文字の大きさ
大
中
小
102 / 595
2.変化
102.夏休み
アパートの前につく。
「ここ…。ボロくて恥ずかしいわ…」
「そんなことないよ」
穂は向かいのブロック塀に寄りかかった。
「…んじゃ、ちょっと行ってくる」
穂が頷く。
彼女は今日ノースリーブで、白い腕がいつもより見えている。
風が吹いて、彼女の髪が揺れる。
階段を上って見下ろすと、彼女は日の光に照らされて輝いていた。
目が合って、微笑んでくれる。
それに笑い返して、私はそっと玄関のドアを開けた。
お母さんはまだ寝ている。
ホッとして、音が鳴らないように、紙袋から服を出す。
少し光沢感のある素材。足首がキュッとしまっていて、ゆったりとした太もも部分とでメリハリがある形。
私は毛玉だらけのスウェットを脱いで、彼女からのプレゼントを穿く。
家に全身鏡がないから確認できないけど、さらりとしていて着心地がいい。
ハンカチをポケットに入れる。
洗面台の鏡で顔と髪を確認する。
ドアを開ける前、足元をもう一度見た。
足首にはお揃いのアンクレット。
パンツにそっと触れて、撫でる。
フゥッと幸せを噛みしめるように息を溢した。
振り返ってお母さんを見る。
カーテンが閉まった部屋で、まだ寝ている。
ドアを開けると、音で気づいた穂が見上げてくれる。
私は階段を下りるけど、彼女はずっと私から視線を外さない。
私が近づくと、駆け寄ってきてくれる。
その姿が愛おしくて、抱きしめた。
「永那ちゃん、似合ってるね」
「ありがとう」
キスしたくなって、グッと堪える。
彼女の手を握って、指を絡ませた。
そのまま一緒に、穂の家に向かう。
「本当はいつプレゼントしてくれようとしてたの?」
「んー…」
穂は俯いて、足元を見ながら、口ごもる。
私がジッと見て返事を待っていると、彼女と目が合った。
額に滲む汗。ピンク色に染まる頬。光に照らされて透ける茶色の瞳。
彼女の全てがあまりに綺麗で、息を呑む。
立ち止まって、彼女が私の肩に手を添える。
体を傾けると、彼女の唇が私の耳に触れた。
「エッチのとき」
囁かれて、顔が熱くなっていく。
フフッと彼女が笑うから、それが余計、心をくすぐる。
…だめだ。我慢なんてできないよ。
私は彼女をブロック塀に押しやって、顎をそっと上げた。
唇を重ねる。
彼女の握った手に力が入る。
「そんなこと言うなんて、ずるいよ」
離れて、彼女を見る。
彼女が照れたように笑う。
まだ遠くに家が見える。
こんな場所で、こんなこと、穂に出会う前の私は絶対しなかった。
また彼女と重なって、私は彼女の存在を確かめるように、舌をなかに入れる。
彼女はそれを受け入れてくれて、お互いの唾液が混ざっていく。
汗が垂れる。熱い風が吹く。セミの鳴き声がやたら大きく聞こえて、少し鬱陶しいくらいだ。
子供の声が遠くから聞こえて、体が離れる。
私達は笑い合って、また歩き出した。
子供が走って通り過ぎて行く。
2人で子供の背中を見送って、今度こそ駅に向かう。
電車の中は涼しい。
家ではあまりエアコンをつけない。
お母さんが1人のときは危ないからつけているけど、夜に起きているときとか、私がいるときはつけないようにしている。
それでも最近は扇風機と外の風だけでは耐えられなくて、つけることも増えたけど。
汗がどんどん引いていく。
「誉、友達の家に遊びに行くんだって」
「じゃあ、2人きり?」
「そう。でも…できないのが残念」
彼女がどんどん魅力的になっていく。
いつだったか、彼女は“もっと求めて嫌われないか怖い”と話してくれた。
嫌いになるどころか、もっと好きになっている自分がいる。
彼女が嫌がらず、積極的になってくれることが嬉しい。
それだけ私を受け入れてくれているのだと実感できるから。
穂の家についても、エアコンが既につけられていて、涼しかった。
「永那ちゃん、寝る?」
「んー、でもけっこう汗かいちゃったからな…」
「お風呂入る?」
「穂も入る?」
穂は歯を見せて笑う。
「入らない」
「残念」
私はシャワーを借りる。
穂が用意してくれたバスタオルがふかふかで、前にも思ったけど、ずっと顔を埋めていたくなる。
家ではハンドタオルを使っていて、何年も同じものを使っているから、ゴワゴワどころかカピカピしている。
アカスリで皮膚を削っているみたいな気持ちになる。
私がいつもの癖で、ドライヤーをかけずに出ると、穂が「寒くない?」と聞いてくれる。
頷いて、ラグに倒れ込む。
穂が私の頭のそばに座って、頭を撫でてくれる。
「気持ちいい」
目を閉じると、意識が遠のいていく。
