同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)【番外編非公開中】

光月海愛(こうつきみあ)

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朝チュンからの恋の自覚?

やらかした!

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 会場に到着し、神城社長が控室に入ってから、私と倉林さんは会場の確認を行った。
 三階の第四会場。既に着席している聴講者もいる。
 社内広報部の方もいて、壇上に向けて望遠レンズと脚立の準備をしていた。私と同年代位の男性だ。

「お疲れ様です。長野さん」

 倉林さんが声をかけると「お疲れ様です!」と嬉しそうに返し、隣の私に気が付く。

「え、噂の社長専属秘書の方?」

 眉がハの字を描きガッカリしているのが分かった。あまりのわかり易さにムっとはしなかったし、それが当然の反応だと思う。
 普通なら、秘書アシスタント→部長付秘書→役員付秘書→社長付秘書とレベルアップしていくらしく、私のようなケースは稀も稀で、よほど有能か縁故採用でないといきなり社長付秘書はない。他の秘書達が美人なら、そりゃあパーフェクトな美女を想像してしまうもの。

「親しみやすい雰囲気の方ですね」

 それは男が言われて微妙な「いい人そう」と同類の感想だよ。私はとりあえず笑って「ありがとうございます」と応えた。

「じゃあ、長野さん外部用にも撮影お願いしますね」

 倉林さんは優雅かつ急ぎ足で、他の控え室の方へと向かう。取引先の西洋紡の社長に手土産を渡す為だ。


「いやー、こちらから挨拶に伺わないといけないのに。今日は忙しい中、引き受けてくれてありがとうね」

 西洋紡の社長は還暦を過ぎた方で、貫禄と温厚さを兼ね備えた感じの人だった。

「身が引き締まる思いですが、精一杯お話させて頂きます」

 皆でお辞儀をし、倉林さんの目配せで私が神城社長に紙袋を渡した。
 袋から出した菓子箱を神城社長が「お口に合うと宜しいのですが」と、お相手に差し出す。

「おー、これ。うちの家内が凄く好きなんだ。黒豆ケーキだよね」

 しかし、綻んでいた先方の表情が急に不機嫌に歪んでいくのを私達は見逃さなかった。
 一体、どんな不備が? 
 私と倉林さんは菓子の箱を凝視する。

「残念。黒豆じゃなくて小豆だった」

 お菓子に目がないという西洋紡の社長は、外箱に目立たないように貼られた小豆色のシールを指さしていた。

「え」

 どういう事? 

 そして直ぐに心美が黒豆ではなく小豆ケーキを買っていた事を思い出した。恐らく店員が間違って渡しのだ。

「社内のお茶うけにさせて貰うよ」

 大事に至らなかったのだが――わざわざ予約して買ったのに、私が心美と喋りながら同じタイミングで精算した為、こんなミスが起きた。
 しかも西洋紡の社長は小豆アレルギーらしいのだ。食べる前に気が付いて何よりだったが、もし、そうでなかったらと思うと身の毛がよだつ。

「申し訳ありませんでした!」

「私も領収書にハッキリと黒豆ケーキと書いてありましたので、しかと確認しませんでした。申し訳ありません」

 倉林さんにも謝らせてしまったが、神城社長は無表情のまま、最終的な原稿のチェックをしている。

「分かったから、君達は先の説明を俺の分も聴いておいて」

 最後に登壇する社長は、それなりに緊張しているようだった。

「行きましょう。私達の仕事は他にもありますから」

 倉林さんが、いつもより覇気なく感じる。……私のせいだ。

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