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8.閑話
19.永那 中1 秋〜冬《相澤芽衣編》
ケースからギターを出して、弾き始める。
…あれ?
でも、なんか、急に恥ずかしくなってきた。
永那のことを想って書いた曲を本人に聞かせるって…めちゃくちゃ恥ずかしいんじゃない?
ガラガラと扉が開く。
「芽衣先輩っ」
永那が駆け寄ってきて、隣に座る。
その姿が可愛くて、頭を撫でた。
「先輩、作った曲、部活でも歌えばいいのに」
「無理だよ、恥ずかしいし」
「えー…良い曲なのに」
「いいの。永那だけで」
「私だけ?」
「そう」
永那が白い歯を見せて笑う。
「可愛い」
彼女の頭を撫でた。
「先輩、聞かせてくださいよ」
恥ずかしいから、歌わなかった。
ただ、ギターを弾くだけ。
「歌詞は?」
「まだなの…」
「ふーん。完成が楽しみですね」
本当は、もう、完成してる。
「完成したら、聞かせるね」
「はい!」
それから私は、ほとんど毎日多目的室に行くようになった。
たまに永那が来ない日は、ちょっと落ち込んだ。
「なんで昨日来てくれなかったの?」と聞くと「先輩に呼び出されて」と答える。
だから私は、軽音部の先輩に会いに行くと見せかけて、小倉心音を探した。
「先輩」
「おー、芽衣!どうした?」
「あの…今日の部活のことで…」
適当な話をする。
「そういえば、小倉心音さんって知ってますか?」
「小倉?あいつだよ」
先輩が指差した人は、いかにも真面目そうな感じだった。
あの人が、なんで永那を…?
「小倉になんか用?呼ぼうか?」
「あ、いえ。友達との話題に出て、誰だろう?って思っただけなので」
「そっか」
「はい。じゃあ、また部活で」
「おう」
永那と、どういう繋がり?
恋人だったら嫌だなって思って、永那には聞けなかった。
「永那」
「芽衣先輩、おつかれさまです」
「おつかれ」
どうやったら永那、私のこと、好きになってくれるかなぁ?
「ねえ、ギター、やってみない?」
「え?」
「私がギター貸してあげる。家にいっぱいあるし」
「いいんですか!?」
「もちろん」
「あ…でも…私の家狭いから…貸してもらっても置けないです」
「そっかぁ…それなら、私が2本持ってくるよ」
「重くないですか?」
「朝取りに来てくれてもいいよ?」
「えー!…じゃあ、部活の日だけ」
嬉しくて舞い上がる。
舞い上がる気持ちを、永那の髪を撫でてぶつけた。
本当に永那は、部活の日の朝に私の家に来てくれた。
一緒に登校。
手がぶつかったとき、そのままの勢いで手を繋いだ。
目を見開いて少し驚いていたけど、彼女はそのまま繋ぎ続けてくれた。
指を絡めても、彼女は拒絶しなかった。
私は永那にコードを教えるたびに、彼女の手に触れた。
細くて長い指。
いつも爪が綺麗に整えられてる。
切りたての日なのか、深爪みたいになっていることもあった。
最初の頃は、ギターを弾くと「指痛い」と笑うから、彼女の手をマッサージしてあげた。
永那は1曲弾けるようになると、楽しそうに歌った。
上達が早くて、歌も上手くて、もっと好きになった。
同級生の男子が「永那って、けっこう可愛いよな」と永那の肩に触れたときは、思わず、彼の手を取ってしまった。
「え!?な、なんだよ…相澤」
私は背が低いから、いつも上目遣いになる。
それなりにモテてきたから、男子がどうしたら喜ぶのか、だいたいわかる。
ふふっと笑って「永那にギター教えるから」とジッと見つめる。
「お、おー…そっか…邪魔してごめん」
「ううん」
私は、彼の手を優しく離して、ニコッと笑う。
男子はポリポリと指で頬を掻いて、目をそらした。
冬休み明けのある日、お腹の調子が悪くて、お昼を少しだけ食べて、残りの給食を友達に食べてもらった。
冬休みに全然会えなかったから、私は永那に会いたくて、お腹を擦りながら多目的室に向かった。
いつもより早い時間だから、しばらく待たなきゃいけないかも…って思ってたら、廊下を歩く永那の後ろ姿があった。
声をかけようとして、永那の前を誰かが歩いているのに気づく。
私はそっと後をつけた。
2人で、何にも使われていない空き教室に入っていく。
…あの教室、鍵かかってなかったんだ。
ドアの窓には白い紙が貼られていて、中が見えないようになっていた。
ドアに耳を当てるけど、何も聞こえない。
意を決して、ほんの少し、ドアを開ける。
その光景を見た瞬間、鼓動がドクドクと速くなって、思わず口を手で押さえた。
カーテンが閉め切られた薄暗い教室で、永那が、小倉心音を黒板に押しやって、キスしていた。
…やっぱり、恋人だったんだ。
奥歯を強く噛むけど、涙が流れる。
永那は小倉の耳をしゃぶって、首筋を舐める。
「ぁっ、永那ッ」
片手で小倉のボタンを外していく。
その手は…指は…私が、今までずっと好きだったもので…私が、ずっと触れていたいと思っていたもので…。
悔しくて、悲しくて、下唇をギュッと噛んだ。
小倉の胸元がはだけて、彼女のブラが見える。
フッと永那が笑った。
「もうキャミソールも着なくなったの?そんなシたいの?」
永那の、こんな冷たい声、初めて聞いた。
…あれ?
