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8.閑話
24.永那 中1 春《相澤芽衣編》
わけわかんなくて、失笑する。
「なんで?」
「え?だから、千陽がイジメられてるから、私が」
「そうじゃなくて!なんで、永那がそれをする必要があるの?」
「え…?」
思わず声を荒げていたことに焦る。
「あ…ごめん」
必死に笑顔を作る。
「永那、優しいもんね」
永那は戸惑った顔を隠さず、頭をポリポリ掻いた。
「行こ。授業始まっちゃう」
私が走り出すと、永那がついてくる。
席について、顔を机に突っ伏した。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
小倉心音はもう卒業するし、永那とはお金の関係だってわかってるから、どうでもいい。
でも、佐藤千陽?
不安だった。
不安じゃないわけがない。
あんな可愛くて、いろんな男に惚れられて…そんな人間が永那と同級生だって考えただけで嫌だった。
だから考えないようにしてた。
永那とはクラスが違ったし、佐藤千陽が男好きなら永那に手を出されることはないって…そう思って、考えないようにしてた。
なのに、なんで!?
なんで永那から話しかけるの?
虐められてるって…そんなの自業自得じゃん!!
ギリリと歯が鳴る。
家に帰って、気晴らしにギターを弾こうと思うのに、全然集中できない。
初めて、楽器を乱暴に扱った。
お兄ちゃんに叱られて、もっとイライラした。
永那と一緒に登校する時間が、奪われた。
部活に来ないってことは、もうギターは貸さなくていいってことと同義。
永那が朝、私の家にギターを取りに来る必要が、なくなる。
毎日学校の送り迎えって…なに?
永那は佐藤千陽の執事か何かなわけ?
…あ。
金?
金で永那を買ったの?
また、金?
ふざけんな!!
涙が溢れる。
下唇を噛むのに、どんどん溢れてくる。
嫌だ…。
嫌だよ…。
永那が本気で佐藤千陽のこと好きになっちゃったらどうしよう。
一晩中泣き続けて、朝に鏡を見ると、酷い顔になっていた。
…最低。最低な気分。
インターホンが鳴って、心臓が跳ねる。
「芽衣ー、永那ちゃん来たよー」
え…?嘘。
こんな顔、見られたくない。
一瞬、仮病を使おうかと思って、首を横に振る。
これが…最後かも…。
「はーい!ちょっと待ってって言ってー!」
冷たい水で顔を洗う。
バタバタ走って、冷凍庫から保冷剤を出した。
「お前、酷い顔だな」
お兄ちゃんがパンを食べながら笑う。
「うっさい!」
保冷剤を瞼に当てながら、洗面台に走る。
「お姉ちゃん、なんかあったの?」
「知らね」
兄妹の会話が鬱陶しい。
ボサボサの髪を梳いて、リップを塗る。
ビューラーでまつ毛を上げるけど、瞼が腫れててやり難い。
「もう!!」
イライラして、つい声が出る。
永那が来るなら髪、巻きたかったのに!
へアイロンは温まったけど、いつもみたいに丁寧にはできない。
「あっつ」
アイロンが指に当たって、手をぶんぶん振った。
もういいや、これで。
目が腫れてるのが、ホント嫌。
「ハァ」と息を吐いて、走って2階に行く。
ギターを2本肩にかけて、鞄を手に持つ。
「行ってらっしゃい」
お母さんが言う。
「行ってきます!」
ドアを開けると、永那がいない。
道路に出て、左右を見ると、永那が道でしゃがんでいた。
フゥッと呼吸を整える。
前髪を指で梳いて「永那、お待たせ」と声をかけた。
弾けるような笑顔で私を見る。
「芽衣、おはよ」
「おはよ」
ジッと私の顔を見てくるから、顔をそらす。
「永那、何してんの?」
「え?…ああ、お花にてんとう虫いたから、見てた」
彼女の足元に咲く花を見る。
…子供か。
そういうとこが可愛いんだけど。
彼女の髪を撫でる。
「私、虫嫌いなんだけどさ、てんとう虫ってよく可愛く描かれてたりするじゃん?…実際、可愛いかな?」
「知らない」
どうでもいい…。
永那は立ち上がって、私が持っていたギターを自分の肩にかけた。
2人で歩き出す。
「千陽ちゃんの送り迎えは?」
「明日から」
「そっ…か。じゃあ、私との登校は、今日が最後?」
「あー…そうなっちゃうの、かな?」
“嫌”って気持ちを、ケースの紐をギュッと握りしめて誤魔化す。
「あ。3人で登校する?」
「それは、遠慮しとく」
「そっかあ」
…これが最後なら、楽しまないと。
永那の手を握る。
指を絡めると、彼女も握ってくれる。
人気のない道。
後ろを振り向いても、誰もいない。
私は永那の手を引っ張って、頬にキスした。
「芽衣…」
目をまん丸くして驚くから、「可愛い」と微笑んだ。
グッと腰を抱かれて、引き寄せられて、口付けされる。
ああ…好き…。
もう恋人なんじゃないの?って、錯覚しそうになる。
永那が白い歯を見せて笑った。
永那は手を繋いだまま歩き出して、それに引っ張られるような形で、私も歩いた。
「永那」
「なに?」
「まだ好きな人、いないの?」
ドクドクと心臓が鳴る。
「恋愛的に?」
「うん」
「いないかなー」
突き刺されるような胸の痛み。
「芽衣は?」
わざと、聞いてるの?
なんて答えるのが正解?
