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6.さんにん
360.クリスマス
項垂れていたら、アラームが鳴った。
穂が目を擦りながら起きる。
「永那ちゃん」
「おはよ、穂」
安心する。
「おはよう」
彼女の唇に、押し付けるようにキスをする。
そのまま舌を絡めて、押し倒す。
しばらく彼女を堪能していたら、トントンと肩を叩かれた。
離れると、2人の間に橋がかかる。
「準備、しないと…」
「そうだね」
彼女を起こして、ギュッと抱きしめる。
「穂…好き」
フフッと彼女が笑って「私も、永那ちゃん好き」と返してくれた。
穂は顔を洗って、歯磨きをして、髪を丁寧に結って、服を着替えた。
私はコンタクトをつけて服を着るだけだったから、ボーッと彼女を見ていた。
穂のお母さんがくれたジャケット。
白シャツに黒のテーパードパンツという、いつもの服装をしても、ジャケットを着ただけで一気にお洒落になるから嬉しい。
手を繋いで外に出る。
「穂」
「ん?」
「SNSさ?非公開にしてよ」
「どうして?」
「んー…ほら…変な人に見られるかもしれないじゃん?」
「変な人?」
「どんな人が見ているかわからないのが、SNSだよ?」
「私のアカウントなんて、クラスの子しか見てないよ」
穂が苦笑する。
「そ、そーかな?…他の人も、見てるかも」
穂は首を傾げて、ジッと私を見た。
「例えば?」
「それは…ほら…知らない人だよ」
彼女が立ち止まって、顔が近づく。
「どうしたの?急に」
「あー…いやー…」
目をそらすと、目線の先に穂が移動する。
「ハァ」と穂がため息をついて、スマホを見た。
自分のアカウントから、設定画面を開く。
「えーっと…これでいいのかな」
彼女が非公開に設定したのを確認して、私はフゥッと息を吐いた。
「それで…私のアカウントは誰に見られてたの?」
唾を飲む。
「教えて?永那ちゃん」
ジッと見られて、逃げられないことを悟る。
「先輩…」
「先輩?」
「前に…会った…あの…昔、助けてくれたっていう」
穂がパチパチと、何度も瞬きをする。
「え!?な、なんで、わかったの?」
「穂の投稿に“いいね”してたよ。気づいてなかったの?知らない人から“いいね”されてるって…」
「全員、クラスの子だと思ってたから」
そう言って、穂は自分の投稿の“いいね”を見始める。
手を繋いで、歩く。
「この人」
私が言うと、彼女が心音のアカウントを見る。
グッと奥歯を強く噛む。
しばらく彼女はスマホを眺めていた。
「綺麗な人」
唇を尖らせて、上目遣いに私を見る。
…可愛い。
「この人が…永那ちゃんの…初めての、人…?」
彼女の瞳が不安げに揺らぐ。
「キスしたって…言ってたよね…」
眉根が垂れて、穂の顔がどんどん俯いていく。
「穂?私は穂が好きだよ。穂以外あり得ない」
「…うん」
今日は純粋に楽しみたかったのになあ…。
言うのは帰ってからにすべきだったか?
でも、イルミネーションの写真も穂が載せることを考えると…。
なるべく心音に見られたくない。
穂がまたスマホの画面に目を落とす。
「とりあえず、それは置いとかない?私は、穂と初めてのイルミネーションを楽しみたいな」
彼女は少し考えてから、口元に弧を描いて頷いた。
「好きだよ、穂」
「私も」
繋いだ手をポケットに入れる。
ギュッと握られるから、握り返した。
会場につくと、もう、人が溢れ返っていた。
「はぐれないようにしなきゃね」
「うん」
体をより密着させる。
赤、黄色、緑、紫、青…たくさんの色が輝いていた。
「穂!あっちに食べ物売ってるみたい!」
遊園地の本格的なイルミネーションを見に行くか、クリスマスマーケットがあるイルミネーションを見に行くかで迷った。
今回は、クリスマスマーケットのほう。
「永那ちゃん!スノードーム売ってるよ!」
「ホントだ!初めて見た…」
「そうなの?」
恐る恐る手に取って、揺らしてみる。
チラチラとドームの中で雪が舞う。
「100均とかでは、小さいのなら見たことあるかな?でも、なんか…こういう、本格的なのは、初めて」
穂がスノードームを手に取って、裏のネジを回す。
「オルゴールになってるみたい」
金属を弾く、綺麗な音色。
人がごった返していて、お酒を飲んでいる人もいて、賑わっている。
…なのに、音が鮮明に耳に届く。
「すごい」
吸い寄せられるように魅入っていると、穂にギュッギュッと手を握られた。
彼女が優しく微笑んでいて、キュンとする。
「永那ちゃん、あっちにも色々あるよ。行こ?」
私は頷いて、いくつものテントを見て回った。
木の実とフェルトで作られた妖精のオーナメントが可愛くて、穂とお揃いで買った。
キラキラした世界。
穂を見ると、彼女の瞳もキラキラ輝いていて、見蕩れる。
食べ物をいくつか買って、なんとか見つけた席に座った。
2人で写真を撮って、分け合って食べる。
「永那ちゃん、永那ちゃん」
「なに?」
「スケートしたことある?」
「ない」
「できるんだって!」
「じゃあ、してみよっか」
ホットレモネードを飲み干して、また2人で手を繋ぐ。
走ってスケート会場に向かう。
それだけで楽しい。
