【虐げヒロインはドSエリートに翻弄される】〜囚える鎖を放すか否か(仮)

光月海愛(こうつきみあ)

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S(藍野視点

目覚め

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 鈍い音がした。

 まるでホームランを打ったかのように、心がスカッとした。

 ドッ、と父が母の上に倒れた。

 ――やった、と思ったの束の間、父はぬっと起き上がり、振り返って俺を憎々しい目で見上げていた。

「ゆう、せい、お前……この」

 血が出た後頭部を押さえながら、立ち上がろうとする。
 反撃されると思った俺は、もう一度、酒瓶を振り下ろした。
 しかし、

「雄星、やめて!」

 父に殴られ、腫れ上がった顔の母が、父を庇い俺を制した。

 ″このひとを殺さないで″

 血と涙でぐちゃぐちゃになりながら、悪魔のような男を守ろうとした。

 依存という言葉はまだ知らなかったけれど、こんな目に遭っても尚、母にとって父は絶対的な存在なのだと思い知らされた。

 それでも、俺に危害を及ばさないために別れを決意したようだ。
 その後、弁護士を通して離婚した。


 

 俺は母の実家で高校まで世話になり、大学に入ってから一人暮らしを始め、成人した頃から俺の歪んだ性癖が表れるようになってきた。

 ある夜。バイト先で知り合った女とホテルに行った。チーフで俺の直属の上司でもある女は、まだ三十歳には届かない年頃だったと思う。時給を上げる話の流れから誘われてしまった。

「ねぇ、雄星、乳首舐めてよ」

 そいつは、自称Мだと言っていたのに、俺にあれをやれ、これを舐めろと色々指図してきて、むしろSに近かった。言われた通り揉んだり吸ったり舐めたり尽くしていたが、次第に腹が立ってきた。
 咥えていた乳首を噛み、痛がる女の顔に枕を投げつける。

「ちょ、何するの?」
「うつ伏せ」
「え?」
「顔見せないでヤラせて」

 女は屈辱的な目をしたが、言う通りベッドの上でうつ伏せになった。
 これでいい。
 可愛くもない、好きでもない女の歪んだ顔を見たって刺激されない。
 気持ちよくない。

 腰を高く上げさせて、前戯もなしに突っ込んだ。
 女は痛いと声を漏らしていたが、構わず突き続けた。

「お尻、痔があるの、強く打ち付けないで」

 萎える事を言うなよ。
 女の後頭部をマットに押し付けた。

 それでもモゴモゴと何やら文句を垂れてきたから、髪を引っ張って行為を続けてうちに、ようやく女が自分から腰を使うようになってきた。ヌレヌレだ。

 Мなのは本当らしい。

 腰を回し、胎内をかき混ぜながら、ふと、昔見た両親の性行為が頭を過った。

 あんなに嫌悪していたはずなのに、今の自分は同じようなセックスをしていて滑稽だな、と冷静に思った。





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