でも、なんか、急に恥ずかしくなってきた。
永那のことを想って書いた曲を本人に聞かせるって…めちゃくちゃ恥ずかしいんじゃない?
ガラガラと扉が開く。
「芽衣先輩っ」
永那が駆け寄ってきて、隣に座る。
その姿が可愛くて、頭を撫でた。
「先輩、作った曲、部活でも歌えばいいのに」
「無理だよ、恥ずかしいし」
「えー…良い曲なのに」
「いいの。永那だけで」
「私だけ?」
「そう」
永那が白い歯を見せて笑う。
「可愛い」
彼女の頭を撫でた。
「先輩、聞かせてくださいよ」
恥ずかしいから、歌わなかった。
ただ、ギターを弾くだけ。
「歌詞は?」
「まだなの…」
「ふーん。完成が楽しみですね」
本当は、もう、完成してる。
「完成したら、聞かせるね」
「はい!」
それから私は、ほとんど毎日多目的室に行くようになった。
たまに永那が来ない日は、ちょっと落ち込んだ。
「なんで昨日来てくれなかったの?」と聞くと「先輩に呼び出されて」と答える。
だから私は、軽音部の先輩に会いに行くと見せかけて、小倉心音を探した。
「先輩」
「おー、芽衣!どうした?」
「あの…今日の部活のことで…」
適当な話をする。
「そういえば、小倉心音さんって知ってますか?」
「小倉?あいつだよ」
先輩が指差した人は、いかにも真面目そうな感じだった。
あの人が、なんで永那を…?
「小倉になんか用?呼ぼうか?」
「あ、いえ。友達との話題に出て、誰だろう?って思っただけなので」
「そっか」
「はい。じゃあ、また部活で」
「おう」
永那と、どういう繋がり?
恋人だったら嫌だなって思って、永那には聞けなかった。
「永那」
「芽衣先輩、おつかれさまです」
「おつかれ」
どうやったら永那、私のこと、好きになってくれるかなぁ?
「ねえ、ギター、やってみない?」
「え?」
「私がギター貸してあげる。家にいっぱいあるし」
「いいんですか!?」
「もちろん」
「あ…でも…私の家狭いから…貸してもらっても置けないです」
「そっかぁ…それなら、私が2本持ってくるよ」
「重くないですか?」
「朝取りに来てくれてもいいよ?」
「えー!…じゃあ、部活の日だけ」
嬉しくて舞い上がる。
舞い上がる気持ちを、永那の髪を撫でてぶつけた。
本当に永那は、部活の日の朝に私の家に来てくれた。
一緒に登校。
手がぶつかったとき、そのままの勢いで手を繋いだ。
目を見開いて少し驚いていたけど、彼女はそのまま繋ぎ続けてくれた。
指を絡めても、彼女は拒絶しなかった。
私は永那にコードを教えるたびに、彼女の手に触れた。
細くて長い指。
いつも爪が綺麗に整えられてる。
切りたての日なのか、深爪みたいになっていることもあった。
最初の頃は、ギターを弾くと「指痛い」と笑うから、彼女の手をマッサージしてあげた。
永那は1曲弾けるようになると、楽しそうに歌った。
上達が早くて、歌も上手くて、もっと好きになった。
同級生の男子が「永那って、けっこう可愛いよな」と永那の肩に触れたときは、思わず、彼の手を取ってしまった。
「え!?な、なんだよ…相澤」
私は背が低いから、いつも上目遣いになる。
それなりにモテてきたから、男子がどうしたら喜ぶのか、だいたいわかる。
ふふっと笑って「永那にギター教えるから」とジッと見つめる。
「お、おー…そっか…邪魔してごめん」
「ううん」
私は、彼の手を優しく離して、ニコッと笑う。
男子はポリポリと指で頬を掻いて、目をそらした。
冬休み明けのある日、お腹の調子が悪くて、お昼を少しだけ食べて、残りの給食を友達に食べてもらった。
冬休みに全然会えなかったから、私は永那に会いたくて、お腹を擦りながら多目的室に向かった。
いつもより早い時間だから、しばらく待たなきゃいけないかも…って思ってたら、廊下を歩く永那の後ろ姿があった。
声をかけようとして、永那の前を誰かが歩いているのに気づく。
私はそっと後をつけた。
2人で、何にも使われていない空き教室に入っていく。
…あの教室、鍵かかってなかったんだ。
ドアの窓には白い紙が貼られていて、中が見えないようになっていた。
ドアに耳を当てるけど、何も聞こえない。
意を決して、ほんの少し、ドアを開ける。
その光景を見た瞬間、鼓動がドクドクと速くなって、思わず口を手で押さえた。
カーテンが閉め切られた薄暗い教室で、永那が、小倉心音を黒板に押しやって、キスしていた。
…やっぱり、恋人だったんだ。
奥歯を強く噛むけど、涙が流れる。
永那は小倉の耳をしゃぶって、首筋を舐める。
「ぁっ、永那ッ」
片手で小倉のボタンを外していく。
その手は…指は…私が、今までずっと好きだったもので…私が、ずっと触れていたいと思っていたもので…。
悔しくて、悲しくて、下唇をギュッと噛んだ。
小倉の胸元がはだけて、彼女のブラが見える。
フッと永那が笑った。
「もうキャミソールも着なくなったの?そんなシたいの?」
永那の、こんな冷たい声、初めて聞いた。
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