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3.成長
168.夏が終わる
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「これ、全然守ってくれないから、もし千陽に胸さわられて穂が感じちゃったら、乳首固くなって、服から浮き出ちゃうね?」
カーッと顔に熱がこもる。
「べつに、さわられちゃったら仕方ないけど…そういう恥ずかしいところ、穂は、人に見られたくないよね?そうだよね?」
永那ちゃんが、俯く私の顔を覗き込む。
「穂?…これで、千陽とはこれ以上の関係にはならないよね?」
永那ちゃんは殺気を帯びた目を向ける。
背筋がゾワリとして、猫背になっていた姿勢が正される。
「…はい」
…この目、掃除のときに、初めて彼女を起こしたときの目と一緒。久しぶりに見た。
「じゃあ、約束ね?千陽と会うときは?」
「これを…着ます」
永那ちゃんが満足げに笑う。
「いい子、いい子」
頭を撫でられる。
「サイズが合うかわからなかったから、とりあえず1枚しか買ってないけど、もう何枚か買わないとね」
キャミソールを拾って、着させてくれる。
「首の紐が見えちゃうね。…違うタイプのやつを多めに買うか」
そう言ってスマホをポケットから出す。
チラリと画面を覗くと、いろんな種類の、布面積の小さいビキニが表示されていた。
自分のせいだけど、思わずため息をついてしまう。
これから、このビキニを着て過ごすの…?
「え、永那ちゃん?」
「ん?」
「学校は?」
永那ちゃんは宙を見て、スマホの角を顎に当てる。
「着なきゃだよね?」
見下ろすように見られる。
「学校でも?…たくさん人いるよ?」
「私、寝てばっかだし…何が起きるかなんて、わからないよね?」
目が、怖い。
「せ、せめて…体育の日は」
「…しょうがないなあ。それだけだよ?」
私はなんとか頷いて、ショーツを穿きかけた。
刺さるような視線を感じて、慌ててショーツを脱ぐ。
パンツを穿いて、Tシャツだと首周りの紐が見えてしまうから、襟付きのシャツを着る。
長袖だから、腕を捲くって、息を吐く。
下着の凄さに気付かされる。
胸周りの締め付けがなくなり、胸が少し垂れる。
胸には紐が当たっている感覚しかなくて、違和感がすごい。
お尻に、少しザラついたパンツの裏地が擦れる。
全然、何にも守られている感じがしない。
「穂」
ギュッと抱きしめられる。
「めっちゃエロいから、今度はこれでエッチしよう?」
「え、あ、明日ってこと?」
彼女がフッと笑う。
「今日、もう着ちゃってるよ?」
「いいじゃん、明日も着て?…悪い子には、お仕置きでしょ?」
その声が、どこか悲しげで…私は彼女の背に手を回して、ギュッと抱きしめ返す。
「これでも一応、けっこう我慢してるんだよ?…お泊まりのことも、浮気のことも」
「…ごめんなさい」
「本当は、けっこう、大丈夫じゃない」
「うん」
「悲しかった…」
「うん」
「でも、千陽も、大事だから…だから、仕方ないから…」
「うん」
彼女の髪を、何度も撫でる。
「ハァ」と彼女の息が首筋にかかって、顔をうずめられる。
「穂は、私の彼女だよね?」
「うん。私は、永那ちゃんのだよ」
私の本心に気づいてくれたのは、紛れもなく永那ちゃんだけだった。
だから、私は永那ちゃんが好き。
永那ちゃんを、大切にしたい。
「千陽は私のことが好きだったのに、なんでこんなことになったんだろ…」
「寂しいって…言ってた、から…」
「そうだね。…私と千陽は似てるんだろうな。…だから、穂に安心する。穂といると、本当の自分でいられる気がする」
本当の自分。
永那ちゃんも佐藤さんも、友達が多いように見える。
実際、多いんだと思う。
でも、永那ちゃんは自分の事情を誰にも話せていないし、佐藤さんは寂しさを誰にもぶつけられていなかった。
2人ともたくさんの人から好かれているのに、実は孤独だったのかな。
たくさんの人から好かれているはずなのに孤独なのは、すごく、寂しいのかもしれない。
キスをして、永那ちゃんを寝かせる。
私が部屋から出ると、佐藤さんが振り向いた。
「千陽!コースからそれてる!落ちちゃうよ!」
誉が騒ぐ。
佐藤さんは視線を画面に戻した。
私は椅子に座って、本を開く。
「空井さん、服、着替えたの?」
すぐに声をかけられて、佐藤さんを見た。
ゲームのコントローラーを床に置くと、誉が「もうおしまい?」と佐藤さんに聞く。
「休憩」と答えて、私の隣に座る。
頬杖をついて、ジッと私を見た。
「ちょっと、エアコンが、寒いかなって…」
「へえ」
彼女の視線が、私の首元に落ちる。
気まずくて、襟を正す。
「永那、なんだって?話したんでしょ?さっきのこと」
誉を見ると、1人でゲームをしていた。
「もう、いいって」
佐藤さんの眉間にシワが寄る。
不安そうに瞳が揺らぐから、苦笑する。
自分でしておきながら、永那ちゃんに嫌われたくなくて仕方ないみたい。…なんだか、変なの。
でも、きっと、佐藤さん自身も、グチャグチャな感情を処理しきれていないんだろうな。
私は少し目を伏せてから、指に挟んでいた本のページを開く。
彼女の耳に唇を近づける。
私達を隠すように、本を顔の前にやった。
「キスも、私が、佐藤さんの胸をさわるのも、仕方ないから、いいって」
佐藤さんの目が見開く。
ゆっくり顔をこちらに向けて、“信じられない”という表情をする。
私は微笑んで、視線を手元の本に落とす。
…複雑な気持ち。
でも、たぶん、とりあえず、今はこれでいい。
カーッと顔に熱がこもる。
「べつに、さわられちゃったら仕方ないけど…そういう恥ずかしいところ、穂は、人に見られたくないよね?そうだよね?」
永那ちゃんが、俯く私の顔を覗き込む。
「穂?…これで、千陽とはこれ以上の関係にはならないよね?」
永那ちゃんは殺気を帯びた目を向ける。
背筋がゾワリとして、猫背になっていた姿勢が正される。
「…はい」
…この目、掃除のときに、初めて彼女を起こしたときの目と一緒。久しぶりに見た。
「じゃあ、約束ね?千陽と会うときは?」
「これを…着ます」
永那ちゃんが満足げに笑う。
「いい子、いい子」
頭を撫でられる。
「サイズが合うかわからなかったから、とりあえず1枚しか買ってないけど、もう何枚か買わないとね」
キャミソールを拾って、着させてくれる。
「首の紐が見えちゃうね。…違うタイプのやつを多めに買うか」
そう言ってスマホをポケットから出す。
チラリと画面を覗くと、いろんな種類の、布面積の小さいビキニが表示されていた。
自分のせいだけど、思わずため息をついてしまう。
これから、このビキニを着て過ごすの…?
