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3.成長
147.海とか祭りとか
「そういえば、千陽?」
弟に目を向ける。
「お祭りさ、浴衣着る?」
「浴衣なんて、持ってない」
「お祭り行くの?」
永那が聞く。
「うん!千陽と2人で行くんだー!」
「ふーん」
永那がニヤニヤしながらあたしを見るから、ため息をついてご飯を食べる。
「俺さ、昨日甚平買ってもらったから着ていくんだけど、千陽も一緒に着ようよ?」
「誉、浴衣ってけっこう高いんだよ?持ってないって言ってるんだから、そんな気軽に誘っちゃだめ」
「えー」
空井さんが叱るように言って、弟が唇を尖らせる。
「いくらなの?」
「えーっと…1番安くても7千円くらいかなあ?…前に5千円くらいのも見た気がするけど、それだと種類がすごく少なかったんだよね」
…7千円って、高いの?普通じゃない?
「べつに、いいよ」
「マジ!?やったー!やっぱ、祭りと言えば浴衣だよね!俺だけ甚平で千陽が服ってのも、微妙だと思ったんだよ」
「無理しないでね?」
空井さんが言うけど、あたしはご飯を口に運んで無視する。
食後、また永那は寝た。
「さ、佐藤さん…そんなに、見ないで」
キスするところを眺めてたら、空井さんが頬を赤らめて言った。
「なんで?」
「恥ずかしい…から…」
「でも、いつもやってることなんでしょ?」
彼女が俯く。
…その姿に、なんかイラついて、気づけばあたしは、俯く彼女の唇に唇を重ねていた。
やわらかい。
すぐに離れて、唇をペロリと舐める。
空井さんが火を吹きそうなほど顔を赤らめて、目を見開いて固まっている。
…なんか、癖になりそう。
「ち、千陽…?」
「なに?」
リビングに戻って、ゲームのコントローラーを持つ。
「え、あれ?…いや、え?…姉ちゃん、動かないよ?」
2人で空井さんを見る。
おかしくて笑えてくる。
「誉」
初めて、彼の名を呼ぶ。
弟の顔も赤くなる。
「キスって、気持ちいいんだね」
もう一度、唇を舐めた。
口元を綻ばせると、弟が俯く。
照れるときの反応が姉弟揃って全く一緒。
「ほら、やろうよ?ゲーム」
「え?…でも」
「早く」
弟は空井さんをチラチラ見ながら、ゲームの電源を入れる。
しばらくして、空井さんは両手を顔で覆って、しゃがみこんでいた。
「ねえ、明日も来ていい?」
弟に聞くと、「うん!もちろん!」と目を輝かせた。
空井さんはずっと部屋の入り口でしゃがんで俯いている。
…何度も永那としてるなら、あたしと1回くらいしても、平気でしょ?
あたしなんて、永那の頬にキスしたことはあるけど、口は初めてなんだから。
そっか。言っちゃえば、これが本当のファーストキスなのか。
空井さんが永那とキスした後に、あたしと空井さんがキスしたんだから、永那との間接キスとも言える。
そう考えたら、ニヤけずにはいられない。
「姉ちゃん、そろそろ、永那を起こさなきゃいけないんじゃないの?」
時計の針は、4時半近くになっていた。
「姉ちゃん?」
弟が、空井さんの肩を揺らす。
あたしはため息をついて、部屋に入る。
永那のほっぺをグイッと引っ張る。
目が開く。
あたしと目が合って、睨まれる。
手を離すと、「いってーよ」と頬をさすった。
「穂は?」
永那はキョロキョロして、すぐそばでしゃがんでいるのを見つけた。
「え!?穂?どうした?」
弟があたしを見る。
あたしはあの感触を思い出して、またニヤけてしまう。
永那が空井さんと弟とあたしを順々に見て、眉間にシワを寄せる。
「え?なに?…何があったの?」
「千陽が…」
永那があたしを睨む。
「なに?…何したの?」
「キスした」
何度か瞬きを繰り返して、「は?」と、全く理解できないみたいな声で言う。
「誰が?誰に?」
「あたしが、空井さんに」
眉間のシワが深くなる。
首を90度近く曲げるから、痛くないのかな?なんて呑気に思う。
「キスって、あんなに気持ちいいんだね」
唇をペロリと舐めると、永那の顔が引きつる。
「お前…!」
「なに?」
「“なに?”じゃないだろ!おかしいだろ!…は?なにやってんの?マジで」
「だって空井さん、あたしのこと、好きなんでしょ?」
「その好きは、友達としての好きだろ!なに…なにキスしてんだよ!え?ほっぺだよね?」
「そんなわけないじゃん」
永那の目の下がピクピクと痙攣して、過去にないほど怒ってるのがわかる。
「永那が呑気に寝てるから悪いんだよ?」
「はあ?意味わかんねえよ!」
「…あ、2人とも…あの、もう…」
空井さんが顔を上げる。
また彼女は前髪を指で梳いて、立ち上がる。
俯きがちに、あたし達を見た。
「あの、事故ということで…」
「事故?…違うけど」
空井さんの顔がまた真っ赤になる。
「ふざけんなよ」
永那に、胸元の服を掴まれる。…乱暴。
「もう、あたしのこと、嫌い?」
手を握りしめる。
「は?…そんな話、してないじゃん」
「じゃあ、どんな話?」
永那の奥歯がギリリと鳴る。
「なにやってんだって言ってんの」
「だからキスだってば」
「だから、なんでだよ!なんで穂にキスする流れになるわけ?」
「…なんとなく」
「なんとなく!?なんとなくキスすんの!?お前」
あたしは笑う。
永那は大きくため息をついて、項垂れた。
服を掴んでいた手はダラリと垂れて、力なくベッドに座り込む。
弟に目を向ける。
「お祭りさ、浴衣着る?」
「浴衣なんて、持ってない」
「お祭り行くの?」
永那が聞く。
「うん!千陽と2人で行くんだー!」
「ふーん」
永那がニヤニヤしながらあたしを見るから、ため息をついてご飯を食べる。
「俺さ、昨日甚平買ってもらったから着ていくんだけど、千陽も一緒に着ようよ?」
「誉、浴衣ってけっこう高いんだよ?持ってないって言ってるんだから、そんな気軽に誘っちゃだめ」
「えー」
空井さんが叱るように言って、弟が唇を尖らせる。
「いくらなの?」
「えーっと…1番安くても7千円くらいかなあ?…前に5千円くらいのも見た気がするけど、それだと種類がすごく少なかったんだよね」
…7千円って、高いの?普通じゃない?
