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3.成長
121.噂
私の隣に日住君が座り、その隣に金井さんが座った。
2人が楽しそうに話す姿を眺めていた。
たまに話を振ってくれて、相槌を打ちつつ、のんびり過ごす。
1時間経ったあたりで、(永那ちゃんは、そろそろ家についたかなあ?)なんて考える。
「空井さん」
突然、私とは別のクラスの同級生に話しかけられる。
生徒会の業務連絡で話したことはあるけれど、彼女から普通に話しかけられるのは初めてだ。
「なに?」
「あの、空井さんって…両角さんと仲良いって本当?ですか」
久しぶりの同級生からの敬語に少し緊張する。
隣には彼女と同じクラスの子もいる。
「ああ…まあ…」
「えー!やっぱり本当だったんだ」と、2人が手を重ねて言う。
「私達、めっちゃ両角さんと佐藤さんのこと応援してて」
応援?
私は首を傾げる。
「…空井さんに言うことじゃないとは思うんですけど、ほら…あの2人って、お似合いっていうか…ね?」
2人はお互いに顔を見合わせて「ね?」「ね?」と言い合っている。
「正直、両角さんと佐藤さんって付き合ってるんですか?」
思わず顔が引きつる。
どう答えればいいかわからないし、答えたいとも思わない。
「両角先輩は体育祭のとき“好きな人”のカードを引いて、空井先輩の手を引いていましたよね?」
金井さんが爆弾を投下する。
「あ、そうそう!…それも気になってた!」
「三角関係?」
私は視線を下げて、唾を飲む。
やっぱり、恋話ってめんどくさいし、どうでもいいなあ。なんて。
「ちょっと、先輩方…そういう話はやめましょうよ」
「え、日住君?」
「え、なになに。怒ってる?」
2人は顔を見合わせている。
「私達は、ちょっと推しカプがどうなってるのか知りたかっただけで…ねえ?」
もう1人が頷く。
“推しカプ”?なにそれ。
「日住君が怒ることじゃなくない?」
「…すみません。でも、聞いてて良い気分しなくて」
私は小さくため息をつく。
旅行の初日で空気を悪くするわけにもいかないし、普通に答えるしかないか…。
「日住君、ありがとう。…あの2人は付き合ってないよ」
「え!そうなんだー」
「やっぱりまだ友達なんだね」
2人が楽しそうにする。
“まだ”とは?
これからも、友達だよ。
「ちょっ…」
「いいから、大丈夫だから」
日住君が珍しく眉間にシワを寄せているから、制止する。
「ありがとうございました~」なんて言って、2人がまた距離を取って、楽しそうに話し始めた。
人を勝手に妄想の道具にしないでほしい。
「金井、なんであんなこと言ったんだよ?」
「両角先輩の相手は、どこかの誰かじゃないって教えてあげたの」
私は苦笑する。
そんなこと言わなくていい。
「先輩、なんで言わないんですか?相手は私ですよって」
「…なんでそんなこと言わなきゃいけないの?」
金井さんがの目が大きく見開かれて、口元が緩む。
「先輩、目が怖いですよ」
そう言われて、ハッとする。
自分の頬をペシペシ叩く。
「金井、先輩を振り回すなよ」
「日住君には関係ないでしょ」
金井さんはプイとそっぽを向いてしまった。
「すみません」
なぜか日住君に謝られる。
「私だったら、嫌です」
そっぽを向く金井さんが言う。
「私だったら、好きな人と他の人が“お似合い”なんて、勝手に言ってほしくない」
胸がチクリと痛む。
金井さんの言っていることは正しい。
正しいけれど、それが正解ではないと、わかる。
「なんで、先輩は笑っていられるんですか?」
私、笑えてたんだ。知らなかった。
悔しげな表情を向けられて、思わず、本当に笑みが溢れる。
「べつに…笑えてるわけじゃないよ。でも、私と永那ちゃんのことは、私達が1番知っているとわかっているから。そこは揺るがないし。…永那ちゃんと佐藤さんが綺麗なのは事実だし。どうしても表面上は、仕方ないんじゃない?」
金井さんの喉が上下する。
「そう、ですか」
「空井先輩も、綺麗です」
「え!?」
日住君が俯いて、膝で手を握りしめている。
突然褒められて、どう答えればいいかわからない。
「ひ、日住君…ありがとう。…そんな、あの、励ましてもらわなくても、大丈夫だよ?」
日住君の頭がもっと下を向いてしまう。
「俺、本当に先輩のこと、綺麗だと思ってます」
まっすぐ見つめられて、顔に熱がおびていく。
「あ…ありがとう…」
今度は私が、俯いた。
あれ?日住君?…どうしたの?