小さくため息をつく。
「いたら、永那とこんなことしてないでしょ?」
永那は何度か瞬きして、ニコッと笑った。
「そっか!」
バカ…。
「なんで?」
「え?だから、千陽がイジメられてるから、私が」
「そうじゃなくて!なんで、永那がそれをする必要があるの?」
「え…?」
思わず声を荒げていたことに焦る。
「あ…ごめん」
必死に笑顔を作る。
「永那、優しいもんね」
永那は戸惑った顔を隠さず、頭をポリポリ掻いた。
「行こ。授業始まっちゃう」
私が走り出すと、永那がついてくる。
席について、顔を机に突っ伏した。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
小倉心音はもう卒業するし、永那とはお金の関係だってわかってるから、どうでもいい。
でも、佐藤千陽?
不安だった。
不安じゃないわけがない。
あんな可愛くて、いろんな男に惚れられて…そんな人間が永那と同級生だって考えただけで嫌だった。
だから考えないようにしてた。
永那とはクラスが違ったし、佐藤千陽が男好きなら永那に手を出されることはないって…そう思って、考えないようにしてた。
なのに、なんで!?
なんで永那から話しかけるの?
虐められてるって…そんなの自業自得じゃん!!
ギリリと歯が鳴る。
家に帰って、気晴らしにギターを弾こうと思うのに、全然集中できない。
初めて、楽器を乱暴に扱った。
お兄ちゃんに叱られて、もっとイライラした。
永那と一緒に登校する時間が、奪われた。
部活に来ないってことは、もうギターは貸さなくていいってことと同義。
永那が朝、私の家にギターを取りに来る必要が、なくなる。
毎日学校の送り迎えって…なに?
永那は佐藤千陽の執事か何かなわけ?
…あ。
金?
金で永那を買ったの?
また、金?
ふざけんな!!
涙が溢れる。
下唇を噛むのに、どんどん溢れてくる。
嫌だ…。
嫌だよ…。
永那が本気で佐藤千陽のこと好きになっちゃったらどうしよう。
一晩中泣き続けて、朝に鏡を見ると、酷い顔になっていた。
…最低。最低な気分。
インターホンが鳴って、心臓が跳ねる。
「芽衣ー、永那ちゃん来たよー」
え…?嘘。
こんな顔、見られたくない。
一瞬、仮病を使おうかと思って、首を横に振る。
これが…最後かも…。
「はーい!ちょっと待ってって言ってー!」
冷たい水で顔を洗う。
バタバタ走って、冷凍庫から保冷剤を出した。
「お前、酷い顔だな」
お兄ちゃんがパンを食べながら笑う。
「うっさい!」
保冷剤を瞼に当てながら、洗面台に走る。
「お姉ちゃん、なんかあったの?」
「知らね」
兄妹の会話が鬱陶しい。
ボサボサの髪を梳いて、リップを塗る。
ビューラーでまつ毛を上げるけど、瞼が腫れててやり難い。
「もう!!」
イライラして、つい声が出る。
永那が来るなら髪、巻きたかったのに!
へアイロンは温まったけど、いつもみたいに丁寧にはできない。
「あっつ」
アイロンが指に当たって、手をぶんぶん振った。
もういいや、これで。
目が腫れてるのが、ホント嫌。
「ハァ」と息を吐いて、走って2階に行く。
ギターを2本肩にかけて、鞄を手に持つ。
「行ってらっしゃい」
お母さんが言う。
「行ってきます!」
ドアを開けると、永那がいない。
道路に出て、左右を見ると、永那が道でしゃがんでいた。
フゥッと呼吸を整える。
前髪を指で梳いて「永那、お待たせ」と声をかけた。
弾けるような笑顔で私を見る。
「芽衣、おはよ」
「おはよ」
ジッと私の顔を見てくるから、顔をそらす。
「永那、何してんの?」
「え?…ああ、お花にてんとう虫いたから、見てた」
彼女の足元に咲く花を見る。
…子供か。
そういうとこが可愛いんだけど。
彼女の髪を撫でる。
「私、虫嫌いなんだけどさ、てんとう虫ってよく可愛く描かれてたりするじゃん?…実際、可愛いかな?」
「知らない」
どうでもいい…。
永那は立ち上がって、私が持っていたギターを自分の肩にかけた。
2人で歩き出す。
「千陽ちゃんの送り迎えは?」
「明日から」
「そっ…か。じゃあ、私との登校は、今日が最後?」
「あー…そうなっちゃうの、かな?」
“嫌”って気持ちを、ケースの紐をギュッと握りしめて誤魔化す。
「あ。3人で登校する?」
「それは、遠慮しとく」
「そっかあ」
…これが最後なら、楽しまないと。
永那の手を握る。
指を絡めると、彼女も握ってくれる。
人気のない道。
後ろを振り向いても、誰もいない。
私は永那の手を引っ張って、頬にキスした。
「芽衣…」
目をまん丸くして驚くから、「可愛い」と微笑んだ。
グッと腰を抱かれて、引き寄せられて、口付けされる。
ああ…好き…。
もう恋人なんじゃないの?って、錯覚しそうになる。
永那が白い歯を見せて笑った。
永那は手を繋いだまま歩き出して、それに引っ張られるような形で、私も歩いた。
「永那」
「なに?」
「まだ好きな人、いないの?」
ドクドクと心臓が鳴る。
「恋愛的に?」
「うん」
「いないかなー」
突き刺されるような胸の痛み。
「芽衣は?」
わざと、聞いてるの?
なんて答えるのが正解?
小さくため息をつく。
「いたら、永那とこんなことしてないでしょ?」
永那は何度か瞬きして、ニコッと笑った。
「そっか!」
バカ…。
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