわ」
「そう、指輪。確か──可愛らしい花をあしらったデザインを依頼された、って言っていたわ」
「かわいらしい、花……」
「ちょ、サーナ!? しっかり、しっかりして! また顔が青くなってるよ! 息して!? だ、大丈夫だよ~! あ~、僕、わかった! もしかしてそれって、サーナへのプレゼントかもよ~?」
僕は、首を……横に振った。
花。
可愛らしい、優しい花の香りがしたのを、その香りを、まだ覚えている。
それに、可愛らしい花の意匠なんて、どう考えてみても、こんな僕には、到底似合わない。
そういうのは、可憐な女の子が似合うだろうし、喜ぶものだろう。
「……こないだ、ラディ、花の香り、して帰ってきたんだ。それ、僕の知らない、香りで……」
「うええええ~!? 待って待って、ちょ、いつの話さ、それえええ~!?」
「……王女様の、誕生会の、日」
「ええ……!? 待って、あら、私てっきり……ちょっと待ってちょうだい……え!?」
リリオと、珍しく女史が目を丸くして、僕を凝視した。
僕は二人の顔を交互に見てから、頷いた。
「……うん。多分、そういうこと、なのかもしれないね」
なのかも、ではなく。
おそらく、そういうことなのだろうと思う。
なんだよ。ラディの奴。水臭いなあ。
言ってくれれば、綺麗な可愛らしい花の薬草を束ねて、とびっきり素敵なブーゲを作ってあげるのに。
「……多分、討伐から帰ってきたら……落ち着いてから、話してくれるつもりなのかもしれません」
「そ、そうかな~!? 僕、絶対、サーナの考えてるのとは違うと思うけどな~……!?」
「と、とにかく。話は、直接本人から聞いてみた方がいいわ。ね、サーナーティオ君」
「……はい。そうすることにします」
僕は二人に頷いてから、作業を再開した。
支援物資用の作成リストはいっぱいなのだ。手を止めている暇はない。
そうだ。たくさん、たくさん作らなければ。
皆の為に。
ラディの、皆の健康と、幸せの為に。
ラディが、皆が元気だと、僕も嬉しい。こんなしがない僕でも、ラディの、皆の、誰かの役に立てられることがあるっていうのは、嬉しい事だし、とても誇らしい。
薬草達は、愛情もって育てたら、花もつけてくれるし、実もつけてくれる。
ちゃんと答えてくれる。
嬉しいって気持ちがなんとなく伝わってくるような気がするし、僕も嬉しいし、楽しい。
だからこれは、僕が一生かけて打ち込める、僕の天職なのだ。
だから、大丈夫。
一人になったって、平気。
そうだ。それに。
ラディと一緒にいられなくなっても……僕たちは、一生、友人なんだし。
それは、ずっと、変わらない。
だから──
大丈夫。
胸が痛くなるような事なんて、これっぽっちも、何一つ、ないのだ。
* * *
ある日、仕事帰りに食材の買い出しをしていると。
ふと、花の香りを感じた。
覚えのある、優しい、甘い、柔らかな花の香りの──
視線で探すと、その人はいた。
薄紅色の日傘を差して、従者の青年と、身の回りのお世話をしているらしき侍女を連れて。
楽しそうに、色とりどりのお菓子が並ぶ店の前で、選んでは手に持った小さな篭に入れていた。
とても可愛らしい、優しげでおっとりした、美しい少女だった。
柔らかに波打つ琥珀色の髪に、陶器のように白い肌。やわらかな薄紅色の瞳と唇。
まるで、可憐な花のような。
思わずじっと見てしまっていると、少女は僕の視線に気づいてしまったようで、振り返って僕を見てから少し目を見開いて、それから花が咲くように微笑んだ。
小首を傾けて優雅な仕草で会釈してきたから、僕も慌てて会釈を返した。
少女はどうしてなのか立ち去るどころか僕に近寄ってきて、僕は焦った。不躾にじっと見てしまっていたのを怒っているのだろうか。でも笑みを浮かべているから怒っているのではなさそうだ。
僕は逃げ出したかったけど、どうにも緊張し過ぎて混乱していて、その場から動きだせなかった。
「こんにちは。あの、もし。貴方は……いつも治療院の薬草園におられる……方かしら?」
「えっ!? 僕の事、知ってるんですか?」