「やめてよ、こんな、電車の中で」
金井さんの声が冷え切っていて、少し心が落ち着く。
「ごめん」
日住君が謝って、ポリポリと頭を掻いた。
私が横目で見ていたら、目が合って「すみません」と謝られた。
…なんか、気まずい。
そのまま私達は無言で電車に揺られた。
幸いその時間は30分程度で、電車をおりると、自然の匂いが鼻を通って、体を満たした。
みんなのテンションも上がって、生徒会長の後に続いた。
2人が楽しそうに話す姿を眺めていた。
たまに話を振ってくれて、相槌を打ちつつ、のんびり過ごす。
1時間経ったあたりで、(永那ちゃんは、そろそろ家についたかなあ?)なんて考える。
「空井さん」
突然、私とは別のクラスの同級生に話しかけられる。
生徒会の業務連絡で話したことはあるけれど、彼女から普通に話しかけられるのは初めてだ。
「なに?」
「あの、空井さんって…両角さんと仲良いって本当?ですか」
久しぶりの同級生からの敬語に少し緊張する。
隣には彼女と同じクラスの子もいる。
「ああ…まあ…」
「えー!やっぱり本当だったんだ」と、2人が手を重ねて言う。
「私達、めっちゃ両角さんと佐藤さんのこと応援してて」
応援?
私は首を傾げる。
「…空井さんに言うことじゃないとは思うんですけど、ほら…あの2人って、お似合いっていうか…ね?」
2人はお互いに顔を見合わせて「ね?」「ね?」と言い合っている。
「正直、両角さんと佐藤さんって付き合ってるんですか?」
思わず顔が引きつる。
どう答えればいいかわからないし、答えたいとも思わない。
「両角先輩は体育祭のとき“好きな人”のカードを引いて、空井先輩の手を引いていましたよね?」
金井さんが爆弾を投下する。
「あ、そうそう!…それも気になってた!」
「三角関係?」
私は視線を下げて、唾を飲む。
やっぱり、恋話ってめんどくさいし、どうでもいいなあ。なんて。
「ちょっと、先輩方…そういう話はやめましょうよ」
「え、日住君?」
「え、なになに。怒ってる?」
2人は顔を見合わせている。
「私達は、ちょっと推しカプがどうなってるのか知りたかっただけで…ねえ?」
もう1人が頷く。
“推しカプ”?なにそれ。
「日住君が怒ることじゃなくない?」
「…すみません。でも、聞いてて良い気分しなくて」
私は小さくため息をつく。
旅行の初日で空気を悪くするわけにもいかないし、普通に答えるしかないか…。
「日住君、ありがとう。…あの2人は付き合ってないよ」
「え!そうなんだー」
「やっぱりまだ友達なんだね」
2人が楽しそうにする。
“まだ”とは?
これからも、友達だよ。
「ちょっ…」
「いいから、大丈夫だから」
日住君が珍しく眉間にシワを寄せているから、制止する。
「ありがとうございました~」なんて言って、2人がまた距離を取って、楽しそうに話し始めた。
人を勝手に妄想の道具にしないでほしい。
「金井、なんであんなこと言ったんだよ?」
「両角先輩の相手は、どこかの誰かじゃないって教えてあげたの」
私は苦笑する。
そんなこと言わなくていい。
「先輩、なんで言わないんですか?相手は私ですよって」
「…なんでそんなこと言わなきゃいけないの?」
金井さんがの目が大きく見開かれて、口元が緩む。
「先輩、目が怖いですよ」
そう言われて、ハッとする。
自分の頬をペシペシ叩く。
「金井、先輩を振り回すなよ」
「日住君には関係ないでしょ」
金井さんはプイとそっぽを向いてしまった。
「すみません」
なぜか日住君に謝られる。
「私だったら、嫌です」
そっぽを向く金井さんが言う。
「私だったら、好きな人と他の人が“お似合い”なんて、勝手に言ってほしくない」
胸がチクリと痛む。
金井さんの言っていることは正しい。
正しいけれど、それが正解ではないと、わかる。
「なんで、先輩は笑っていられるんですか?」
私、笑えてたんだ。知らなかった。
悔しげな表情を向けられて、思わず、本当に笑みが溢れる。
「べつに…笑えてるわけじゃないよ。でも、私と永那ちゃんのことは、私達が1番知っているとわかっているから。そこは揺るがないし。…永那ちゃんと佐藤さんが綺麗なのは事実だし。どうしても表面上は、仕方ないんじゃない?」
金井さんの喉が上下する。
「そう、ですか」
「空井先輩も、綺麗です」
「え!?」
日住君が俯いて、膝で手を握りしめている。
突然褒められて、どう答えればいいかわからない。
「ひ、日住君…ありがとう。…そんな、あの、励ましてもらわなくても、大丈夫だよ?」
日住君の頭がもっと下を向いてしまう。
「俺、本当に先輩のこと、綺麗だと思ってます」
まっすぐ見つめられて、顔に熱がおびていく。
「あ…ありがとう…」
今度は私が、俯いた。
あれ?日住君?…どうしたの?
「やめてよ、こんな、電車の中で」
金井さんの声が冷え切っていて、少し心が落ち着く。
「ごめん」
日住君が謝って、ポリポリと頭を掻いた。
私が横目で見ていたら、目が合って「すみません」と謝られた。
…なんか、気まずい。
そのまま私達は無言で電車に揺られた。
幸いその時間は30分程度で、電車をおりると、自然の匂いが鼻を通って、体を満たした。
みんなのテンションも上がって、生徒会長の後に続いた。
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