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1.恋愛初心者
10.好きってなに?
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次の日、撮った写真が送られてきた。
私がこっそり撮った彼女の写真はどれも少しブレていて、見返してガッカリだった。
きっと頼めば…頼まなくても、普通に撮らせてくれたんだろうけど、どう言えばいいかわからず、盗撮するような形になってしまったのだ。
だから、彼女が撮ってくれたツーショットを見て、一気に胸が高鳴った。
「かっこいい…」
スマホを抱えて、ベッドに飛び込む。
「かっこいいっていうか、綺麗っていうか、可愛げもあって、それでいて大人っぽくて、優しくて…全部兼ね備えてるって…」
胸の高鳴りが止まない。
“穂も私を好きになってくれたら嬉しい”
「好き…か」
彼女の言葉を思い出す。
「私、もう永那ちゃんのこと、好き…だよ」
小さく呟いて、うずくまった。
胸元で、もう一度写真を見る。
心臓がキュッとする。
「私、楽しそう」
生徒会の懇親会の時にもみんなで写真を撮る。でも、そこに写る自分の表情は、いつもどことなく硬い。
「昨日、楽しかったな」
好きのその先ってなんなんだろう?
そもそも好きってなんなんだろう?
永那ちゃんは、どう考えているんだろう?
永那ちゃんが言ってくれた“好き”は、友達の“好き”とは違うんだよね?…そう彼女も言っていた。
…でも自信が、あんまりない。
お互いに好きだったら、やっぱり恋人になるのかな?
女の子同士で付き合う…同性愛。
日本ではまだ結婚できない関係。
ダメなことなの…かな?
でも、他のクラスにゲイだってカミングアウトしていた子がいた。みんなすんなり受け入れていて、普通に過ごしているようだった。
なんなら誰かと付き合ってるなんて噂もあって、「青春してるなあ…」と他人事みたいに思っていた。
私は恋をしたことがなかったし、誰かと付き合えるとも思っていなかったから。
でもいざ、こういう状況に置かれて、もっと関心を持っておくべきだったと反省している。
同性愛とか異性愛とか関係なく、恋愛について、もっと関心を持っておくべきだった。
相談できるような友達もいないから困る。
“俺、聞くことくらいしかできないかもしれないけど、先輩の力になりたいんで”
「…そうだ!」
日住君がいた!私には相談できる相手がいた!
日住君も気になる子がいるようだったし(?)、私も日住君の相談に乗るという形ならいけるかもしれない…!
相談に乗れるような経験はないから、それこそ本当に話を聞くだけになってしまうだろうけど。
バッと体を起こす。
さっそく日住君に連絡する。
『日住君、教えてほしいことがあるんだけど、いつか時間あいてないかな?』
日住君は、いかにもモテそうだ。
よく気が利くし、優しいし、話上手に聞き上手。正直その能力が羨ましい。
当然私よりも遥かに友達も多くて、廊下ですれ違った時に声をかけられないほどだった。
『明日の放課後はどうですか?』
『わかった。たぶん、私また掃除あるから、少し待たせちゃうかもしれないけど』
『りょーかいです。いくらでも時間はあるので、気にしないでください。とりあえず、授業終わったら先輩の教室に行けばいいですか?』
『お願いします』
『わかりました』
『ありがとう!』
私はスマホのホーム画面を、遠くから隠し撮りした永那ちゃんの写真にした。
海を撮ってるようにみせかけた写真だから、写っているのは海と永那ちゃんの後ろ姿だけで、顔は写っていない。
でもそれでいい。それくらいがいい。
彼女の顔写真をホーム画面にして、もし誰かに見られでもしたら、恥ずかしくて私の存在ごと消し去りたくなると思うから。
私がこっそり撮った彼女の写真はどれも少しブレていて、見返してガッカリだった。
きっと頼めば…頼まなくても、普通に撮らせてくれたんだろうけど、どう言えばいいかわからず、盗撮するような形になってしまったのだ。
だから、彼女が撮ってくれたツーショットを見て、一気に胸が高鳴った。
「かっこいい…」
スマホを抱えて、ベッドに飛び込む。
「かっこいいっていうか、綺麗っていうか、可愛げもあって、それでいて大人っぽくて、優しくて…全部兼ね備えてるって…」
胸の高鳴りが止まない。
“穂も私を好きになってくれたら嬉しい”
「好き…か」
彼女の言葉を思い出す。
「私、もう永那ちゃんのこと、好き…だよ」
小さく呟いて、うずくまった。
胸元で、もう一度写真を見る。
心臓がキュッとする。
「私、楽しそう」
生徒会の懇親会の時にもみんなで写真を撮る。でも、そこに写る自分の表情は、いつもどことなく硬い。
「昨日、楽しかったな」
好きのその先ってなんなんだろう?
そもそも好きってなんなんだろう?
永那ちゃんは、どう考えているんだろう?
永那ちゃんが言ってくれた“好き”は、友達の“好き”とは違うんだよね?…そう彼女も言っていた。
…でも自信が、あんまりない。
お互いに好きだったら、やっぱり恋人になるのかな?
女の子同士で付き合う…同性愛。
日本ではまだ結婚できない関係。
ダメなことなの…かな?
でも、他のクラスにゲイだってカミングアウトしていた子がいた。みんなすんなり受け入れていて、普通に過ごしているようだった。
なんなら誰かと付き合ってるなんて噂もあって、「青春してるなあ…」と他人事みたいに思っていた。
私は恋をしたことがなかったし、誰かと付き合えるとも思っていなかったから。
でもいざ、こういう状況に置かれて、もっと関心を持っておくべきだったと反省している。
同性愛とか異性愛とか関係なく、恋愛について、もっと関心を持っておくべきだった。
相談できるような友達もいないから困る。
“俺、聞くことくらいしかできないかもしれないけど、先輩の力になりたいんで”
「…そうだ!」
日住君がいた!私には相談できる相手がいた!
日住君も気になる子がいるようだったし(?)、私も日住君の相談に乗るという形ならいけるかもしれない…!
相談に乗れるような経験はないから、それこそ本当に話を聞くだけになってしまうだろうけど。
バッと体を起こす。
さっそく日住君に連絡する。
『日住君、教えてほしいことがあるんだけど、いつか時間あいてないかな?』
日住君は、いかにもモテそうだ。
よく気が利くし、優しいし、話上手に聞き上手。正直その能力が羨ましい。
当然私よりも遥かに友達も多くて、廊下ですれ違った時に声をかけられないほどだった。
『明日の放課後はどうですか?』
『わかった。たぶん、私また掃除あるから、少し待たせちゃうかもしれないけど』
『りょーかいです。いくらでも時間はあるので、気にしないでください。とりあえず、授業終わったら先輩の教室に行けばいいですか?』
『お願いします』
『わかりました』
『ありがとう!』
私はスマホのホーム画面を、遠くから隠し撮りした永那ちゃんの写真にした。
海を撮ってるようにみせかけた写真だから、写っているのは海と永那ちゃんの後ろ姿だけで、顔は写っていない。
でもそれでいい。それくらいがいい。
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