少女が嬉しそうに笑った。
「ええ。兄が騎士をしておりまして。時々、覗きにいった時に、よくお見かけしていましたから」
え、そうなのか。
わからない。僕は全く気付かなかった。
どう返事を返したものか悩んでいると、少女が口元に手を当て、鈴を転がすようなという表現がぴったりの、とても可愛らしい声で笑った。
「うふふ。貴方は一生懸命、薬草の方ばかりを見てらしたから。私が見ていたのにはお気付きになられていないと思いますわ。ラディウス様とも、とても仲がよさそうでしたね」
「ふえっ!? あ、えーと、まあ、あの……その、友人、ですから……小さい時から、一緒で……」
「ふふ。そのようですね。ラディウス様から、お聞きしておりますわ」
僕は、ハッとして少女を見た。
それはいつ何処で聞いたんですか、と聞きたかったけど、どうにか飲み込んだ。なんだか、問い詰めてしまうみたいになりそうだったから。
それは上流貴族の御令嬢に対して、あまりに無礼が過ぎる。僕はしがない下流貴族の出身だ。この無礼者め!と側に控える目つきの恐い従者に打ち据えられるだろうことは、目に見えている。
「ふふ。ラディウス様はお優しい方ね。そして、とっても……素敵な方」
少女は夢見るような顔をして、ほんのりと頬を染めた。
「先日、私を屋敷まで送って下さったの」
心臓が、大きく跳ねた。
「送って──……」
ああ。
やっぱり。そうか。そうなのか。
あの日──あの、数多の王侯貴族が集まる、祝賀会の日。
彼女を、家まで……送ってきたんだ。
優しい花の香りが、控えめに、けれども甘く、辺りに漂っている。
花のように可憐な少女は、夢見るように言葉を続けた。
「道中、いろいろとお話しもして下さって。とても楽しい、素敵なひとときでしたわ。今度、御礼を申し上げに御伺いしたいのですけれど……ラディウス様は、いつ、お帰りになられるのかしら?」
僕は、少女から目をそらして俯き、首を横に振った。
「すみません。……僕にも、それは分かりません……けれど、近いうちには……」
「あら、そうなのですか? では、もし御会いしたら、宜しくお伝え下さいませね。フローレが、御礼を申し上げに御伺いしたいと申し上げておりました、と。次にお会いできる日を、心より楽しみにお待ちしております、と」
「……ええ。会えたら」
僕はどうにかそれだけ伝えると、背を向けて、人込みの中へと足早に駆け込んだ。
* * *
ようやく、南西の砦から魔物討伐完了の報告が届いた。
今は動ける者総出で砦の補修や事後処理をしているらしく、それが一段落すれば、ラディ達は帰ってこれるらしい。
ラディが行く前に言っていた、二週間まで、あと残り数日。
あと残り数日、待っていれば、ラディたちが帰ってくる。
そんなある日の、休日。
屋敷のテラスで、お手伝いを申し出てくれた執事さんと一緒に、干し野菜と干し薬草を作っていたら、来客があった。
一緒に玄関まで行ってみると、一人の男性が立っていた。
上品で高級そうなビロードの服と、同じ生地で作られた丸みを帯びた帽子を被り、艶やかで滑らかな生地で作られたコートを羽織っている。
帽子には、鮮やかな宝石で作られた羽飾り。
その腕には、黒い艶やかな布が張られた、平たい箱を丁寧に抱えていた。
「こんにちは。ベルジュロネット宝石店のデザイナーをしている、フェニコッテロと申す者です。ラディウス様は、ご在宅ですか?」
僕と執事さんは、顔を見合わせた。
「ええと、あの、ラディは……まだ──」
「お客様。大変申し訳ございません。ラディウス様はお仕事でお出かけになられておりまして、まだ屋敷にはお戻りになられておりません」
思わず二人同時に返事を返してしまうと、おしゃれな洋装を纏った紳士は僕たちの顔を交互に持て、至極残念そうに眉根を下げた。
「おお……、なんと……そうなのですか。試作品が出来上がりましたので、一度確認して頂き、ご意見を伺おうと思ったのですが……うーん。困ったな」
「試作品?」
