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5.時間
299.好きのその先
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「あ!やばい!お風呂の時間だよ!」
優里が言って、テーブルにあった鍵を持った。
「千陽、行ける?」
「うん」
「穂ちゃんがもう1つの鍵持ってるから、鍵かけても平気だよね」
3人で部屋を出て、お風呂に行った。
「優里、永那に押し倒されてどんな気分?」
体を洗いながら聞く。
「え!?…あー、いやー、ホント、無駄に顔が良いって怖いなーって思ったよ!」
「ドキドキしたんだ?」
「そ、そりゃあ、ちょっとはね…!?ちょっとだよ…!」
あたしはフフッと笑う。
「い、いやー…なんかほら、少女漫画みたいで…あんなことされたらときめいちゃうよね…怖いっ」
「ときめいたんだ?」
「ち、違う!永那にときめいたんじゃなくて、シチュエーションね!シチュエーション!」
「ふーん」
優里はさっきから同じところをずっと洗っている。
「穂は、しょっちゅうあれをされてるんだよ」
あたしは優里の顔を覗き込むように、からかうように言った。
優里の顔が真っ赤になる。
「や、やばー!ひゃ~!無理~!!」
「優里、永那に迫られたらノッちゃうんじゃないの?」
「ないないない!ないって!あの永那だよ!?絶対嫌!」
「絶対嫌なんだ」
プッと吹き出してしまう。
「んー…そう考えると、私、ロマンチックな恋がしたいとか思ってたけど…ふんわ~りした、ゆる~い恋愛のほうがいいのかも…。心臓がもたないよ、絶対」
「優里は雰囲気に耐えられなくなってふざけ始めそうだしね」
「それなー」
桜は私達の会話には参加せず、黙々と洗っていた。
部屋に戻ると、穂が出迎えてくれた。
その顔がどことなくスッキリしていて、安心する。
やっぱり、穂には敵わない。
「千陽」と呼ばれて、少し考えるようにしてから、お礼を言われた。
何を言われるのかとドキドキしたけど、ただお礼を言われただけだった。
…ちゃんと、私の気持ち、永那に伝わってたってことかな。
そうだと…いいな…。
穂と永那が部屋のシャワーを浴びて戻ってくると、永那があたしの正面に座った。
穂に何を言われたのかわからないけど、しおらしく謝罪された。
べつに、謝ってほしいわけじゃない…と思ったら、“千陽がいてくれたから…ずっと、なんとか、やってこれた”なんて言われて、嬉しくて、胸が締めつけられた。
“ずっと”って、いつからのことだろう。
あたし、永那の助けに…なれてたってことなのかな。
穂が言ってくれたように…。
“一緒にいてくれる人がいるだけで、それだけで、救われることもある”
永那に対する“好き”が薄らいで、穂に気持ちが傾いたと思っていた。
でも、やっぱり永那への“好き”が、消えることはないのだと実感させられる。
どうしようもなく植え付けられた永那への想いは、簡単には、消えてくれない。
いろんな気持ちを誤魔化すために、穂にキスしてもらった。
本当は気持ちよくなりたかったけど、穂が嫌がっていたから、しない。
キスだけ。
そう、思ったのに、永那が…永那が…顔を、近づけて…舌を、伸ばしてきて…私達の間に、入ってきた。
永那との初めてのキス。
…濃厚すぎない?
無理。
思考が追いつかない。
さ、3人で…って…そんなこと…できるなんて…知りもしなかった。
穂が離れてしまって、でも、あたしはもっとしたくて、彼女のうなじを掴んでキスする。
永那はもう一度、舌を絡めてくれた。
指先までピリピリする。
穂と永那の2人から愛されてる。
そう思うだけで、恥部から蜜が溢れるのがわかった。
…やっぱり、3人でシたい。
強く思った。
永那に腕枕されながら寝るのは2回目。
幸せな時間。
“本当はめっちゃ好きでしょ?”
