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朝チュンからの恋の自覚?
長野さんとランチ
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「辛いの好き?」と聞かれて「嫌いではないです」と答えた私を、長野さんは会社近くのタイ料理の食堂へと誘った。
カウンター席に案内され並んで座る。
男性と外食って久しぶりだから落ち着かない。
とりあえず「会議お疲れ様」と、マトゥームというお茶で乾杯し、隣の長野さんをチラリと見る。
「あの」
「ん?」
「どうして私を誘ったんですか?」
ランチを社員同士一緒に食べたっておかしくはないのかもだけど。昔から異性の友達とかいない地味な私だからこそ、そのノリが分からない。
「いや、初めの印象通り親しみやすいし、話しやすかったから」
「そうですか?」
「うん。それにね、ちょっと気になって」
長野さんが食べていたグリーンカレーに視線を落としてポツリと言った。
「鈴木さんの涙」
「え……」
「パシフィックでの講演会の時。鈴木さん泣いてたでしょ?」
――見られてたのか。
「あまりに神城社長が眩しかったからですね」
半分嘘ではない気持ちを冗談めかして言った。
「確かに。目疲れしちゃう位神々しかったな、ヤツは」
長野さんは「あー、ビール飲みてぇなぁ」と言いながら、お茶を飲み干す。その重く受け止めてない様子に安堵し、私も残りの料理を食する。
やっぱり凄く美味しい。これ、家でも作れるかな。
「それにしても意外だったな」
長野さんが急に思い出したようにニヤッと笑った。
「何がです?」
「鈴木さん、結構物怖じしないんだね」
「え? そんな事ないですよ」
いつも余裕ないし。私のどこを切り取ったらそう見えるのか。
「だって、会議で俺が話フッたらスゲー事言ってたじゃない」
そうだ。
この人、ただの議事録の私にいきなりデリケートな話を振ってきたのだ。
「ああいうの止めてください。私、入社して間もなくて会社の事も良くわかってないのに」
思い出しただけで、厚顔無恥で穴が有ったら入りたい。
「いやいや、よくぞ言ってくれたと俺は感心したよ」
「開発部の人に顔向けができません」
「あれが体質改善のキッカケになるかもよ」
「……だと良いんですけど」
体質改善とは、つまりブラック企業気質の話で――
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やっぱり凄く美味しい。これ、家でも作れるかな。
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「何がです?」
「鈴木さん、結構物怖じしないんだね」
「え? そんな事ないですよ」
いつも余裕ないし。私のどこを切り取ったらそう見えるのか。
「だって、会議で俺が話フッたらスゲー事言ってたじゃない」
そうだ。
この人、ただの議事録の私にいきなりデリケートな話を振ってきたのだ。
「ああいうの止めてください。私、入社して間もなくて会社の事も良くわかってないのに」
思い出しただけで、厚顔無恥で穴が有ったら入りたい。
「いやいや、よくぞ言ってくれたと俺は感心したよ」
「開発部の人に顔向けができません」
「あれが体質改善のキッカケになるかもよ」
「……だと良いんですけど」
体質改善とは、つまりブラック企業気質の話で――
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