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第2章 冒険記

Chapter29 片翼の聖魔神

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イデア亭に戻るとロンドがアークトゥルス達の元にやってくる。

ルディースの服が破けて震えている事で、何をされたのかが一目瞭然だった。

「なんという事だ…自分の甥に…風呂なら沸かしてある。早く入りなさい」
ロンドはルディースに言う。
「…はい…あっ」
ルディースはそう言い歩こうとして足をもつらせ床にしゃがみ込む。

アークトゥルスが咄嗟にルディースを抱きかかえる。

「私が入れさせます。風呂は何処です?」
アークトゥルスは言う。
「こっちだ…」
ロンドは急いで案内する。

脱衣室に来てアークトゥルスはルディースの服を脱がす。

ルディースの首筋や肩、胸元にのキスマークが付けられ股から精液と血が伝う。

「くっ…」
ロンドは余りの酷さに怒りがこみ上げてくる。

「亭主、バスタオルとバスローブか何か持ってきてくれるか?」
アークトゥルスは冷静に言う。
「あっ…分かった。脱衣室に置いとくよ」
ロンドは急いで脱衣室から出て、かつて使っていたエレンディースの部屋に行く。
(確かエレンの部屋にフカフカなバスタオルとバスローブが置いてあったな)

ルディースを風呂椅子に座らせ身体を洗う。

「ちょっと失礼するぞ」
アークトゥルスはルディースの腰を上げてアナルの精液を掻き出す。

「ん…やぁ…じ、自分でや…あっ」
ルディースはそう言うが感じ過ぎてアークトゥルスにしがみつく。

「こ、こら…じゃあこのまま、しがみついてろ」
アークトゥルスは頬を赤らめて言い手探りでアナルを洗う。

「あ…んっ…」
耳元で甘く喘ぐルディースにアークトゥルスは勃起しないよう精一杯違う事を考える。

二人は風呂から出て。

「もう大丈夫だよ。歩けるよ」
ルディースはアークトゥルスに抱っこされそうになったので止めた。

部屋に戻るとアースが信仰のペンダントエクトゥルス握り、座って見ていた。
「アース。お前は別の部屋に!」
アークトゥルスが怒る。

「だって私じゃ、宿代払えないから…そしたらルディースが邪魔しなきゃ居ていいって…」
アースは小さな声で言う。
「この高価そうな信仰のペンダントエクトゥルスを売れば…ん?見た事ない象徴だな?何の神だ?」
アークトゥルスは聞く。

「これは、片翼の聖魔神の《聖》の像だよ。この神を抱けば抱くほど力を授けてくれるんだ!」
アースが信仰のペンダントエクトゥルスを見せて言う。
ルディースは真っ青になり口を手で押さえトイレに駆け込む。

「ルディース⁉ 」
アークトゥルスは心配になり付いて行く。

「オエッ…ゲホッゲホッ」
ルディースは胃液を吐き出す。

(ここまで来て、それをさせると言うのか⁉ そのせいで魔王ジーク宇宙統治神ギースフリーデスが殺されて、エリクトゥラも消えたと言うのにっ…!)
ルディースは怒りと悲しみが交互に押し寄せる。

ーーールディースは前世の事を思い出す。
私とエレンディースは双子であった。
天界の神々からの呼び名は片翼の聖魔神。
私が聖、エレンディースが魔。

それを最初に気付いたのは至高神ガルディナスだった。

水を司る神ウィヴァーンが私達をさらって来たのが事の始まりだった。

ウィヴァーンは、まずはエレンディースを弄んだ。

事の終えた後、水がエレンディースを包み癒やした。
そして水はウィヴァーンを攻撃し撃退する。

それを見たガルディナスは一言呟いた。

「エレンディースが神の力を吸収する能力が有るのなら、その反対のルディースは神に力を与える能力があるかもしれない…」

まだ神の能力が覚醒して無かったガルディナスの息子アルテウスが私を手籠めにした。

〝力無し〟と云われたアルテウスは力が覚醒し《秩序の神》となる。

それを見た天界の者達は亡者の様に私に群がった。

そして次々と新しい神に覚醒する。

父、宇宙統治神ギースフリーデスが助けに来た時には私は瀕死の状態だった。

そしてギースフリーデスは私を治す為に〝導き手〟の力を使い大ダメージを受けて病を発症する。

魔王ジークフリーデスはバリアを強化して自分達を守った。

姉エレンディースは私を守る為に魔界の神々に身体を重ねる。

その間も天界の神々がバリアを破り私を強姦した。

そして天界の神々は魔界を攻めて、ついには両親を殺してしまったのだーーー。

(もしかして…ギースフリーデスキィちゃんとジークは私を憎んでる?私が天界の神に力を与えたから…だから…私を側に置いては貰えなかった…)
ルディースは涙が止めどなく溢れる。

アークトゥルスが静かにルディースの背中を叩く。
すると何故だか知らないがルディースは少しだけ落ち着きを取り戻す。

「アークトゥルス…今晩一緒に寝てくれないかな?…君といると傷の治りが早いし、何故か落ち着く」
ルディースは涙を拭きながらアークトゥルスに言う。

「ん、分かった…少し待っていろ。アースをセオドアに任せてくる」
アークトゥルスはそう言いアースの首根っこを掴んでセオドアの部屋に行く。

案の定セオドアは起きて待っていた。

アークトゥルスは一連の事件を話す。
セオドアは静かに頷き、アースを部屋に入れた。

そしてアークトゥルスは急いでルディースの元へ戻っていった。

ルディースは涙を流しながら眠っていた。
アークトゥルスはベッドに入りルディースの頭を自分の腕に乗せる。

ルディースはアークトゥルスの胸に手をソっと添える。

「ありがとう…ラリューセル…」
ルディースはそう言い眠りについた。

アークトゥルスもホッとしたのか深い眠りについた。
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