「え、永那ちゃん?」
「ん?」
「学校は?」
永那ちゃんは宙を見て、スマホの角を顎に当てる。
「着なきゃだよね?」
見下ろすように見られる。
「学校でも?…たくさん人いるよ?」
「私、寝てばっかだし…何が起きるかなんて、わからないよね?」
目が、怖い。
「せ、せめて…体育の日は」
「…しょうがないなあ。それだけだよ?」
私はなんとか頷いて、ショーツを穿きかけた。
刺さるような視線を感じて、慌ててショーツを脱ぐ。
パンツを穿いて、Tシャツだと首周りの紐が見えてしまうから、襟付きのシャツを着る。
長袖だから、腕を捲くって、息を吐く。
下着の凄さに気付かされる。
胸周りの締め付けがなくなり、胸が少し垂れる。
胸には紐が当たっている感覚しかなくて、違和感がすごい。
お尻に、少しザラついたパンツの裏地が擦れる。
全然、何にも守られている感じがしない。
「穂」
ギュッと抱きしめられる。
「めっちゃエロいから、今度はこれでエッチしよう?」
「え、あ、明日ってこと?」
彼女がフッと笑う。
「今日、もう着ちゃってるよ?」
「いいじゃん、明日も着て?…悪い子には、お仕置きでしょ?」
その声が、どこか悲しげで…私は彼女の背に手を回して、ギュッと抱きしめ返す。
「これでも一応、けっこう我慢してるんだよ?…お泊まりのことも、浮気のことも」
「…ごめんなさい」
「本当は、けっこう、大丈夫じゃない」
「うん」
「悲しかった…」
「うん」
「でも、千陽も、大事だから…だから、仕方ないから…」
「うん」
彼女の髪を、何度も撫でる。
「ハァ」と彼女の息が首筋にかかって、顔をうずめられる。
「穂は、私の彼女だよね?」
「うん。私は、永那ちゃんのだよ」
私の本心に気づいてくれたのは、紛れもなく永那ちゃんだけだった。
だから、私は永那ちゃんが好き。
永那ちゃんを、大切にしたい。
「千陽は私のことが好きだったのに、なんでこんなことになったんだろ…」
「寂しいって…言ってた、から…」
「そうだね。…私と千陽は似てるんだろうな。…だから、穂に安心する。穂といると、本当の自分でいられる気がする」
本当の自分。
永那ちゃんも佐藤さんも、友達が多いように見える。
実際、多いんだと思う。
でも、永那ちゃんは自分の事情を誰にも話せていないし、佐藤さんは寂しさを誰にもぶつけられていなかった。
2人ともたくさんの人から好かれているのに、実は孤独だったのかな。
たくさんの人から好かれているはずなのに孤独なのは、すごく、寂しいのかもしれない。
キスをして、永那ちゃんを寝かせる。
私が部屋から出ると、佐藤さんが振り向いた。
「千陽!コースからそれてる!落ちちゃうよ!」
誉が騒ぐ。
佐藤さんは視線を画面に戻した。
私は椅子に座って、本を開く。
「空井さん、服、着替えたの?」
すぐに声をかけられて、佐藤さんを見た。
ゲームのコントローラーを床に置くと、誉が「もうおしまい?」と佐藤さんに聞く。
「休憩」と答えて、私の隣に座る。
頬杖をついて、ジッと私を見た。
「ちょっと、エアコンが、寒いかなって…」
「へえ」
彼女の視線が、私の首元に落ちる。
気まずくて、襟を正す。
「永那、なんだって?話したんでしょ?さっきのこと」
誉を見ると、1人でゲームをしていた。
「もう、いいって」
佐藤さんの眉間にシワが寄る。
不安そうに瞳が揺らぐから、苦笑する。
自分でしておきながら、永那ちゃんに嫌われたくなくて仕方ないみたい。…なんだか、変なの。
でも、きっと、佐藤さん自身も、グチャグチャな感情を処理しきれていないんだろうな。
私は少し目を伏せてから、指に挟んでいた本のページを開く。
彼女の耳に唇を近づける。
私達を隠すように、本を顔の前にやった。
「キスも、私が、佐藤さんの胸をさわるのも、仕方ないから、いいって」
佐藤さんの目が見開く。
ゆっくり顔をこちらに向けて、“信じられない”という表情をする。
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…複雑な気持ち。
でも、たぶん、とりあえず、今はこれでいい。
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