永那の意地悪な言葉に、キュンキュンして、“好き”が溢れてくる。
やっぱり、あたしの想い、ちゃんと伝わってたんだって思って、余計嬉しくて。
永那に腰を擦られて、それがやたらエロくて…またキュンキュンした。
嬉しい気持ちのまま、あたしは眠った。
目を覚ますと、穂と目が合った。
穂の頬がピンク色に染まるから、絶対昨日のキスを思い出してるんだってすぐわかって、あたしもつられて昨日のキスを思い出す。
「昨日、良かったね」と言うと、穂の顔が真っ赤になるから、(もう一回したいなあ)なんて思った。
修学旅行からの帰り道、桜がいるからか、永那の口数は少なかったけど、あたしが腕を組んでも全然嫌がる素振りがなかった。
あたしが腕を組むと、いつも永那は腕を伸ばしたままなのに、このときは腕を曲げて腕を組みやすいようにしてくれていた。
それにときめいて、ギュッと腕を握った。
好き。
過去のあたしが思い描いていた幸せの形とは違ったけど、穂となら、あたし達、こんなふうになれるんだって不思議な気持ちになった。
桜が家に帰って、永那はすぐに帰らず、あたしの家の前で突っ立っていた。
優里が言って、テーブルにあった鍵を持った。
「千陽、行ける?」
「うん」
「穂ちゃんがもう1つの鍵持ってるから、鍵かけても平気だよね」
3人で部屋を出て、お風呂に行った。
「優里、永那に押し倒されてどんな気分?」
体を洗いながら聞く。
「え!?…あー、いやー、ホント、無駄に顔が良いって怖いなーって思ったよ!」
「ドキドキしたんだ?」
「そ、そりゃあ、ちょっとはね…!?ちょっとだよ…!」
あたしはフフッと笑う。
「い、いやー…なんかほら、少女漫画みたいで…あんなことされたらときめいちゃうよね…怖いっ」
「ときめいたんだ?」
「ち、違う!永那にときめいたんじゃなくて、シチュエーションね!シチュエーション!」
「ふーん」
優里はさっきから同じところをずっと洗っている。
「穂は、しょっちゅうあれをされてるんだよ」
あたしは優里の顔を覗き込むように、からかうように言った。
優里の顔が真っ赤になる。
「や、やばー!ひゃ~!無理~!!」
「優里、永那に迫られたらノッちゃうんじゃないの?」
「ないないない!ないって!あの永那だよ!?絶対嫌!」
「絶対嫌なんだ」
プッと吹き出してしまう。
「んー…そう考えると、私、ロマンチックな恋がしたいとか思ってたけど…ふんわ~りした、ゆる~い恋愛のほうがいいのかも…。心臓がもたないよ、絶対」
「優里は雰囲気に耐えられなくなってふざけ始めそうだしね」
「それなー」
桜は私達の会話には参加せず、黙々と洗っていた。
部屋に戻ると、穂が出迎えてくれた。
その顔がどことなくスッキリしていて、安心する。
やっぱり、穂には敵わない。
「千陽」と呼ばれて、少し考えるようにしてから、お礼を言われた。
何を言われるのかとドキドキしたけど、ただお礼を言われただけだった。
…ちゃんと、私の気持ち、永那に伝わってたってことかな。
そうだと…いいな…。
穂と永那が部屋のシャワーを浴びて戻ってくると、永那があたしの正面に座った。
穂に何を言われたのかわからないけど、しおらしく謝罪された。
べつに、謝ってほしいわけじゃない…と思ったら、“千陽がいてくれたから…ずっと、なんとか、やってこれた”なんて言われて、嬉しくて、胸が締めつけられた。
“ずっと”って、いつからのことだろう。
あたし、永那の助けに…なれてたってことなのかな。
穂が言ってくれたように…。
“一緒にいてくれる人がいるだけで、それだけで、救われることもある”
永那に対する“好き”が薄らいで、穂に気持ちが傾いたと思っていた。
でも、やっぱり永那への“好き”が、消えることはないのだと実感させられる。
どうしようもなく植え付けられた永那への想いは、簡単には、消えてくれない。
いろんな気持ちを誤魔化すために、穂にキスしてもらった。
本当は気持ちよくなりたかったけど、穂が嫌がっていたから、しない。
キスだけ。
そう、思ったのに、永那が…永那が…顔を、近づけて…舌を、伸ばしてきて…私達の間に、入ってきた。
永那との初めてのキス。
…濃厚すぎない?
無理。
思考が追いつかない。
さ、3人で…って…そんなこと…できるなんて…知りもしなかった。
穂が離れてしまって、でも、あたしはもっとしたくて、彼女のうなじを掴んでキスする。
永那はもう一度、舌を絡めてくれた。
指先までピリピリする。
穂と永那の2人から愛されてる。
そう思うだけで、恥部から蜜が溢れるのがわかった。
…やっぱり、3人でシたい。
強く思った。
永那に腕枕されながら寝るのは2回目。
幸せな時間。
“本当はめっちゃ好きでしょ?”
永那の意地悪な言葉に、キュンキュンして、“好き”が溢れてくる。
やっぱり、あたしの想い、ちゃんと伝わってたんだって思って、余計嬉しくて。
永那に腰を擦られて、それがやたらエロくて…またキュンキュンした。
嬉しい気持ちのまま、あたしは眠った。
目を覚ますと、穂と目が合った。
穂の頬がピンク色に染まるから、絶対昨日のキスを思い出してるんだってすぐわかって、あたしもつられて昨日のキスを思い出す。
「昨日、良かったね」と言うと、穂の顔が真っ赤になるから、(もう一回したいなあ)なんて思った。
修学旅行からの帰り道、桜がいるからか、永那の口数は少なかったけど、あたしが腕を組んでも全然嫌がる素振りがなかった。
あたしが腕を組むと、いつも永那は腕を伸ばしたままなのに、このときは腕を曲げて腕を組みやすいようにしてくれていた。
それにときめいて、ギュッと腕を握った。
好き。
過去のあたしが思い描いていた幸せの形とは違ったけど、穂となら、あたし達、こんなふうになれるんだって不思議な気持ちになった。
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