文字の大きさ
大
中
小
26 / 595
1.恋愛初心者
26.彼女
海は、楽しい思い出が詰まってる。
まだ小学生の頃、お母さんがまだまともだった頃、よくお姉ちゃんと3人で来た。
お母さんはずっと座っていたけど、私達のことをずっと微笑んで見てくれていた。
私達が笑うと、お母さんも笑って、お母さんが笑うと、私達も笑う。幸せだった。
父親は、物心つく頃からほとんど家に帰ってこない人だった。
帰ってきても酒臭くて、変に絡んでくるのが鬱陶しかった。それでも、少しは嬉しかったかもしれない。
でも夜になると、お母さんの「やめて」と言う声が聞こえてくる。「うるせー!」と怒鳴り声が響いて、叩く音がする。
聞きたくなくて、お姉ちゃんと2人で耳を塞いだ。
翌朝、大抵お母さんの体のどこかしらに傷ができていた。私が傷を撫でると、お母さんは泣きながら私を抱きしめた。
ふとそんなことを思い出したら、彼女が私の手を強く握った。
それがなんだか嬉しくて、強く握り返した。
彼女がクレープを初めて食べると言うから、記念に奢った。
「いいよいいよ!」と大袈裟に手を振って遠慮するから「せっかくの記念日だから奢らせて」と適当に言って頷かせる。
…適当に言ったけど、考えてみればあながち間違いじゃない。初デート記念日だ。
彼女が美味しそうにクレープを頬張る。その姿に癒やされる。
彼女の口端(頬に限りなく近い)にクリームが、ちょこんとついている。
指で拭ってあげたら、彼女に真似されて、トキメキが過ぎる。(語彙力も崩壊)
ああ、好きだなあ。好きだなあ。この人が本当に好きだなあ。
“空井さん”なんて、なんだか距離があるようで嫌だ。
もっと近づきたい。もっと。もっと。
だから名前で呼び合いたいと言ったら、彼女に「永那ちゃん」と言われた。
その新鮮な呼び方に、また下腹部が疼く。…やめろ!私はそんな下品じゃない!…はず。
学校で見せる真面目な顔、クラスメイトに厳しく接してしまって後悔する顔、お茶目にいたずらする顔、私がいたずらし返すとポッと赤くなる顔、こうして楽しそうに笑ってくれる顔…彼女のどの姿も愛しくて、もっと知りたくて、抱きしめたくなる。
彼女は、私をどう思ってるんだろう?
少なくとも“どうでもいい”とは思っていないよね?
確認すると、頷いてくれる。
ただそれだけで嬉しくて、舞い上がりそうになる。
水平線に日が沈んでいく。もうすぐ夜が始まる。
まだ終わってほしくない。
穂といたい。穂と、ずっと。
本当はもっと仲良くなってから言うつもりだったけど、このままじゃ熱が引きそうにないから、意を決して告白した。
私の勘違いじゃないといいけど…彼女が嬉しそうに笑ってくれた。
私は、舞い上がっていいのか?
私は、自惚れてもいいのか?
脈なしなら、こんなふうに笑わないよね?
きっと脈なしなら、すぐに謝られたり、困った顔をされたりするはずだ。特に彼女の場合は、そういう反応をするところが優に想像できる。
もう一歩踏み込んでみることにした。
顔を近づけると、彼女がギュッと目を瞑る。
…ああ、予想外の反応。胸の高鳴りが、下腹部の疼きが、全身でこの人を奪いたいと主張する。
キスしてもいいんだろうか?
この反応は、そういう反応に見える。
…いや、でも。万が一違ったら、私は取り返しのつかないことをすることになる。
グッと思い止まって、彼女の耳元に口を近づける。
そして、抱きしめた。
彼女が抱きしめ返してくれるから、そのぬくもりに溺れたくなる。
ああ、好きだ。好きだ。
まだ小学生の頃、お母さんがまだまともだった頃、よくお姉ちゃんと3人で来た。
お母さんはずっと座っていたけど、私達のことをずっと微笑んで見てくれていた。
私達が笑うと、お母さんも笑って、お母さんが笑うと、私達も笑う。幸せだった。
父親は、物心つく頃からほとんど家に帰ってこない人だった。
帰ってきても酒臭くて、変に絡んでくるのが鬱陶しかった。それでも、少しは嬉しかったかもしれない。
でも夜になると、お母さんの「やめて」と言う声が聞こえてくる。「うるせー!」と怒鳴り声が響いて、叩く音がする。
聞きたくなくて、お姉ちゃんと2人で耳を塞いだ。
翌朝、大抵お母さんの体のどこかしらに傷ができていた。私が傷を撫でると、お母さんは泣きながら私を抱きしめた。
ふとそんなことを思い出したら、彼女が私の手を強く握った。
それがなんだか嬉しくて、強く握り返した。
彼女がクレープを初めて食べると言うから、記念に奢った。
「いいよいいよ!」と大袈裟に手を振って遠慮するから「せっかくの記念日だから奢らせて」と適当に言って頷かせる。
…適当に言ったけど、考えてみればあながち間違いじゃない。初デート記念日だ。
彼女が美味しそうにクレープを頬張る。その姿に癒やされる。
彼女の口端(頬に限りなく近い)にクリームが、ちょこんとついている。
指で拭ってあげたら、彼女に真似されて、トキメキが過ぎる。(語彙力も崩壊)
ああ、好きだなあ。好きだなあ。この人が本当に好きだなあ。
“空井さん”なんて、なんだか距離があるようで嫌だ。
もっと近づきたい。もっと。もっと。
だから名前で呼び合いたいと言ったら、彼女に「永那ちゃん」と言われた。
その新鮮な呼び方に、また下腹部が疼く。…やめろ!私はそんな下品じゃない!…はず。
学校で見せる真面目な顔、クラスメイトに厳しく接してしまって後悔する顔、お茶目にいたずらする顔、私がいたずらし返すとポッと赤くなる顔、こうして楽しそうに笑ってくれる顔…彼女のどの姿も愛しくて、もっと知りたくて、抱きしめたくなる。
彼女は、私をどう思ってるんだろう?
少なくとも“どうでもいい”とは思っていないよね?
確認すると、頷いてくれる。
ただそれだけで嬉しくて、舞い上がりそうになる。
水平線に日が沈んでいく。もうすぐ夜が始まる。
まだ終わってほしくない。
穂といたい。穂と、ずっと。
本当はもっと仲良くなってから言うつもりだったけど、このままじゃ熱が引きそうにないから、意を決して告白した。
私の勘違いじゃないといいけど…彼女が嬉しそうに笑ってくれた。
私は、舞い上がっていいのか?
私は、自惚れてもいいのか?
脈なしなら、こんなふうに笑わないよね?
きっと脈なしなら、すぐに謝られたり、困った顔をされたりするはずだ。特に彼女の場合は、そういう反応をするところが優に想像できる。
もう一歩踏み込んでみることにした。
顔を近づけると、彼女がギュッと目を瞑る。
…ああ、予想外の反応。胸の高鳴りが、下腹部の疼きが、全身でこの人を奪いたいと主張する。
キスしてもいいんだろうか?
この反応は、そういう反応に見える。
…いや、でも。万が一違ったら、私は取り返しのつかないことをすることになる。
グッと思い止まって、彼女の耳元に口を近づける。
そして、抱きしめた。
彼女が抱きしめ返してくれるから、そのぬくもりに溺れたくなる。
ああ、好きだ。好きだ。
感想 56
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?