「ここ…。ボロくて恥ずかしいわ…」
「そんなことないよ」
穂は向かいのブロック塀に寄りかかった。
「…んじゃ、ちょっと行ってくる」
穂が頷く。
彼女は今日ノースリーブで、白い腕がいつもより見えている。
風が吹いて、彼女の髪が揺れる。
階段を上って見下ろすと、彼女は日の光に照らされて輝いていた。
目が合って、微笑んでくれる。
それに笑い返して、私はそっと玄関のドアを開けた。
お母さんはまだ寝ている。
ホッとして、音が鳴らないように、紙袋から服を出す。
少し光沢感のある素材。足首がキュッとしまっていて、ゆったりとした太もも部分とでメリハリがある形。
私は毛玉だらけのスウェットを脱いで、彼女からのプレゼントを穿く。
家に全身鏡がないから確認できないけど、さらりとしていて着心地がいい。
ハンカチをポケットに入れる。
洗面台の鏡で顔と髪を確認する。
ドアを開ける前、足元をもう一度見た。
足首にはお揃いのアンクレット。
パンツにそっと触れて、撫でる。
フゥッと幸せを噛みしめるように息を溢した。
振り返ってお母さんを見る。
カーテンが閉まった部屋で、まだ寝ている。
ドアを開けると、音で気づいた穂が見上げてくれる。
私は階段を下りるけど、彼女はずっと私から視線を外さない。
私が近づくと、駆け寄ってきてくれる。
その姿が愛おしくて、抱きしめた。
「永那ちゃん、似合ってるね」
「ありがとう」
キスしたくなって、グッと堪える。
彼女の手を握って、指を絡ませた。
そのまま一緒に、穂の家に向かう。
「本当はいつプレゼントしてくれようとしてたの?」
「んー…」
穂は俯いて、足元を見ながら、口ごもる。
私がジッと見て返事を待っていると、彼女と目が合った。
額に滲む汗。ピンク色に染まる頬。光に照らされて透ける茶色の瞳。
彼女の全てがあまりに綺麗で、息を呑む。
立ち止まって、彼女が私の肩に手を添える。
体を傾けると、彼女の唇が私の耳に触れた。
「エッチのとき」
囁かれて、顔が熱くなっていく。
フフッと彼女が笑うから、それが余計、心をくすぐる。
…だめだ。我慢なんてできないよ。
私は彼女をブロック塀に押しやって、顎をそっと上げた。
唇を重ねる。
彼女の握った手に力が入る。
「そんなこと言うなんて、ずるいよ」
離れて、彼女を見る。
彼女が照れたように笑う。
まだ遠くに家が見える。
こんな場所で、こんなこと、穂に出会う前の私は絶対しなかった。
また彼女と重なって、私は彼女の存在を確かめるように、舌をなかに入れる。
彼女はそれを受け入れてくれて、お互いの唾液が混ざっていく。
汗が垂れる。熱い風が吹く。セミの鳴き声がやたら大きく聞こえて、少し鬱陶しいくらいだ。
子供の声が遠くから聞こえて、体が離れる。
私達は笑い合って、また歩き出した。
子供が走って通り過ぎて行く。
2人で子供の背中を見送って、今度こそ駅に向かう。
電車の中は涼しい。
家ではあまりエアコンをつけない。
お母さんが1人のときは危ないからつけているけど、夜に起きているときとか、私がいるときはつけないようにしている。
それでも最近は扇風機と外の風だけでは耐えられなくて、つけることも増えたけど。
汗がどんどん引いていく。
「誉、友達の家に遊びに行くんだって」
「じゃあ、2人きり?」
「そう。でも…できないのが残念」
彼女がどんどん魅力的になっていく。
いつだったか、彼女は“もっと求めて嫌われないか怖い”と話してくれた。
嫌いになるどころか、もっと好きになっている自分がいる。
彼女が嫌がらず、積極的になってくれることが嬉しい。
それだけ私を受け入れてくれているのだと実感できるから。
穂の家についても、エアコンが既につけられていて、涼しかった。
「永那ちゃん、寝る?」
「んー、でもけっこう汗かいちゃったからな…」
「お風呂入る?」
「穂も入る?」
穂は歯を見せて笑う。
「入らない」
「残念」
私はシャワーを借りる。
穂が用意してくれたバスタオルがふかふかで、前にも思ったけど、ずっと顔を埋めていたくなる。
家ではハンドタオルを使っていて、何年も同じものを使っているから、ゴワゴワどころかカピカピしている。
アカスリで皮膚を削っているみたいな気持ちになる。
私がいつもの癖で、ドライヤーをかけずに出ると、穂が「寒くない?」と聞いてくれる。
頷いて、ラグに倒れ込む。
穂が私の頭のそばに座って、頭を撫でてくれる。
「気持ちいい」
目を閉じると、意識が遠のいていく。
感想 56
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?