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7.向
476.序開
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長い休みを少女漫画を読んで過ごして、やっと入学式の日になった。
もちろん、ひそかと先輩で妄想した。
妄想している間はあっという間に時間が過ぎた。
それでもやっぱり、待ちきれないほどに長かったけど。
お母さんは呆れるくらいめかしこんで、お父さんもスーツを着て鼻歌を歌いながら髪をセットしていた。
ひそかは、お気に入りの星のヘアゴムで髪を2つに結んだ。
まだ背が伸びるかもしれないからとお母さんが注文した、少し大きめの制服を着て、鏡を見る。
いつか先輩のブレザーと交換しちゃったりして…。
「ひゃ~!!」
テンションが上がりすぎてその場でクルクル回っていると、お母さんにドアをノックされた。
「ひそか…?準備できた?」
「うん」
3人で家を出る。
正門につくと、ひそかと同じように新しい制服を身に纏った、同級生になるであろう人達がたくさんいた。
片親とだけ来ている人もいれば、親が来ていなさそうな人もいる。
両親が来ている人のほうが少なそうだった。
ほんの少し、自分の親を恥ずかしく感じる。
「ほら、ひそか!写真撮ろう」
お父さんが言って、お母さんと2人で“入学式”の看板の横に立つ。
「あ、すみません。ちょっと写真撮るので、ずれてもらっていいですか?」
ひそか達の隣で写真を撮っていた親子にお父さんが言う。
親子は気まずそうにしながら会釈して、正門をくぐっていった。
「撮るぞー!」
カシャカシャと連写音が鳴って、また恥ずかしくなる。
その後お父さんが隣に来て、自撮り棒を出して写真を撮った。
「じゃあ、後でね」
「ひそか!しっかりな!」
頷いて、ひそかは校内に、お母さん達は体育館に向かった。
靴箱で上履きに履き替え、掲示されているクラス表を見た。
人が多くてなかなか紙に近づけなかったけど、なんとか自分の名前を見つけて、人の流れに乗りながら教室に向かった。
小学校も中学校も、友達はほとんどいなかった。
同じ小学校の子のほとんどが同じ中学校に行くんだから、小学校で友達がいなければ、当たり前のように中学でも友達はできない。
何人か、挨拶をする程度の仲の子はいたけど、体育とかでグループを作らなきゃいけない時の予備要因って感じだった。
そんなひそかの、初めての新しい環境。
お母さん達と離れてから、緊張感がどんどん増していく。
指先が冷たくなっている。
教室に入ると、黒板に席順が書かれていた。
自分の席を見つけて、ひそかは椅子に座った。
既にクラスの中でグループが分かれ始めている。
スマホを出して、SNSを開く。
事前にフォローしておいた人達がいるか確認。
「ねえ!もしかして、ひそかちゃん?」
声をかけられ、ドキッとする。
顔をあげると、SNSで少しメッセージを送りあった子だった。
「あ…うん…」
「わ!同じクラスー!よろしくねー!!」
「よろしく…」
へへへと笑みを浮かべると、相手も笑みを返してくれる。
「あ!改めて…私、飯田 杏奈」
「中川 ひそか」
「ひそかちゃんの家ってちょっと遠いんだよね?朝早くて大変だったんじゃない?」
「ま、まあ…」
「私なんて通学時間30分だけど、それでもダルかったわ~」
杏奈ちゃんはひそかの机に手をついて、本当にダルそうに顔を歪めた。
「あ!ねえ!」
杏奈ちゃんの横を通った女子に彼女が話しかけた。
かなりコミュ力がある子らしい…。
話しかけられた相手も陽気に答え、自然とひそかのそばから2人がいなくなる。
ああいう子達がクラスの中心になるんだろうな…なんて、特に卑屈になるわけでもなく、思った。
それから少しして、担任が教室に入ってきた。
欠席者・遅刻者はおらず、担任の挨拶や自己紹介が始まる。
入学式の流れが説明され、そのまま体育館に誘導された。
廊下に出ると、他のクラスも列をなしてズラズラと体育館に向かった。
体育館に入ると、お父さんが「ひそか!」と手を振った。
これは…ものすごく恥ずかしい…。
顔が熱くなるのが自分でもわかった。
小さく手を振り返して、すぐに目をそらした。
つまらない式が淡々と続き、寝る人がちらほら出始める頃、在校生代表として生徒会長が祝辞を読み上げた。
第一印象は、“頭良さそう”。
でも…3年生ってことは、永那先輩と同じ学年ということ…!
いいなあ、羨ましい。
入学式が終わって教室に戻る時、お父さんがまたひそかを呼んだ。
周りから少し笑われてる気がする…。
今度は手を振り返さずに、ただ俯いた。
教室に戻ると、ひとりひとり自己紹介をさせられた。
みんな入る部活を決めていたり、趣味の話をしたり、たまにふざける人もいたりと、和やかな雰囲気だった。
…嫌なんだよなあ、こういうの。ホントに嫌い。
「中川ひそかです。部活は…まだ決めてません。趣味は…漫画読むこと…です…。よろしくお願いします」
拍手され、すぐに椅子に座る。
絶対“陰キャ”って思われたー…!!
