Rabbit-foot

Suzuki_Aphro

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2. No penny, No pardon.

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 それからも私たちは定期的に会う仲になり、最後に加わったのが颯だった。

 颯は長年運動部に入っていたせいか仕切りたがりなことろがあって、私の苦手なタイプだった。次第に五人で遊ぶ機会が増えていったが、佐環がいるから一緒に行動していただけだった。

「卒業前にみんなで旅行へ行かない? 日帰りで行けるような近場かつ穴場。俺、そこに住んでいたことあるから詳しいんだ」

 そう提案したのは颯だった。そして、彼が指定した場所こそがP市だった。

 颯は本当にP市について熟知していた。庶民価格で食べられる美味しいお店や、地元の人しか知らないような秘境にある温泉……。P市は若い人たちが遊ぶ場所というより裕福な人たちのためのリゾート地という印象だったから、期待してはいなかった分満足できていた。途中までは。

 夕食を済ませ、最後に花火をやってから帰ろうと言ったのは確か伊吹だった。夏休みにやり損ね、せっかく出来そうな所に来たのだから、と。街灯の灯ははるか遠く、私たちは真っ暗な浜辺へ花火セットとバケツと袋を持って向かった。
 
 花火からは派手な音がしていたから、光近所から苦情が来ないか心配だった。この時の時刻は既に日付を超えていた。
 
 花火が終わったタイミングで帰ればよかったものの、今度は颯が「じゃんけんで負けた人が近くの神社まで肝試しに行く」なんて言い出すから。まるで、この後起きる事を知っていたんじゃないかと疑ってしまう。

「何だ、伊吹のやつ。もうギブアップか?」

 伊吹が浜辺を離れて七、八分程が経過。メッセージにいち早く気づいたのは颯だった。

 ――緊急事態! 誰か来て! ヤバいことになってる!

 伊吹からのメッセージを読んだ時、ガラの悪い人たちに絡まれているのかと思った。

「不審者に襲われるとかかな? 訊いてみよ」

 私の代わりに佐環がメッセージを送る。この段階で、私たちはまだ深刻に考えていなかった。だけど、勝矢は違っていた。

「一応伊吹の所に行ってみるよ。みんなはここで待っていて」

 私と佐環は互いに顔を見合わせる。待っていてと言われても、夜の海に置いてけぼりにされるのは心細くて怖かった。すると颯が「行くならみんなで行った方が良くないか? 何があったか分からないけど」 と珍しく気の利いたことを言った。

「じゃあそうしよう。とにかく早く駆けつけないと」

 そうして全員で伊吹の元へ急いだ。

 階段の途中まで上がると、体調でも崩したのか、なぜか伊吹が体を丸めて座っていた。

「事情を訊きに行ってくる。みんなはここにいて」

 勝矢から指示され、一旦その場に待機した。だけど、二人のやっていることは少々大袈裟な感じがして、何にビクついているのか気になっていた。だから様子を見ようとこっそり立ち上がった。その時見たのは複数人の人影。伊吹は、ひき逃げ犯の中に女の人がいたと言っているが、性別までは認識できなかった。

 車の走り去る音がした後、伊吹は一人階段を登りきった所で立ち止まった。颯が駆け寄り事情を聴く。

 目の前でひき逃げが起きた――カメラに映っている映像を直視することができなかった。
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