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朝チュンからの恋の自覚?
会議でのこと
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今日は、経営会議のはずが【働き方改革】も議題になっていた。
「うちは何度となく議論しても働き方は変わってない。残業はするなと上から言われても、仕事自体が減った訳じゃないから質が悪くなる一方です」
始まる前の親しみやすい口調と違って、長野さんは攻撃的ですらあった。
「それでも次々と案件が舞い込んでくるもんだから開発チームはいつも無理をしている。そのブラックの率先となっているのが神城社長なんだから、どうしようもないですよ」
皆の視線が神城社長に集まる。
長野さんの批判的な視線と社長の視線がぶつかって一触即発な状況。
「長野くん、いくら神城社長の知人だからって言葉を選びなさ過ぎるよ」
神城社長が何か言う前に、副社長が咳払いしてから長野さんを宥めた。倉林さんのボスである副社長は社長よりかなり年上で、いかにも役員という風貌で威圧感もある。
「エンジニアが無理しないでいいように、社長自ら泊まり込んで納期に間に合わせているの、当の開発チームも、営業部だって分かってるんだ。それを広報部の君がまるで他社の人間みたいに突いてどうするんだ?」
二人のやり取りを神城社長は無表情で聞いている。
「それは社長だから倒れたっていいって言ってるのも同じです。会社としてはかなり変ですよ、ね? 秘書の鈴木さん」
「え、はい?」
このようにして急に話を振られたのだ。
皆の注目が隅に座っていた私に集まり、一瞬で頭が真っ白になった。
何であの人、何だかんだと私に絡んでくるの?
こんな会議の時はそっとしておいてほしい。
それに、秘書は自分の意見を持ち過ぎるタイプは向いてないと倉林さんが言っていた。仕事では、″ボス″の意見が″秘書″の意見となる、と。
だから、私にとっては社長の発言や指示が絶対だ。それなのに、
「鈴木さん、自分の考えで答えて。俯瞰できる中途採用の方の意見はとても大切だから」
神城社長まで私に発言を促した。
自分の考え?
私自分の仕事が一杯一杯で会社の体質だとか何も考えた事はおろか、ボスである社長とそんな話をした事もない。
でも。私は、入社してから何度か見た徹夜明けの神城社長の姿を思い出した。寝ぼけて可愛いとか思ったのは初めだけで、やっぱりその疲弊した代表の様子は変だと思ったのだ。
「……すみません、私も言葉を選べません」
先に断ってから、私はおずおずと抱いていた違和感を言葉にした。
「エンジニアの為に仮眠室やシャワー室があるのは一見、環境の整った良い会社のように感じますが、それは徹夜や泊り込みを前提としたブラ……ワークライフバランスの悪い企業である証明のような気がします」
せめては、と思い、″ブラック企業″と言わなかったものの、会議室の皆がどよめいた。
「それで? 鈴木さんは何か案はある?」
神城社長は、真っ直ぐ私を見据えて瞬き一つしていなかった。
「社に導入されているか未確認ですが、仮眠室があるならシエスタ制度を積極的に利用したらどうかなと思います」
シエスタ制度とは昼休憩を長く取る事。つまり昼寝タイムの事だ。
「それじゃ昼寝しても、結局は業務終了時間が遅くなるし意味ないんじゃないんですか?」
長野さんが私に意見を返す。確かにそれで終電逃したら泊り込みになってしまうけど。
「休憩を長く取ると効率が上がるって言いますし、寝るだけじゃなく仮眠室では一人になれるので電話もメールも持ち込まなければ作業に集中出来るんじゃないかと思います」
あくまで理想論。
「呑気に昼寝してたら納期間に合わなかったりで、依頼減って利益が減るかもしれないしね。生産性のない事務職や秘書室の人が考える程、現実は甘くないですよ」
開発部の社員がいかにも疲れた顔で言った。こんな社畜気質の人が多い会社ってどうなの? 逆に社長に問いたい。
「依頼も利益も減っていいんじゃないんですか? 今の状況は会社の規模に対して儲け過ぎではないかと」
私は経理ではないけれど、一般公開されている決算公告や資料の損益計算書の経常利益を見て思った。
「シェア減少の心配はせずに依頼は減っても社員に質の高い仕事をさせた方がいいかな、と新参者の私は思いました」
その内、神城社長がプログラミングするAIを開発するバーチャルエンジニアもプログラミングしてくれるでしょう、と。
