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2.変化
75.王子様
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佐藤さんが首を傾げる。
「永那は普通に呼んで起こすと、怒るけど?…いつもそんなふうに起こしてるの?」
「いつもって…そんな…」
そんなに多くない。
…そう言おうとして、それでも何度も起こしているという事実がバレてしまうことに気づく。
ん?バレても平気なのかな?…わからない。
今日は、佐藤さんにいろんなことを探られているような目で見られることが多い。
それが変な緊張に繋がる。
「私もムッとされることはあったよ」
「へえ、そうなんだ」
「永那ちゃんは、佐藤さんに起こされなくても自力で起きるの?」
「うん。…遅くに起きたときは、いつも血相を変えて慌てて帰っていく感じかな」
私は苦笑する。
時計を見て「あと10分くらいしたら起こそうか」と言った。
「永那ちゃん」
佐藤さんにジッと見つめられながら永那ちゃんを起こす。
…気まずい!
「永那ちゃん」
肩を優しく叩く。
(お願い、起きて)
心の底から願いつつ、永那ちゃんの寝顔を見て幸せな気持ちになる。
2人きりだったら、本当なら、きっといろんな話をして、楽しく過ごせたんだろうな。
例え永那ちゃんが寝ていたのだとしても、その姿を見ながら勉強なんて、素敵な時間だと思う。
「永那ちゃん、起きて」
チラリと佐藤さんを見ると、全く視線をそらさずに、見続けられているようだった。
右手を肩に置いて、左手を永那ちゃんの太ももに触れるように床につく。
この位置なら、佐藤さんからは触っているようには見えないはず。
親指でそっと太ももを撫でる。
「永那ちゃん」
永那ちゃんの体がピクッと反応して、ムニャムニャしながら目を覚ます。
「本当だ。普通に呼ぶだけなんだね」
佐藤さんは頬杖をついて、私を見る。
永那ちゃんは目を擦りながら、私達を交互に見た。
「あれ?寝てた?」
「うん、ずーっと」
佐藤さんが永那ちゃんに顔を近づけて言う。
「ごめん、穂」
肩が下がって、俯いている。
「ちゃんと勉強するって約束したのに」
「いいよ。30分はちゃんとやってたんじゃないかな?」
私が微笑むと、永那ちゃんがへへへと笑った。
「永那、そんな約束してたの?」
「ん?うん。穂の家に来る条件」
「他にもあったの?その、条件」
私はドキッとしたけど、永那ちゃんはなんてことないみたいに返事する。
「穂の言うことを聞く」
佐藤さんが「言うことを、聞く」とオウム返しする。
何を考えてるのかよくわからない。
「永那ちゃん、そろそろ帰らなきゃいけないんじゃない?」
永那ちゃんが時計を見て、机の上に両手を投げた。
「やだー。全然穂と話せなかったじゃん」
思わず佐藤さんを見る。
彼女の表情は至って冷静そうで、怒りはなさそうだった。
「また明日もあるんだし。ね?」
ふいに永那ちゃんに抱きしめられた。
すぐに佐藤さんを見るけど、興味なさげに片付けを始めている。
永那ちゃんは私の胸に顔を押し付けて、左右に首を振っている。
「穂の匂い、好き」
鼓動が速くなっていく。
胸元にいる永那ちゃんにバレてるであろうことを想像すると、落ち着きたい思いとは反対に、どんどん鼓動が速くなった。
永那ちゃんの頭を撫でる。
永那ちゃんが上目遣いに私を見て、胸元にスッポリ顔がおさまっているから、土曜日を思い出す。
下腹部がキュゥッと締め付けられて、正座している足に力が入る。
「ねえ、空井さん」
佐藤さんの声が私の意識を現実に引き戻す。
「な、なに?」
佐藤さんはスマホを見ている。
「明日、優里も一緒に勉強したいって言うんだけど、だめかな?」
篠田さん?
明後日数学のテストがあるからかな?
「大丈夫だよ」
佐藤さんはチラリと私を見て、薄っすら笑みを作る。
「じゃあ優里に言っとくね」
永那ちゃんは私の胸元からずり落ちて、正座している私の足を枕にして、うずくまっている。
彼女の呼吸と共に、あたたかさと冷たさが交互にくる。
佐藤さんの前なのに、こんなことしていいのかな?
