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6.さんにん
364.まだ?
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やっと順番がきて、10円玉を賽銭箱に投げ入れた。
二礼ニ拍手一礼。
“いつまでも、穂と一緒にいられますように”
目を開けると、同じタイミングで穂も目を開けた。
「みんな何お願いしたー?」
優里が聞く。
「秘密」
千陽が言う。秘密主義者め。
「私は“穂とずっといられますように”って」
「ラブラブだなあ。穂ちゃんは?」
「私は…毎年同じなんだけど、“見守っていてください”って言ってるよ」
「え!?なにそれ!?」
優里が目をまん丸くする。
「へ、変かな…?」
「変じゃない!かっこいい!!私も来年からそうする!!!」
「う、うん…。優里ちゃんは、何をお願いしたの?」
「えーっと…まずは、ダイエット成功しますように!と、お金持ちになれますように、頭良くなりますように、みんなが健康であれますように!世界が平和でありますように!って!」
「欲張りだな」
「たった10円でそんなに叶えろって、神様に対してブラック過ぎない?」
千陽が冷めた目で言う。
穂は苦笑。
「うるさい!うるさーい!神様なんだから、私の願いを叶えるなんて、指先ひとつでちょちょいのちょいでしょーが!」
屋台も賑わっていた。
夏祭りみたいに金魚すくいとか射的はないけど、食べ物が充実している。
甘酒が配られていたから、飲む。
あったかい。
少し早めのお昼は、じゃがバターとたこ焼き。
たこ焼きは穂とはんぶんこ。
…幸せ。
「あーん」
穂は少し照れながら、口を開けてくれる。
「おいしい?」
「おいしい」
へへへと2人で笑い合う。
「永那…」
呼ばれて、勢い良く横を向く。
一瞬時が止まって、鼓動が速くなる。
「心音…先、輩…」
「あはは、偶然。久しぶりだね」
心音の視線が穂に行く。
「先輩?」
優里が聞くから、「中学のときの」と答える。
「へえ…。あ、私、永那の高校の友達の篠田優里です。初めまして!あけましておめでとうございます」
「あけまして、おめでとうございます。小倉心音です」
「わ~、可愛い名前ですね」
「ありがとう。優里ちゃんも、可愛い」
心音の笑顔がわざとらしくて鳥肌が立つ。
「永那、他の子も…紹介してよ」
ゴクリと唾を飲む。
「えっと…千陽と穂…です…」
千陽はペコリと頭を下げるだけで、何も話さない。
「空井穂です。あけましておめでとうございます」
「穂ちゃん。…あけましておめでとうございます。2人も、友達?」
…こいつ。絶対わかってて聞いてる。
穂とのイチャイチャ時間を邪魔されて、だんだんイライラしてきた。
「関係ないだろ」
「こらー!!!」
優里にチョップされる。
「いった」
「先輩に何て態度取ってんの!?バカなの!?…すみません、永那部活やってないから、先輩への態度とか全然わかってなくて」
心音が口元を手で押さえて、肩を揺らして笑う。
「いいよいいよ。永那は昔からそうだから」
「そ、そうなんですか…」
優里がジト目で見てくるけど、無視する。
「てか、なんでここにいんの?」
「いいでしょ?初詣にどこに行っても。年末年始だから実家に帰ってきたの」
「実家はこの近くじゃないでしょ」
意味ありげに笑うから、気持ち悪い。
ストーカーかよ。
「あー、私達、どっか行ってよっか?」
優里が言う。
「ほんと?」
「は?」
心音が手を合わせて、上目遣いになる。
“可愛い”を作ってる感じがして、またイライラする。
「ほら、久しぶりなんでしょ?だったら…」
優里が気を利かせてくれているのはわかってるけど、目の下が痙攣し始めた。
ちょんちょんと袖を引っ張られて、横を見る。
穂が伏し目がちに「一緒にいたい…」と呟くから、ときめきが過ぎる。
可愛い、愛しい、好き、ラブ、大好き、愛してる…ああ、言葉が足りない。
ウォーアイニー、アモーレ、テアモ、ジュテーム、サランヘヨ、サガポー!
気づいたら抱きしめていた。
「え、永那ちゃん…!?」
可愛い穂が悪いんだよ。
耳が真っ赤に染まってるのも可愛い。食べたい。
気づいたら彼女の耳をしゃぶってた。
「永那ちゃん…!」
肩を押される。
顔が椿みたいに赤色に染まって、瞳が潤んで、眉が垂れ下がっている。
「可愛い」
そっとキスをした。
穂の唇が一文字に結ばれる。
…あれ?怒っちゃったかな?