その白けた空間の中で、長野さんと神城社長だけが、笑みを浮かべていた。
「うちは何度となく議論しても働き方は変わってない。残業はするなと上から言われても、仕事自体が減った訳じゃないから質が悪くなる一方です」
始まる前の親しみやすい口調と違って、長野さんは攻撃的ですらあった。
「それでも次々と案件が舞い込んでくるもんだから開発チームはいつも無理をしている。そのブラックの率先となっているのが神城社長なんだから、どうしようもないですよ」
皆の視線が神城社長に集まる。
長野さんの批判的な視線と社長の視線がぶつかって一触即発な状況。
「長野くん、いくら神城社長の知人だからって言葉を選びなさ過ぎるよ」
神城社長が何か言う前に、副社長が咳払いしてから長野さんを宥めた。倉林さんのボスである副社長は社長よりかなり年上で、いかにも役員という風貌で威圧感もある。
「エンジニアが無理しないでいいように、社長自ら泊まり込んで納期に間に合わせているの、当の開発チームも、営業部だって分かってるんだ。それを広報部の君がまるで他社の人間みたいに突いてどうするんだ?」
二人のやり取りを神城社長は無表情で聞いている。
「それは社長だから倒れたっていいって言ってるのも同じです。会社としてはかなり変ですよ、ね? 秘書の鈴木さん」
「え、はい?」
このようにして急に話を振られたのだ。
皆の注目が隅に座っていた私に集まり、一瞬で頭が真っ白になった。
何であの人、何だかんだと私に絡んでくるの?
こんな会議の時はそっとしておいてほしい。
それに、秘書は自分の意見を持ち過ぎるタイプは向いてないと倉林さんが言っていた。仕事では、″ボス″の意見が″秘書″の意見となる、と。
だから、私にとっては社長の発言や指示が絶対だ。それなのに、
「鈴木さん、自分の考えで答えて。俯瞰できる中途採用の方の意見はとても大切だから」
神城社長まで私に発言を促した。
自分の考え?
私自分の仕事が一杯一杯で会社の体質だとか何も考えた事はおろか、ボスである社長とそんな話をした事もない。
でも。私は、入社してから何度か見た徹夜明けの神城社長の姿を思い出した。寝ぼけて可愛いとか思ったのは初めだけで、やっぱりその疲弊した代表の様子は変だと思ったのだ。
「……すみません、私も言葉を選べません」
先に断ってから、私はおずおずと抱いていた違和感を言葉にした。
「エンジニアの為に仮眠室やシャワー室があるのは一見、環境の整った良い会社のように感じますが、それは徹夜や泊り込みを前提としたブラ……ワークライフバランスの悪い企業である証明のような気がします」
せめては、と思い、″ブラック企業″と言わなかったものの、会議室の皆がどよめいた。
「それで? 鈴木さんは何か案はある?」
神城社長は、真っ直ぐ私を見据えて瞬き一つしていなかった。
「社に導入されているか未確認ですが、仮眠室があるならシエスタ制度を積極的に利用したらどうかなと思います」
シエスタ制度とは昼休憩を長く取る事。つまり昼寝タイムの事だ。
「それじゃ昼寝しても、結局は業務終了時間が遅くなるし意味ないんじゃないんですか?」
長野さんが私に意見を返す。確かにそれで終電逃したら泊り込みになってしまうけど。
「休憩を長く取ると効率が上がるって言いますし、寝るだけじゃなく仮眠室では一人になれるので電話もメールも持ち込まなければ作業に集中出来るんじゃないかと思います」
あくまで理想論。
「呑気に昼寝してたら納期間に合わなかったりで、依頼減って利益が減るかもしれないしね。生産性のない事務職や秘書室の人が考える程、現実は甘くないですよ」
開発部の社員がいかにも疲れた顔で言った。こんな社畜気質の人が多い会社ってどうなの? 逆に社長に問いたい。
「依頼も利益も減っていいんじゃないんですか? 今の状況は会社の規模に対して儲け過ぎではないかと」
私は経理ではないけれど、一般公開されている決算公告や資料の損益計算書の経常利益を見て思った。
「シェア減少の心配はせずに依頼は減っても社員に質の高い仕事をさせた方がいいかな、と新参者の私は思いました」
その内、神城社長がプログラミングするAIを開発するバーチャルエンジニアもプログラミングしてくれるでしょう、と。
その白けた空間の中で、長野さんと神城社長だけが、笑みを浮かべていた。
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