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夢ならさめないで
口説き
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「This food and service is amazing! We absolutely have to come back here.」
(この料理とサービスは素晴らしい!絶対またここに来よう)
満足した外国人をお見送りして、事務所に入り、いつものようにランチタイムのレジ締めと会計をやる。
ランチタイムは支払いを現金のみにしてあるので現金有高を確認しないといけない。
「クレカや電子マネー決済は夜だけですか?」
椅子で寛ぐ三川さんに尋ねた。
今から五時くらいまでが一番客入りが少なく、この時間がオーナー達の休憩時間とも言える。
「うん、あれ手数料高いからね。ランチは料金抑えてるから割に合わないし、それにどうもクレカや電子マネーも胡散臭い気がしてさ」
「胡散臭いって」
表現はアレだが、カードを持ち歩かない現金主義の私は、三川さんの気持ちが何となく分かった。
目に見えない報酬って、確かにありがたみに欠けるし実感が湧かない。
「それにしても、だよ」
「はい?」
レジの明細をパソコン入力していく私に、三川さんが不可解そうな顔をして聞いてきた。
「一見大人しそうなのにテキパキとホールの仕事するし、裏方の調理もこなす。おまけに英語も得意で金も管理出来るなつみちゃんが、何でシンママなんだろう?」
「仕事とプライベートはまた違いますからね」
シングル・マザーになる理由は人それぞれじゃないの?
美人でも性格や性の不一致で離婚する人もいるし、それこそ許されない相手との子供を産んでいる人もいるだろうし。
「なつみちゃんなら、間違った相手選ばなそうなのに」
「買いかぶりですよ」
適当に流し、時計を見る。
いつの間にか四時半を回ろうとしている。
「じゃあ、そろそろ上がりますね」
「あ、うん」
三川さんが私と一緒に立ち上がった。タイムカードを押す私に何か言いたげ。あ、もしかして。
「夕方からの部、人足りませんか?」
「え、あ、いや。たとえそうでも朝から晩までは仕事させられないよ」
「労基にひっかかりますもんね」
一応、ここは会社だし。
「そうそう。……そうじゃなくて」
三川さんが坊主頭を掻きながら、少し言い淀んだ。
「……なつみちゃん、店の定休日って、何してる?」
「え?」
家事をしつつ、保育園を休んだ胡桃とまったり過ごしているけども。
そう答えると、「だよね」と引きつった笑いを浮かべている。
割とズバッと何でも言う人なのに、どうしたの?
「平日の定休日に、娘ちゃんを保育園へ預けたまま遊びに行ったりとか出来ないだろうか?」
「はい?」
私に、母親であることを忘れて羽を伸ばせと言っているのかな?
「出来ないこともないけど、する気はないです」
貴重な娘との休日。なぜ一人で遊びに行かないといけないの?
そんなに私、育児疲れの顔をしてる?
「そっか。そうだよな………そう言うと思ったけど」
煮えきらない言い方だ。三川さんらしくない。
首を傾げていると、「さっさと帰るよー!」と、事務所に冬美が入ってきた。ホールの片付けが終わったようだ。
「お先に失礼しまーす」
二人一緒に店を出る。
おすそ分けの人参と玉ねぎを抱えて、冬美が軽く溜め息をついた。
「何、口説かれてんのよ。そして何で気が付かないの?」
(この料理とサービスは素晴らしい!絶対またここに来よう)
満足した外国人をお見送りして、事務所に入り、いつものようにランチタイムのレジ締めと会計をやる。
ランチタイムは支払いを現金のみにしてあるので現金有高を確認しないといけない。
「クレカや電子マネー決済は夜だけですか?」
椅子で寛ぐ三川さんに尋ねた。
今から五時くらいまでが一番客入りが少なく、この時間がオーナー達の休憩時間とも言える。
「うん、あれ手数料高いからね。ランチは料金抑えてるから割に合わないし、それにどうもクレカや電子マネーも胡散臭い気がしてさ」
「胡散臭いって」
表現はアレだが、カードを持ち歩かない現金主義の私は、三川さんの気持ちが何となく分かった。
目に見えない報酬って、確かにありがたみに欠けるし実感が湧かない。
「それにしても、だよ」
「はい?」
レジの明細をパソコン入力していく私に、三川さんが不可解そうな顔をして聞いてきた。
「一見大人しそうなのにテキパキとホールの仕事するし、裏方の調理もこなす。おまけに英語も得意で金も管理出来るなつみちゃんが、何でシンママなんだろう?」
「仕事とプライベートはまた違いますからね」
シングル・マザーになる理由は人それぞれじゃないの?
美人でも性格や性の不一致で離婚する人もいるし、それこそ許されない相手との子供を産んでいる人もいるだろうし。
「なつみちゃんなら、間違った相手選ばなそうなのに」
「買いかぶりですよ」
適当に流し、時計を見る。
いつの間にか四時半を回ろうとしている。
「じゃあ、そろそろ上がりますね」
「あ、うん」
三川さんが私と一緒に立ち上がった。タイムカードを押す私に何か言いたげ。あ、もしかして。
「夕方からの部、人足りませんか?」
「え、あ、いや。たとえそうでも朝から晩までは仕事させられないよ」
「労基にひっかかりますもんね」
一応、ここは会社だし。
「そうそう。……そうじゃなくて」
三川さんが坊主頭を掻きながら、少し言い淀んだ。
「……なつみちゃん、店の定休日って、何してる?」
「え?」
家事をしつつ、保育園を休んだ胡桃とまったり過ごしているけども。
そう答えると、「だよね」と引きつった笑いを浮かべている。
割とズバッと何でも言う人なのに、どうしたの?
「平日の定休日に、娘ちゃんを保育園へ預けたまま遊びに行ったりとか出来ないだろうか?」
「はい?」
私に、母親であることを忘れて羽を伸ばせと言っているのかな?
「出来ないこともないけど、する気はないです」
貴重な娘との休日。なぜ一人で遊びに行かないといけないの?
そんなに私、育児疲れの顔をしてる?
「そっか。そうだよな………そう言うと思ったけど」
煮えきらない言い方だ。三川さんらしくない。
首を傾げていると、「さっさと帰るよー!」と、事務所に冬美が入ってきた。ホールの片付けが終わったようだ。
「お先に失礼しまーす」
二人一緒に店を出る。
おすそ分けの人参と玉ねぎを抱えて、冬美が軽く溜め息をついた。
「何、口説かれてんのよ。そして何で気が付かないの?」
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