穂も笑ってる。
それだけで、幸せだ。
穂が目を擦りながら起きる。
「永那ちゃん」
「おはよ、穂」
安心する。
「おはよう」
彼女の唇に、押し付けるようにキスをする。
そのまま舌を絡めて、押し倒す。
しばらく彼女を堪能していたら、トントンと肩を叩かれた。
離れると、2人の間に橋がかかる。
「準備、しないと…」
「そうだね」
彼女を起こして、ギュッと抱きしめる。
「穂…好き」
フフッと彼女が笑って「私も、永那ちゃん好き」と返してくれた。
穂は顔を洗って、歯磨きをして、髪を丁寧に結って、服を着替えた。
私はコンタクトをつけて服を着るだけだったから、ボーッと彼女を見ていた。
穂のお母さんがくれたジャケット。
白シャツに黒のテーパードパンツという、いつもの服装をしても、ジャケットを着ただけで一気にお洒落になるから嬉しい。
手を繋いで外に出る。
「穂」
「ん?」
「SNSさ?非公開にしてよ」
「どうして?」
「んー…ほら…変な人に見られるかもしれないじゃん?」
「変な人?」
「どんな人が見ているかわからないのが、SNSだよ?」
「私のアカウントなんて、クラスの子しか見てないよ」
穂が苦笑する。
「そ、そーかな?…他の人も、見てるかも」
穂は首を傾げて、ジッと私を見た。
「例えば?」
「それは…ほら…知らない人だよ」
彼女が立ち止まって、顔が近づく。
「どうしたの?急に」
「あー…いやー…」
目をそらすと、目線の先に穂が移動する。
「ハァ」と穂がため息をついて、スマホを見た。
自分のアカウントから、設定画面を開く。
「えーっと…これでいいのかな」
彼女が非公開に設定したのを確認して、私はフゥッと息を吐いた。
「それで…私のアカウントは誰に見られてたの?」
唾を飲む。
「教えて?永那ちゃん」
ジッと見られて、逃げられないことを悟る。
「先輩…」
「先輩?」
「前に…会った…あの…昔、助けてくれたっていう」
穂がパチパチと、何度も瞬きをする。
「え!?な、なんで、わかったの?」
「穂の投稿に“いいね”してたよ。気づいてなかったの?知らない人から“いいね”されてるって…」
「全員、クラスの子だと思ってたから」
そう言って、穂は自分の投稿の“いいね”を見始める。
手を繋いで、歩く。
「この人」
私が言うと、彼女が心音のアカウントを見る。
グッと奥歯を強く噛む。
しばらく彼女はスマホを眺めていた。
「綺麗な人」
唇を尖らせて、上目遣いに私を見る。
…可愛い。
「この人が…永那ちゃんの…初めての、人…?」
彼女の瞳が不安げに揺らぐ。
「キスしたって…言ってたよね…」
眉根が垂れて、穂の顔がどんどん俯いていく。
「穂?私は穂が好きだよ。穂以外あり得ない」
「…うん」
今日は純粋に楽しみたかったのになあ…。
言うのは帰ってからにすべきだったか?
でも、イルミネーションの写真も穂が載せることを考えると…。
なるべく心音に見られたくない。
穂がまたスマホの画面に目を落とす。
「とりあえず、それは置いとかない?私は、穂と初めてのイルミネーションを楽しみたいな」
彼女は少し考えてから、口元に弧を描いて頷いた。
「好きだよ、穂」
「私も」
繋いだ手をポケットに入れる。
ギュッと握られるから、握り返した。
会場につくと、もう、人が溢れ返っていた。
「はぐれないようにしなきゃね」
「うん」
体をより密着させる。
赤、黄色、緑、紫、青…たくさんの色が輝いていた。
「穂!あっちに食べ物売ってるみたい!」
遊園地の本格的なイルミネーションを見に行くか、クリスマスマーケットがあるイルミネーションを見に行くかで迷った。
今回は、クリスマスマーケットのほう。
「永那ちゃん!スノードーム売ってるよ!」
「ホントだ!初めて見た…」
「そうなの?」
恐る恐る手に取って、揺らしてみる。
チラチラとドームの中で雪が舞う。
「100均とかでは、小さいのなら見たことあるかな?でも、なんか…こういう、本格的なのは、初めて」
穂がスノードームを手に取って、裏のネジを回す。
「オルゴールになってるみたい」
金属を弾く、綺麗な音色。
人がごった返していて、お酒を飲んでいる人もいて、賑わっている。
…なのに、音が鮮明に耳に届く。
「すごい」
吸い寄せられるように魅入っていると、穂にギュッギュッと手を握られた。
彼女が優しく微笑んでいて、キュンとする。
「永那ちゃん、あっちにも色々あるよ。行こ?」
私は頷いて、いくつものテントを見て回った。
木の実とフェルトで作られた妖精のオーナメントが可愛くて、穂とお揃いで買った。
キラキラした世界。
穂を見ると、彼女の瞳もキラキラ輝いていて、見蕩れる。
食べ物をいくつか買って、なんとか見つけた席に座った。
2人で写真を撮って、分け合って食べる。
「永那ちゃん、永那ちゃん」
「なに?」
「スケートしたことある?」
「ない」
「できるんだって!」
「じゃあ、してみよっか」
ホットレモネードを飲み干して、また2人で手を繋ぐ。
走ってスケート会場に向かう。
それだけで楽しい。
穂も笑ってる。
それだけで、幸せだ。
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