「ええ。ご依頼頂いた指輪の試作品です。お聞きになって、おられませんか?」
指輪。
僕は瞬間、息を飲み込んだ。
それから、ゆっくりと首を……横に振った。
「……はい。……僕は……聞いて、いません……」
もしかしたら執事さんは何かを知っているかもしれないと振り返ってみたけど、執事さんのほうも知らなかったらしく、戸惑った様子で首を横に振った。
なんてことだ。執事さんも知らなかったなんて。ということは、この指輪はーー
……誰にも秘密にしていたもの、だということ。
「恐れ入りますが、フェニコッテロ様。本当に、ラディウス様からのご注文の品、なのでしょうか?」
「おや、お疑いになっておられるのですか? 真実ですよ。注文証書もここに、お持ちしております。御覧になられますか?」
「注文証書……」
僕と執事さんは再び顔を見合わせた。
「サーナーティオ様……」
戸惑うような執事さんの視線に、僕は頷いてみせた。とにかく、見て確認してみないことにはなんとも言えない。
「……立ち話も申し訳ないですから、どうぞ、中へ」
テーブルの上に丁寧に広げて置かれたのは、綺麗な紙に、繊細な金色の装飾が描かれた、美しい注文証書。
そして……そこには、紛う事無き、ラディのちょっとくせのある、右はね気味な筆致のサインが書かれてあった。
マジだった。
女史の話は、本当だった。
いや、本当だろうとは自分でも覚悟し、いや、思っていたけれども。
「……確かに。これは……ラディが書いたものですね」
「信じて頂けましたか?」
僕と執事さんは、じっと注文証書に目を落としたまま、同じように膝を揃えて並んで座り、同時にこくりと頷いた。
執事さんが、白い手袋をした手で顎を撫でながら、小さく唸った。
「……うむむ……この指輪の土台は……もしや、聖山の白聖銀、なのでしょうか? もしそうであるなら、……これは……」
「ふふ、なかなか良い目をお持ちですね! お気付きになられましたか! そうですとも。これはーーもしかしなくとも、誓約の指輪のおつもりで、当店にご依頼されたのでしょう。
いやはや、誠に、大変、お目出度いことです。そして、あのラディウス様、御自らより頂いた御注文。恐れ多くもありがたく、そして細工職人としての腕が鳴るというもの」
紳士が、やる気満々な様子で腕を叩き、笑みを浮べた。
「御覧になられますか? とても可愛らしく仕上がっていると、我ながら思っております」
僕はテーブルの上に置かれた、黒くて高級そうな布張りの平箱を見つめながら──首を横に振った。
「……いえ。……友人の僕が、最初に見る訳にはいきませんから」
可憐な花をイメージした指輪の試作品を、一番最初に見るべきなのは────ラディと、花のように可憐なあの少女であるべきだろう。
紳士は見てほしかったようで、とても残念そうに、そうですかと言って肩を落とした。
「ラディ──ラディウスは、もう少ししたら、戻ってくると思います。そうしたら、僕から伝えておきます。これは、引き続き、そちらでお預かりしておいてくださいませんか?」
「了解致しました。では、一旦、こちらは持ち帰らせて頂きましょう。ラディウス様のお早いお帰りを、心よりお待ち申し上げております」
宝石店の紳士は、傍から見ても随分と楽しげな足取りで帰っていった。
「サーナーティオ様……」
玄関先で見送っていると、執事さんが、何故だか気遣わし気な感じで声を掛けてきた。
僕は振り返って、どうにか笑みを浮べ返して、頷いてみせた。
「大丈夫です。お気になさらなくても、できるだけ早めに……僕は、ここを……出ていこうと、思っていますから」
「いえ! いえ、違います! 違うのです。お待ち下さい、サーナーティオ様。そういう事ではなく──」
「分かっています。分かっていますから。大丈夫。……ただ、もう少しだけ……もう少しだけ、時間を下さい」
僕は足早に、呼び止められたけど聞こえない振りをして、自分の部屋へと向かった。
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