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玩具
おもちゃ
しおりを挟む先輩が連れてきてくれた店は、店員も品があって静かに客を見守っている感じ。
高級ブティックっていうの?
「こんな高そうな店入ったことない……」
私の私服なんて、お父さんにネットで買ってもらったり、友達と行って小遣いで買えるような店のものばかり。
「この店のは質がいいんだよ。女モノの服は、俺もたまに着るから」
「え」
美徳先輩って、確かに中性的で女モノ似合いそうだけど……。
下半身は男でも、ちょっと女性寄りだったりする?
「ほら、これ、着てみろよ。似合ってたら即買い。あんまり時間ないし」
「これ?」
無造作に商品を取って、先輩が渡してくれたのは、
「い、今、冬ですよ?」
「わかってるわ」
ノースリーブのピッタリワンピースだった。
しかも、真っ赤なキラキラした生地。
「早く試着してこいよ」
先輩って、こういう服が好みだったんだ。
「色白な肌に映えますね、結婚式か何か?」
試着室から出てきた私を店員がまぶしそうに見る。
「……え、あ、いえ」
眩しいのはもちろんキラキラの生地。
「先輩……こんな服買ってもらっても、私、着ていくところが……」
躊躇う私をチラッとだけ見た美徳先輩は、
「それでいい」
と、一言だけ返して、さっさと精算を済ませる。
「値札切って貰ってそのまま着てろ」
制服姿がマズイって言って、これはあまりにもイケイケじゃない?
「ありがとうございましたー」
お店から出て、一人、場違いの格好をした私を皆がじろじろ見ている。
メチャクチャ恥ずかしいんだけど。
「お前、門限、何時?」
「え?門限ですか? 何時だろ? いつも、7時には帰宅してますけど」
「……真面目そーだもんな、あんた。じゃ、家に電話しな、遅くなるって」
……遅く……?
「俺の事、まだ、好きなんだろ?」
先輩の言葉に戸惑う私を、少し笑って見るその顔……。
やっぱり、なにか企んでる?
「……あ、あの、それは、好き、といえば好きですけど、でもセフレは嫌で……」
そして、もじもじする私を少しイラっとした顔で睨み始めた。
「どうすんだよ? 俺と遊びたいの? 遊びたくねーの?」
″ 遊び″
また、胸がチクリとする。
女を捌け口だと言い切った美徳先輩。
きっと、楽しい遊びだけじゃないような気がするけれど、
「遊びたいです」
先輩がいない日常はツマラナイって、わかったし、先輩と仲良くなりたいって気持ちの方が強くなって、
「よし、セフレじゃなくていい、セックスなしの俺のオモチャになれ」
意味深な言葉にも、何だか愛着さえ感じて、
「はい」
スタスタと歩く先輩の後を付いていった。
ーーー着いたのは、
「ここは?」
妖しい雰囲気の店。飲み屋?
「俺の仕事場だよ」
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