私はまた永那ちゃんの頭を撫でる。
「永那は普通に呼んで起こすと、怒るけど?…いつもそんなふうに起こしてるの?」
「いつもって…そんな…」
そんなに多くない。
…そう言おうとして、それでも何度も起こしているという事実がバレてしまうことに気づく。
ん?バレても平気なのかな?…わからない。
今日は、佐藤さんにいろんなことを探られているような目で見られることが多い。
それが変な緊張に繋がる。
「私もムッとされることはあったよ」
「へえ、そうなんだ」
「永那ちゃんは、佐藤さんに起こされなくても自力で起きるの?」
「うん。…遅くに起きたときは、いつも血相を変えて慌てて帰っていく感じかな」
私は苦笑する。
時計を見て「あと10分くらいしたら起こそうか」と言った。
「永那ちゃん」
佐藤さんにジッと見つめられながら永那ちゃんを起こす。
…気まずい!
「永那ちゃん」
肩を優しく叩く。
(お願い、起きて)
心の底から願いつつ、永那ちゃんの寝顔を見て幸せな気持ちになる。
2人きりだったら、本当なら、きっといろんな話をして、楽しく過ごせたんだろうな。
例え永那ちゃんが寝ていたのだとしても、その姿を見ながら勉強なんて、素敵な時間だと思う。
「永那ちゃん、起きて」
チラリと佐藤さんを見ると、全く視線をそらさずに、見続けられているようだった。
右手を肩に置いて、左手を永那ちゃんの太ももに触れるように床につく。
この位置なら、佐藤さんからは触っているようには見えないはず。
親指でそっと太ももを撫でる。
「永那ちゃん」
永那ちゃんの体がピクッと反応して、ムニャムニャしながら目を覚ます。
「本当だ。普通に呼ぶだけなんだね」
佐藤さんは頬杖をついて、私を見る。
永那ちゃんは目を擦りながら、私達を交互に見た。
「あれ?寝てた?」
「うん、ずーっと」
佐藤さんが永那ちゃんに顔を近づけて言う。
「ごめん、穂」
肩が下がって、俯いている。
「ちゃんと勉強するって約束したのに」
「いいよ。30分はちゃんとやってたんじゃないかな?」
私が微笑むと、永那ちゃんがへへへと笑った。
「永那、そんな約束してたの?」
「ん?うん。穂の家に来る条件」
「他にもあったの?その、条件」
私はドキッとしたけど、永那ちゃんはなんてことないみたいに返事する。
「穂の言うことを聞く」
佐藤さんが「言うことを、聞く」とオウム返しする。
何を考えてるのかよくわからない。
「永那ちゃん、そろそろ帰らなきゃいけないんじゃない?」
永那ちゃんが時計を見て、机の上に両手を投げた。
「やだー。全然穂と話せなかったじゃん」
思わず佐藤さんを見る。
彼女の表情は至って冷静そうで、怒りはなさそうだった。
「また明日もあるんだし。ね?」
ふいに永那ちゃんに抱きしめられた。
すぐに佐藤さんを見るけど、興味なさげに片付けを始めている。
永那ちゃんは私の胸に顔を押し付けて、左右に首を振っている。
「穂の匂い、好き」
鼓動が速くなっていく。
胸元にいる永那ちゃんにバレてるであろうことを想像すると、落ち着きたい思いとは反対に、どんどん鼓動が速くなった。
永那ちゃんの頭を撫でる。
永那ちゃんが上目遣いに私を見て、胸元にスッポリ顔がおさまっているから、土曜日を思い出す。
下腹部がキュゥッと締め付けられて、正座している足に力が入る。
「ねえ、空井さん」
佐藤さんの声が私の意識を現実に引き戻す。
「な、なに?」
佐藤さんはスマホを見ている。
「明日、優里も一緒に勉強したいって言うんだけど、だめかな?」
篠田さん?
明後日数学のテストがあるからかな?
「大丈夫だよ」
佐藤さんはチラリと私を見て、薄っすら笑みを作る。
「じゃあ優里に言っとくね」
永那ちゃんは私の胸元からずり落ちて、正座している私の足を枕にして、うずくまっている。
彼女の呼吸と共に、あたたかさと冷たさが交互にくる。
佐藤さんの前なのに、こんなことしていいのかな?
私はまた永那ちゃんの頭を撫でる。
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