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誰?
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こんなことってある?
今、確かに葉築さんだったよね?
襲われる私を見たよね?
去られた事で、頭は余計にパニックになり、バタバタと無駄な動きで立道を拒絶し続ける。
「……いい加減にしてっ!」
「いい加減に諦めるのはお前だよっ!」
血走る立道の呼吸は、かなり早くなっていた。
とうとうブラジャーも押し上げられる。
胸に刺さる屈辱的な視線。
「……見た目よりは、あるんだな」
葉築さん、この状況を見て、まさか、お邪魔虫だと思った?
それとも、私とは絶対に関わりたくなかった?
「……やっと静かになったな」
私が信と別れた事で、こんなにも態度を急変してしまう葉築さんの気持ちが分からなくて、それでもまだ離れたくない自分が情けなくてーー
溢れた涙で息が苦しくなってきた私を、容赦なく触ってくる立道。
もう、色々と諦めかけていたのだけど……。
「立道さん、レイプはマズいんじゃないすかね」
葉築さんがドアを開けて再び現れ、ようやく立道の暴走が止まった。
今度こそ、葉築さんに気が付いた立道は、私から慌てて離れると、
「レイプじゃねぇし! 駆け引きだし!」
「駆け引き? 意味がわかんないです」
「お前だって、ここでヤってたんだろ?こいつと! 俺は挑発に乗せられただけだ!」
あくまでも強姦ではないと吐き捨てて、退社認証もせずに走って逃げてしまった。
ようやく、床から起き上がる事ができた私は、もう、何度も見られて恥ずかしくないはずの肌を取り敢えず隠した。
静かで冷めた空気。
葉築さんは私を抱き起こすわけでもなく、横をスッと通り過ぎると、自分のデスクに座った。
「お、あった。これこれ。持っていかなきゃ意味がない」
まるで、私を見ない事に徹してるみたい。
一体、なんなの?
震える手で下着を直しながら、
「ありがとうございました、……助かりました」
一応、お礼は言った。
すると、見ていた書類から顔を上げた葉築さんは、まだ乱れ残してる私に視線を移して、
「鷲塚さんを助けたんじゃない。自分の為に、会社を守ったんだ」
予想よりも遥かに冷たい言葉で、私を突き放した。
″ 鷲塚さんを……″
この前、やっと伊織と呼んでくれるようになったのに。
ここまで変わる?
「私が、彼氏と別れた事がそんなにマズかったの? それとも、みんなに噂されてるから?」
最近、ずっと自問自答してきた疑問を、嫌われるのを覚悟で投げ掛けた。
もう、構わない。
だって、さっき、一度は私を見捨てた人だもの。
止まらない涙を隠すことなく、書類やら仕事の為の動きをする彼をじっと見守る私に、……葉築さんは、
「……そうじゃない。もう、分かったからだよ」
観念したように答えた。
「……? 分かった? 何が?」
椅子から立ち上がり、ゆっくりと私の方へ近寄ってくる。
今度は、葉築さんとドアとの間に挟まれた。
怖くはないけど、……なに?
彼の、白く冷たい指が、私の口元をなぞる。
微かにゾッとした。
「鷲塚さんが、略奪愛に夢中になる人だってこと。そうなったら、周りの人間の気持ちなんて蔑ろにしてしまうって事がだよ」
客観的かつ突き放した言葉……。
私は、何も言えなかった。
つい、この前まで、お互いに罪を背負った共犯者だったのに。
この人は。
一体、誰なの?
今、確かに葉築さんだったよね?
襲われる私を見たよね?
去られた事で、頭は余計にパニックになり、バタバタと無駄な動きで立道を拒絶し続ける。
「……いい加減にしてっ!」
「いい加減に諦めるのはお前だよっ!」
血走る立道の呼吸は、かなり早くなっていた。
とうとうブラジャーも押し上げられる。
胸に刺さる屈辱的な視線。
「……見た目よりは、あるんだな」
葉築さん、この状況を見て、まさか、お邪魔虫だと思った?
それとも、私とは絶対に関わりたくなかった?
「……やっと静かになったな」
私が信と別れた事で、こんなにも態度を急変してしまう葉築さんの気持ちが分からなくて、それでもまだ離れたくない自分が情けなくてーー
溢れた涙で息が苦しくなってきた私を、容赦なく触ってくる立道。
もう、色々と諦めかけていたのだけど……。
「立道さん、レイプはマズいんじゃないすかね」
葉築さんがドアを開けて再び現れ、ようやく立道の暴走が止まった。
今度こそ、葉築さんに気が付いた立道は、私から慌てて離れると、
「レイプじゃねぇし! 駆け引きだし!」
「駆け引き? 意味がわかんないです」
「お前だって、ここでヤってたんだろ?こいつと! 俺は挑発に乗せられただけだ!」
あくまでも強姦ではないと吐き捨てて、退社認証もせずに走って逃げてしまった。
ようやく、床から起き上がる事ができた私は、もう、何度も見られて恥ずかしくないはずの肌を取り敢えず隠した。
静かで冷めた空気。
葉築さんは私を抱き起こすわけでもなく、横をスッと通り過ぎると、自分のデスクに座った。
「お、あった。これこれ。持っていかなきゃ意味がない」
まるで、私を見ない事に徹してるみたい。
一体、なんなの?
震える手で下着を直しながら、
「ありがとうございました、……助かりました」
一応、お礼は言った。
すると、見ていた書類から顔を上げた葉築さんは、まだ乱れ残してる私に視線を移して、
「鷲塚さんを助けたんじゃない。自分の為に、会社を守ったんだ」
予想よりも遥かに冷たい言葉で、私を突き放した。
″ 鷲塚さんを……″
この前、やっと伊織と呼んでくれるようになったのに。
ここまで変わる?
「私が、彼氏と別れた事がそんなにマズかったの? それとも、みんなに噂されてるから?」
最近、ずっと自問自答してきた疑問を、嫌われるのを覚悟で投げ掛けた。
もう、構わない。
だって、さっき、一度は私を見捨てた人だもの。
止まらない涙を隠すことなく、書類やら仕事の為の動きをする彼をじっと見守る私に、……葉築さんは、
「……そうじゃない。もう、分かったからだよ」
観念したように答えた。
「……? 分かった? 何が?」
椅子から立ち上がり、ゆっくりと私の方へ近寄ってくる。
今度は、葉築さんとドアとの間に挟まれた。
怖くはないけど、……なに?
彼の、白く冷たい指が、私の口元をなぞる。
微かにゾッとした。
「鷲塚さんが、略奪愛に夢中になる人だってこと。そうなったら、周りの人間の気持ちなんて蔑ろにしてしまうって事がだよ」
客観的かつ突き放した言葉……。
私は、何も言えなかった。
つい、この前まで、お互いに罪を背負った共犯者だったのに。
この人は。
一体、誰なの?
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