「べつに、いいよ」
「マジ!?やったー!やっぱ、祭りと言えば浴衣だよね!俺だけ甚平で千陽が服ってのも、微妙だと思ったんだよ」
「無理しないでね?」
空井さんが言うけど、あたしはご飯を口に運んで無視する。
食後、また永那は寝た。
「さ、佐藤さん…そんなに、見ないで」
キスするところを眺めてたら、空井さんが頬を赤らめて言った。
「なんで?」
「恥ずかしい…から…」
「でも、いつもやってることなんでしょ?」
彼女が俯く。
…その姿に、なんかイラついて、気づけばあたしは、俯く彼女の唇に唇を重ねていた。
やわらかい。
すぐに離れて、唇をペロリと舐める。
空井さんが火を吹きそうなほど顔を赤らめて、目を見開いて固まっている。
…なんか、癖になりそう。
「ち、千陽…?」
「なに?」
リビングに戻って、ゲームのコントローラーを持つ。
「え、あれ?…いや、え?…姉ちゃん、動かないよ?」
2人で空井さんを見る。
おかしくて笑えてくる。
「誉」
初めて、彼の名を呼ぶ。
弟の顔も赤くなる。
「キスって、気持ちいいんだね」
もう一度、唇を舐めた。
口元を綻ばせると、弟が俯く。
照れるときの反応が姉弟揃って全く一緒。
「ほら、やろうよ?ゲーム」
「え?…でも」
「早く」
弟は空井さんをチラチラ見ながら、ゲームの電源を入れる。
しばらくして、空井さんは両手を顔で覆って、しゃがみこんでいた。
「ねえ、明日も来ていい?」
弟に聞くと、「うん!もちろん!」と目を輝かせた。
空井さんはずっと部屋の入り口でしゃがんで俯いている。
…何度も永那としてるなら、あたしと1回くらいしても、平気でしょ?
あたしなんて、永那の頬にキスしたことはあるけど、口は初めてなんだから。
そっか。言っちゃえば、これが本当のファーストキスなのか。
空井さんが永那とキスした後に、あたしと空井さんがキスしたんだから、永那との間接キスとも言える。
そう考えたら、ニヤけずにはいられない。
「姉ちゃん、そろそろ、永那を起こさなきゃいけないんじゃないの?」
時計の針は、4時半近くになっていた。
「姉ちゃん?」
弟が、空井さんの肩を揺らす。
あたしはため息をついて、部屋に入る。
永那のほっぺをグイッと引っ張る。
目が開く。
あたしと目が合って、睨まれる。
手を離すと、「いってーよ」と頬をさすった。
「穂は?」
永那はキョロキョロして、すぐそばでしゃがんでいるのを見つけた。
「え!?穂?どうした?」
弟があたしを見る。
あたしはあの感触を思い出して、またニヤけてしまう。
永那が空井さんと弟とあたしを順々に見て、眉間にシワを寄せる。
「え?なに?…何があったの?」
「千陽が…」
永那があたしを睨む。
「なに?…何したの?」
「キスした」
何度か瞬きを繰り返して、「は?」と、全く理解できないみたいな声で言う。
「誰が?誰に?」
「あたしが、空井さんに」
眉間のシワが深くなる。
首を90度近く曲げるから、痛くないのかな?なんて呑気に思う。
「キスって、あんなに気持ちいいんだね」
唇をペロリと舐めると、永那の顔が引きつる。
「お前…!」
「なに?」
「“なに?”じゃないだろ!おかしいだろ!…は?なにやってんの?マジで」
「だって空井さん、あたしのこと、好きなんでしょ?」
「その好きは、友達としての好きだろ!なに…なにキスしてんだよ!え?ほっぺだよね?」
「そんなわけないじゃん」
永那の目の下がピクピクと痙攣して、過去にないほど怒ってるのがわかる。
「永那が呑気に寝てるから悪いんだよ?」
「はあ?意味わかんねえよ!」
「…あ、2人とも…あの、もう…」
空井さんが顔を上げる。
また彼女は前髪を指で梳いて、立ち上がる。
俯きがちに、あたし達を見た。
「あの、事故ということで…」
「事故?…違うけど」
空井さんの顔がまた真っ赤になる。
「ふざけんなよ」
永那に、胸元の服を掴まれる。…乱暴。
「もう、あたしのこと、嫌い?」
手を握りしめる。
「は?…そんな話、してないじゃん」
「じゃあ、どんな話?」
永那の奥歯がギリリと鳴る。
「なにやってんだって言ってんの」
「だからキスだってば」
「だから、なんでだよ!なんで穂にキスする流れになるわけ?」
「…なんとなく」
「なんとなく!?なんとなくキスすんの!?お前」
あたしは笑う。
永那は大きくため息をついて、項垂れた。
服を掴んでいた手はダラリと垂れて、力なくベッドに座り込む。
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