ここで選別されるんだろうな…。
友達がほしいわけじゃないけど、ほしくないわけでもない。
もちろん、ひそかと先輩で妄想した。
妄想している間はあっという間に時間が過ぎた。
それでもやっぱり、待ちきれないほどに長かったけど。
お母さんは呆れるくらいめかしこんで、お父さんもスーツを着て鼻歌を歌いながら髪をセットしていた。
ひそかは、お気に入りの星のヘアゴムで髪を2つに結んだ。
まだ背が伸びるかもしれないからとお母さんが注文した、少し大きめの制服を着て、鏡を見る。
いつか先輩のブレザーと交換しちゃったりして…。
「ひゃ~!!」
テンションが上がりすぎてその場でクルクル回っていると、お母さんにドアをノックされた。
「ひそか…?準備できた?」
「うん」
3人で家を出る。
正門につくと、ひそかと同じように新しい制服を身に纏った、同級生になるであろう人達がたくさんいた。
片親とだけ来ている人もいれば、親が来ていなさそうな人もいる。
両親が来ている人のほうが少なそうだった。
ほんの少し、自分の親を恥ずかしく感じる。
「ほら、ひそか!写真撮ろう」
お父さんが言って、お母さんと2人で“入学式”の看板の横に立つ。
「あ、すみません。ちょっと写真撮るので、ずれてもらっていいですか?」
ひそか達の隣で写真を撮っていた親子にお父さんが言う。
親子は気まずそうにしながら会釈して、正門をくぐっていった。
「撮るぞー!」
カシャカシャと連写音が鳴って、また恥ずかしくなる。
その後お父さんが隣に来て、自撮り棒を出して写真を撮った。
「じゃあ、後でね」
「ひそか!しっかりな!」
頷いて、ひそかは校内に、お母さん達は体育館に向かった。
靴箱で上履きに履き替え、掲示されているクラス表を見た。
人が多くてなかなか紙に近づけなかったけど、なんとか自分の名前を見つけて、人の流れに乗りながら教室に向かった。
小学校も中学校も、友達はほとんどいなかった。
同じ小学校の子のほとんどが同じ中学校に行くんだから、小学校で友達がいなければ、当たり前のように中学でも友達はできない。
何人か、挨拶をする程度の仲の子はいたけど、体育とかでグループを作らなきゃいけない時の予備要因って感じだった。
そんなひそかの、初めての新しい環境。
お母さん達と離れてから、緊張感がどんどん増していく。
指先が冷たくなっている。
教室に入ると、黒板に席順が書かれていた。
自分の席を見つけて、ひそかは椅子に座った。
既にクラスの中でグループが分かれ始めている。
スマホを出して、SNSを開く。
事前にフォローしておいた人達がいるか確認。
「ねえ!もしかして、ひそかちゃん?」
声をかけられ、ドキッとする。
顔をあげると、SNSで少しメッセージを送りあった子だった。
「あ…うん…」
「わ!同じクラスー!よろしくねー!!」
「よろしく…」
へへへと笑みを浮かべると、相手も笑みを返してくれる。
「あ!改めて…私、飯田 杏奈」
「中川 ひそか」
「ひそかちゃんの家ってちょっと遠いんだよね?朝早くて大変だったんじゃない?」
「ま、まあ…」
「私なんて通学時間30分だけど、それでもダルかったわ~」
杏奈ちゃんはひそかの机に手をついて、本当にダルそうに顔を歪めた。
「あ!ねえ!」
杏奈ちゃんの横を通った女子に彼女が話しかけた。
かなりコミュ力がある子らしい…。
話しかけられた相手も陽気に答え、自然とひそかのそばから2人がいなくなる。
ああいう子達がクラスの中心になるんだろうな…なんて、特に卑屈になるわけでもなく、思った。
それから少しして、担任が教室に入ってきた。
欠席者・遅刻者はおらず、担任の挨拶や自己紹介が始まる。
入学式の流れが説明され、そのまま体育館に誘導された。
廊下に出ると、他のクラスも列をなしてズラズラと体育館に向かった。
体育館に入ると、お父さんが「ひそか!」と手を振った。
これは…ものすごく恥ずかしい…。
顔が熱くなるのが自分でもわかった。
小さく手を振り返して、すぐに目をそらした。
つまらない式が淡々と続き、寝る人がちらほら出始める頃、在校生代表として生徒会長が祝辞を読み上げた。
第一印象は、“頭良さそう”。
でも…3年生ってことは、永那先輩と同じ学年ということ…!
いいなあ、羨ましい。
入学式が終わって教室に戻る時、お父さんがまたひそかを呼んだ。
周りから少し笑われてる気がする…。
今度は手を振り返さずに、ただ俯いた。
教室に戻ると、ひとりひとり自己紹介をさせられた。
みんな入る部活を決めていたり、趣味の話をしたり、たまにふざける人もいたりと、和やかな雰囲気だった。
…嫌なんだよなあ、こういうの。ホントに嫌い。
「中川ひそかです。部活は…まだ決めてません。趣味は…漫画読むこと…です…。よろしくお願いします」
拍手され、すぐに椅子に座る。
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