「ハァ」とため息が聞こえて、冷静になる。
「そういうことなので、先輩…すみませんが、あたし達はこれで」
千陽がぺこりと頭を下げて、歩き出す。
私は穂の手を引いて、後に続く。
「…待ってよ!永那!」
立ち止まって、振り向く。
「少しだけ…少しだけで、いいから。話したい」
眉間にシワが寄る。
「穂ちゃんも…いて、いいから…」
ギリリと奥歯が鳴った。
「あたし達も、いいですか?」
「…うん。いいよ」
神社の隅に行って、木に寄りかかる。
穂は私の隣に立って、千陽と優里は隣の木に寄りかかりながら私達を見守ってくれていた。
心音は私の斜め前に立って、ぎこちない笑みを浮かべている。
冷めてしまったじゃがバターに噛りつく。
「話ってなに?」
「…穂ちゃんは、彼女さんなんだよね?」
「うん」
二礼ニ拍手一礼。
“いつまでも、穂と一緒にいられますように”
目を開けると、同じタイミングで穂も目を開けた。
「みんな何お願いしたー?」
優里が聞く。
「秘密」
千陽が言う。秘密主義者め。
「私は“穂とずっといられますように”って」
「ラブラブだなあ。穂ちゃんは?」
「私は…毎年同じなんだけど、“見守っていてください”って言ってるよ」
「え!?なにそれ!?」
優里が目をまん丸くする。
「へ、変かな…?」
「変じゃない!かっこいい!!私も来年からそうする!!!」
「う、うん…。優里ちゃんは、何をお願いしたの?」
「えーっと…まずは、ダイエット成功しますように!と、お金持ちになれますように、頭良くなりますように、みんなが健康であれますように!世界が平和でありますように!って!」
「欲張りだな」
「たった10円でそんなに叶えろって、神様に対してブラック過ぎない?」
千陽が冷めた目で言う。
穂は苦笑。
「うるさい!うるさーい!神様なんだから、私の願いを叶えるなんて、指先ひとつでちょちょいのちょいでしょーが!」
屋台も賑わっていた。
夏祭りみたいに金魚すくいとか射的はないけど、食べ物が充実している。
甘酒が配られていたから、飲む。
あったかい。
少し早めのお昼は、じゃがバターとたこ焼き。
たこ焼きは穂とはんぶんこ。
…幸せ。
「あーん」
穂は少し照れながら、口を開けてくれる。
「おいしい?」
「おいしい」
へへへと2人で笑い合う。
「永那…」
呼ばれて、勢い良く横を向く。
一瞬時が止まって、鼓動が速くなる。
「心音…先、輩…」
「あはは、偶然。久しぶりだね」
心音の視線が穂に行く。
「先輩?」
優里が聞くから、「中学のときの」と答える。
「へえ…。あ、私、永那の高校の友達の篠田優里です。初めまして!あけましておめでとうございます」
「あけまして、おめでとうございます。小倉心音です」
「わ~、可愛い名前ですね」
「ありがとう。優里ちゃんも、可愛い」
心音の笑顔がわざとらしくて鳥肌が立つ。
「永那、他の子も…紹介してよ」
ゴクリと唾を飲む。
「えっと…千陽と穂…です…」
千陽はペコリと頭を下げるだけで、何も話さない。
「空井穂です。あけましておめでとうございます」
「穂ちゃん。…あけましておめでとうございます。2人も、友達?」
…こいつ。絶対わかってて聞いてる。
穂とのイチャイチャ時間を邪魔されて、だんだんイライラしてきた。
「関係ないだろ」
「こらー!!!」
優里にチョップされる。
「いった」
「先輩に何て態度取ってんの!?バカなの!?…すみません、永那部活やってないから、先輩への態度とか全然わかってなくて」
心音が口元を手で押さえて、肩を揺らして笑う。
「いいよいいよ。永那は昔からそうだから」
「そ、そうなんですか…」
優里がジト目で見てくるけど、無視する。
「てか、なんでここにいんの?」
「いいでしょ?初詣にどこに行っても。年末年始だから実家に帰ってきたの」
「実家はこの近くじゃないでしょ」
意味ありげに笑うから、気持ち悪い。
ストーカーかよ。
「あー、私達、どっか行ってよっか?」
優里が言う。
「ほんと?」
「は?」
心音が手を合わせて、上目遣いになる。
“可愛い”を作ってる感じがして、またイライラする。
「ほら、久しぶりなんでしょ?だったら…」
優里が気を利かせてくれているのはわかってるけど、目の下が痙攣し始めた。
ちょんちょんと袖を引っ張られて、横を見る。
穂が伏し目がちに「一緒にいたい…」と呟くから、ときめきが過ぎる。
可愛い、愛しい、好き、ラブ、大好き、愛してる…ああ、言葉が足りない。
ウォーアイニー、アモーレ、テアモ、ジュテーム、サランヘヨ、サガポー!
気づいたら抱きしめていた。
「え、永那ちゃん…!?」
可愛い穂が悪いんだよ。
耳が真っ赤に染まってるのも可愛い。食べたい。
気づいたら彼女の耳をしゃぶってた。
「永那ちゃん…!」
肩を押される。
顔が椿みたいに赤色に染まって、瞳が潤んで、眉が垂れ下がっている。
「可愛い」
そっとキスをした。
穂の唇が一文字に結ばれる。
…あれ?怒っちゃったかな?
「ハァ」とため息が聞こえて、冷静になる。
「そういうことなので、先輩…すみませんが、あたし達はこれで」
千陽がぺこりと頭を下げて、歩き出す。
私は穂の手を引いて、後に続く。
「…待ってよ!永那!」
立ち止まって、振り向く。
「少しだけ…少しだけで、いいから。話したい」
眉間にシワが寄る。
「穂ちゃんも…いて、いいから…」
ギリリと奥歯が鳴った。
「あたし達も、いいですか?」
「…うん。いいよ」
神社の隅に行って、木に寄りかかる。
穂は私の隣に立って、千陽と優里は隣の木に寄りかかりながら私達を見守ってくれていた。
心音は私の斜め前に立って、ぎこちない笑みを浮かべている。
冷めてしまったじゃがバターに噛りつく。
「話ってなに?」
「…穂ちゃんは、彼女さんなんだよね?」
「うん」
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